2016年4月27日水曜日

熊本地震 地震被害調査結果 速報会

土木学会 地震工学委員会より、下記の報告会がありました。

「平成28年(2016年)熊本地震 地震被害調査結果 速報会」
http://committees.jsce.or.jp/eec2/node/76

私は午前中のみ YouTube のLive 配信を見ていました。予想以上に興味深い内容が多くありました。以前より、後輩が「聴講に出かける」と言っていましたが、納得の内容です。

個人的には、「地震動 ・ 地盤震動」の報告が興味を引かれました。微動計の測定結果を用いてサイト増幅特性などの評価をされていましたが、結果の一つとして、「疑似速度応答スペクトル:周期0 6. ~1 8s . の範囲で鷹取波を上回る」「必要強度スペクトル:全周期帯域で鷹取波を包絡or超過」などを示されていました。今後の動向に注目です。
地震が発生し、次の日には測定を開始して、結果、16日の本震をとらえるといった研究心にも驚きでした。斜面災害調査の場合は、現地救助活動・住民感情優先、2次災害防止などの観点から、ある程度落ち着いたころを見計らって調査に入ることが多いのですが(発生直後に入ってくる団体もいらっしゃいますが)、地震研究者はすぐに向かわないとダメなのでしょうね。今回の報告を聞いてそのように感じました。

午後の配信は見ることができませんでしたので、資料を DL し確認しました。知りたかったトンネルの;被害報告もありました。変状写真が掲載されていましたが、どのような変形モードになっていたのかはよくわかりませんでした。こちらの見解も、今後押さえておかないといけないでしょう。

高々数十年の知見では、まだまだ情報や想像力が足りないというこを暗示されたように感じる報告会でした。


2016年4月20日水曜日

やり残し事項2016

随分遅くなりましたが、やり残し事項の更新です。
増えたのか、減ったのか分かりませんが、今年もできるところから処理していきましょう。

道具
帯磁率計(携帯型)
ガンマ線測定器(携帯型)
振動三軸
XRF

技術
動的解析(耐震、液状化)
圧密
斜面設計
微動探査
Deep Learning

資格等
・技術士(あと1つ)

コード
・DtransuのCUDA化・・・100万で購入可。
・粒子法コード作成・・・OpenMP、CUDAの実装は200万で購入可。
・剛体(DEM)+粒子法のカップリング(900万で販売されている)
・DtransuとPhreeqcのカップリング(500万で販売されている)Phastでも十分。

国土地理院の熊本地震情報

国土地理院さんの調査結果が公開されています。
http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H27-kumamoto-earthquake-index.html

空中写真や GPS のみでなく、UAV による動画も公開されています。昨年9月の関東・東北豪雨からでしょうか?
このUAV動画や斜め写真があれば、SfM で3D地形を起こすことが可能です。実際、公開直後の地理院データを利用し、3D モデルを作成・紹介されている方が複数おられました。動画や斜め写真に標定点がないため座標・スケール設定は「なし」のようですが。
ま、ここ1~2年で UAV や SfM が認知されてきた証のように感じます。

地理院さん自身は SfM を実施されていませんでしたが、発災前の DEM を利用した立体地図を公開されていました。阿蘇大橋の崩壊地周辺で作成されています。しかも、VRML や STL で DL できるようにされていますね。それだけ 3D プリンターも普及し要望が増えてきたということなのでしょう。

UAV → SfM → 3Dモデル、という作業はルーチンワークです。今回は UAV を地理院さん、その後の作業を各ユーザーが担った形となりました。今後、地理院さんがルーチン部分をすべて実施されるかもしれません。期待しましょう。


2016年4月16日土曜日

活断層 と GPS

熊本から始まった地震。大分まで進展してしまいました。

この付近の活断層に関しては、先日のNHKスペシャルで放送されていました。過去15年間の震源分布を表示されていましたが、Hi-netで見る今回の震源域とも矛盾ないようです。
巨大災害 MEGA DISASTER Ⅱ 日本に迫る脅威 地震列島 見えてきた新たなリスク

京大防災研のHPでも、今回の震源との対比が示されています。
平成28年(2016年)熊本地震:西南日本のブロック断層モデルについて

産総研の活断層データベースでは、阿蘇山の北東側で断層が認定されていません。噴出物によって覆われ、わからなくなっているのでしょう。
 ただ、過去の震源分布は明瞭に大分まで連続していました。GPS でもブロックを区分されています。表層の地形や地質だけでなく、過去の震源分布や GPS も組み合わせると、ひずみの蓄積されつつある面は抽出できるということでしょう。次に地震が起こるのはその中のどこか?いつ起こるのか?までは、わからないようですが。

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23:58追記

本日のNHKスペシャル「緊急報告 熊本地震 活断層の脅威」を録画して見ていたところ、上記のブロック断層モデルを作成された西村准教授の話が出ていました。残念ながら重ねられた震源分布は1日前のものです。Hi-netの自動震源処理マップで最新のデータをプロットした方が、熊本-大分間の連続性が分かると思います。

GPSの動きの話もありました。南阿蘇村の測定点が97cm南西へ動いたようです。地表のずれも放送されています。活断層による地震と理解して間違いないでしょう。

地表での応答スペクトルの話もありました。0.5秒付近と1.5~2秒付近で兵庫県南部地震よりも大きくなっていました。昨日、社内でも報告があったのですが、1秒以下のみが上回っている報告でした。本震として使用した波が違うのでしょうか? いずれにしても一部で兵庫県南部&東北地方太平洋沖を上回っていますので、今後の対応に注目です。

放送後半で死者41名の報道あり。ご冥福をお祈りします。

2016年4月13日水曜日

トンネル情報化施工の発展

トンネル調査について相談がありました。

300mの土被りで、事前調査が空白地帯の区間に対し、追加調査を実施したいとのこと。

難しいですね。


トンネルの事前調査には(一般的なコスト感覚では)限界があると思います。
物理探査や地表踏査では、300m下の地質分布を描くことはできますが、亀裂分布やそれに伴う変質・破砕程度を予測できません。支保+補助工法に供するレベルという点では後者が必要であり、事前調査が「当たらない」理由の一つになります。ましてや湧水の予測はさらに困難でしょう。
この分野では、事前調査で坑口部や低土被り部の問題を検討+全線の大まかな支保パターンを区分し、掘削時の情報化施工で実際の地山に対応するのが現状だと思われます。

情報化施工に関してはゼネコンさんが素晴らしい技術をお持ちです。
昨日、大成さんが2種の広報を発表されました。

トンネル先行変位計測システム『TN-Monitor』を開発
切羽前方の微細な地盤変形を正確に把握
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2016/1439209140224.html

トンネル湧水対策計画ツール「T-WELL_PLANNER」を開発
山岳トンネル工事での迅速かつ効果的な湧水対策が可能に
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2016/1439208703034.html

特に後者には驚きです。解析に5日←分かります。解析に半日←お手上げです。
事前に準備すれば、ココまで対応可能なのですね。素晴らしい。
https://www.decn.co.jp/?p=66047


ゼネコンさんの情報化施工技術の発展に比べ、事前調査分野が停滞しているのは間違いありません。何とかしたいですねえ(私にはお宝が眠っているように感じるのですが)。

2016年4月9日土曜日

UAVを用いた公共測量

4月になり、i-Construction 関連の基準が新規追加・改訂となりました。
http://www.mlit.go.jp/common/001125408.pdf


UAVを用いた公共測量マニュアル(案)
http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/index.html
UAV を公共測量に利用できるようになりました。
意外と短期間でしたが、厳しい内容に仕上がっています。
基本的には複数の標定点・検証点を設置する内容になっていますので、崩壊地や災害現場でなく、 比較的大きな土工現場での土量管理での活用が多くなりそうです。
国交省さんからの問い合わせが複数ありますし、需要もあるので、測量屋さんも対応せざるを得ないでしょうね。

電子納品基準
http://www.cals-ed.go.jp/cri_point/
ICON(i-Constructionデータフォルダ)が追加されています。その中身についての記載はなく、次の交換標準に従って作ったものを自由に入れる形になりそうです。とりあえずは i-Construction の知名度向上が狙いでしょうか。
その他、細かい点が改善されています。

LandXML1.2 に準じた3次元設計データ交換標準(案)
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bunya/cals/information/index.html
道路と河川の電子納品仕様について記載があります。
数年前からこの基準は公開されていましたが、個人的には利用されているのを見たことがありません。国交省さんが i-Construction を推されていますので、今年度からは電子納品に含まれることが、でてくるかもしれません。


当面は、測量から変化が始まりそうですね。期待しましょう。