アンカーに問題の生じた現場では、リフトオフ試験が実施されました。
個人的にこの試験の経験は浅く、実際に手を動かしたことはありません。以前に見せて頂いたのもずいぶん昔。
その後、資料でよく見ていましたが、実際見てみると手軽になったのが実感できました。
リフトオフ試験の概要は地盤工学会「グラウンドアンカー設計・施工基準、同解説」に示されています。残存引っ張り力、リフトオフ後の勾配をつかって健全度を評価します。その評価基準は土研の維持管理マニュアルからの引用です。が、閾値の根拠は不明。1.1 や 0.8 の根拠は何でしょうか?
先輩に聞いたところ、いくつかの見解を得ました。が、マニュアルに明記されていない以上、推定の域を出ません。
数値計算で応力ー変位の再現はできるでしょう。が、勾配が理論値より寝てれば塑性部分が含まれているということでしょうから、ダメなものにお金をかけて分析する理由はないということかもしれません。ま、そこから周面摩擦を見直すということになれば別でしょうが。
いずれにしても、点検結果に対する対応はこれからが本番です。どのような流れになるか注目しておきましょう。
2018年2月4日日曜日
2018年2月3日土曜日
永久アンカーの老朽化
今年度は、アンカーに問題の生じた斜面にいくつか遭遇しました。
切断されたモノを見たのが2か所、写真や話だけで済んだのが2か所。
4か所中3か所は、点検を始めて見つかった現場でした。また、同じく4か所中3か所は施工中に問題が生じていました(残り1か所は問題が生じてから施工に入っています)。旧タイプだけではありません。これからまだまだ出てくるでしょう。
人が山から土を切り取った分だけ、その背後を支えるのに必要な力をアンカーに分担させています。が、その力が年とともに軽くなることはないでしょう(逆はあり得ます)。人が無理を通そうとしても、山は道理をひっこめてくれません。アンカーが老朽化して機能を果たせなくなるまでじっと待っています。永遠に。
また、山の評価やすべり面の推定を誤っていた場合には、考えていたよりも大きな力の加わることにがあります。今年度遭遇した問題はこれでしょう。
また、「永久アンカー」は永久ではありません。数十年たてば老朽化して壊れるものと考えた方が良いでしょう。若いころは元気に山を支えますが、年を取ると支えられなくなります。メンテナンスをすればいくらか寿命は延びますが、いつかはダメになります。寿命が尽きる前に若いアンカーをもう一度打てば、そこからさらに数十年もちます。が、それも年を取ります。もう、次に打てる場所はないでしょう。
近年、メーカーがお考えの寿命100年だとすると、2回の打設で200年。既に1回目の打設から年月が経ち老朽化が始まっています。
残された時間で「永久アンカーは仮設」と言えるくらいの代替え案の開発が必要ということです。
切断されたモノを見たのが2か所、写真や話だけで済んだのが2か所。
4か所中3か所は、点検を始めて見つかった現場でした。また、同じく4か所中3か所は施工中に問題が生じていました(残り1か所は問題が生じてから施工に入っています)。旧タイプだけではありません。これからまだまだ出てくるでしょう。
人が山から土を切り取った分だけ、その背後を支えるのに必要な力をアンカーに分担させています。が、その力が年とともに軽くなることはないでしょう(逆はあり得ます)。人が無理を通そうとしても、山は道理をひっこめてくれません。アンカーが老朽化して機能を果たせなくなるまでじっと待っています。永遠に。
また、山の評価やすべり面の推定を誤っていた場合には、考えていたよりも大きな力の加わることにがあります。今年度遭遇した問題はこれでしょう。
また、「永久アンカー」は永久ではありません。数十年たてば老朽化して壊れるものと考えた方が良いでしょう。若いころは元気に山を支えますが、年を取ると支えられなくなります。メンテナンスをすればいくらか寿命は延びますが、いつかはダメになります。寿命が尽きる前に若いアンカーをもう一度打てば、そこからさらに数十年もちます。が、それも年を取ります。もう、次に打てる場所はないでしょう。
近年、メーカーがお考えの寿命100年だとすると、2回の打設で200年。既に1回目の打設から年月が経ち老朽化が始まっています。
残された時間で「永久アンカーは仮設」と言えるくらいの代替え案の開発が必要ということです。
2018年1月6日土曜日
集水井戸の撮影
整理していた文献の中に、集水井戸撮影の事例紹介がありました。
川俣ほか「市販カメラによる集水井工内部の撮影事例」日本地すべり学会誌 vol.54 No.6
建設技術研究所さんですね。360度カメラは小さくて手軽だと思います。画像は歪んでいますが、現場作業と整理のバランスを考えると、この程度が良いですね。
国土防災さんも、市販カメラ+SfMで展開写真まで作成する事例を紹介されています。使用ソフトは PhotoScan。
齊藤ほか「市販カメラを用いた既設集水井工の 3D モデルとシームレス展開写真の作成手法の開発」http://www.jsece.or.jp/event/conf/abstruct/2017/pdf/756.pdf
こちらは現場での持ち運びを考えると億劫。ただ、現場に出向けないお客様からすれば、断然こちらを希望されるでしょう。
以前、ステップが腐って中に入ることのできない集水性に対し、UAV で内部を撮影したことがあります。地上で問題個所を把握できる、損傷箇所へカメラを向けられる、等の利点がありましたが、防水に工夫が必要、回転時は画像がぶれる、などの欠点がありました。そのため、SfM では良い仕上がりになりませんでした。
その点、上記の市販カメラだと損傷個所等を地上で把握できない欠点はあるものの、静止画を大量・迅速に取得でき、SfM経由で展開写真を作成できる利点があります。お互い、欠点を補える立場にあるでしょう。組み合わせ利用がBESTですね。
初回の点検のピークは過ぎました。が、維持管理時代は始まったばかり。今後はこのような工夫が積み重ねられて、撮影+展開写真作成が標準化していく流れになるでしょうね。こちらも、工夫を怠らないようにしましょう。
川俣ほか「市販カメラによる集水井工内部の撮影事例」日本地すべり学会誌 vol.54 No.6
建設技術研究所さんですね。360度カメラは小さくて手軽だと思います。画像は歪んでいますが、現場作業と整理のバランスを考えると、この程度が良いですね。
国土防災さんも、市販カメラ+SfMで展開写真まで作成する事例を紹介されています。使用ソフトは PhotoScan。
齊藤ほか「市販カメラを用いた既設集水井工の 3D モデルとシームレス展開写真の作成手法の開発」http://www.jsece.or.jp/event/conf/abstruct/2017/pdf/756.pdf
こちらは現場での持ち運びを考えると億劫。ただ、現場に出向けないお客様からすれば、断然こちらを希望されるでしょう。
以前、ステップが腐って中に入ることのできない集水性に対し、UAV で内部を撮影したことがあります。地上で問題個所を把握できる、損傷箇所へカメラを向けられる、等の利点がありましたが、防水に工夫が必要、回転時は画像がぶれる、などの欠点がありました。そのため、SfM では良い仕上がりになりませんでした。
その点、上記の市販カメラだと損傷個所等を地上で把握できない欠点はあるものの、静止画を大量・迅速に取得でき、SfM経由で展開写真を作成できる利点があります。お互い、欠点を補える立場にあるでしょう。組み合わせ利用がBESTですね。
初回の点検のピークは過ぎました。が、維持管理時代は始まったばかり。今後はこのような工夫が積み重ねられて、撮影+展開写真作成が標準化していく流れになるでしょうね。こちらも、工夫を怠らないようにしましょう。
2017年11月27日月曜日
気になる物理探査
平成29年秋季の物理探査学会講演論文集に目を通しました。
微動関連の報告が多くなっていますね。流行りでしょうか?
そういえば、アレー観測を私自身はまだ実施していません。先日、他部署の後輩が多数観測してきたそうですが、まだ解析していないようでした。私も忘れないうちに観測しないと。
気になった発表は以下の通り。
・気圧変動に伴う岩盤タンク周辺の傾斜変化の計測と空洞の安定性評価
高精度傾斜計により地下貯槽周辺の挙動を長期にわたり計測。シミュレーションと比較し、気圧応答が亀裂の影響を受け易いことを見出したとのこと。
検証に使えるほど精度よく亀裂構造を把握するのは難しいのですが、観測結果を反映できるように合わせこむことはできるでしょう。そういう意味で、気になった研究です。
・共振現象を利用したグラウンドアンカーの残存引張り力の非破壊評価法
アンカーの自由長部を、両端が固定された減とみなし、共振周波数により張力を推定する方法。
誤差はまだ大きなようですが、実用化に期待されるところです。結構、問題になっていますので。
・ニューラルクリギングを用いた比抵抗データからの葛根田地熱地域の温度構造の推定
比抵抗探査結果をニューラルクリギングで温度の空間分布に関連付け。
ニューラルクリギングを知りませんでした。こういった手法もあるんだなあと。ちょっと物理探査とは違いますが。
・地震被害推定のための広域地下構造モデルの構築
i微動とクラウド解析システムの開発。
単純に、欲しい!
2017年6月8日木曜日
切れたアンカー
アンカーが切れ、ヘッドが対岸まで飛んで行った現場に行きました。
私が見たのは休み明けで、既に応急対策中でした。
一通りの作業を終え、設計者と話をしていて気付きました。そういえば、維持管理のマニュアル・指針はあるものの、切れた後の危機管理マニュアルは見たことがありません。ま、応急対策手法はある程度限られていますので、レアケースのために備えることを後回しにされているのかもしれません。
ただ、土木的な対応は過去の類似事例に依ってなされるのですが、調査視点での対応は欠けがちです。行った時には抜いたアンカーの穴にモルタルを詰め終えられており、孔内カメラを入れることができませんでした。孔内カメラを入れると、切れた原因は腐食なのか変位なのか、後者ならどの深度で変位が生じているのか、などを確認できます。これが確認できれば、すべり面や崩壊面の決定根拠に使えます。調べないという選択はもったいないですし、今後の為にもルーチンワーク化してもらいたいところです。
これからの維持管理時代、長寿命化とともに危機管理も重要になってくるでしょう。ぜひ、調査・設計の視点も含めたマニュアルを検討し、備えていただきたい所です。
私が見たのは休み明けで、既に応急対策中でした。
一通りの作業を終え、設計者と話をしていて気付きました。そういえば、維持管理のマニュアル・指針はあるものの、切れた後の危機管理マニュアルは見たことがありません。ま、応急対策手法はある程度限られていますので、レアケースのために備えることを後回しにされているのかもしれません。
ただ、土木的な対応は過去の類似事例に依ってなされるのですが、調査視点での対応は欠けがちです。行った時には抜いたアンカーの穴にモルタルを詰め終えられており、孔内カメラを入れることができませんでした。孔内カメラを入れると、切れた原因は腐食なのか変位なのか、後者ならどの深度で変位が生じているのか、などを確認できます。これが確認できれば、すべり面や崩壊面の決定根拠に使えます。調べないという選択はもったいないですし、今後の為にもルーチンワーク化してもらいたいところです。
これからの維持管理時代、長寿命化とともに危機管理も重要になってくるでしょう。ぜひ、調査・設計の視点も含めたマニュアルを検討し、備えていただきたい所です。
2016年7月25日月曜日
地すべり防止施設の点検マニュアル
先日、第三系の地すべり地帯を歩く機会がありました。
そういえば、今年の地すべり防止工事士の更新講習では、地すべり対策施設の維持管理が講義の中心でした。時代だなあと思いながら聞いていましたが、役に立ちました。
点検マニュアルは国交省さん、農林さん、県、土研さんなどで、別々に出されています。今後、斜面協会からも出版されるそうです。
「砂防関係施設点検要領(案)」平成26年9月24日 国土交通省砂防部保全課
http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/sabo/tenken.pdf
「地すべり防止施設の機能保全の手引き ~抑制工編~」平成25年6月 農村振興局農村環境課
http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/tyotei/t_zisuberi/pdf/tebiki_all.pdf
各現場によって地すべりの深さや傾斜に違いはあるでしょう。しかし、対策工の種類は限られています。維持管理で見る視点はそれほど変わりません。
人材共有を目指し、マニュアルを統一していただくと、ありがたいですね。
長時間の運転で到着。緑が美しい+山の傾斜が一律緩い、というのが第一印象。
目に映る範囲の山々が全て緩く、高さもそれほどありません。あちこち、滑ってそうです。傾斜が緩いから安定、という訳ではありません。こういうところの切土は、悩みますね。
目に映る範囲の山々が全て緩く、高さもそれほどありません。あちこち、滑ってそうです。傾斜が緩いから安定、という訳ではありません。こういうところの切土は、悩みますね。
集水井を覗いてまた納得。一律浅い。傾斜が緩いので、地表からだと横ボーリングが届かないのでしょう。四国や由比の地すべりとは一味違います。
そういえば、今年の地すべり防止工事士の更新講習では、地すべり対策施設の維持管理が講義の中心でした。時代だなあと思いながら聞いていましたが、役に立ちました。
点検マニュアルは国交省さん、農林さん、県、土研さんなどで、別々に出されています。今後、斜面協会からも出版されるそうです。
「砂防関係施設点検要領(案)」平成26年9月24日 国土交通省砂防部保全課
http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/sabo/tenken.pdf
「地すべり防止施設の機能保全の手引き ~抑制工編~」平成25年6月 農村振興局農村環境課
http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/tyotei/t_zisuberi/pdf/tebiki_all.pdf
各現場によって地すべりの深さや傾斜に違いはあるでしょう。しかし、対策工の種類は限られています。維持管理で見る視点はそれほど変わりません。
人材共有を目指し、マニュアルを統一していただくと、ありがたいですね。
2016年2月14日日曜日
維持管理時代の落とし穴
維持管理、メンテナンス、点検、予防保全。聞こえの良いキーワードです。
高度経済成長期に多く作られたと言われる土木構造物ですが、これまで十分な維持管理がなされていたとは言えない状況でした。事故を契機に、これから本格的な点検・メンテナンスを受けることになるでしょう。
喜ばしいことだけではありません。
そこで露呈するのが、手抜き工事。
施工業者が分からない古い構造物はさておき、近年の施工業者が分かるもの、検査し合格を出した方が分かるものは、お困りになるでしょうね。いえ、困りませんか。ヒトの世です。
ま、補修+対策を行う、という結果は変わらないと思います。
これから始まる維持管理時代。上記以外にも、新たな問題は出てくるでしょう。
高度経済成長期に多く作られたと言われる土木構造物ですが、これまで十分な維持管理がなされていたとは言えない状況でした。事故を契機に、これから本格的な点検・メンテナンスを受けることになるでしょう。
喜ばしいことだけではありません。
そこで露呈するのが、手抜き工事。
施工業者が分からない古い構造物はさておき、近年の施工業者が分かるもの、検査し合格を出した方が分かるものは、お困りになるでしょうね。いえ、困りませんか。ヒトの世です。
ま、補修+対策を行う、という結果は変わらないと思います。
これから始まる維持管理時代。上記以外にも、新たな問題は出てくるでしょう。
2015年7月2日木曜日
維持管理と探査
先月、2週間ほど道路標識の点検を行っていました。
地上より 5m 程度上にある標識の点検でした。
地上より目視しながらふと思い出したのが笹子トンネルの事故。あれも5m上でしたね。地上からだと金具が入っているかどうかも見えにくい距離なので、それが締まっているかどうかは触らないと絶対にわかりません。笹子トンネルでもボルトが数本抜け出していないと、目視ではわからなかったでしょうね。
今月は吹付けのり面の熱赤外線調査を予定しています。
コンクリートの浮きは、打音調査でわかりますが、手が届かない位置はダメ。そこで遠隔探査になります。が、熱赤外線を利用した推定精度は良くないと感じています。表面の状態(日射、影、湧水)に大きく影響されてしまいます。
もっと精度の良い遠隔探査手法は現段階で実用化・普及していません。打音に代わる遠隔探査技術を開発・実証しよう、といった段階かと思います。
東芝
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_06/tp_j0801.htm
JR
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/column/20141104/682273/
事後保全になりますが、実際に事故が起こって、問題が分かって、それを克服する、そしてフィードバックする。維持管理時代の幕開けでは、このような積み重ねも重要になるでしょう。
点検も実施してみないと、実感としてわからないものなのです。橋、トンネル、河川など構造物にかかわらず、とりあえずトライしてみましょう。
地上より 5m 程度上にある標識の点検でした。
地上より目視しながらふと思い出したのが笹子トンネルの事故。あれも5m上でしたね。地上からだと金具が入っているかどうかも見えにくい距離なので、それが締まっているかどうかは触らないと絶対にわかりません。笹子トンネルでもボルトが数本抜け出していないと、目視ではわからなかったでしょうね。
今月は吹付けのり面の熱赤外線調査を予定しています。
コンクリートの浮きは、打音調査でわかりますが、手が届かない位置はダメ。そこで遠隔探査になります。が、熱赤外線を利用した推定精度は良くないと感じています。表面の状態(日射、影、湧水)に大きく影響されてしまいます。
もっと精度の良い遠隔探査手法は現段階で実用化・普及していません。打音に代わる遠隔探査技術を開発・実証しよう、といった段階かと思います。
東芝
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_06/tp_j0801.htm
JR
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/column/20141104/682273/
事後保全になりますが、実際に事故が起こって、問題が分かって、それを克服する、そしてフィードバックする。維持管理時代の幕開けでは、このような積み重ねも重要になるでしょう。
点検も実施してみないと、実感としてわからないものなのです。橋、トンネル、河川など構造物にかかわらず、とりあえずトライしてみましょう。
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