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2026年1月11日日曜日

文献:Estimating groundwater and stream water ages with CFC

Estimating groundwater and stream water ages with chlorofluorocarbons – SKB

AI要約

背景
目的: 塩素化フッ化炭素 (CFC) を用いて、スウェーデン北部のクリックラン研究流域における地下水と河川水の年代を推定する。
CFCの利用: CFCは、0-50年程度の「若い」地下水のトレーサーとして有用である。過去の研究(Kolbe et al., 2020)から、CFCは地下水の年代の深度依存性も検出できる可能性が示唆された。
先行研究: 2017年の研究で、浅い氷堆石帯水層において、地下水年代が深度とともに増加する傾向が確認された。表層地下水(地表面から2-3m)でも、既に30年前のものであった。
研究の動機: 先行研究の結果を検証するため、涵養域と湧出域の両方で地下水を採取する。また、同一地点での繰り返しサンプリングによるCFC年代の整合性を検証し、河川水の年代推定への応用可能性を探る。

手法
調査対象: クリックラン流域とデゲロ・ストルミル。(ページ2)
サンプリング:
2021年: 地下水44試料 (28井戸)、河川水2試料 (C2, C7出口)
2022年: 地下水8試料 (深井戸、河畔域井戸、泥炭地)、河川水18試料 (高流量時と低流量時)
2023年: 河川水29試料 (異なる流量条件)
CFC分析: フランス・レンヌの分析プラットフォーム "CONDATE Eau" にて、パージ・アンド・トラップ気体クロマトグラフィー法で分析。
年代推定: ピストンフローモデルを用いて、CFC濃度から地下水年代を推定。
モデルの仮定:
(地下水の)水が特定の流れに沿って移動する場合、すべての水は同じ移動時間を持つ。
水サンプル内の水は、採取された流れにそって、同じ年齢を持つ。
CFCが水力学的分散や混合の影響を受けず、一定の流れ場で地下を保守的に輸送される。
均質な厚さと均一な地下水涵養を備えた理想化された不圧帯水層内で輸送が発生する。

結果
地下水年代: 地下水年代は深度とともに増加する傾向が見られた。表層地下水でも、既に数十年経過している。
再サンプリング: 再サンプリングした地点では、地下水年代が数年古くなる傾向が見られた。
河川水年代: ピストンフローモデルによる河川水年代は、35-55年の範囲にあった。高流量時や小流域では、河川水年代が若くなる傾向が見られた。
2021年のサンプリング結果: 詳細なCFC濃度と年代推定結果がTable 3-1に示されている。 サンプリング深度と不飽和帯の厚さ、CFC年代との関係はTable 3-2に示されている。

今後の提案される作業
モデリング:
ピストンフローモデルだけでなく、より複雑な(2-3パラメータの集中モデルや2D/3D物理ベースの数値モデル)モデルをテストする。これにより、平均年齢だけでなく、水年齢の分布を推定できるようになる。
安定同位体データとの組み合わせ:
酸素18や重水素などの安定同位体データ(数日から数か月オーダーの情報を提供)とCFCデータを組み合わせることで、河川水の水年齢分布に関する新たな知見が得られる可能性がある。
降雨時のCFCサンプリング:
融雪期や渇水期だけでなく、降雨時の河川水のCFCサンプリングを行うことで、水の貯留・放出メカニズムの理解を深める。
これらの提案は、CFCデータを用いた水Age推定の理解を深め,より高度な水文モデルの構築に役立つ。 

簡単な1次元輸送でもモデル化できたという結果が良いと思います。湧出箇所だと難しいかもしれませんが、まずは概念モデルを簡単なモデルで検証できたという点で現象を理解していることになるのでしょう。

2024年11月12日火曜日

inter-aquifer connectivity

Using geochemical and geophysical data to characterise inter-aquifer connectivity and impacts on shallow aquifers and groundwater dependent ecosystems. - ScienceDirect

データ量が多く全容を理解できませんでしたが、調査法として参考になる文献でした。これだけ調査するのは大変だったでしょう。

  • ピットを掘るので地下水を低下させる。
  • 8㎞西に文化的にも重要な湧水群がある。
  • その周囲には貴重な植生もある。
  • ピット周辺の帯水層と湧水群の帯水層は別。
  • 間に厚い不透水層がある。
このような調査結果をシミュレーションに与えると「大きな影響なし」という答えが出てきます。私が担当していたとしても、恐らくそのように結論付けたと思います。
が、実際は西方の井戸に地下水位の低下傾向が認められた。
そこで追加調査を実施。

  • 不透水層は部分透水だった。(透水係数、若い地下水(年代測定))
  • 上部の風化帯を通じて帯水層がつながっている可能性あり(メジャーイオン、放射性同位体組成の重なり、透水係数、若い地下水(年代測定))

空中電探、水質分析、地下水年代測定等を実施することで、地下水流動経路と影響の原因を特定した、という内容でした。

国内では、建設範囲外でこれだけ広域の調査を実施することはレアでしょう。温泉や重要水源への影響検討の場合は実施する場合があるものの、空中電探まではしていないでしょう。が、やるべきなのでしょうね。いろいろな可能性を考えて調査を提案することが、後のリスク低減に繋がります。それが重要である点をこの文献は示唆しています。
実務のお手本になるような文献でした。

2022年7月26日火曜日

Seismic vs hydrologic triggering of landslide dams

USGS の Landslide Hazards Seminar を発見。
このような動画を公開されているとは。さすがです。

面白そうな動画を一つ見てみました。
Seismic vs hydrologic triggering of landslide dams in the Oregon Coast Range
https://www.usgs.gov/media/videos/seismic-vs-hydrologic-triggering-landslide-dams-oregon-coast-range


文献としては以下です。
Struble et al. (2020) Dendrochronological dating of landslides in western Oregon: Searching for signals of the Cascadia A.D. 1700 earthquake
https://doi.org/10.1130/B35269.1
LaHusen et al. (2020) Rainfall triggers more deep-seated landslides than Cascadia earthquakes in the Oregon Coast Range, USA
https://www.science.org/doi/10.1126/sciadv.aba6790

Surface morphology: 地形の起伏と年代の関係は、見たことがあります。直接年代を求めることができませんので、14Cなどの結果との対比が必須になります。実務では見かけませんね。

Dendrochronology:  年輪年代学。木の年輪で降水量の多寡を把握できることは知りませんでした(13:50頃~)。年輪の個々の幅を計るのは地道な作業だと思いますが、文献では専用のソフトを利用したと書かれています。検索すると動画がありました。色の急変箇所でわかるのでしょうね。面白い。
長期成分をスプラインで除去する方法は文献には書かれていませんが、見た目以上に繊細な作業です。スプラインの頂点の間隔で答えが変わるのですが、どの木でも同じ間隔にしておけば問題ないのでしょうか。あとは相互相関を取ってマッチングするだけですので理屈だけは簡単なのですが、実装は簡単ではなかったでしょう。地震と同じ手法がこのようなところでも使えるのは驚き。ま、ベクトルにしてしまえば同じことですね。

天然ダムの安定性に関するお話も、シンプルで個人的には好きです(31:50頃~)。日本だと、異なるのでしょうか。関連文献は以下です。
Fan et al. (2020) The formation and impact of landslide dams – State of the art https://doi.org/10.1016/j.earscirev.2020.103116
Oliver Korup (2004) Geomorphometric characteristics of New Zealand landslide dams https://doi.org/10.1016/j.enggeo.2003.11.003

日本を調べている方は、またもや国外の方。怖いですね。

結論としては、地震よりも雨がトリガーになっていたようです。地道な研究を積み重ね、このような壮大な結論を導かれた方々にはリスペクトしかありません。

2021年9月16日木曜日

トリチウムの利用

地下水の年代測定において、トリチウムの有用性が低下してから、ずいぶん経過しました。
https://phreeqc.blogspot.com/2017/04/blog-post_10.html

その間、他の同位体を利用していたため、動向のチェックを怠っていました。
久しぶりに実務で利用された方のグラフを見ると、壊変前の値でプロットされておらず、壊変後の値でプロットされえていました。ま、そういう方法もあるよね、と思いつつスルーしていました。が、先日、文献を読んでいて同様のグラフを見かけました。

https://doi.org/10.1016/j.apgeochem.2021.105070
Insight into watershed hydrodynamics using silica, sulfate, and tritium: Source aquifers and water age in a mountain river

出典はUSGS
https://doi.org/10.3133/sir20195090
Tritium as an indicator of modern, mixed, and premodern groundwater age
Scientific Investigations Report 2019-5090

年代を決定できなくても、mixed か premodern かがわかるだけでも価値があります。今後はこのような使い方が主流になるのでしょう。

2019年9月3日火曜日

地下水の年代測定を省力化する採水法

先月末、農研機構さんが以下の手法を公開されました。

「省力的な採水法による六フッ化硫黄を指標とした地下水の年代測定」
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/press/laboratory/nire/131962.html
http://www.naro.affrc.go.jp/publicity_report/publication/pamphlet/tech-pamph/131331.html

以前、プロに教えて頂いた手法とほぼ同じですので、農研機構さん独自の手法というわけではありません。空気に触れさせない簡単な方法を考えると、同じところに落ち着くのでしょう。

資料の中で、定量的に評価されている点がポイントでしょう。2地点のみですが、SF6を使うにしてはやや古い時代ですので、一般化できているものと期待したいところです。

2019年4月7日日曜日

GROUNDWATER AGE

怒涛の3月が終わり、休みなく海上ボーリングへ。

1週間が過ぎ、ようやく休日。購入していた本を読み進める余裕が出ました。

「GROUNDWATER AGE」2006

若い地下水、古い地下水等、年代別での測定方法がまとめられています。SF6、CFCs の採取方法も紹介されています。トリチウムの有用性低下についても書かれています。
13年前の図書になりますが、日本にはない良書です。

でも、数式でわからないところが出てくると、お手上げ。今まで見たことのない数式なので、理解できない以上、他に手の出しようがありません。
他の資料探さなきゃ、と思いつつ休日終了。

また一週間後に資料を探してみましょう。

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20190421追記
数式、理解できませんでした。
しばらく寝かせましょう。

2017年12月23日土曜日

持続可能な地下水利用

丸善で書籍を物色。

土木や理学の見たい洋書は揃っていないのですが、コーナーがあるだけでもありがたい。基本、洋書はネットで購入しているので、お宝発掘のような気分で覗いています。
和書はそろっています。新刊のチェックが主目的になります。

この日は他に良い本がなかったので、地下水の棚に移動。ほぼ読んでいましたが、1冊だけ読んでいない図書がありました。
島田他「持続可能な地下水利用に向けた挑戦」

普段なら手に取らない図書です。が、手に取ってみました。これが当たり。
熊本の地下水循環についての話題でした(そういえば数年前に仕事としても発注されていました)。汚染物質だけでなく、温度や同位体をトレーサーにしているなど、現状で考えられるほぼ全てをシミュレーションに乗せています。当然、表流水と地下水を連成しています(当たり前のように出てくる、GETFLOWS)。図書なので、残念ながらシミュの詳細がわかりません。一度、見てみたいですね。
地質の概要はわかりやすいと思います。この地質モデルは力作でしょう。ぞっとする広さです。やりたくないですね。
シミュで地質を合わせこんでいく方針も良いと思います。トリチウムが使えない点、CFCsが効果的であった点もGood。このあたり、ほぼ私の考え方とあっていますので、引用し易いですね。

ただ、シミュの結果が観測結果とあっている、という点は疑問。再現解析で水位がずっと 2m 程度ずれたままだったのですが、「あっている」と言われています。大学の先生が「あっている」と言われると、その程度は「あっている」ことになるのでしょう。よくあることです。民間の成果なら、まず受け取ってもらえないでしょう。ま、もう少し合わせこむ努力は必要でしょうね。難しいと思いますが。

8章まで読んだ後、興味がなくなり止まりました。硝酸、ヒ素の章を読んで、終わりにしましょう。

2017年6月6日火曜日

Groundwater age

4月から時間を見て取り組んでいた地下水の年代推定ですが、一定の成果を得ました。

面白い知見もあったので発表を薦められましたが、利害関係上難しいでしょう。ま、私の技術の肥やしにはなりました。

今回は若い地下水を題材に、CFCs と SF6 をトレーサーとして利用しました。この利用方法は USGS や IAEA より詳細に解説されています。特に後者では年代の推定に使うパラメータや精度にかかわる事項など、基礎から応用事例まで充実した内容が紹介されています。これまで幾つか運命的な図書に出会ってきましたが、これもその1冊に加わることでしょう。

IAEA 「USE OF CHLOROFLUOROCARBONS IN HYDROLOGY A Guidebook」

水質は岩石との反応で流下とともに変化しますが、人工物質は保存性がよくトレーサーとして扱いやすいと思います(勿論、保存性の悪いものもあるようです)。それらを多点で測定しておけば、移流分散解析による再現で、時間・空間ともにより精度の高いモデルが構築できるでしょう。数十年前から実施しているトレーサー試験を再現していることと同じですからね。
それを踏まえたうえで、水質から岩石等の組成・層厚を逆解析できるかもしれません。実際は多くの問題が出てくると思いますが、理屈はあっているでしょう。

地下水の問題に関しては、まだまだ分からないことだらけです。が、それを解くのに「時間の検証」という効果的かつ強力なツールを手に入れたように考えます。
これから、もっと手を付けていきたい分野ですね。


2017年4月11日火曜日

溶存ガスを利用する際の採水

地盤工学会の基準書には、溶存ガスを利用する地下水流動調査における採水の留意点も書かれていました。

中でも、温室効果ガスについては「USGS によって詳しく検討されている」とあります。
覗いてみますと、その通りでした。非常に有用な情報が数多く掲載されています。知らなかったことも多くありました。もう、脱帽。
https://water.usgs.gov/lab/
https://water.usgs.gov/lab/sf6/sampling/tips/index.html

  • Label the bottles with the environmental sample collection time and a sequence number on each bottle in the order it was collected, 1-4 for CFCs, 1-2 for SF6. Results from the lab will list each bottle. The lab will offset the sample times by adding the sequence number to the environmental sample time. Record headers will have to be created for each bottle for entry into NWIS. Bottle #2 collected at 1000 will have results with time 1002.
  • Do not fill and cap the SF6 bottles under water. It is important that water NOT enter the area behind the cone seal in the SF6 cap. The area behind the cone seal allows the water to expand as it warms up to room temperature without breaking the bottle.
  • Store and ship the CFC bottles upside down, and ship them weekly to the CFC lab in Reston, VA; holding times for the CFC and gas samples is limited and they need to get into the sample processing queue. Do not store or ship SF6 bottles upside down.

シーケンス番号で時間を補正するほど精度があるとは思えないのですが。ま、これからは書いておきましょう。CFCs は逆さまで、SF6 はダメというのは、どのような理由なのでしょうか?蓋のシールに関係するのでしょうか?

https://water.usgs.gov/lab/chlorofluorocarbons/sampling/bottles/
CFC sampling photos. Note that outer beaker does not have to be glass. Outer beaker can be glass, metal or plastic.
外側の容器は気にしなくても良いとのことですが、ふたを閉める際に汚染されそうです。やはり、念には念を入れたいところです。


溶存希ガスは、扱ったことがありません。サンプラーに関しては、銅管で両端にコックが付いたものを使うようです。先日のサンプラーですね。レギュレーターがなぜついているのか?と思っていたのですが、圧力調整用のようです。完全に、知識不足です。
http://www.panasiatec.com/sample_cylinder.html


まだまだ知らないことだらけ。地下水調査の質を落とさないよう、もっと基礎知識を身に付けないとなりません。

2017年4月10日月曜日

地下水のトリチウム濃度

地盤工学会の基準書を眺めていますと、「第7編 地下水調査」の最後に、「同位体による地下水の流動調査」について記載があることに気づきました。

恥ずかしながら、ここまで読んだのは初めてです。
基準化には至らない、近年の動向についてまとめられているようです。先日利用した温室効果ガスの利用について触れられていますし、δ18Oの解釈例についても掲載されいます。後者のような利用法があるとは知りませんでした。今後の参考にしましょう。

「(3)評価 a)温暖化ガス」の中に以下の文言があります。
特に近年では降水中のトリチウム濃度が低下しており、トリチウムによる定量的な滞留時間の評価が困難となってきているため、トリチウムと同程度の滞留時間を評価できる方法として期待されている。
トリチウムが使えなくなってきていることは、数年前に書き残しています。
https://phreeqc.blogspot.jp/2011/06/dating-of-groundwater.html?m=0

理由として、この文献の図が分かりやすいと思います。
Plummer, L.N., Böhkle, J.K., and Busenberg, Eurybiades, 2003, Approaches for ground-water dating, in Lindsey, B.D., Phillips, S.W., Donnelly, C.A., Speiran, G.K., Plummer, L.N., Böhlke, J.K.,
Focazio, M.J., Burton, W.C., and Busenberg, Eurybiades, Residence times and nitrate transport in ground water discharging to streams in the Chesapeake Bay Watershed: U.S. Geological Survey Water-Resources Investigations Report 03-4035, p. 12-24.
https://water.usgs.gov/lab/chlorofluorocarbons/research/chesapeake/gwdating.pdf

トリチウム濃度については、福島の原発事故でどうなったかな?と気になっていたところですが、調べてみると↓にありました。変化ないですね。
http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Top2/849/123/H26nenpou2,0.pdf


トリチウムに替わるのが温室効果ガス。
自然の地下水流動を守るために、ヒトの汚染物質を利用するというのは、なんとも皮肉なものです。

2017年4月7日金曜日

観測孔と採水

穏やかな天気の下、採水に行って来ました。

観測孔において、パージ&採水を実施できるように入念に計画したのですが、いきなり失敗。どの観測孔も透水性が低く、すぐに水位が下がってしまいパージになりません。aquifer materials が粘性土や軟岩主体でしたので妥当な結果ではあるのですが、掘っていた時は、もう少し回復の速い孔があるように感じていました。感覚は時間に弱いですね。

採水はあきらめ、孔間応答確認、簡易揚水試験(といっても揚水継続は短時間)のみに切り替え。こちらは綺麗なデータが取れました。準備しておいてよかった。

翌日、採水の仕切り直し。採水の際に大気に触れさせないようにするのが比較的容易な位置のみを選択し、実施。最初はやや時間がかかりましたが、最終的には計画通り問題なく終わりました。


観測孔からの年代測定用の採水は、次の機会に持ち越し。早くリベンジしたいと思います。


2017年3月15日水曜日

採水

ひと段落したら、地下水の年代測定をおこなうため、採水に出かけようと考えています。

結果の整理や、それを使った検討を行ったことはありますが、年代測定用の採水に出かけるのは初めてです(所謂、使えないヤツです)。

今回は溶存ガスを測定したいので、採水の際に大気に触れさせることができません。どうやって採ろうかと悩んでいます。
いえ、湧水なら容易なのですが、ボーリング孔の深い位置からの採水が悩み処です。孔内ポンプは羽の部分でエアをかむのでダメ。ベーラーでもプロなりの工夫はあるようですが、幾つかのステップを要するため一人での実施は困難。
他支店の経験者に聞いて見ましたが、「ボーリング孔からの採水は難しいので計画しない」と言われていました。

で、ネットを見ていると、このような文献が。
https://www.researchgate.net/publication/277573322_Groundwater_Ages_of_Confined_Aquifer_in_Mishima_Lava_Flow_Shizuoka
止水弁(ベーラーの玉?)が上下に2個ついて、その間にコックが2個ついているタイプの様ですね。見た目はこのような形でしょうか?
http://www.panasiatec.com/sample_cylinder.html
なかなか良いアイデアで欲しくなるのですが、採水箇所分のサンプラーを準備する必要があります。また、オールサスで申し分ないのですが、その分お高いでしょうから数をそろえるのは現実的ではなさそうです。

で、思い出したのがコチラ↓
https://youtu.be/pd-wG0ej5b0
後輩が買ってすぐに他支店に貸して、そのままでした。ゆっくり上下させれば気泡の心配はないでしょう。これだと一人で採水できます(何かしら、人力以外の動力を組み込めないでしょうか?)。

採水ひとつでも、わからないことや教わらないとできないことがあるようです。この歳ですが、まだまだ経験させてもらいましょう。


2011年6月16日木曜日

地下水の起源

地下水の起源

先日、トリチウムの測定についてUPしましたが、地下水の起源推定に使える同位体、化学種は他にもありますね。

たとえば酸素。重い同位体ほど早く降下(分別)するので、標高の高い涵養源ほど、軽い同位対の占める割合が大きくなります(高度効果)。トリチウム測定による滞留時間の推定と整合的かどうかのチェックになります。
私は酸素同位体を扱ったことは無いですが、温泉などへの影響評価業務では比較的良い結果をよく見ます。

また、聞いたところによりますと、まだ開発中のようですが、最近ではフロンも利用されようとしています。核実験で放出されたトリチウムと同様に、フロンも人為起源による濃度変化を利用したトレーサーです。濃度変化を見る限り、トリチウムより近い年代に効果的かと思われます。

トリチウムで~60年、ヘリウム併用で~100年、フロンで~50年です。
いずれにしても、影響評価には使えます。具体的には表流水との区別や粒子追跡などによるチェック・検証、あるいはその根拠としての利用が考えられますね。
どのくらいの年代の地下水を相手にするのか考えて、手法を選択する必要がありますね。

2011年6月9日木曜日

Dating of Groundwater

温泉に対するトンネル掘削の事後評価業務の中で、後輩がトリチウムを測定することになりました。

「年代が求められない場合もあるので、事前のデータを見ておかないといけない」と言ったところ、「半減期が短いからですね」といった答えが返ってきました。過去に書いた報告書を渡しておきましたが、トリチウムを使った事後評価の手法、事前データのチェックの必要性は理解できたでしょうか?

後輩は話題の放射性というキーワードにはまって、地下水流動まで頭が回らなかったようです。前回測定した地下水がそこに留まり続けることはありません。そのため、トリチウムは単順に減少はしないのです。次々、新しいトリチウムを含んだ地下水がやってきます。増える場合もあるでしょう。

もうひとつ。トリチウム濃度は大気と非平衡になった時点から減少します。例えば、2000年測定時に10T.U.であれば1960年前後、もしくは1970年前後での降雨浸透となります。そのため、浸透個所から測定個所までの滞留時間は40年か30年になります。地盤の透水性や地下水年代のコンター図を描けばどちらかはっきりするでしょう。
仮に滞留時間が30年だった場合、今年測定して年代をきめるのは困難です。水爆実験のピークを過ぎて天然レベルに近付く傾向となり、年代が一義的に決まらないのです。今後、ますます困難になっていくでしょう。

そのため、現在では酸素同位体やヘリウムなどの測定を併用しているようですが、私はやったことがありません。地下水を専門とする他の技術者がやっていますので、この際、聞いてみましょう。

ちなみに、池のトリチウム濃度も測るようです。地表水と地下水の混合を計算する必要があるのでしょう。福井県や愛媛県の公開されているデータを見れば、使えるかもしれませんが。

そういえば、以前、PHREEQCでisotopeをMIXできないと書きました。
http://phreeqc.blogspot.com/2010/08/phreeqcisotopemix_09.html
本当にできないのか再度チェックしたところ、あっさりできました。トリチウムを含むデータベース”iso.dat”を選択し、適当な濃度を入力、mixさせたところ、ちゃんと計算してくれました。逆解析もできそうなんですけど。何をやってたのでしょうか?
でもこれで、水質試験結果と併せてMIXでチェックできますね。