2011年12月31日土曜日

解析時の定数設定

「地盤の地震応答解析」を読み終わりました。

といっても、最後の方は頭に入りませんでした。実際に手を動かしながら読む必要がありそうです。

この本、なかなか良かったです。文章が上手なのでしょうか、語りかけてくるようでどんどん読み進めることができました。技術的にも細かいことが書かれており、他の解析に通じる箇所もあります。メッシュサイズの決め方などは地震応答解析特有でしたが、他の解析でも気をつけなければならない点です。
実際に読みながら手を動かしたわけではないので、詳細は把握していないと思いますが、調査時に気をつけるべき個所、地震応答解析の概要や限界、困難さは理解できました。解析やその調査に携わる心づもりをする上でも、良書だと思います。

1つ気になったのは、弾性係数の拘束圧依存性があるのかどうかについて。
依存する場合もあれば、影響の少ない場合もあるとのこと。結局はそのあたりも意識して調査方法の選択・モデル化しないといけないということなんでしょうね。本では以下のように記載されています。
「深いところでは拘束圧の変化に伴う弾性係数の変化はそれほどないが、浅いところではかなり変化するので技術者は、簡単な計算でその影響を確かめておくなどの注意が必要である。」
まあ、他の解析でも現況再現でのパラスタ作業は、上記に該当するのでしょう。定数設定として共通する重要な作業です。解析のための定数設定やそのための調査は「解析がわからない」では済まないのです。

古い技術者は自分の経験や流儀で解決しようとする傾向があるようです。土木の場合、良い点も多くあります。が、「解析のような難しいことはわからない。」と平然と言うようになれば、技術者卒業ということでしょう。

2011年12月29日木曜日

Dtransu と CUDA

DtransuのCUDA化です。

作業をお願いしていたプロより連絡がありました。
C++にまで移植していただいたのですが、結果は精度面でOUT。

惜しいことに、デバイスエミュレーションで動かすと正しい値が出るようですが、実際にGPUに載せると正しい値が出ないとのこと。プログラミング自体は問題ないのでしょうね。TESLAで駄目なようですから、プロが仰るようにコンパイラかライブラリ側に問題があるのでしょう。素人でも分かりやすい説明でした。

ここまでしていただいて、本当に感謝です。
今回は残念でしたが、CUDAやコンパイラのVer.UPで解決できそうですね。気長に待ちましょう。

2011年12月28日水曜日

ソリッドのメッシング

ソリッドを全選択し、オートメッシュ機能で一気に切ってみました。


メッシングのテストですので、高次要素は使っていません。節点数: 24404、 要素数: 118925、所要時間: 3時間13分でした。なかなか良い感じで切れていますね。


すべり面を下から覗くとこんな感じです。
ボクセルメッシュ(GEORAMA でメッシング、SoilPlus で読み込み)↓


今回のメッシュ(GEORAMA でソリッドモデル作成、GTS で Parasolid 読み込み後、オートメッシュ)↓


ぜんぜん違いますね。素晴らしい。
これからは地下水でも妥協の必要が無くなりました。

AutoCAD 2012 のプラグインにより、ソリッド読み込みが実現したのですが、今後はCivil3Dにも搭載されるのではないでしょうか?


2011年12月27日火曜日

ソリッドからSTEP, Parasolid (AutoCAD 2012)

midas GTS は Nastran ファイルを読めません。

読めるのはSTEP, IGES, Parasolid DXF(ワイヤーフレーム)などのジオメトリ系のみです。GEORAMA から吐き出したボクセルメッシュは読めません。また、SoilPlusと同じプレですので、境界面を書き出して取り込むのも問題があります。
http://phreeqc.blogspot.com/2010/12/blog-post_16.html

CAD のソリッドモデルを STEP などに変換できないかと調べていると、Civil3d 2011 で AutoCAD 2011 用の subscription tool を適用し、IGES へ書き出せることが分かりました。

早速、DL して使ってみました。
が、駄目でした。書きだせるのですが、GTS 側でソリッドとして認識しません。コンパウンドとして認識されるのですが、分解するとサーフェスになります。地表面がメッシュで分割されてしまうので、後で地質毎にサーフェスをまとめるのが大変です。2012では解決しているのでしょうか?

このままでは先に進みませんので、もう少し調べてみました。
結果、AutoCAD 2012 (Cicil3Dではありません)で Inventor Fusion plug-in を適用すると STEP, IGES, Parasolid で書き出せるとのこと。早速、インストールしようかと思いましたが、既に使われている方が変換して下さいました。

変換していただいたデータは STEP, Parasolid の2種。
GTS で読み込むと、なぜかスケールが狂っていましたが、きちんと solid として認識されました。もう少し使い込まないと分かりませんが、パっと見は OK です。
GEORAMA +Civil3Dで作成したソリッドモデルを変換しますので、上記のような不具合がなくなります。(作成法はコチラ>>>http://phreeqc.blogspot.com/2010/11/civil3d2010-georama2010.html

あとはメッシングにどれだけ時間がかかるかですね。
オートメッシュで試してみましょう。ボクセルよりは綺麗に切れると思いますし、要素が少なくて済むかもしれません。期待大です。

2011年12月26日月曜日

地形判読

「深いすべりが調査前に分かるか?」という疑問に対し、いろいろ意見を頂きました。

個人的な経験上、多くは10~30m、深くても50m程度にすべり層が出てきます。
が、それよりも深い70m、80mなどのすべりの存在が調査前に分かるか?それらに対し調査計画を立てることができるか?という点についての意見です。

「現在の技術水準で分からないという方が困難」など、多くの思想が聞けました。

個人的には、深いものに対し調査計画を提案する自信がありません(変状が明瞭であれば提案しますが)。対策も思い浮かびません。しかし、今までに深いすべりを経験して来られた方は、自信を持って提案されるようですし、調査のノウハウもあるようです。やはり、地すべりは①地形判読を行って規模を推定し、②そこを実際に歩いて変状や範囲を確かめ、③調査計画を立てる、という順序と、今までの経験が重要なのでしょう。

この中で、再度思ったのが地形判読の重要性。
一番最初に行うわけで、地すべりの規模が大きいほど、ミスリードの影響が後工程に大きくのしかかります。いくら高価なLPの取得や地形判読のための様々な図面を作っても、技術者の判読力が低ければ価値がありません。

時代は変わったようで、変わっていないと思います。
地形判読に関するツールは増え、新たな資格も作るようですが、本質はそこにないと思われます。

もう一度、基本に戻って、地すべりも含めた地形判読の復習をしておく必要があります。

EXIFの位置情報をCADへ

写真の EXIF には、位置情報(ジオタグ)が含まれています。

携帯やスマホにも GPS が付いていますので、ネットに UP された写真がどこで撮られたものか判別できる場合があります。また、位置情報を使って撮影位置を地図に示すことができるアプリも多くみかけます。

GPS がついてないデジカメでも、track データと撮影時間を比較して、EXIF に位置情報を埋め込むことが可能です。先日もカシミール3Dで位置情報を埋め込んだところまでUPしました。

問題はこの先で、これをCADへはめ込む方法が分かりませんでした。位置情報を読み取って、撮影場所をCAD上で図示したかったのです。

調べたところ、頭脳RAPIDPRO Civil3 で可能なようでした。
http://www.photron.co.jp/products/cad/pro_civil/function02.html
が、持っていません。

仕方ないので、フリーの「F6 EXIF」で位置情報の一覧データ(csv)を作り、Civil3Dでポイントデータとして読み込みました。
が、ここで問題。csv が WGS84 の LL (緯度経度)データとなってしまいます。track データを UTM でなく LL で書き出せば、ばっちり合います。が、平面図は通常 LL で表記されていないため、そのまま載せると位置が大きくずれます。これは何とかならないのでしょうか?

平面図の測地系・・・JGD2000
GPSで選択した測地系・・WGS84
EXIFの位置情報・・・・・・・WGS84(LL)

WGS84(LL)をcsvからCAD読み込みの段階で変換したいですね。Civil3Dで可能なような気もしますが、やり方が分かりません。


考え方を変えて、位置情報から Garmin の Waypoint データを作成し、それをDXF変換することにしました。GPSBabel を使用します。これ、かなりの種類のファイル形式を扱えます。
http://www.gpsbabel.org/
この後、GPS の付属ソフトを使用すれば、WGS84 (UTM) で DXF を書き出せます。

結果、平面図・GPSデータ・写真位置がCADで重なりました。
ちょっと力技っぽいですが、変換、変換で下地ができました。

2011年12月24日土曜日

ハンディーGPS

今年最後の現場は落石調査になりそうです。

2つの山、5つのエリアを数人で手分けして担当することになりました。私はそのうち1つのエリアを担当しています。
設計者からの強い勧めと、先行していた先輩から「GPSを持っていけ」と言われたため、今回初めてハンディーGPSを山の踏査に携行しました。GARMIN GPSMAP 60CSx です。古い機種です。

ハンディーGPSは10年近く前から会社にあります。今まで、道路際の写真を多く撮る際に使ったことはありますが、山の中の踏査では使ったことがありません。山の中で衛星を補足できるのか?という疑問と、「GPSに頼らなくても山は歩ける」といった地質屋としての(ちょっとした)自負からです。

ところが今回、携行してみて驚きました。期待以上に追いかけてくれます。
普通に腰にぶら下げて gps track を拾っていたのですが、精度は±10mに入っていたと思います。冬で草木が枯れていたからかもしれません。藪こぎに近い状態や、倒木の下を這ってくぐり続ける個所もあったんですけど。

まあ、こうなると期待してしまいます。
落石源や崩壊箇所など重要な位置は現場で図面に落としますが、そこで撮った写真の番号や、その間の写真撮影位置は落とすことをやめました。今までは全ての写真番号と位置を現場で図面に落としていました。これで踏査スピードがあがりますし、重要な個所に時間をとることができます。

あとは帰社後にデータを取りこむだけ。
GPSの waypoints と track データはカシミール3D と CAD(付属ソフトで変換:UTM WGS84の座標系をもったDXF) へ取りこみます。写真はカシミールで  track データ を利用し撮影位置に落とします。これで、自分の書き込んだ図面をスキャンして CAD へ貼り付けると、下地は完成です。あとは自分の書いた落石位置で track データを(頭の中で)補正して整理すればOKですね。

今回は落石調査でしたが、地質調査時のルートマップにも利用しやすいと思います。便利な道具だったんですね。なぜ使わなかったのでしょう。
現行機種はさらに感度が良くなっているとのこと。室内でも補足することができると聞きましたが本当でしょうか。俄然、物欲が出てきます。


写真位置をCADに落とせば完璧です。が、やり方が分かりません、どうするのでしょう?
これは、また後日ですね。

2011年12月19日月曜日

孔内水平載荷試験の再現 その4

以前、孔内水平載荷試験の結果を数値計算で再現すれば、ダイレイタンシー角ψを同定できるのでは?と考えたことがあります。その時は、SoilPlusが関連流れ則しか扱えなかったため、同定作業自体ができませんでした。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/08/3.html

今、MIDAS社からGTSをお借りしていますので、そちらで確かめてみることにしました。プリはSoilPlusもMIDAS社から提供を受けているので、操作性は同じです。ただ、こちらは軸対象で水平方向の荷重を扱えますので、2次元で計算できます。3次元より計算時間が早いので、すぐに結果がわかります。

計算結果はこんな感じです。ゾンデ60cm間に1000kN/m2を10分割でかけました。

変位のグラフの例です。


ゾンデの先、余掘り分15~20cmをモデル化し忘れたので、メッシュを切りなおそうとしました。が、同じ領域でメッシュを切りなおした場合、前の節点の情報をクリアしないようです。バグでしょうか?
仕方ないので、そのまま比較することに。

比較は弾完全塑性の関連流れ則、非関連流れ則、ひずみ軟化で行いました。
パラメータはダイレイタンシー角ψと単体以外、試験での実測値や算出値を使用しています。パラスタはしていません。変形係数は試験でポアソン比を仮定して得られた値、K0は土被り圧とP0より算出、φ'peakは深川の方法、せん断抵抗力(ピーク、残留)はσr-σθで求めた値を使用しました。なお、ψは仮にφ-30°として設定してみました。
ピーク、残留をφで指定できないのは、ソフト上の制限です。実務でGTSのひずみ軟化を使用する場合、砂質土をモデル化するには、深度毎に分割しないといけないようです。

で、結果は以下の通り。

うーん、弾性変形の傾きがやや立っていますね。試験時のポアソン比の設定が良くなかったのでしょう。逆に、試験でGがわかるので、パラスタで適切なポアソン比(=変形係数)が設定できそうです。

この結果では、ひずみ軟化が最も合っていますね。試験で求めた値を使うとばっちり合うのでしょうか?結論を得るにはもっとやってみる必要がありそうです。非関連も、まあ、許容範囲でしょうか?関連は駄目(つまり、SoilPlusでこの土の解析はダメ)ですね。

ちなみに、これは載荷区間の変位の平均値をグラフ化しています。実際の孔内水平載荷試験も、土砂の場合は水の注入量から平均的な変形量を算出していますので、こういった簡易な整理も良いと思います。

載荷区間の下の方は、余堀をモデル化していないミスで変位が抑制されています。試しに下15cmをオミットして平均をとると、以下の通り。


それほど変わらなかったですね。ひずみ軟化が良さそうです。


除荷、再載荷をしてみました。


感動!ちゃんと除荷時に変位の大きい側で低下し、負荷時に小さい側で上昇するループを作っています!実際の土もこういった挙動になるのですが、理由はちゃんとあるんですね。構成則を作った昔の人は偉い。すばらしい。


結果としては当ケースの場合、ひずみ軟化が良いでしょう。ψの同定を目的に始めましたが、思わぬ収穫でした。孔内水平載荷試験の結果より、適切な土質定数(の範囲)を設計側に助言することは可能ですね。

うーん、しかし、この結果はひずみ硬化ですよね?弾完全塑性やひずみ軟化としてモデル化しても、結果はひずみ硬化のような挙動を示しています。硬化と軟化、弾完全塑性の区別が良く分からなくなってきました。
まだ理解していない証拠です。もう一度、勉強し直す必要がありそうです。



不飽和透水試験で求める飽和透水係数

雨水浸透施設技術指針に、不飽和帯での透水試験(現地浸透試験)が掲載されています。
http://www.arsit.or.jp/book/tyousa.html

式は非常に単純です。

ダルシー則を変形するとq/k=iAとなりますが、iAが一定であれば、q/kも一定です。基準では、いろんな水深・形状(iA)の浸透試験結果を整理しておけば、比浸透量(q/k)が求まる、さらに試験で最終浸透量(q)を測っておけば、不飽和浸透試験から飽和(に近い)透水係数(k)が求まると考えたようです。
実際、これらの検証を数値解析で行ったとあります。私はここが面白いと思いました。実は、私も不飽和浸透試験を数値解析でパラスタすれば、不飽和浸透特性が求まるのではないかと思い、いつかやってみようと思っていました。既に基準に取り入れられていたんですね。

しかし、この検証の具体的内容がどこにも書かれていません。文献も示されていませんので、適用範囲がどの程度のものなのか、信頼性はどの程度のものなのかがわかりません。仕方ないので、発売元の雨水貯留技術浸透協会に問い合わせてみました。
結果、具体的な内容はわかりませんでした。出典は東大のドク論だそうですが、東大の論文データベースを検索しても出てきません。発表論文を検索しても、基準以上のものは出てきませんでした。残念ですね。
ただ、対応していただいた方の話では、不飽和層の実験を全国から集めて検証したそうなので、飽和層への浸透は範囲外ということでした。もともと、浸透施設が飽和層を対象としたものではないとも言われていました。

非常に惜しいのですが、適用範囲や信頼性はわからないままです。現段階では雨水浸透以外で使用することは控えておいた方が良さそうです。

2011年12月17日土曜日

雨水浸透施設

雨水浸透施設が国交省や東京都で推奨されているようです。
http://www.mlit.go.jp/common/000113727.pdf
http://www.tokyo-sougou-chisui.jp/shishin/

河川のプロに聞くと、やはり河川への流入量を減らす目的で、推奨されているとの事。
ただ、私は実物を見たことがありません。

先日も、建築屋さんがこの施設について話されているのを聞きました。
河川堤防の横で、帯水層まで鉛直のドレインを作り、その上の地表部に既製品を設置する計画のようです。確かに、ポンプ施設を作るよりは安上がりでしょう。

ただ、地質屋からみると、非常に危険だと思います。堤防天端より堤内側が5mも低い状態なのです。計画高水位は天端より1.5m程度低いとすると、3m以上のヘッド差ができてしまいます。
洪水時に堤内側の井戸から水が吹いたり、パイピングがあったという話を聞きますが、雨水浸透施設でも帯水層までドレインを入れると、同じような現象が起こるでしょう。

雨水を処理するために、安い工法、お客様に喜ばれる工法をと考えられたのでしょうが、一つのことに目を奪われると、他が見えなくなる例ですね。
何事も引いてみたり、近寄ったりを繰り返す必要があります。

2011年12月16日金曜日

ボスポラス海峡 CM

大成建設さんのCMです。



以前にも書きましたが、尊敬する技術者の一人が現地に赴任されており、個人的に関心の高い事業です。


秒速5センチメートルも綺麗でしたが、これも綺麗!豪華ですね。

圧密沈下

圧密沈下について相談がありました。

e-logp、mv、cv の評価で迷っているとのこと。
確かに、データを重ねたグラフを見ると、ばらついています。

この中で、pcが明らかに上載圧依存となっており、e-logpを使用するのであれば、ある深度毎に区切って代表的なラインを設定する必要がありそうでした。mvの過圧密側もばらついて見えるのは同じ理由でしょう。

いずれにせよ、一軸のみ上載圧依存を考えるのは片落ちで、pc、e-logp、過圧密側のmvなどもチェックしておく必要があります。基本的な事ですが、試験数が増え煩雑になると、手を抜きがちになる所です。港湾基準だと、性能設計に基づいた決定法がありますが(これもすっかり忘れてましたが)、今回は鋭敏粘土上の河川堤防を扱っていましたので、設定値は深度を細分した平均的な値になりそうです(これも変ですけど)。
http://www.web-gis.jp/e-Forum/2007/033.PDF

最近では数値計算で解く方法に目を奪われていましたが、その定数がどのように設定されたのか、地盤のどこで試験をしたのか、各層を代表しているのか、といった根本的なチェックが重要ですね。

グイっと引き戻された気分です。

2011年12月14日水曜日

LEM, SRM, SAM その2

LEM, SRM, SAM の比較です。

適当なモデルで計算してみました。まずは、非関連流れ則。


自動で書き出される比較表の一部です。計画安全率は自分できめることができますが、今回、特に意味はありません。便宜上表示しているだけです。

結果はFellenius より Bishop、SRM より SAM で安全率が高く評価されます。後者は円弧を仮定している影響ですね。FEM とLEM は単純比較できないでしょう。SRMでの結果が円弧に近いと、案外、Bishopと同じような安全率が出ています。


関連流れ則でも実施しました。
結果、このモデルでは SAM、SRM ともに安全率が0.01前後上がります。ひずみが集中しにくくなる影響でしょう。教科書に載っている注意点ですね。土の評価が重要になります。


モデルを変えるとコチラ。材料値は上のモデルと同じで、非関連流れ則です。


解析領域や結果に問題ありですが、傾向は同じです。
異なる点は、SRM で非円弧が顕著になると、安全率が円弧よりかなり低くなるということでしょうか?まあ、当たり前ですか。


通して考えると、Fellenius だけはやはり異常ですよね。あらためて実感しました。Felleniusの計画安全率1.2を考慮すると、、他の計算手法で1.2は駄目ですね。駄目なのはわかりますが、ではどうしたら?というと実務的には以下のような答えしかありません。

海外ではどう評価しているのでしょう?

2011年12月13日火曜日

LEM, SRM, SAM

SoilWorks を触り始めました。

最初は GTS を触っていたのですが、思うように動きません。モデルも私が持っているのは SSRFEM には大きすぎるので、後回しにしました。

とりあえず、SoilWorks の斜面安定モジュールを動かすことに。
マニュが手元になかったのですが、2次元ですし、メッシュ作成や解析ケースの設定はSoilPlusと同じインターフェースということも手伝って、簡単にできました。

ところが、いざ計算をしようとすると、手法が3つあります。LEM, SRM, SAM です。Limit Equilibrium Method, Strength Reduction Method はわかります。が、SAM ってなんでしょう?ヘルプには「応力場解析技法」とありますが Stress Field Analysis Method の訳でしょうか?検索しても引っかかりません。このソフト、微妙に日本語変なんですよね。「斜面安定分析」とか。どうせなら全部英語にしてくれたら良いんですが。まあ、本質には関係ないところです。

マニュアルを DL して確認しましたが、SAM について書かれていません。

が、よく見てみると、極限平衡法の説明がFEMを使った計算になっています。たぶん、これのことでしょう。つまり、与えた物性値によって応力場を計算し、仮定した円弧に沿う抵抗力の積分値をせん断応力の積分値で割って安全率を出す、それを繰り返し最小安全率の円弧を見つけるという手法です。

こんな手法があるんですね。
どういう使い道があるんでしょうか?

うーん。思いつきません。

2011年12月11日日曜日

自然由来重金属マニュアルのリスク評価

先日、国土交通省が公開している「建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル (暫定版) 」のリスク評価について相談がありました。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/manual/sizenyuraimanyu_zantei_honbun.pdf

公開当時、このマニュアルを読みました。リスク評価手法に興味があったのです。しかし、その箇所の内容は安全側かつ簡易なもので、本質を見極める上で満足できるレベルではありませんでした。1~2次元主体であったり、100年間溶出量が一定のプログラムであったり、「レベル2でのリスク」=「地下水中の濃度が基準を超えるかどうか」=「通常の移流分散計算の簡易版」であったり。移流分散方程式は遅延の掛け方が違ってますし、濃度一定の1次元理論解も左辺が違います。すぐに放り投げました。

私は土壌汚染問題のプロではないので、法やマニュアルに従った調査法について詳しく知りません。しかし、解くべき問題がはっきりすれば、science を応用した解決策は提案できるでしょう。それが法的調査と一致すればBESTですが、異なることもあると思います。残念ながら、マニュアルのリスク評価は後者のようでした。

相談は以下の2点。
・お客様が要望されているマニュアルのリスク評価をするためにどんな調査が必要か?
・もっと良い評価手法がないか?それに必要な調査は?

両方、お客様への提案書としてまとめました。
2点目は国交省マニュアルの範囲で試験法を選択するケースと、それ以上の調査(費用)が必要になるケースがあります。当然、前者が過大設計になります。後者が望ましいのですが、目先の費用の面で両手をあげて喜んでは頂けないでしょう。御要望のマニュアルがなければ良かったのですが。

お客様の「国交省」「マニュアル」のとらえ方次第です。

皆既月食

皆既月食ですね。

欠け始めから皆既食まで、デジカメで撮影してみました。
数年前のバカチョンですが、18倍光学ズーム付いてます。

カメラは詳しくないのでいろんなモードを試してみました。夜景モード、露出補正、シャッター速度云々。マニュアルでも設定可能なようですが、ド素人ですので、全部カメラ任せの自動モードです。

初めて月や星を撮ったのですが、後でPCで見ると、想像以上にきれいに撮れました。もちろん、ボケてない程度ですので、自己満足です。が、天文ファンの心理がわかります。カメラ様々。

人間にとって「災」に映る自然現象がクローズアップされた年ですが、こういった自然現象は、誰でも、いつでも大歓迎ですね。

2011年12月9日金曜日

SAGA 2.0.8 + 基盤地図情報(DEM)

SAGAで基盤地図情報(DEM)を読み込んで Protection Index (≒地上開度)を作る手順です。

① 基盤地図情報DEMのダウンロード〔JPGIS(GML)形式〕と変換
http://phreeqc.blogspot.com/2010/11/givil3d2010-2500-25000.htmlの①~③を参考に、DLしたファイルをコンバーターで変換します。「標高メッシュをシェープファイルに変換」です。コンバーターの表示が綺麗ですね。



② SAGAで読み込み、クリギングでグリッドデータに変換
・File-Shape-Load

・krigingは何でもよいでしょう。地形ですから。


・バリオグラムを設定。地形ですが、案外、相関があるんですね。意外でした。密度が細かいので自動でも良いかもしれません。

・グリッドサイズはDLしたメッシュサイズに応じて入力すれば良いでしょう。


・終了するとビープ音が出ます。画面には何も表示されません。


③ Protection Index の演算
・左上の Workspace のタブから Dataを選びます。
・Workspace に読み込んだファイル名が出ますので、ダブルクリック。画像が表示されます。


・Module から Morphometric Protection Index を選択。


・ L を設定します。

・演算が終わればビープ音が鳴ります。Workspaceに追加されたProtection Index をダブルクリックし、表示します。


これで出来上がりですが、地上開度とは角度の取り方が異なります。が、理屈がわかっていればOKですね。



2011年12月8日木曜日

開度-ウェーブレット解析図

地上開度図とウェーブレット解析図の合成です。

と、ここまで来て、かなり落胆しました。

合成の手法がマニュアルに書かれていません。合成の演算は山ほどあります。計算手法を示すことができないのであれば、せめて何のソフトの、どの演算を使ったかを書いてないと、追いかけられません。ましてや開度図の階調を見やすいように修正してから合成だと、純粋な計算結果を演算するのではなく、2枚の画像(適度に補正後の数値)を適度に演算する世界でしょう(だからマニュに書かれていないのでしょうか?)。画像の合成法は見やすいようにヨキニハカラエということなのかもしれません。

仕方ないので、Photoshopで合成することにしました。

まず、使った素材です。

修正地上開度図

Wavelet 解析図

SAGA の場合、Protection Index は水平からの角度になります(地上開度は鉛直からの角度)。グレースケールを反転して、修正地上開度図としました。

以下、合成図です。

合成図1 : Over Lay

合成図2 : Hard Light

合成図3 : Linear Light

合成図4  : Vivid Light

合成図5  : Multiply
(コントラスト、明度補正済み)

Linear Light, Vivid Light, Multiply が見やすいでしょうか?


これらの合成手法が、正しいかどうか分かりません。しかし、確かめることもできません。判読しやすい画像を作成するのが目的で、それに適した合成手法を選択するのが正解であれば、前処理ルーチン(材料作成)の必然性のなさが落胆の最大の理由です。最初から画像に対してエッジ抽出などのフィルターをかけて合成し、判読しやすいように作っても同じことでしょう。まあ、マニュに示してある手法でも対応できるといった「営業力」がついたということで、良しとしましょう。


ところでマニュから離れますが、今回知った SAGA のいろいろな演算が何を意味するのかは、興味が残るところです。何の分野でどのような目的に使用されているのか分かりませんが、教科書や文献はあるはずです。こちらは今後の「技術力」として調べてみましょう。

2011年12月7日水曜日

Wavelet その2

メキシカンハット関数を使った、ウェーブレット解析(ただの演算ですが)の続きです。

昨日UPした通り、(1-x^2・・・から始めることにしました。
2次元関数はこのような感じです。


マニュアルではスケール S を1で固定し、DEM のグリッドサイズで波長が変わるといった内容です。λ=4グリッドといったところですね。実務的ですね。
x-aが影響するところまでを考えると、最低でも中心から左右に4グリッドずつ必要です。従って、フィルタは9*9のマトリックスになります。

早速、SAGA で User Defined Filter があるか調べてみました。結果、装備されていました。しかし、3*3までなので適用できません。仕方ないですね。
Surfer では9*9でも可能ですから、こちらでやってみましょう。ただし、Filter による演算結果は、最後にマトリックスの合計値で割る設定になっています。そのため、マニュアルの積分に合わせるには、後で Grid Math で合計値を掛け戻してやる必要があります。また、Filter の edge の処理設定もしないといけません。

演算結果を確認してみますと、あれ?といった感じの仕上がりです。全くマニュの図とは異なっています。係数のオーダーも大きく違います。チェックしましたが計算過程は問題ありません。
ということは、(1-x^2・・・ではなくて、(2-x^2が正しいということでしょうか?

(2-x^2・・・の2次元関数は以下のようになります。振幅の最大値は大きくなりますが、同じような形状です。


Surfer で演算し直し、できた GRD ファイルを SAGA で読み込んだ結果がこちら。


オーダーもあっています。(2-X^2・・・で問題ないようでした。
最終的に、地すべり地形を判読しやすいと実感したら、式の導出まで追いかけてみましょうか。このまま使うのは気持ち悪いですからね。


とりあえず、地上開度、ウェーブレット解析、両方ともクリアーです。
地上開度もよく読んでみますと、1グリッドで計算した場合も書かれていますので、最大値を取るアルゴを組まなくてもよくなっています。非常に実務的と言いますか、汎用ソフトの利用を前提に、適用しやすいよう単純化して書かれています。技術的に良いか悪いかは分かりませんが、裾野を広げることはできるでしょう。


あとは地上開度図とウェーブレット解析図の合成のみです。
こちらはまた後日。

Wavelet

地上開度がクリアできたので、俄然やる気が出てきました。

土研「地すべり地における航空レーザー測量解析マニュアル(案)」に従えば、あと視覚化で残るのはウェーブレット解析です。

ウェーブレット関数とは何ぞや?の状態ですので、ネットで調べてもよく分かりませんでした。これだけで1冊の本になるほど多肢にわたっています。
しかし、マニュのメキシカンハット関数やウェーブレット係数の算出式は非常に簡素なので、これに限ってはできるような気がしました。

で、とりあえず、マニュの式をEXCELでグラフ化。


あれ?最大値が11ページのグラフと違います。おかしい。
ネットで調べてみると、ψ(x, y) = (2-x^2・・・ の箇所が(1-x^2・・・の形になっている式が多く見られます。y = 0のときに(1-x^2と同じ形にならないといけないはずですから誤植でしょうか?
とりあえず2を1に修正してみると、



11ページと同じ図ができました。私の知識ではどちらが正解かわかりませんが、係数を出すときの重みの大きさが変わるだけなので、とりあえずこちらで行きましょう。今度、地形解析チームに出典の文献を持っていないか聞いてみましょう。

あとは積分の式をどう反映させるかです。これはソフト側でユーザー定義フィルターが使用できるかどうかも重要でしょう。SAGA で可能なのでしょうか?Surfer では可能ですし、ImageJでもMexican Hat の計算はできますから、最悪はそちらでの検討になるでしょう。

続きは後日。

2011年12月6日火曜日

SAGA

SAGAの続きです。

LPデータを読み込みました。
ナンバリングしてあれば、SurferでXYZのみに加工したデータをCSVとして保存しておけば読み込めます(EXCEL2010では行数に限度があります)。また、Surferのグリッドデータ読めます。

Terrain Analysis Module がたくさん装備されています。
http://saga-gis.org/geostat2011/05_saga_geomorphometry.pdf
が、まだその計算内容のまとまった説明を見つけることができません。先日のようにWikiで一つ一つ探さないといけないのでしょうか?また、これらの計算は何の目的で考案されたのでしょうか?何がわかるのでしょうか?これをツールとして使う分野は?地形学とも違うような気がします。知りたいですね。



とりあえず、正常に動きましたので、作業自体は問題ないでしょう。


これから計算内容を確認していきましょう。

2011年12月4日日曜日

地上開度

以前、LPデータに対し、開度の測定やウェーブレット変換ができるソフトは皆無と投稿したことがあります。http://phreeqc.blogspot.com/2011/04/arcgis.html

先日、「地上開度」について古い情報が引っかり、再度調べてみました。
検索で引っかかったのは、こちらの方のブログです。
http://kibouharuka.at.webry.info/201104/article_7.html

確認したところ、確かに現在も Dept. of Physical Geography, Hamburg で開発が続けられている SAGA (System for Automated Geoscientific Analyses) に地上開度のモジュールが装備されていました。
http://www.saga-gis.org/en/index.html

モジュールのソースはこちらです。positive openness と等価と書かれていますね。
http://saga-gis.cvs.sourceforge.net/viewvc/saga-gis/saga_2/src/modules_terrain_analysis/terrain_analysis/ta_morphometry/ProtectionIndex.cpp?revision=1.8&view=markup&pathrev=MAIN

ソースの内容が読めるのは、オープンソースの利点です。高さ/距離のarctanを求め、最大値を更新、8方向の平均を求めるといった内容のようです。非常に単純ですね。こんなことが全てのグリッドに対し順番にできるんですね。まあ、GISなら当たり前なのでしょうか?
このアルゴなら簡単に地下開度にも変更できますね。モジュールは自作できそうですのが、組み込めるのでしょうか?

しかし、このソフト、いろんなモジュールが組み込まれていますね。ArcGISだと地形解析オプションとVer.UP だけで100万程度、開度やウェーブレット解析の委託開発でさらに100万程度かかったような気がしますが。詳細は確認していませんが、ウェーブレット以外は大体同じような機能が入っているのではないでしょうか?無料で使えるなら、こっちを選ぶでしょう。

早速、基盤地図情報の5mメッシュを取り込み、地上開度を描いてみました。
正常に動作します。(が、こんなもん?といった感じです。)案外簡単にできますね。
手順は後日UPしましょう。


最近、傾斜区分図や地上開度図の作成を「地形解析」というようですが、できた「解析結果」を見ても、もうひとつピンときません。加工された図を使って人が判断するわけですから、判断しやすい材料に「データを加工する作業」と言ったところが妥当なのでしょう。解析と言いながら、問題に対する決定論的な結果を示せないところがピンとこない要因なのかもしれません。

個人的な経験では、地形から推定した地質構造は、本当に表層部でしか合わないと考えています。これは地形が地質構造を反映しないのではなく、人の推定能力が弱いためだと思います。地形から、構造の傾斜を考慮することが難しいのでしょう。経験上、深度100mとなると50%、つまり当たるも八卦・・・の世界です。そういう意味では、LPデータ解析マニュアルの対象となる地すべりは表層地形に現れる現象ですので、データ加工が役に立つのかもしれません。


ま、何事も加工する能力がないままでは、利用価値があるのかすら判断できませんので、とりあえずは手を動かしてみましょう。

2011年12月2日金曜日

剛性の拘束圧依存

E=2G(1+ν)         EはGの1乗に比例
G0=ρVs^2          G0はVsの2乗に比例
Vs=80~100・N^(1/3)    VsはN値の1/3乗に比例
Nc=1.7N/(σ'v/100+0.7)  N値は上載圧の1乗に比例
Nc=√(98/σ'v)・N      N値は上載圧の1/2乗に比例

これらの式が意味するところは、Ncが同じ材料の場合、せん断剛性や弾性係数が拘束圧の1/3~2/3乗に比例するということでしょうか?

吉田望「地盤の地震応答解析」p96、97あたりに拘束圧依存の説明が書かれています。図7.4をみると、確かにそんなものなのかなあという気がします。べき乗までひずみレベルに依存するのであれば設定は難しいですね。どこかで割り切らないと。

実務では0.5を使われているのでしょうか?機会があればプロに聞いてみましょう。

動的緩和法

以前、講習会でひずみ軟化について講師と雑談した際に、「動的緩和法」を勧められました。

詳細は知らないのですが、時間がたてば、ある点で減衰により静止するといった考え方で、静的解析に運動方程式を利用する手法です。

その時は何か抵抗がありましたし、なぜそのような手法を勧められたのかが分かりませんでした。
が、最近地震応答解析の本を読んでいて、「あ、なるほど」と思うところがありました。
ひずみの進行に応じて急激に剛性が低下するモデル。そう聞くと、動的変形解析をされている方は地震応答解析を思い浮かべるでしょう。そちらのソフトは市販されているわけですから、少し工夫すればソースを変えることなくひずみ軟化が表現できると考えられたのだと思います。

いろいろやってみるべきですね。

2011年11月30日水曜日

AutoCAD とクラウド

AutoCAD WS というモバイルアプリがあります。
http://www.autodesk.co.jp/adsk/servlet/pc/index?id=15771272&siteID=1169823

iPhoneには随分前に入れていますが、実務では一度も利用したことがありません。さすがに、iPhone で CAD 図面を編集する根気はありませんので。テストケースでは大きな図面は表示できませんでしたが、今考えると Civil3D の図面だったからでしょうか?

このアプリ、 iPhone だけに限らず iPad、Android、通常の PC の Web ブラウザー、さらには iPod touch に至るまで対応しています。アプリをインストールしていなくてもWebブラウザーから(ある程度)編集できるところが良いですね。
クラウド上での共有・同時閲覧・チャット可。2人で1つの図面を見る場合、2つのカーソルが同時に表示されるようです。遠隔地からの打ち合わせに有効ですね。タイムラインも保持されています。そして無償。

そういえば、Photo Scene Editor もクラウドサーバーに計算させていましたね(現在は123Dに取り込まれています)。

恐るべしAutodesk。

2011年11月29日火曜日

地盤の固有周期

道路橋示方書の液状化の計算で、地盤の特性値(固有周期)TGを求める箇所があります。

層圧HをVsで割って4倍する簡単な式ですが、今まで意味を考えたことがありませんでした。そこに興味がなかったのです(技術者がこんなことを言ってちゃいけないのですが)。

先日より、吉田望「地盤の地震応答解析」を読んでいるのですが、その中で式の説明がありました。単純な話です。T = λ / V ですから、地震波のλが層厚Hの4倍の時に反射波と同位相になり、波が増幅されるわけです。定常波の発生による共振ですね。多層の場合は簡易的に各層の4H/Vsを足し込んでるわけです。1次固有周期と言うのは3/4、5/4でも増幅されるからでしょうか?

地震応答解析の概念は理解しやすいですが、液状化はまだ理解していません。
一歩ずつ進みましょう。

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2014/2/21追記
地盤工学会「ジオテクノート9 地震動」p22にも書かれています。

2011年11月28日月曜日

Visual Studio 2010 shell

先日、Visual Fortran を Ver.12 に入れ替えてから、EXCEL や WORD を立ち上げる際に、VS 2010 shell のインストーラーが起動するようになりました。

サポートに聞いても事例は無く、試行錯誤。

3~4時間かかりましたが、原因が分かりました。
VS 2008 shell を後でアンインストールしたのがまずかったようです。システムを復元し、VS 2008 shell をアンインストール、2010 shell をリインストールで正常な動作になりました。ふ~。

で、早速 VF12でコンパイルし、計算時間を測ってみました。

結果、・・・遅くなりました。

まあ、こんなもんです。

2011年11月27日日曜日

汚染は無主物?

11月14日の朝日新聞デジタルに、以下の記事が出ていました。
テレビでも報道されていたようですが、この時は特に気にとめませんでした。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201111140111.html

福島ゴルフ場の仮処分申請却下=「営業可能」と賠償認めず―東京地裁
東京電力福島第1原発事故でゴルフコースが放射性物質に汚染され、営業できなくなったとして、福島県二本松市のゴルフ場「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部岩代コース」の運営会社など2社が、東電に放射性物質の除去と損害賠償の仮払いを求めた仮処分申請について、東京地裁(福島政幸裁判長)は14日までに、申し立てを却下する決定をした。2社は同日、東京高裁に即時抗告した。
決定で福島裁判長は、ゴルフ場の土壌や芝が原発事故で汚染されたことは認めたが、「除染方法や廃棄物処理の在り方が確立していない」として、東電に除去を命じることはできないとした。
さらに、ゴルフ場の地上1メートル地点の放射線量が、文部科学省が子供の屋外活動を制限するよう通知した毎時3.8マイクロシーベルを下回ることから、「営業に支障はない」と判断し、賠償請求も退けた。 

ところが24日、朝日新聞の記事「プロメテウスの罠」や26日「みのもんたのサタデーずばッと」で裁判における東電さんの答弁内容が公にされ、ネットで火がついたようです。話題になっている部分は以下の点です。検索すれば簡単に見つかると思います。
  • (放射性物質は)もともと無主物であったと考えるのが実態に即している。
  • 債務者の所有権を観念し得るとしても、 既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。つまり、債務者が放射性物質を所有しているわけではない。
つまり、東電さんは飛び散った放射性物質は、既に当社のものでない(だから、除染しない?)と主張されていたようです。この答弁、本当でしょうか? 本当なら、石原都知事が言うように、日本人がダメになった証拠かもしれません。
まあ、ネットでは一部だけをクローズアップしていると思いますので、答弁書を全て読まないと判断できませんが。

裁判所がこの主張をどう判断したのかわかりません。しかし、結論として「棄却」であれば、この理屈が通ってしまったように受け止められる恐れがありますね(それで火がついたのですが)。本当のところどうなんでしょう?


大気汚染や地下水汚染などの環境問題も、同じ理屈で「もう既に私のものではない」は認めてもらえないでしょうね。


2011年11月25日金曜日

libiomp5md.dll と OpenMP

急ぎの計算があったので、後輩の Workstation を借りています。

Del l の precision T3500です。
残念ながら4コアでした。

早速、OpenMP で並列化済みの Dtransu とデータファイルをHDにコピーし、起動!
と思いきや、いきなりエラーが出ました。

コンピューターにlibiomp5md.dllがないため、プログラムを開始できません。・・・
そういえば、コンパイル時にライブラリーにリンク張る設定にしてました。(っていうか、並列化コード、使ってないんですね。もったいない。)

libiomp5md.dll を自分のpcからコピーして再度実行すると、以下のエラーが出ます。

アプリケーションを正しく起動できませんでした(0xc000007b)。・・・

うーん、これは前にも見おぼえがあります。でも、忘れました。
検索してみると、X86の dll を64bit OS で使用した場合に出るエラーでした。
64bit 用の dll に入れ直すと、正常作動しました。


うーん、OpenMPで並列化したコードを配布する場合、このライブラリーは一緒に配布して良いのでしょうか?サポートに問い合わせると、以下の回答が得られました。

「可能リスト(fredist.txt)に入ってますし、Redistributable Libraries に入っているので問題ないですよ。」

そうですか。そんなリストがあったんですね。
確かに、書かれていました。どこまで見ていないんでしょうか。



余談ですが、SSRの更新をしたにもかかわらず、登録をしていなかったため、Update 7もDLできない状態でした。あわてて登録、VFを12に、shellを2010に入れ替えました。はあ、プロが側に欲しい。


さらに余談ですが、12月の地下水学会の講習会で2次元版DtransuのOpenMP並列化コードが配布されるようです。他支店から参加するので、参考に見せてもらいましょう。


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2012.8.24追記
上記だけではダメな場合もあります。
基本は Redistributable Libraries をインストールしてしまいましょう。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/08/0xc000007b.html


2011年11月24日木曜日

破壊と圧密の繋がり

先日の体験セミナーで、太田先生の論文集CDを頂きました。

関口太田モデルの概念は、恥ずかしながらこの年にして、やっと理解しました。日本では頻繁に使用されている超有名な構成則のようですね。MIDAS社はその太田先生と打ち合わせをしながら圧密モジュールを開発したそうです。それで記念に論文集を配布しているとのこと。

中を見て愕然。分からないことが多すぎます。ちょっとは理解していたつもりですが、まだまだです。

それでも眺め続けていると、ふと気が付きました。
「太田秀樹・・・・見たことがある名前・・・・深川先生と共著?・・・あ、pressuremeter とベーンの太田先生だ!」

繋がりました。
昔、孔内水平載荷試験からc・φを求めるのに、関係論文を集めていた時期があります。その中でよく出てきた名前でした。地盤工学会「土の強さと地盤の破壊入門」の中でも詳しく紹介されています。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/01/blog-post_8311.html


失礼ながら、偉い方は先人だとばかり。
マイナーな方を先に知っていたわけですね。

ま、破壊と圧密が繋がるのは、今となっては納得です。

2011年11月23日水曜日

MIDAS

MIDAS 社の SoilWorks という 2次元FEM ソフトの体験セミナーに参加しました。

以前、ある仕事で MIDAS GTS に関し問い合わせをしていたことがあります。3次元の SSRFEM が可能だそうで、お客様への御提案にと思い、製品価格や技術的な問い合わせをしておりました。価格が高かったため、その時は購入しませんでした。
今回、2次元版のセミナーに参加すれば、3次元版の GTS も1年間フル機能で体験できるということで、つられて行きました。(後で知ったのですが、他支店の他部署でもつられていて、そちらは既にサポート会員になっていたようです。)

MIDAS 社のプリポストは CTC 社の SoilPlus でも採用されています。今回の SoilWorks でも同じようなインターフェースでしたが、さらに改良が加えられていました。個人的には非常に使いやすく、満足できるレベル。AutoCAD からのコピペでジオメトリを持ってこれる点や、3Dビューで矢板や杭の形状を3次元モデル表示させることが可能な点など、操作性や可視化は十分満足する内容です。実際の負荷のかかる計算はやっていませんが、2次元であればそれほど問題にはならないでしょう。
肝心のソルバー機能について詳細は体験できませんでしたが、静的変形モジュールは浸透流モジュールなどと浸透力や水位、水圧としての連携ができるそうです。非関連流れ則も選択できました。
下の動画は YouTube に up されていた、MS-Word の報告書自動作成機能です。トライアルの整理時には良い機能ですね。


ただ、これだけ高評価しておいてなんですが、たとえ肝心のソルバー機能が良かったとしても、購入しないでしょうね。既に所有している3次元ソフト(SoilPlus)で2次元解析可能ですから。新たに100万、200万のお金を払って2次元ソフトを購入するメリットがありません。(2次元しか扱わない企業にはお勧めですが。)

で、GTS と SoilPlus との比較になります。
インターフェースは同じなので、ファイルの入出力、ソルバー機能、価格の比較になります。
どんな内容か、早く知りたい所です。

2011年11月22日火曜日

Asの含有形態 その2

3段階抽出法が何を表しているのかがよく分からなかったので、土壌汚染担当の先輩に聞いてみました。

「実務ではやっていない。段階的な抽出法自体は学会発表レベルでは多くある。」とのこと。

教えていただいた発表予稿集をあさってみますと、5段階のような試料を繰り返し利用する抽出法が発表されていました。それぞれの段階で何を対象に何を用いて溶かすかが説明されており(想定通りきちんと解けているかどうかの検証はありませんでしたが)、こちらは説明しやすいですね。実務でやるとしたら、あいまいな3段階でなく、5段階なのでしょう。

このような試験が実施されているのであれば、モデルコンセプト確立まで、もう少しですね。

2011年11月20日日曜日

Asの含有形態

土のAs含有形態について考えています。

熱力学データを用いた反応計算でAsの含有形態を推定するには、土と水(間隙水)の両者のデータが必要です(定量的にも、定性的にも)。ところが、実務で実施される含有量試験は湿潤状態の試料であり、間隙水に含まれるAsも一緒に測定してしまいます。その影響がどの程度かは現場によって異なるでしょうし、区分して測らない限りは良く分からないデータが得られることになります。つまり、計算には使えません。
特に吸着の場合はひと手間必要です。純水で土を洗うと間隙水の影響は抜けますが、吸着しているAsも一緒に洗い流してしまいます。水を使用してはダメということです(海外の参考書では詳細が述べられています)。

一方、国交省「建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)平成22年3月」には資料集に「3.岩石・土壌に含まれる重金属等の起源を識別する試験法」が掲載されています。
3段階抽出法が紹介されていますが、評価の仕方は書かれていません。溶出量は土1kg当たりに換算するのでしょうか?文献を読みなさいということでしょうか?
3段階のうち、2段階(溶出量試験・含有量試験)は通常行いますので、あとはXRFで分析すれば良いだけです。先に述べたように水と土の分離があいまいである以上、このような大雑把な試験法や比較でも実務的には価値があると判断されているのでしょう。
5段階も紹介されていますが、こちらも十分対応できるレベルだと思います。コチラのほうが説明しやすいですね。

実務で含有形態を知りたい場合では、まずマニュアルの5段階抽出法を実施し、重要案件では化学計算を行うのが良いのかもしれません。
含有形態が分かり、それを計算で再現ができたなら、コンセプトモデルは出来上がりです。あとは搬出先の条件に合わせて、水-反応連成計算を行い、敷地境界での濃度を推定すれば良いですね。こちらは3次元まで対応可能でしょう。MATLAB+COMSOL+IPhreeqc がスマートですが、HYDRUS, PHREEQC, PHASTの組み合わせでも対応できますね。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/05/matlab-comsol-iphreeqc.html

調査計画、特に採水方法や保管方法など、また岩石・鉱物・土の判定方法や欲しい精度を、事前に良く考えておかないと問題は解けませんね。以前にも書きましたが、こういった環境問題は地質屋さんの力量に大きく依存していると思います。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/05/limestone4.html

実務で含有形態の考慮やコンセプトモデルの作成は、まだまだ実施されていません。法的調査に必要ないからでしょう。業界の意図も含まれている気がしますね。

2011年11月19日土曜日

インフラBIM 土木3D新時代

Autodeskから「インフラBIM 土木3D新時代」が公開されています。
http://bim-design.com/infra/civil_map_news/2011/11/bim_3d_pdf.html

日刊建設通信新聞で組まれていたBIMの特集のまとめのようです。私も読んでいました。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/09/bim.html

土木分野では、まだまだこれからといったところでしょう。記事の多くも測量や地質モデリングといったBIMにおける風上側の話でした。

記事にもありましたが、企業規模の大小というよりは、明らかにビジョンを持った企業が3次元に取り組んでいると思います。初期投資や負荷のかかる作業に取り組むには、企業としての戦略が必須だからです。儲けのない所に投資を行う企業はありません。先行投資、業務拡大の具体的なビジョンができた企業から順にBIMへ参加している状況でしょう。


しかし、なぜAutodeskが記事を公開しているのでしょう?

2011年11月18日金曜日

SYSカムクレイモデル その2

まだ完全には理解できていません。
でも、読めば読むほどうまくできていると思います。

特に塑性せん断ストレッチングDspの大きさの取り扱い。上負荷面と下負荷面が離れるほどDspは0に近づき、弾性的挙動になるところ。これで処女載荷部と繰り返し載荷部の勾配の違いも再現できるのでしょうか?Msの変化よりも、こちらの方が旨そうです。

でも、まだ短所が分からないレベルなんですよね。講習会は無いですし。
勉強するとすればGEOASIA研究会ですか。
うーん、迷います。

2011年11月17日木曜日

SYSカムクレイモデル

SYSカムクレイモデルの論文を読みました。

分かりません。想像していたアプローチとも異なります。
いえ、イメージは分かります。硬化・軟化と塑性圧縮・塑性膨張の関係を修正し、(「過圧密の解消」と「構造の崩壊」の相対的な速さの違いを用いて)土を表現するところに特徴があるようです。しかし、ピンときません。砂の挙動、粘土の挙動がそれでどのように表れるのか、試験時の挙動を思い浮かべても、まだ頭の中でリンクしません。

理解できるかどうか分かりませんが、もう少し時間をかけてみましょう。

2011年11月15日火曜日

崩壊現場で地質を考える

今日は崩壊現場で1時間半ほど地質を見ていました。

といっても、崩壊から1ヶ月以上過ぎていますので、あとは対策待ちの現場です。誰もいませんので、落ち着いて観察できます。前日に上司よりアドバイスを頂いたこともあり、それらを確かめながら細かく見て行きました。

断層破砕か熱水破砕か、せん断構造があるかどうか、貫入岩の分布と熱水脈との関係、鉱物と風化・変質との関係、亀裂面の性状、透水性の違い、などを細かく見て行きました。
最初は繋がらなかったのですが、1時間くらい考えていると、頭がスーッと整理でき、地質が見えるようになりました。疑問点が次々解消でき、何故崩壊したかがイメージできるようになりました。地質のモデル化から計算ツール、手法まで一気に整理できました。サンプルもいくつか採取し、研究職にXRDをお願いしました。

これらの崩壊過程を検証するためには、必ず計算が必要になります。残念ながら、今回は踏査のみですので、計算に必要なパラメーターが得られていません(災害復旧においてはゴージャスな計算ですし、不要ですが)。その検証を得て、初めて露頭を前に考えたことが正解だったと言えると思います。地質屋さんの悪い点ですが、言いっぱなしが多いんですよね。今回もそうなりますが。

露頭を見つめ、答えを得るという基本的な地質屋の仕事は、鍛練次第で時間短縮ができると思います。災害現場のように時間がなくても、力量のある方は瞬時に答えを得るかもしれません。私はまだまだです。見逃しも多い。違和感は残さずに、短時間で答えを得られるよう、今後も努力していきたいものです。


2011年11月14日月曜日

設計者の提案

設計者より、土層強度検査棒の調査実績を教えてほしいと問い合わせがありました。

設計業務で提案されたそうです。この方、調査担当者よりも調査法に敏感で、狭い常識的な試験法を超え、色々と試されています。脱帽です。

残念ながら、私を含め、設計に利用した実績がありません。
マニュアルを読めば分かりますが、土検棒だけで設計に使えるc・φを得ることはできません(感覚的にはまだキャスポルの方が精度が出ると思います)。結局、土検棒の結果を設計に利用するには、その土を使った力学試験データが必要です。拘束圧のせん断抵抗力への寄与や、(現場計測)不飽和>(推定)飽和>(解析)不飽和もはっきりさせたいところです。まあ、こういった問題点はツールではなく必要とする精度や解釈上の話なので、個々の現場で技術者が考えてやりなさいよ、ということでしょう。

一方、設計者はそんなこと無関係で、加点のための提案のようです。当然、力学試験も多く実施します。内容は私以上に理解されていますので、割り切って使われる分には問題ないでしょう。逆に、今回は力学試験データとの比較を提供してもらいましょう。


反対に、その設計者から、3成分コーン(CPT)の実績紹介を受けました。
これ、数ヶ月前に見学の機会があったのですが行けませんでした。得られる結果は貴重です。間隙水圧(とその消散)を測れるところが特徴でしょうか?液状化の調査などでは威力を発揮しそうです。難点は大型であること。自走式ですがある程度スペースが必要です。斜面は困難でしょうね。OYOさんがミニラムに付ける間隙水圧測定オプションを開発していますが、まだ販売されていないのでしょうか?早く欲しいですね。
そういった難点を解決したいのは建築分野も同じようです。論文も紹介してもらいましたが、住宅メーカーが小スペースでも可能な自走式機器を開発、使用されているようです。

土木分野ではまだまだ汎用ツールとなっていません。
地盤工学会誌では2009年8月号でCPTを特集しています。完全に読み飛ばしています。設計者からの指摘があって初めて読み返すのですが、こういった指摘なら反省しつつも大歓迎です。

まだまだですね。

2011年11月13日日曜日

Doing More With Less

NHK実践ビジネス英語の10月号に「Doing More With Less」というテーマがあります。

この講座では英語を聞くというよりも、内容に興味を持つことが多いですね。ま、本来は言語を勉強すること自体が目的ではないので、正しい方向でしょう。
今回のテーマは1か月前に放送されていたものですが、数年前から流行り出した文句のようですね。
人手を減らして経営の効率化を図るという企業のスリム化は、不況がもたらした最大の産物の一つです。その結果、やるべき仕事が山のようにあるという現実が「新たな基準」となりました。・・・・同じように社員の大幅削減を進め、より少ない社員でより多くのことをする方法を見出さざるを得ませんでした。・・・・さらに、複数の仕事を1つのポストにまとめることで、既存の社員に負担の増加を求めていることも挙げられます。・・・・
気付いてはいましたが、認めたくなかった「新たな基準」。NHKのテキストにさらっと書かれると、現状を認めざるを得ません。痛いですね。

昨日、現場で地元の方から「1%にならないといけない」と言われました。
経済を支配する側を目指せということです。支配する側になれば「新たな基準」から抜けられるのでしょう。投資の考え方が繋がるところが皮肉です。
1%です。やっぱり痛いですね。

2011年11月10日木曜日

Cam-clayで砂と粘土を統一?

ここ最近、Cam-clay model の理論を、現場往復の車内で聞いています。

このモデルを初めて聞いた時、e-logp曲線を弾塑性状態の硬化として解釈していることに目から鱗でした。偉大です。これは思いつくようで思いつきませんね(私だけ?)。土質力学の教科書の弊害でしょうか?圧密は一次元、強度は三軸試験というように、別々の単元で論ぜられています。統一的に解釈できることが実務上良いのかどうかは分かりませんが、確かに、カムクレイの方が頭を整理しやすいですね。
修正CC、関口太田モデルなどは、そこから差が理解できれば到達できますので、最初はオリジナルCam-clayでしょう。まだ完全に理解できていない細かな箇所が残っていますので、もう少し時間をかけてみましょう。


聞いている中で、少し気になったことがありました。
「これ、粘土だけ?」

孔内水平載荷試験を行うと、粘土、砂、岩盤に関係なく、必ず弾塑性的な挙動を示します。しかも硬化。土であれば10%以上の孔壁ひずみを示すことが多く、ほぼ100%硬化を示します。繰り返し載荷をすると良く分かります。応力-ひずみ曲線だけ見れば、やや乱暴ですが圧密試験結果と良く似た形です。
しかし、硬化パラメーターを塑性ひずみで同じように表すことができるのかどうかは分かりません。破壊時の排水状態は結果から推定することは可能ですが、有効応力までは困難でしょう。そのあたりのパラメーター(引数)を何にするかはもう少し理解しないと議論につくことすらできませんが、偉い先生方なら砂と粘土を統一的に説明することができるような気がします。

と、ここで思いだしたのが、過去に上司から勧められた解析プログラム「GEOASIA」。All Soils All States All Round Geo-analysis Integration だそうです。凄いですね。
当時は興味がなかったので、そのまま放置でした。しかし、砂・粘土など材料に無関係で、有効応力解析が可能、しかも、「SYSカムクレイモデル」を使用しているそうです。SYSが何を意味するのか知りませんが、上記のような話でしょうか?急に興味が沸いてきました。

いずれにしても、もう少し理解しないと議論の場に上がれません。
まずは、基礎力を付けることを考えましょう。

2011年11月9日水曜日

アスファルト合材

舗装屋さんが「合材、合材」とよく言われるので、なんだろうと思っていたら、アスファルト合材のことでした。

恥ずかしながら、舗装に使われるのは「アスファルト」だと思っていました。アスファルト合材なんですね。確かに、アスファルトは黒くて硬質な羊羹のような見た目の材料です。それもアスファルト、舗装もアスファルト、あまり深く考えていませんでした。

アスファルト合在は常温合材、加熱合材に大別できるそうで、それぞれに特徴があるようです。いろいろと教えていただきました。舗装には常温合材は不向きのようですね。常温合材もバーナーで加熱し薬品を飛ばせば加熱合材に似るそうですが。温度管理が難しいそうです。


川砂など、細粒分が少なく、粒度のそろった材料は締め固めが難しいですね。実際締め固めてみるとよくわかります。そういった場合の締め固め方法も御存じでした。経験ですね。


舗装屋さん曰く、舗装屋はやることが細かいそうです。高さ管理、温度管理、時間管理に始まり、周辺の掃除まで。確かに、きっちりした仕事をされています。

今度から舗装工事の見るところが変わりそうです。

2011年11月8日火曜日

舗装

舗装について詳細な知識はありません。

舗装構成は知っていますし、CBR試験も幾度も実施したことがあります。しかし、実際に現場でどのように舗装を作っていくのか、細かいところまで知りませんでした。

そんな中、今日から舗装屋さんと一緒にお仕事です。

「その茶色いの、なに塗っているんですか?」
「乳剤。昔の人はアメリカから入ってきたときに何が入っているのか調べたけどわからなかったので、なめたらしいよ。」

「レーキに、なに掛けているんですか?」
「軽油。アスファルトがひっつかないようにするため。昔は・・・。」

「レミファルトの特徴は?」
「骨材に・・・・・」

「転圧は・・・」
「・・・」

一緒に作業しながら聞いていたのですが、非常に詳しく教えていただきました。ヘーということばかり。ありがたいことです。

まだまだ知らないことがあります。
明日も教えていただきましょう。

2011年11月7日月曜日

解析の責任

今日は往復10時間の移動、委員会参加、打ち合わせ。今も移動中です。

シミュレーション結果の報告とそれに基づいた今後の現地対応について話し合う場が持たれました。

前にも記載しましたが、解析を始めると、ついつい数字にとらわれがちになります。
その数字が机上でなく、現場でどのような意味を持つのか、その数字がそこで暮らしている市民の生活にどの程度影響を与えるのか、何のために解析しているのか、何度も繰り返し考えなければなりません。

私の出した結果に、数千人の生活を左右する影響力があるのです。
もっと、しっかりしないといけませんね。

2011年11月6日日曜日

不飽和斜面の安全率

久しぶりの休日です。

学会HPのチェックをしていると、地盤工学ジャーナルで面白い論文が出ているのを見かけました。

川﨑 元, 西垣 誠, 実用的な不飽和土用三軸圧縮試験装置の開発とそれを用いて測定した不飽和土のせん断強度について, 地盤工学ジャーナル,Vol. 6 (2011) , No. 1
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jgs/6/1/39/_pdf/-char/ja/

内容は2本立て。
1つ目は通常の三軸圧縮試験機を改良することで実務的に不飽和三軸試験が行えることの報告。
2つ目は、締固めたマサ土について、Öberg と Sällfors が提案している(飽和時の試験結果から導く)不飽和時のせん断強度推定値と、上記試験機で得られたサクション一定排水せん断試験結果の比較、盛土安全率への影響度などの議論です。2つ目の結果は概要に以下のように記されています。

1) Öberg と Sällfors が提案している従来の予測法では,本装置で測定したせん断強度よりせん断強度を低めに見積もることになる。そしてその差はサクション変化によるダイレイタンシーのせん断強度への寄与分の差と,湿潤過程におけるサクション 0 の不飽和ケースの粘着力と飽和ケースの粘着力の差で構成されている。
2)  従来の方法で推定したせん断強度と本装置で測定したせん断強度との差の影響は湿潤過程にある盛土の安定解析上,無視できない

面白いですね。つまり、少なくともサクション0の試験をして予測式に使用する必要がありますよ、と。
それで出るなら簡単ですね。試験機については本当に簡単に改良できるのか、プロに聞いてみましょう。

サクションによる安全率の変化について、粘着力の寄与分、φの寄与分を述べられています。あまりに明確な結果であり、面白いですね。斜面では降雨浸透により見かけの粘着力が減少し崩壊が起きると言われますが、その通りなのでしょう。

拘束圧に応じてポアソン比は不変ですが、変形係数は異なります(=せん断剛性が異なります)。では、ダイレイタンシー角はどうなんでしょう?結果は変わっていますね。低拘束圧の方が正のダイレイタンシーが出やすいというのは感覚として納得できますが、深く考えたことはなかったですね。注意すべき点です。

安全率の評価ではGa3dのSSR法が採用されています。ピーク強度とダイレイタンシー寄与分考慮後の強度の2つで分けて計算されています。拘束圧依存性も反映できるよう、モデルを2層としています。この程度の反映は実務でも必須なのでしょう。

前者のケースでは実際に比べて過大な安全率が出ますし、後者のケースでは過小な安全率が得られものと推定されます。降伏後にピーク強度からダイレイタンシー寄与分考慮後の強度(≒残留強度)に落とせば、それらの安全率は中間になると思います。試験結果では緩やかに落ちていますので、私が岩盤を意識して改良したコードは使えませんね。FLACなどひずみに応じてc・φを設定するタイプのひずみ軟化を扱えるコードを用いて計算した方が良いのでしょう。

全般的には実務に対して2段階程度上を行く内容です。
一つは、安定計算では飽和度を無視していること。2次元・3次元、あるいは順解析・逆解析においても、すべり計算において不飽和帯の強度を考慮することはありません。港湾や軟弱粘土では、ほぼ飽和として扱うので問題ありませんが、盛土や地すべりなどでは無視です。つまり、試験値を使ったとしてもそれは飽和の試験結果であり、計算上は不飽和も含めた平均強度として扱っています。不飽和斜面の崩壊も実務ではオーソライズされたものがありませんので、なかなか取り込めないのが現状でしょう。
もうひとつはSSR法の使用です。斜面安定に関する数値計算は土研(トンネルと地すべり)や盛土工指針(浸透流)でオーソライズされた感はありましたが、SSR法はさらに上を行く話でしょう。

いろいろ考えさせられる論文でした。
時間のあるときに出会えてラッキーでしたね。

2011年11月5日土曜日

中央構造線沿いの地形

今週末は天竜川の上流で調査をしておりました。

天竜川沿いに、助手席から景色を見ながら進んでいると、どこかで見たような地形・地質が。

「あ、四国に似ている。」
天竜川沿いに見える三波皮結晶片岩、急峻な地形、その斜面上の集落、多発する落石・斜面崩壊。非常に良く似ています。隆起量まで調べていませんが、中央構造線沿いはどこも似たような地形発達史を有しているのでしょうか?紀伊半島はどうなんでしょう?
佐久間ダムを通り過ぎると、今度は花崗岩系の石が。でも、パッと見、片麻状組織がありそうです。助手席から見ただけでしたので、後で地質図を調べてみました。領家帯でした。

そういえば、当社の研究職が中央構造線を抜く長尺ボーリングの分析を昨年度行っていましたが、この近くだったような気がします。地形・地質を実際にをみると、コアにも興味がわいてきますね。又機会があれば聞いてみましょう。

2011年11月3日木曜日

河川構造物の耐震性能照査指針(案)・同解説

そういえば、ALIDの論文で説明されているG1・G2の変化を3年前の社内講習で見た記憶があり、資料を探しました。当時、表面波探査が液状化の調査に使えないかと考えていましたので、印象に残っておりました。

ありませんでしたね。比較的物持ちの良い私ですが。配布資料がなかったのでしょう。

河川のプロが説明していたのを思い出し、さらに19年に国交省から出た河川構造物の耐震性能照査指針(案)の説明だったことも思い出しました。
http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/bousai/wf_environment/structure/index.html

改めて見ますと、確かに、静的照査法が書かれていますね。「下に凸なバイリニアモデルで表現するのが良い」ですから、ALIDがそのまま適用できるのでしょう。設計の方によれば、簡易法と呼ぶとか。

そういえば、昨年度より河川の耐震設計が始まりましたので、調査時には念頭に置いておく必要がありそうです。

2011年11月1日火曜日

N値からせん断剛性 その2

ALIDの論文が会社の倉庫にありました。
http://library.jsce.or.jp/jsce/syosi/ronbun/ID127918.html

自重解析後、液状化後の低下した剛性を出発点とし、静的に解いていますね。ですから、Vsや地震波はパラメータ推定にも計算にも必要とされていません。先日も記載しましたが、なかなかユニークな発想だと思います。汎用ソフトでも工夫すれば取り込むことができそうですね。

設計の方が気にされていたG0に関して言えば、

  1. 静的せん断試験より、せん断ひずみγ=10-3の時のG
  2. E=2800N,ポアソン比0.33を仮定したG・・・水平方向の平板載荷相当(通常10-2以上になると思います。)

ですから、低減率が違うのですね。設計の方は勘違いされていたようですが、G0の設定にVsは使用されていません。

ちなみに計算中は非排水状態を仮定しポアソン比0.49程度を使用しています。水圧の消散過程をモデル化しなくて良いのでしょうか?流動だから?感覚的には他の有効応力-弾塑性コードに比べ変形が大きく出そうな気がしますが、どちらが現実とあっているのかは経験がないので分からないですね。その辺はベテラン技術者の出番ですし、来年度の課題としましょう。

また、「ロッキング>減退積分>ゼロエネルギーモード発生>回避」や、「基準配置、微小変形理論で大きな変形を解くことも可能」あたりが興味惹かれました。久々に得るものの多い論文でしたね。


液状化と聞くと、すぐに「繰り返し三軸やPS検層が必要!」と思い込みがちですが、設計が使用するコードの理論や中身を知らないと、調査計画すらできないですね。

今回はいろいろ学ぶことがありました。

2011年10月30日日曜日

N値からせん断剛性

設計の方から問い合わせ。

「N値から初期せん断剛性を推定するのと、PS検層や表面波探査から推定するのとでは値が異なるのか?」

液状化の話ですね。値は異なるでしょう。が、Vsを経由するなら有意な差ではないと思います。

ただし、N値からVsを経由しないで推定するのであれば、オーダーレベルで異なる可能性があります。推定式がどのひずみレベルの初期せん断剛性を推定しようとしているのか知らなければなりません。


順を追って聞いていくと、ALIDのG1/G0でN値から求めた場合とVsから求めた場合で低減率が異なる点に疑問を持たれたようです。
http://www.geolabo-chubu.com/upload/pdf_letter/1238246447.pdf

ALIDというコードは知りませんでした。液状化後の変形量の予測に使うために開発されたようで、発想がユニークかつシンプルだと感じました。
図3をみると、確かに低減率が異なっていますが、これは別の理由もありそうです。
早速、論文を注文しましょう。

2011年10月27日木曜日

薬液注入 その2

薬注業者さんにコアを見ていただきました。

詳細は書けませんが、初めてのことですのでいろいろ吸収すべきことがあります。
工法による違い、効果、最近のトレンド、管理方法、改良目標値、土質による必要性の有無、現場条件による機材の制約など。現場でコアを見ながら話をすると、それだけで経験になります。ありがたいことです。

設計を飛ばしていますが、結論としての感覚を身につけるのも重要です。これが私に足りないところですので。

2011年10月25日火曜日

仕事の精神論

今日は朝から建設現場での仕事でした。

建設現場ではいろんな人が本音でぶつかることが多いので、ケンカもおこります。当然、引けない時もありますし、引いて相手を立てるべき時もあります。

今日も朝礼でいきなり怒り始めた方がいらっしゃいました。規律や安全に対する熱意は伝わりましたが、かなり年上の方もいらっしゃったのに、言い方が良くなかったようです。長々と怒っていらっしゃったのですが、次第に別の方がその言い方に対し怒り始め、最後は所長が一喝。

個人的には、後で「言い方が悪かった」と年配の方に謝罪すれば良いだけだと思います。言ってることの半分くらいは正論でしたから(途中から怒りに支配されてました)。

礼儀を欠いては伝わりません。謝罪がなければ、周囲がその方を心から信頼できず、契約書以上のモノを作ることはできないでしょう。

本音でぶつかり合うこと自体は良いことです。本気で相手を説得し、同じ思いで一つの目標に向かうというのは好きですね。残念ながら、今の仕事にはない面白さです。

どのような職種でも、仕事の面白さの半分はこの辺にあるような気がします。

2011年10月23日日曜日

薬液注入

明日から薬液注入の事前調査に携わります。

薬注は初めてです。諸先輩方からいろいろ教えていただきました。ありがたいことです。

個人的にも、本屋で地盤工学会「薬液注入工法の理論・設計・施工」を購入し、概要を叩き込みました。基本的には薬注が適用できるかどうかの透水係数、土質、N値が重要なようです。それらの値を頭に入れながら結果を整理すれば良いですね。
逸水箇所、地下水位、水頭、礫打ちなども調査中に分かりますので、細かく記録しておく必要があるのでしょう。現場透水試験は揚水法より注水法の方が良いのでしょうか?そこまでこだわらなくても大丈夫ですかね。

グラウトは何度も見てきましたが、薬注はありません。地表設備は同じようなものなのでしょう。圧力は小さい代わりに、化学的な結合を使うといったところでしょうか。

いろいろ教わる事がありそうです。

2011年10月22日土曜日

PHREEQCの2011年版セミナー資料

PHREEQC の2011年版セミナー資料が USGS の HP で公開されています。

以前は2005版でしたから、6年ぶりの更新でしょうか?
内容もやや厚くなっています。

いくつか印象に残った点がありました。

1点目は WEBMOD の存在です。以前は無かったように思います。(気にしていなかっただけかもしれません。)PHASTは飽和3次元浸透流と反応の連成ですが、WEBMOD は地表流と地下水、反応の連成のようです。コードは公開されていないようで詳細は分かりませんでしたが、USGS のことですから今後公開される可能性はありますね。広域の地下水汚染などでは活躍できるのではないでしょうか?

2点目は次期バージョンのアナウンス。PHAST もオリジナルで GUI となるようです。これはどうなのか分かりませんが、transport や chemistry で MPI による並列化を実装する話題も掲載されていました。PHREEQC も for Win と同じように図化機能が付くようです。公開されたらこれらの詳細が分かるでしょう。楽しみですね。

3点目は少し変わって以下の言葉。

It takes a few days to learn PHREEQC
It takes a few years to learn geochemistry
There is no substitute for study and experience

The purpose of computing is insight, not numbers.
               --R.W. Hamming (1962)
The purpose of computing is insight, not pictures.
               --L.N. Trefethen (1998)

私、PHREEQC を使えるようになるまで3カ月かかりましたが。geochemistry を理解するには、あと何年かかるのでしょう?

一般的な数値解析にも共通しますが、理論を理解し、経験と洞察力を得て本当に使えるようになるには、コツコツ勉強し手を動かし続けるしか道はありません。王道は無いのです。

レーザースキャナーデータをトレース?

レーザースキャナーで測定した構造物データを、2次元にしたい方がいらっしゃり、お手伝いしていました。

最初に聞いた時は驚きましたね。なぜ、3次元データ2次元データに変換するのか?
まあ、2次元で設計するのであれば仕方ないのですが。

さて、測定した会社から頂いたdwgデータは220万点のポイントデータとなっており、動きが重たすぎます。そこで、座標TXTデータを送付していただき、点群データとして読み直しました。これで動きはサクサク。次のステップへ移れます。

さあ、2次元にと思いましたが、ここで詰まりました。2次元データにするには、Express Tools の Flatten Objects を使えば可能ですが、点群データは扱えません。仕方ないので、重たい point データに戻り使用しました。
ところが、半日たっても変換が終わりません。あきらめました。

測量部隊にも try してもらいましたが、結局ダメ。
CGのプロに聞いても、「みんなレーザーで測定して図面ができましたなどと簡単に言うけど、構造物の場合は一点一点、写真を見ながら結んでいるんだよね。」とのこと。確かに、そこに時間がかかります!努力しています!という話は聞いたことがありません。高度なイメージを保ちたいのでしょうか?

最終的には、点群データを目視でトレースし、構造物の外形を2次元にすることが一番早い手法ということで落ち着きました。高度なようで、なんとも低級、アナログな手法です。まあ、そもそも220万点の2次元データを32bitアプリで読めるとは思えませんので、ちょうどいいのかもしれません。


その後、Labs のプレリリース版を調べてみますと、点群データから shape を抽出するプラグインが出ていました。AutoCAD 2012 のみ対応だそうです。今後、LPデータが普及してくると、こういった機能が必須になってくるのでしょうね。

2011年10月19日水曜日

地すべり監視のためのSAR干渉画像判読マニュアル

「地すべり監視のためのSAR干渉画像判読マニュアル」が国土地理院から出ています。

http://gisstar.gsi.go.jp/sar-jisuberi/manual-top.htm
http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/sar/index.html

合成開口レーダーは、約10年以上前に小池先生が地形解析(確かSTA)に使用されているのを見て、トライしようと考えたことがありました。ちょうど、LANDSATから脱却し始めた頃ですね。日本の場合、地表を植生が覆うため、LANDSAT画像の演算処理は適用しにくいことがあり、他の画像を模索していた時代でしょう。
いずれにしても、衛星画像は広域の解析が対象になるため、すぐに利用しなくなりました。通常業務で広域の構造物を扱うことはほとんどありませんのでしたし、当時、私がベクトル解析を深く理解していなかっこともあります。
ところが、国土地理院では広域から地すべり変動を抽出する目的で、SAR干渉画像を利用しています。やはり、広域を相手にせざるを得ないニーズもあるのでしょうね。

これを見て思いついたのですが、地すべりであれば、地上レーザースキャナかLPデータを1~2年毎に取得し、差分をとれば3次元の動きが分かりますね。
・・・・・いえ、何年も動きを追うくらいなら、対策してしまいますよね。逆に、何年も観測だけで良いなら、動きは少ないでしょうし。干渉SAR画像による地すべり監視とは、どのような地すべりを相手にするのか分からなくなってきました。

河川では、広域の監理(治水安全度評価)を目的として、LPデータが使用されています。
http://www.nilim.go.jp/lab/rcg/newhp/seika.files/lp/
ちょうど昨日の発表ですが、今回の震災前後のデータで比較した研究例もありますね。Civil3Dが使用されています。
http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/giken/program/kadai/shitei.html
http://www.mlit.go.jp/chosahokoku/giken/program/kadai/pdf/shitei/shi2-01.pdf

LPで差分をとるというのも、もう新しい発想ではないのでしょう。

2011年10月18日火曜日

ボーリング調査と法令 その2

来週から建設業としてのボーリング作業に従事します。
(下請けですからあまり関係ないのですが、監理技術者講習を受けていて良かった。)

地質調査業で育った諸先輩方は、建設業のルールを御存じでない方が多いようです。
法令則を理解せずに地質調査をしているため、安全管理が大事!と言いながら、安全教育を実施しておらず、安全について何が分からないのか分からない状態の方が大半です。いままでこれできたのだから、これくらいが普通で、地質調査ではこれ以上はやり過ぎだろうという思考もあるようです。

一般的に、新規入場の際には色々な書類を提出しなければなりません。地質調査では「これ以上はやり過ぎ」の部類に判断されがちなところです。でも、良く理解していれば、やって当たり前なこと、必要なことが多くあります。
持込み機械の承認は、地質調査で行われていないと思います。場内という感覚自体がないと思います。こういった状況で、たまに安全パトが入ると、移動式クレーンの年次点検が行われていなかったり、ボーリングマシンに張ってある管理者が退社された方のままだったりします。

さて、その諸先輩の一人から、「来週身が空くなら、担当してほしい」と言われた現場が建設業。その書類作成や現場の下見は、身の空いていない今週中に実施すべきということでしょう。
ま、いつものことですが。

2011年10月16日日曜日

ロリップ vs アッセンダー

アッセンダ―が2個足りないので、週末、買いに行っておりました。

工事用のロリップを使ったことがないので、資材調達がてら、どの程度の価格なのか探してみました。しかし、どこにもありません。「建築業者のみ、一般の方お断り」のかなり大きな資材館(凄い所があるもんです)でも売っていませんでした。職人の店にも行きましたが、あいにく休み。

で、結局は山の店に行き、在庫のあった PETZL Basic を買いました。環付きも新品!ピカピカです。


テスト後、納めるため引っかけているだけですが、早くスリングを結んで使いたいですね。

1個しかなかったので、代用としてCrollも購入。これもピカピカ。なぜか嬉しい。
今後、本来の出番があるかもしれません。


ギアの魅力は恐ろしいもので、色々かごに入れていると、合計3万4千円のお買いものになってしまいました。


今日、たまった資料を見ていると、「斜面防災技術, Vol38, No.1」にロリップの改良による安全対策の話が掲載されておりました。図をみると、握ることで爪が親綱から離れる構造です。これ、危ないですね。事故の例を見ても、全て「とっさに握って墜落」です。構造自体が問題ですよね。握らなくても、なにか道具が当たったら、緩みそうです。

やはり、アッセンダ―にしておいて良かったです。

テレワークでの過重労働

先程、NHKの「会社の星」という番組で、「スーパーモバイル仕事術」といった内容を、偶然見かけました。
http://www.nhk.or.jp/kaisha/archives/111015/index.html

内容は、「テレワーク」についてです。私も実践していますが、その働き方を「テレワーク」と呼ぶのは知りませんでした。総務省も震災以降は節電の観点から推奨しているようです。リーフレットでは、以下のように定義されています。
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/telework/index.htm
http://www.soumu.go.jp/main_content/000119363.pdf
テレワークとは、情報通信技術(ICT)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方、のことです ※テレワーク:「tele=離れたところで」と「work=働く」をあわせた造語

スマートフォンでテザリングし、出先からタブレットやPCで社内にアクセスし仕事をする形態も含まれるようです。

技術的にはそれほど新しい内容ではないですが、1点だけ、グサッと刺さったものがありました。

「過重労働」です。テレワークでは過重労働に陥りやすいとのこと。
番組では、仕事の効率が上がるので、空いた時間に東京マラソンのための練習をしたり、妻のために晩御飯を作る夫が紹介されていました。
私の場合は、空いた時間に次の仕事。そしてプライベートとの時間的な境が消えてゆきます。過重労働だったんだと、ここで気付きました。鈍い。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/02/blog-post_12.html

番組によると、過重労働を避けるためには会社の頑張りも必要だそうです。具体的には社員に与える仕事量や残業時間の管理でしょうか?
建設関連業において、過重労働のない会社は少数派でしょう。そのような業界ですから、テレワークが進めば過重労働が増える方向になると思います。人によるのでしょうか?

他の業界はどうなんでしょうね。

2011年10月15日土曜日

鉄粉利用に関する実験的研究

ここ1週間ほど、バタバタして勉強しておりませんでした。

文献の回覧が溜まってしまい、今日はそれらを持ち帰り、夕方から読んでいました。その中に、先週行われていた第9回環境地盤工学シンポジウムの論文集がありました。

まだ、反応と浸透を連成させたものや、現場ベースの解析はありませんが、それでもいくつか興味深い発表がありました。コツコツやっている反応ベースの話も、こういった場ですれば、聴講者からの反応があるのかもしれません。(応用地質学会では全く手ごたえがありませんでしたので。)

「硝酸汚染の軽減に向けた、鉄粉利用に関する実験的研究」では、0価の鉄の代用として、カイロの鉄粉を利用し、遅延効果をカラム試験で確認しています。こういった研究好きですね。結論として、負荷を低減できるとありましたが、これは正解なのか分かりません。遅延が生じているので結局は薄まりながら流れているといった実験結果です。実施工ではPRBの寿命が来る前に入れ替えといった発想でしょうか?

この論文を読んでいて気がついたのですが、吸着層の設計者は「漏水した場合に、短期的に高濃度でなく、ピークを抑え基準以下にし、長時間地下水へ流す」ことを目的として設計しているのでしょうか?さすがに入れ替えは困難でしょうから。
いや、違いますね。そうであれば、初めから薄めて流せばよいわけですから。どういった発想か、まだ理解できていないですね。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/08/as.html

海外の参考書レベルに追い付くには、あと数年はかかりそうです。

2011年10月13日木曜日

ボーリング調査と法令

今日は監理技術者講習でした。
事業仕訳でなくなる予定の講習です。5年に1回ですので、今回が最後でしょう。

ボーリング調査を行っておりますと、色々な法令則が関わってきます。
建設業法では建設などに直接関わる派遣がOUTですから、施工の下請けボーリングでの派遣はダメでしょう。さく井も建設業に該当するのでOUT。しかし、地質調査でのボーリングは建設業には含まれませんのでOKでしょう。ただし、通常派遣の方は玉掛けをお持ちでないので、安衛則でOUTになります。

ボーリング作業は特別教育が必要ですが、経験がある方は免除という、あいまいな規則もあります。安全教育は必要ですが、安全大会は法令則に書かれていない。でも、逆を実施している方がいらっしゃいます。


このような基本的な事項まで講習会では話がありません。今回は過去5年間で変更になった法令則を総括されていました。

これ、私にとっては貴重な講習会でした。なくなるのは残念ですね。

2011年10月11日火曜日

地表流と地下水

先週開かれていた全社技術発表会で、浸水シミュの報告をされている方がいらっしゃいました。

自作GISに流線連結アルゴリズムを搭載し、さらにMIKE11,21などを載せて表層の流れをシミュしていました。これ、使えると思います。

MIKE11はVisualMODFLOWのオプションになっていますが、全地表面を計算するわけではありません。その点自作の方はメッシュを全て流路として組み立て計算させています。浸透と湧出は計算させていないと思いますが、組み込める可能性は十分ありますよね。

こういった社内発表会で他の部署がどういった技術を持っているのか知るということも、定期的に必要ですね。お互いが欲しい技術を独自に発展させて交換・交流できるというのは、ありがたいことです。

今後、地下水との連成について話し合いましょう。

2011年10月9日日曜日

安定計算式を選ぶ責任

ところで、昨日記載したの講習会の教科書、技報堂出版「土の力学」に、安定計算解説個所への書き込みもしていました。

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円形


・簡便分割法・・・「スライス間の合力を0とする。」日本のみ。めちゃくちゃ。不経済。
・Bishop・・・円弧では最低限これを使え。
・Spencer
・その他

非円形

・Janbu・・・「合力の作用点を仮定。」
・Morgenstern・Price・・・「合力の傾きを仮定。」世界で最も使われている。
・Spencer・・・円形でもOK
・Sarma・・・オーストラリア・ニュージーランドで使われている。分割線が斜めでOK
・その他

・意味を分からずに使う時代は終わり。エンジニアは自分の考えを。
・円弧か非円弧か直線かは技術者が考えるべきこと。
「建設省の基準でやった」という言いわけは裁判で通らない。技術者の主義主張がなければならない。

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重いですね。講習会でメモったのは、11年前だと思います。
相変わらず、簡便法を使い続けていますね。どうすれば変えることができるのでしょうか?

ある報告では、排水効果を見るときに、Janbuよりも簡便法が危険とありますが、実際、そんなことはないと思います。
指針にあるFs=1.2は経験上培われた簡便法の目標安全率で、ヤンブーの目標安全率ではありません(この辺りの話は、今回の講習会でも講師より話がありました)。上記の場合、Janbu で簡便法の1.2を目指す場合には、簡便法より密な手当てが発生するといった解釈も可能で、cを同値とした場合の Janbu の目標安全率は簡便法より低くて良いということも言えます。もちろん、問題によりますが。

指針にないから実務上簡便法を使わざるをえないのが現状と解釈しています。FEMならどうか、3次元ならどうか、整理して出来るところから指針を変えてしまえばいいんですけど。研究者や権威のある方が講習会でなく、委員会で一言いえば、簡単に変わると思いますが。

変わらないからそれに甘えているというのも技術者としていけないですよね。ダメな場合は主義主張を持ってお客様に説明しないといけないのです。技術士の面接で出てきても良さそうな話です。いま問われたら、試験用の解答をするでしょうね。

ダメですね。考え方がサラリーマンになってしまっている。もっと追い込まないといけないですね。

2011年10月8日土曜日

FEMでの安全率

「ある収束値での修正NRの繰り返しが○○回以上で発散」と書きました。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/10/terzaghi.html

SSR法では発散=破壊という解釈ですので、収束値と繰り返し回数でも安全率が変化するようです。そのあたりの話を先日の講習会で講師の方が強調されていました。その影響が考慮された設計マニュアルがJR東日本にあります(非売品)。8年前のマニュアルです。私の知る限り、FEMでの全体安全率の考え方が示されているのはこれくらいですね。地すべりに流用する場合、完璧とは言えませんが、参考になるレベルです。

地すべり学会もこれくらい整理すれば良いのに、と思いますが、まあ、気長に待ちましょう。

2011年10月7日金曜日

支持力係数

反復回数1000回でも、結果は全く変わりませんでした。

c=10kN/m2で固定した場合の結果は、以下の通り。


値はOKです。やはり、粘りがないですね。施工時の観測では困るでしょうね。弾性域は200kN/m2程度でしょうか?

これを含めた検証結果より、改変コードは正しく動作していると言えるでしょう。

ところで、支持力係数は道示ではグラフからの読み取りになっており、式が示されていません。古い土研資料が根拠のようですが、持っていないですね。
http://jsce.jp/pro/node/1212
今回は、建築基礎構造設計指針の Nc, Nq 式を使いました。

支持力係数の算定式はいくつかあります。式やグラフは、いろんな参考書に載っています。
技報堂出版「土の力学」は10年以上前の講習会で購入した教科書ですが、そこに係数のグラフが載っています。当時、そこに書き込みをしていました。
「Terzaghi は理論的に少し違う。Caquot・Kerisel が正解。」
極限支持力算出式で、根入れ分の土の荷重は見るが、強度を見ない所が理論的でない(安全側)といったことは覚えています。しかし、支持力係数の「理論的に少し違う」は覚えていないですね。何だったのでしょう?

理工図書「土質力学-全訂新版-」でも式が以下のように書かれています。
「上述の解析は本来、有効応力法であるクーロンの破壊基準に基づき、またプラントルの支持力破壊の手法を踏襲しているので、支持力の解析も有効応力法であるが、第4章で述べたような全応力法による見かけのせん断強さを用いても差し支えないことは、土圧や斜面の安定の場合と同様である。それらの結果に差があるのは現在ではやむを得ない。」
これは1991年の4版なので、ちょうど20年前ですね。20年経ってもあまり変わっていないです。

Terzaghiの式による比較

Ga3d改変コードの検証の続きです。

Terzaghiの式では、Nc, Nq, Nγ の3つの支持力係数を使用します。このうち、理論解が求められるのは前2つですので、γ=0として(Nγの影響を取り除いて)比較しました。

ピーク強度 c=10kN/m2、φ=30°kN/m2、残留強度 c=1kN/m2、φ=25°kN/m2 です。
結果は以下の通り。


値は合っていますが、いきなり破壊するんですね。粘土の方が降伏してからも、文字通り粘りが出るんですね。
ただこれは「ある収束値での修正NRの繰り返しが○○回以上で発散」という人的な設定値によるものも大きいと思います。今は500回なので、1000回ならもう少し伸びるでしょうか?あるいはcを落とさずにφだけ落としたらどうなるでしょう?破壊時におかしな値になっているのも気になります。
もう少し、やってみましょう。

2011年10月5日水曜日

プラントル解との比較

Ga3d にひずみ軟化を取り入れた改変コードの検証を行っています。

最初はFLACの例題と同じモデルで検証しようと思いましたが、モデル作成が難しいので止めました。薄々感じてはいるのですが、この改変コード、プレ処理を工夫しないと実務では使えませんよね。ま、完成してから考えましょう。

簡単なモデルで検証!ということで、支持力問題にて検証しました。ex11a.dat での比較です。
まずは c =100kN/m2、φ=0の粘性土をモデルに与え、残留強度として70kN/m2に入れ替えた場合を計算してみました。実現象としてあるかどうかは別として、あくまで粘着力 c 入れ替えの動作確認が目的です。
メッシュ幅は0.5mに変えました。これは、メッシュが細かいほどプラントル解に近づくという理由からです。本にも書かれています。
100mm(1mm×100回)の強制変位を与え、得られた接点力を合計し、極限支持力をチェックしました。結果は以下の通り。

せん断ひずみの形は変化ないですね。


当然、変形量も変わりません。



しかし、極限支持力は大きく変わりました。青はピーク強度のみ、赤は残留強度考慮。


プラントル解より少し大きめに出ています。まだメッシュが大きいのでしょう。まあでも、良いところへ行っていると思います。降伏点は変わりませんが(これが必要)、極限支持力ではひずみ軟化モデルのほうが大幅に低下し、それぞれのプラントル解へ近づいています。成功ですね。

次はφのチェックをしましょう。


2011年10月2日日曜日

コンパイラーによる計算結果の差

Ga3dにひずみ軟化を取り入れ、コンパイルしてみました。

最初は、Win7 64bit + Intel Visual Fortran Composer XE 2011 で行いました。
ところが、計算が進みません。おかしい。

originalのソースをコンパイルしても同様。バンド幅の計算で誤った答えを出して止まります。

色々試しましたが、うまくいかないのでWinXP 32bit + Intel VF9 でコンパイルしてみました。
結果、配布されている original の exe (コンパイラーは Compaq)と答えは一致しましたが、outファイルの0に近い値で10^-13程度の誤差が生じます。これは仕様上、仕方ないところでしょう。

結局、このソースでは以下のような動作確認結果となりました。

 OS     exe   結果
32bit  32bit   ◎(答えは一致)
64bit  32bit   ×
64bit  64bit   ○(答えが32bitと微妙に違う箇所あり。影響のない程度)

コンパイラーによって、結果に影響のない程度の差が出てくるのは仕方のないことかもしれませんが、同じコンパイラーなのに64bitと32bitで差が出てくるのはいやらしいですね。まあ、PCを使用した数値計算の限界や収束設定値を考えて、誤差が影響のない程度であれば問題ないわけですが。

最適化オプションによっても微妙に答えが変わってくると思いますので、こういったコードの配布時にはプロジェクトのプロパティ―(セッティング)等の情報も参考程度に公開していただきたいものです。

孔内水平載荷試験結果の解釈と利用

孔内水平載荷試験について引っかかっていたことがありました。

処女載荷の勾配は必ず繰り返し載荷より緩くなります。
ひずみレベルの差として解釈していましたが、前者より同じレベルの区間を取りだして見ても勾配に差があることに違和感がありました。また、繰り返し載荷と同じ勾配が処女載荷に一度も出てこないことも引っかかっていました。
ひょっとするとこれは弾塑性状態にあるのではないか?早々に降伏し、ひずみ硬化の状態にあるのではないか?などと考えたのが数ヶ月前。ちょうど連続体力学や構成則を追っかけていた頃です。

先日の講習会で、引っかかっていた点を講師の方に質問してみました。
回答は、弾塑性状態でOK、押し込んでいるので繰り返し載荷時は勾配が立つとのことでした。ひずみレベルよりは解釈しやすい御回答です。それが実際に起きている現象なのかどうかはまだ分かりません。岩盤の場合はどうなのか?他の問題や扱うスケールとの関連性は?など、まだ完全に理解できていませんので、今後ゆっくり考えて行きましょう。

また、どちらで導いた変形係数を使うかは、扱う問題によって(答えを想定し)使い分けることが重要とのことです。その通りだと思います。基本的に、土砂の孔内水平載荷試験結果の解釈については割り切っています。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/01/blog-post_08.html
弾塑性状態から弾性の変形係数を求めているのなら、更なる割り切りが必要になります。割り切った上で「適度な」答えを導けるようになるべきなのかもしれません。

いずれにしても、FEMで変形量を求める場合には、c、φ、ψ、E、νなど、全て工学的(経験上の)判断が重要になるということです。純粋に、精密な試験を行って得られた値を入力すれば、答えの精度が高まるといったものではないのです。
こうなると、経験豊富なベテラン技術者の方が、数値解析に向いているような気がします。
あ、だから、ベテラン技術者はシンプルなツールで答えを出そうとするのか、答えがある程度見えているから。答えが見えない、予測のつかない問題は、シンプルであろうが複雑なツールであろうが、難しいということでしょう。答えを出すのはFEMではなく、技術者ということです。

2011年9月30日金曜日

Ga3dでひずみ軟化

地盤工学会「弾塑性有限要素法をつかう」の中に、Ga3dという弾塑性(静的)解析コードが収録されています。

先日の講習会で空いた時間に、そのフローとソースを見ていました。シンプルであり、書籍中にコメントがあるので、理解しやすいコードです。

ある程度眺めていると、ふと気が付きました。「これ、簡単に残留強度に入れ替えられるんじゃないか?」と。つまり、降伏後に残留強度に落ちるひずみ軟化モデルを容易に反映することができると思えたのです。

講師に確認すると、それでOKとのこと。早速、アルゴリズムを作成し、翌日確認していただきました。合格のようです。後日、FLACの例題と比べてみたり、収束性を見てみたいと思います。

弾塑性計算のアルゴリズムで必ず通るはずの箇所に手を加えていますので、他のソフトでも同じような改変が可能と思います。ただ、市販ソフトは自分で手を加えられないんですよね。プレの使い勝手をとるか、ひずみ軟化の必要性をとるかは問題に応じてといったところでしょう。

弾塑性FEM

地盤工学会の「わかって使うFEM」講習会に参加していました。
弾塑性(静的)やFEMの理論は理解していましたので、復習といった感じです。

今回の目的は静的ではなく、動的、圧密解析でした。これらの理論もパーツとして理解していましたが、まだぼやっとしたところがありました。今回の参加でそれらをつなぐことができ、収穫ありです。それほど難しくはないんですよね、理屈だけなら。まだ完全ではないので、後日、再度数式を追いかけましょう。

ただ、理論を理解するのと、答えが評価できるのとは大きな差があります。その辺はプロの領域ですね。地質屋として求められるのは、ある問題にある理論で望みたいと言われたときに、どの程度の設定値(幅)が必要だから、どのような調査を提案すれば良いかを判断するといったところでしょうか?

今回の講習ではパラメーターの扱いについて詳細なお話がありました。前日に質問していましたので、講師の配慮もあったともいます。ありがたいことです。今後は数値解析について一歩引いた目線で扱えそうです。以前、FEMのベテラン技術者に言われたことがありましたが、ようやくたどりついた感じです。

また、講師との雑談や質問に対する回答もかなり有意義でした。
そのあたりは、また後日。

2011年9月27日火曜日

NHKネットラジオ

基本的にテレビはあまり見ませんし、ラジオも聞きません。

正確にはオンタイムで見たり聞いたりする習慣があまりないだけで、気になったものは録画したり、後でネットで見たり、DLしたものをiPhoneに保存したりして、時間が空いたときや出勤途中に見聞きしています。

先日、本屋でNHKラジオの「入門ビジネス英語」を手に取ってみたところ、emailの講座がスタートすることになっていました。今まで、ソフトやライセンスの問い合わせ、海外の学会の入退会など英語のビジネスメールを出す場面があり、そのたびに痛い目に会っていました。これは良い機会と早速購入し、今日、ホテルまで持ってきました。

今日は放送時間を覚えていますが、毎週となると絶対忘れます。そこでiPhoneのスケジュールに加えてしまい、毎週5分前通知の設定をしておきました。どこまで続くかわかりませんが。

さあ、準備もできたし、オンタイムで聞きましょうと思ったら、ホテルのラジオが壊れています。仕方ないので、iPhoneで聞いていました。(iPhoneで通知を受けるので、今後はこのスタイルで落ち着くと思います)

ところが、後で検索すると、NHKラジオはAM,FMともにインターネット経由のオンタイム配信「らじる★らじる」が始まっておりました。9月1日からのスタートのようです。PCで聞けます。これは便利。
http://www3.nhk.or.jp/netradio/

ただ、スマートフォンアプリが準備中となっています。
あれ、?他のアプリで聞けるのですが?ま、良いでしょう。

とにかく、またひとつ便利なソースが増えました。

2011年9月25日日曜日

国内最長7.2mの長孔発破

長孔発破国内記録のニュースです。
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20110916/552745/
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/news/20110916/552745/?SS=imgview&FD=-1041774028

写真は6.7mの時のものですが、天端右半分くらいはきれいにノミ跡が残っていますね。掘りやすいのでしょうが、これだけズリが出ると、ズリ出しに時間がかかりそうです。
岩はなんでしょう?パッと見、花崗岩かと思いましたが、オンライン地質図では中新世の珪長質火山岩となっています。
薬量や発破パターンはどうなっているのでしょう?
ボルトのパターンを見ると、切羽側2間はBだと思いますが、お飾りのようなものでしょうか?
いろいろと興味がありますね。

ところで、発破技術とは関係ありませんが、右肩の当たりと腕まくりをしている方が写っていますね。トンネル屋さんとして掲載に抵抗は無かったんでしょうか?施主でしょうか?こちらもちょっと気になりました。

2011年9月23日金曜日

百聞は一見に如かず

先日、地球ドラマチック「月と太陽の神秘(1)地球が月と離れる日」を見ました。
以下、NHKのHPでの紹介です。

月は毎年、数cmずつ地球から離れている。計算上では、現在の距離の1割を離れると、地球を公転する軌道から外れてしまう。月は、地球にどんな影響を及ぼしているのか? 月が離れてしまった地球は、いったいどんな世界となるのか? 調査研究で明らかになってきた地球と月の関係、そしてシミュレーションCGが描き出す、月が遠ざかった後の地球の姿。(2010年アメリカ Earth without Moon)

内容からして子供番組のようでしたが、このような文章だけでは分からなかったでしょうね。文字を読むよりも、映像を見る方がはるかに理解しやすいですよね。
番組ではCGが多用され、子供でも分かるような内容構成となっていました。百聞は一見に如かずということでしょう。


今日、岩盤崩落個所の整理をしていました。
PSE で 3Dモデルにし、崩落個所の上にかぶさっている樹木をモデルから削除し、上空から見て驚きました。崩落面を形成していた2セットの亀裂の組み合わせが、一目瞭然なのです。横断でも同様に、それらの亀裂が高角流れ目であることがよく分かります。
これは地質屋以外の方々に伝えやすい!と一人で喜んでいました。

亀裂の方向や斜面との関係を、地質を知らない方に伝えるのは難しいですよね。
いつもなら、Strike、Dip をシュミットに落とし、2セットの亀裂群、亀裂面の摩擦角、斜面の方向などからクサビ状の岩塊が落下する方向や安定性を図示します。Dipsを使えば、比較的簡単に意図した図が作成できます。
ただ、その図と写真,、スケッチなどを使って説明に臨むのですが、シュミットを即座に理解できる方は非常に少ないのが難点です。理屈は理解されても、現場のイメージに結びつくまで、遅れが出るのです。

PSEで3Dモデルを作り、上から示せば、一目瞭然です。シュミットを経由することなく、直接言いたいことが伝えられるのです。
全ての現場に適用できるとは思いませんが、手間はかからないので、やってみる価値があるでしょう。ふとしたことから発見した、3Dモデルの意外な利点でした。

百聞は一見に如かず。
ありがたい時代になりました。

2011年9月21日水曜日

法面崩壊 その2

台風15号で、また法面崩壊が起こりました。

今度は私が担当していた法面です。全面通行止めとなっています。
法面以外に人的・物的被害がなく、心底安心しました。

先日の崩壊時に、この法面も車から見ましたが、大きな変化はありませんでした。ただ、おかしな倒木が1本あり、「あれ?」と感じたので見に行こうとしていた箇所でした。

詳細は載せませんが、これ、もしかすると12号の後ですぐに見に行っていたら兆候をつかめたかもしれません。降雨浸透だけではなく、もうひとつ誘因があったのです。12号の後にすぐ見に行っていれば、見つけることができたかもしれません。休日だから、行こうと思ったけど雨が降っているから、他に急ぎの仕事があるからと後回し、見に行かなかったことをすごく後悔・反省しています。

ただ、この路線の崩壊がほぼ共通した素因、誘因(豪雨)を持っていることは確証しました。それら全てに対策を行うことは莫大なお金と月日が必要です。簡易貫入などで風化土の厚さを捉え、優先順位を付けるのも手ですが、ハード対策で自然のポテンシャル増加についていくにはキリがありません。ソフト面での提案も考えましょう。

今回の反省点です。基本的かつ古典的です。何度も見返せるよう、残しておきます。
・異和感は信じ、何が引っかかったかを認識すること。
・人命のかかっていることを念頭に判断すること。

ここから再度、出発です。
頑張りましょう。

2011年9月20日火曜日

一軸圧縮試験と三軸圧縮試験

設計者から、なぜ港湾ではUUではなく一軸なのか?という質問がありました。

こういった素朴な疑問、随分前に自身も通過したはずですが、すっかり記憶の隅、というか気にすることがなくなっています。一瞬、そんな自分を認識し、そんな自分が面白いと思いながら、頭がマニュアル化しているなあと反省しつつ、3つ回答しました。

・一軸+簡易CUの評価手法がある。
・適度な乱れを含む必要がある。(上と重複しますが)
・安い = 同じお金でたくさんできる。

港湾空港技術研究所HPでは、同様の解説がされています。基準書にもよく出てくる話です。

ただ、全て一軸と言うわけにはいきません。砂分が多い場合にはUUの方が良いと思います。それで得られた強度を補正して設計に使用する方法もあります。表層の柔らかい粘土であれば、現位置試験の方が良いかも知れません。


また、つい最近、後輩から三軸CU、CUB、CDは試験前に圧密するが、圧密の必要性は何?といった質問も受けました。これもとっさに面白いなあと思いながら回答しましたが、こちらはちょっと、後輩の勉強不足と言った感がありますね。
土質力学の基礎的範囲ですが、土質試験、せん断強度、せん断定抵抗角、透水性、現位置での深度方向の強度増加、φ換算時のN値の拘束圧補正など、試験、理論、現場のリンクができていれば(点が線でつながっていれば)、自ずと理解できるはずです。頑張りましょう。


マニュアルに従って淡々と作業することなく、土をみて、計算方法を考えて、技術者が何をすべきかいつも判断しないといけませんね。

2011年9月18日日曜日

法面崩壊

今朝の新聞に法面崩壊の写真が掲載されていました。よく見ると、私が法面調査を担当している路線です。

台風12号による先行雨量と、一昨日からの累積雨量が誘因となり表層崩壊を起こし、一時通行止めになっていたようです。後で聞くと、TVニュースにも出ていたようです。交通量の非常に多い路線でしたので、人的被害がなかっただけでもホッとしました。

お客様から連絡がなかったので、同じ路線でも私の調査対象法面とは外れているだろう、写真で見る限り地形・地質条件が少し違う、このような崩壊を起こしそうな不安定な法面は無かった、でも見落としがあるかもしれない、などと色々考えながらすぐ崩壊現場に向かいました。

現場を見ると、風化土、一部風化岩を含む表層部の崩壊でした(深層崩壊の定義が2~3mであれば、これも深層崩壊ですが)。幸いと言うか、残念ながらと言うか私の担当箇所ではなく、その間にある法面でした。3分くらいで連続写真を撮り、その後滑落崖を見ながら簡単に原因をまとめ現場を離れました。

ストリートビューで見る限り、植生に乱れは無く、空中写真からも背後に大きなすべりがあるように見えません。過去のカルテ点検ではどのような状況であったのか知りたいですね。この路線では、同じような風化土の崩壊が過去の台風で複数回でおきていますので、地質的素因を含む法面としてピックアップすることは可能だったでしょう。路線全体ではかなりの数になりますが。ただ、そこからピンポイントで崩壊予測するのは難しかったと思います。

今回の場合は少し違いますが、昨年の広島県で起きた庄原災害では、誘因となる豪雨の通り道で土石流や崩壊が発生しているため、今後は斜面を広域にお金をかけて調べるよりも、雨の予測精度を上げる方が大事ではないかという意見もありました。確かに、広島大学の研究でも、先行雨量と崩壊時の累積雨量の重ね合わせで災害発生箇所が説明できるような報告があります。誘因としての豪雨の通り道を早く、正確に知ること、それを利用して避難することも重要でしょう。

ハード対策を行っても、自然の平衡点への到達速度を一時的に(人間活動としては有意な時間ですが)送らせているだけであり、それらが老朽化すれば次の世代に負の遺産だけでなく、ポテンシャルの増した自然の脅威を背負わせることになります。ハードに対して更なる手当てがなされないと、自然は既存の対策を乗り越え、平衡点に向かって一気に進みます。そこに人的、物的被害が出ると災害と呼ばれます。平衡状態を知ることが長期的に災害を避ける唯一の方法であると思います。
高校地学の履修者を増やし、災害につながる自然の理もその中で教育すれば、百年後には異なった景観・防災体制になるかもしれません。これは理想論で、なかなか難しいでしょうけれど。

今日は道路からしか見ることができませんでしたので、後日時間をとって再調査に行きましょう。

2011年9月17日土曜日

水衝部の崩壊箇所を3次元モデル化

道路から護岸の崩壊を見かけましたので、早速 PSE で 3Dモデルへ。


今年度の河川改修工事の終点だったのでしょう。
断面の小さな改修前河川の出口かつ水衝部にあたります。先日の台風12号の被害ですね。河床洗堀が先でしょうか?出来たてのようでしたがもったいない。

これ、検査が終わる前だとどうなっていたのでしょう?既済部分は支払われているものとして、残りは保険などがあるのでしょうか?それとも自腹?どうなんでしょうね。


モデル化に関しては、道路から9分間の撮影で140枚、使用枚数80枚です。自動で140枚は合成されませんでした。合成の甘い箇所も多々あります。上からの視点がないため、抜けも多くあります。
延長の長い対象の場合、ソフトの癖に合わせるため写真の取り方にはノウハウが要りそうです。といっても、1回手を動かせば分かる程度ですが。

2011年9月15日木曜日

BIM (ビルディング・インフォメーション・モデリング)

本日の建設通信新聞に「連載・インフラBIM/土木3D新時代(1)」という話題が掲載されています。

【中央復建コンサルタンツ/成功体験が大きな飛躍/3次元設計の実績3倍増】だそうです。

3次元になると一気に頭がついてこなくなります。
例えば、切羽観察で天端・側壁・鏡に分布する亀裂や岩級を展開図に示す場合、最初はほとんどの技術者が戸惑い、悩み、誤った絵を描きます。あるいは、展開図上は亀裂がつながっているものの、その絵と Strike, Dip が矛盾していることも多々あります。書いてもらった展開図をコピーして切りとり、立体にしてもらって初めて間違いに気付かれますが、だんだんと慣れてくると、非常に短時間にスケッチができるようになりますし、次の切羽の絵が予想できるようになります。予想できるようになると、観察時に間違いや亀裂セットの変化に早く気付くようになります。こうなると、見方、考え方が3次元になってきたと言えますし、技術者自身その利点に気付くようになります。

中央復建コンサルタンツさんも、このような技術者の産みの苦しみと言いますか、意識改革や育成には時間がかかったと思います。設計ですからソフトの使い方も覚えなくてはならず、すぐに結果がついてくるものでは無いでしょう。それを経営側が数年後のビジョンを見極め、組織的に技術者の育成・ハードの整備を辛抱しながら行った結果、実績が出だしたということだと思います。今後どうなるかはわかりませんが、個人的には経営陣の読み通り成功してほしいですね。

私の周りは、まだまだ2次元派の方が多いようです。今まで雑談してきた中で3次元測量設計の話題が出たのは、地方の測量の方と首都圏の道路設計技術者だけで限られていますね。技術者の意識もさることながら、これだけはハード・ソフトの整備なしでは進めませんので、経営側のビジョンが重要になります。

幸い、私の机だけにはハードもソフトもそろっています。
すぐBIMなど連携まではいきませんが、あとは私次第でしょうね。

2011年9月14日水曜日

PhotoScene Editor で崩壊地形をモデル化

台風12号ではニュースにならないようなミニ土石流も所々で発生しているようです。
それらが発生した渓流を歩いておりますと、多くの斜面で表層崩壊が見られます。

先日、その中から15m程度と、5m程度の2つの崩壊箇所を連続写真で撮っておきました。渓流沿いから引いたりアップにしたり。撮った枚数は前者が70枚、後者が40枚程度です。
目的は Photo Scene Editor で作られるモデルを確認するためです。
PSEの詳細はこちら↓
http://phreeqc.blogspot.com/2011/08/autodesk-photo-scene-editor.html

連続写真ですので、ただモデル化したい対象を撮っておけばよいだけです。あとでタイムスタンプを見てみると、70枚でも7分でした。

さて、サーバーに写真を送って10~30分程度待つと、メールが届きます。計算の中身は相変わらず分かりませんが、早いですよね。

肝心の結果は・・・予想以上!

驚きました。植林地ですので、手前の木が邪魔をして、まともにモデル化できないかと思っていましたが、逆に手前の木は情報が少なくなるためモデル化されていません。崩壊地に枯れ木の幹が立っているような絵になっています(*捉え方によっては民地の負の情報であるため、UPしません)。

HD解像度で出力し27インチで見ていましたが、ゲームCG以上の異空間が出来上がっています。テクスチャーがCGではなく写真なので、メッシュ精度の割には臨場感あふれて見えるのでしょうね。面白い!何度も見てしまいます。
当然、3Dモデルですから、CADに取り込んで任意の断面も切れます。当初の目的には十分対応できそうです。

ただ、限界も見えてきました。
写真を使用しているので、あまり大きな崩壊地は難しそうですね。いえ、技術的には可能なのですが、山を登りながら連続写真を撮らないといけませんので、踏査のついでに、といったことはできそうにありません。面倒です。20m程度の崩壊が限界といったところでしょうか?