2015年8月25日火曜日

進行性破壊

地すべり学会誌に、安定解析で進行性破壊を表現する論文が掲載されていました。

大西ほか(2015)「進行性破壊を考慮した新しい斜面安定解析法」地すべり学会誌,Vol.52, No.3

大雑把には、弾塑性 SSRFEM で得られる進行性破壊と同様の結果を、LEMでも表現できる、といった内容でした。数式の一部で「誤植?」となりましたが、発揮される強度と安全率の捉え方、残さ力の再配分などはSSRMと同じようなもの。比較的優しいと思います。

地すべりで SSRFEM を活用している事例は、10年以上前に講習会やじすべり学会誌などで周知されるようになったと思います(テキストはもっと昔からありました)。当時は「これは凄い、流行になる!」と感じていたのですが、実務では全く広まりませんでした。おそらく、地すべりの実務は逆算の世界、SSRFEM は順算だったからでしょう。

今回の安定解析も、順算です。SSRFEM と同様になるのはもったいないですね。

2015年8月23日日曜日

ArcGIS の地下水解析

ArcGIS のSpatial Analyst に「地下水解析」があります。

見つけたときに「なに、これ,?」と思いヘルプを見ました。平面2次元浸透流の、差分法に近い計算式です。が、具体的な操作方法がよくわかりません。サポートも詳細を把握されていなかったようで(Arcで地下水を計算したいと思う人がレアなのでしょう)、やり取りしながら試してみました。

通常の浸透流ではパラメーターを設定し水頭を求めることが多いのですが、これは異なりました。水頭、透水量係数、有効間隙率を設定し、流向・流速や水収支を計算します。流向・流速は、それぞれラスターの各セル内に格納されます。Ver.10.3よりセル値のベクトル表示が可能となったようで、流向ラスターに流速ラスターを magnitude として設定すれば、ベクトルが作画されます。
また、流向・流速より任意点からの粒子追跡が可能で、さらにそれを使った移流分散計算結果がTXTで書き出せます。TXTには時間・濃度・距離などが入っており、それを使用して任意時間の濃度を可視化できます(結果を見る限り、近似式の方を使用しているようですね)。

通常の浸透流よりは制限が多く、特に水頭を正しく与える必要があるため、利用法は限られてくると思われます。地形・水系からkmスケールで、流向を読み取りたい、汚染物質がどの方向へ流れやすいか知りたい、といった机上調査に利用できそうです。GIS ベースなので計算時の座標を気にしなくて良い点、結果の可視化(地形などとの合成)の手間が省ける点などは、通常の浸透流と比べて有利でしょう。

簡単な2次元差分はEXCELでも解けますが、Arcなら透水量係数の変化として構造物の影響を扱えます(疑似3次元のようなもの)。水頭入力は独特ですが、理論上これもまた然りといったもの。
手を動かしてみると、多様な考え方に出会えます。蛙が大海を知るためには、自ら動き続けないといけませんね。

ArcGIS でコンター図

地下水コンターを描く際に、観測井のデータ以外に水系の標高を利用したい場合があります。

その場合、水系の座標(XYZ)が必要になるのですが、その取得方法はソフトによって手数がかなり変わってきます。
基本は、水系のSHPファイルを読み込んで高さを与えたり、3Dポリラインやポイントを作成して座標を抽出したりするのですが、力技になる場合が多いと思います。

最近、 ArcGISでコンター図を作成したのですが、これ、一番楽でした。大まかには、以下の流れです。
1.水系のSHPを読み込む。
2.そこからポイントを作成。
3.ポイントに地形ラスターから標高を与える。
4.観測井のポイントとマージ
5.マージしたポイントから水面のラスター作成。
6.水面ラスターからコンター作成。

4で作成した座標を書き出せば、他のソフトでも利用できます。観測データの追加や変更がなければ、5のデータを GeoTiff にしたり、6のコンターを CAD データとして書き出しても良いでしょう。

地形に関しても、GeoTiff と、その範囲の CAD データの2種を書き出しておけば、Civil3D 側の作業が楽になります。TIN サーフェスで地形を作成したい場合、その2種を読み込んで切り抜きサーフェスを作成するだけでOKです(グリッドサーフェスだと、GeoTiffだけでOK)。MVS もGeoTiffだけでOKです。便利ですね。

1つのソフトで作業を完了することにこだわらず、複数ソフトの長所を拾って組合わせると、作業は楽になりますし、ゴールにもたどり着きやすいと思います。


2015年8月21日金曜日

LANDSAT8 + ArcGIS

蒸発散量の算出にLANDSATのNDVIを使用している文献がありました。

ArcGISを使用して算出しているようです。
広域の浸透流をかける際、各場所毎に蒸発散量をを設定します。これがNDVIからカテゴライズ&プロットできるようになると良いですね。
浸透率に関しては、スケールによっては国土数値情報 土地利用細分メッシュデータを利用できます。これも衛星データを利用しています。広域の地表データの抽出には、リモートセンシングの出番ということでしょう。
http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/jpgis/datalist/KsjTmplt-L03-b.html

Landsat画像は、USGSのサイトから入手できます。Landsatlook Viewer で欲しい年、Cloud Cover 率などを指定後に検索をかけると、条件に合ったデータを提示してくれます。良い時代になりました。 さすがUSGS、素晴らしいですね。
http://landsatlook.usgs.gov/viewer.html

昔はデータを購入し、Photoshop や ER Mapper で加工していました。今回はArcです。 大まかな流れは以下の通り。簡単ですね。
1.メタデータをカタログからドラッグで取り込み
2.画像解析のNDVIボタンを押す!


1時間ほどで完成。
リモートセンシング、復習しないといけませんね。

2015年8月18日火曜日

地形・地質情報の表示

大局的な地形・地質情報を見るのに、データの重ね合わせや可視化は有効な手段です。

最近は多くのソフトで可視化が可能となっていますが、手順・手間は様々です。
私は、Civil3d, Infraworks 360 LT, Google Earth Pro, カシミール, 地質図Navi, ArcGIS などをよく使用しています。

Civil3Dでは、Bing Maps (道路+航空写真)をボタン1つで on•off 可能です。測地系の設定ができますので、基盤地図情報や Open Street Map などから切り出したSHPファイルを指定すれば、写真や、地図に重なって表示されます。ただし、これらを3次元でグリグリ回すのは難しいでしょうか?
グリグリ回すには 5mDEM 等を取り込んでサーフェスを作る必要があります。が、海域などを含んでいると、その部分のTINを消去しないといけないため、手間がかかります。
ただし、現場スケールでは、現段階で必需品となっています。

Infraworks ではモデルビルダーで簡単に3次元可視化できるのですが、LT版には付属していません(モデルビルダーの精度もイマイチ)。CUG の HP でアナウンスのあるビルダーデータ収集プログラムも、GeoTiffなどに変換してくれない場合があります(海域がダメ?)。地形に関しては基盤地図情報を ArcGIS で GeoTiff に変換し取り込むのがベストだと思います。取り込んでしまえばグリグリ回せます。
現場スケールで Civil のデータがあれば、その後の可視化(データ取り込み)は専門技術を必要としないため、お手軽です。

3次元表示で手軽なのが Google Earth。デフォルトの標高データは粗いですが、広域なら問題ありません。少なくとも、写真と DEM の準備が必要なくなります。KML に加え Pro 版では SHP を読み込めますので、上記の細かい水系や道路、シームレス地質図などを重ねて立体表示できます。グリグリも問題ありません。広域を見たい場合は、これが楽でしょうね。ただし、重いデータは表示できず、落ちてしまう難点があります。また、WMS にも対応していますが、一部の透過がうまく表示されない問題も残っています(残念)。

カシミールはかなり昔から使用しています。最近は他のソフトを利用することが多く、利用は減ってきました。
主にGPSトラックの取り込みと踏査写真のプロット等に利用しています。また、空中写真の年代別表示が非常に手軽です。Google Earth よりも、昔の写真に対応しています。

地質図Navi はかなり優秀です。
シームレス地質図のみならず、各種 WMS (地すべり分布図、活断層分布図、水理地質図など)をデフォルトで有していますので、一通りの情報を手軽に得られます。
欠点は3次元可視化できないこと。これだけです。非常に惜しいのですが、情報量と手軽さは他を凌駕しています。今後の発展に期待です。

 ArcGIS (ArcMap)もいいですね。インストールしたPCが直近にないので、使用頻度はたと比べて少ないのですが、基盤地図情報を取り込むのはこれが一番手間がかからず綺麗に取り込めます。さすが老舗です。現在、Ver.は10.3です。
SHP取り込みは勿論、それの加工もお手の物。2次元でのデータの重ね合わせや演算に特化しています。
先日知ったのですが、Spatial Analystでは簡単な2次元平面の地下水計算が可能です。ちょっとクセがありますが、流速や粒子追跡、移流分散の表現が可能でした(これはまた、後日)。
欠点は地質図Naviと同じ3次元の概念が薄いこと。グリグリはできません。dwg 読み込み可なのですが、Civilのソリッドも読めません。残念。
余談ですが、サポートがすばらしい。レスポンスは 早いし、内容も丁寧です。


それぞれ、一長一短です。
現段階では、必要なスケールと目的に合わせ、それらを使い分ける必要があります。

2015年8月16日日曜日

桜島とハザードマップ

PC版の地質図Navi を眺めておりますと、「火山ツール」という機能が下の方に表示されていました。

同じ産総研の「第四紀噴火・貫入活動データーベース」を利用し、プロットしているようです。興味を引いたのが、そこにある火砕流シミュレーション。表示された火山の中から計算したい山を指定し、経験的なパラメーターを入力すると、地形的に火砕流流の到達しうる範囲(H/L値)が示されます。優秀な地質図Navi ですが、ここまで重ね合わせができるようになっているとは知りませんでした。

ニュースになっている桜島で表示してみましたが、意外に北側中心の結果。避難勧告は東南地区主体であったのに、おかしいなあと思って見てみますと、どうも火山の位置が火口とずれています(現在活発な火口以外から噴出しないとは限らないので、それでも良いのですが)。
地質図Navi 上では火口を動かすことができないので、本家サイトへ。
http://g-ever1.org/quick/
本家サイトで南岳の火口をクリック、位置指定を行って計算。結果、南東中心の範囲になりました。この結果は kmz 書き出し後、Google Earth で 3D 表示可能です(不具合もあるようですが)。

桜島のハザードマップでは、危険なエリアが円表示になっています。http://www.city.kagoshima.lg.jp/shimin/kikikanri/kikikanri/kurashi/bosai/bosai/map/sakurajima.html
「事前に、火口の位置を予測することが困難」「火口は山頂を挟んだ両山腹にできる可能性が高い」「島内全体にわたって危険な状態」と書かれておりますので、被災の可能性としては全島を考えるということでしょう。
昨日の避難勧告は、まず被災の可能性が考えられた東南側自治体において、昼の間に避難できるよう出されたということでしょうか?今後、火山性地震が活発化すれば(昨日よりは落ち着いたようですが)全地区避難となるのでしょうね。

地質図Naviでは、観測位置が公開されています。火山性地震の発生回数は気象庁から発表されています。傾斜計やGPSの結果もどこかで公表されているかもしれません。いろいろな情報がネット等から得られるのですが、それらをどのように一元化、アナウンスしていくかは、土木分野共通の課題なのでしょう。


2015年8月14日金曜日

Phantom3 とSfM

Phantom3 から GoPro ではなく、専用カメラとなりました。

ReCap 360 (photo) はGoPro3+, 4 の魚眼レンズをサポートしていました。シャープな画像であればそれ以外でも問題ないとの回答が、以前見かけた forum にありましたので、先日、先輩が撮影した動画で試してみました。

4K対応、4GB近い MOV 形式です。まず、MOV を閲覧するために コーデック か Player を探す必要があります。今回は、GOM Player で閲覧しました。
偶然だったのですが、ソフトに画面キャプチャ―機能がついていました。しかも、「○秒おきに○○枚」といったような指定ができます。ReCap での SfM を目的とするため、2秒間隔の250枚で切り出しました。大満足。

それを ReCAP 360 に投げて寝かせていますと、できました。仕上がりに問題ないですね。
撮影範囲と角度さえ工夫すれば、4K動画からでも問題なく3次元可視化できます。またルーチンが増えました。

2015年8月13日木曜日

崩壊と安定計算

京大防災研「地盤災害論」山海堂を読んでいますと、間隙水圧と水位の図が出てきました(p13)。

非常に簡素な図ですが、これ、よく混同されています。実務上はほとんど区別されていないといっても良いでしょう。

地すべりの場合、すべり面にかかる有圧水の(過剰)間隙水圧を計測している(はずの)ため、安定計算式は整合しています。が、断面に落とす際には「H.W.L.」など、「水位」と表記するのが慣例です(水圧線などと書かれている教科書はあります)。

崩壊の場合、自由地下水の水圧を計測することが多いのですが、実務ではp14のような内容を意識せず、水位・水圧を取り扱っています。
また、崩壊でも自由地下水対応の式は使用せず、地すべりと同じ式を採用するケースが多いようです(有圧水でも BishopやJanbuを使用する会社は、残念ながらまだ少数派です)。理屈はあっていませんが、経験と割り切りで対応されてきた分野なので、OKなのでしょう。浸透に関し体積力法と水圧法が同じ結果を出すこと(地盤工学会「斜面安定解析入門」p40)、浸透を考慮した式が結果的に修正Felleniusに通じること(申潤植「地すべり工学-最新のトピックス-」p12)なども混乱する一因としてあるのかもしれません。

地盤災害に限らず、土木は経験色の強い分野です。が、理屈を習得しておくことも重要だと思います。

2015年8月8日土曜日

歯科医と患者

虫歯の治療が終わりました。

以前通っていたデンタルクリニックでは「様子見」だったのですが、今通っている所では一人目の歯科医が「様子見」、もう一人が「治療」といった判断でした。

結局、両者相談の上、治療が始まったのですが、治療を受けながら全く異なることを考えていました。
  • おそらく、判断が難しい問題だったのだろう。
  • 事務所に居れば、お客さんが問題を運んできてくれて、その場で即時調査・判断・対策が始められる。対価も決まっており、利益率は高いのだろう。
難しい問題に踏み込んだ判断するには、やはり高度な知識と経験が必要になるのでしょう。それは資格制度だけでなく、「人気」や「口コミ」といったバロメーターに反映されます。
また、治療計画書や設計図を作成する手間が無い、最初に関わった仕事を逃すことがほぼない(治療計画だけを無償でまとめさせて、他の歯科医に発注する患者はいない)、ほぼ100%の対価が保証される(治療費3割引きなど聞いたことがないし、施した手間の一部を「慣例」などと言って支払わない患者もいない)でしょうから、かなり利益は出やすいと思います。

また、患者側もその恩恵を実感していること、逆に質が悪ければ直ぐ気づき、しかも自身に悪影響が出ることなどから、対価の支払いに躊躇しないのではないでしょうか?

高度な知識と経験を有する歯科医、対策の質に敏感な患者、両者が揃っているからこそ、うまく回っている分野なのでしょう。

2015年8月5日水曜日

トンネルCIM

CIMトンネルモデル作成ガイドラインVer.0.3が、JACIC のHPに掲載されています。

今年度Ver.1.0になるそうですが、特に実務に影響を与える規定や、詳細な仕様はなく、効力についても不明です。現段階では、ソフトウェアベンダーの飯のタネに利用されているのみでしょうか?

地質に関しては、パネルダイアグラム作成までしか要求されていません。
掘進時の切羽点検では、地質の分かる方も少ないでしょうし、全切羽で修正(作成)も通常のトンネルでは実施されないでしょう。そのため、その程度に止まるのだと思われます。

Webでは、大林さんの施工段階での取り組みをよく見かけます。本来であれば、そのモデルを用いて維持管理段階の情報を入力•蓄積し、データベース化できればよいのでしょうが、現段階では、施主側での既存の管理法や委託会社の環境に左右されるでしょう。

いずれ、データフォーマットが規定され、入力仕様も定まってくれば、各社ソフトも揃って、うまく流れるようになるかもしれません。
今後の動向と、若い方の好奇心には留意しておきましょう。


問題解決の視点

天然ダムの決壊計算を実施し、「まだまだ」と思った点に以下のようなものがありました。

・浸透流やパイピングの取り扱いがない。

あくまで手を動かした KANAKO での感想ですが、理論上、他の多くの河床変動計算コードにも当てはまると思います。
天然ダムを越流するまでは、計算上、ダムが安定しています。そこに浸透流やパイピングの概念は組み込まれていません。流水による河床変動の計算をベースとしているので当たり前なのですが、実際とは異なり違和感満載ですね。


話は変わりますが、昨年発生した広島の土石流について、地下水の上昇のみでは説明できない点がいくつか挙げられています。

・1次元浸透流で雨を入れると、表層部は飽和するが底部は飽和しない。
→降雨が短時間のため、空気が封入され飽和しない。
・室内試験による強度定数を使用すると、安全率が1.2を上回る。
→ではなぜ崩壊したのか?
・軟岩が削られ、V字・U字の谷が形成されている。
→6.29ではなかった現象。

被圧地下水、パイプ流、空気圧が関与した可能性があるようです。深層崩壊と共する部分があります。それらを計算に載せるためには、綿密な踏査による地質状況の把握と調査法・解析法の技術開発といった両輪・フィードバックが必要でしょう。


問題を解くには既存の幾つかの視点、新たな視点の組み合わせが重要になるということだと思います。一歩引けば、見えてくるものもあるのでしょうね。


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20150811追記
同僚や先輩が、昨年度発生した広島土石流に関わっています。
相談を受けてアドバイスしていましたし、講演も聞いていましたので知ったつもりになっていました。報道も可視化結果も見ましたし、6.29にも携わっていましたので、余計に勘違いしていたのでしょう。
先日、現場を眺める機会があり、そこで勘違いに気づかされました。
想像より大きな現場でした。机上では伝わらないものがあります。

今後に活かすためにも、現場と机上、両立しなければと反省。現場を見るだけでもダメ、可視化やシミュレーションなど、机上だけでもダメ。両立できて初めて人の役に立てるのでしょう。

2015年8月4日火曜日

Hyper KANAKO その2

Hyper KANAKO の天然ダム決壊解析機能を試してみました。

最初は2次元領域にダムを設定し、エラーの続出。
そういえば、説明資料に1次元計算であることが書かれていたと思い出し、1次元領域に配置し直して再計算。これで最後まで流れました。

で、結果の表示になりストップ。
描きたい断面の位置を手書きで指定し、「結果断面図作画」ボタンを押してみるのですが、無反応。
1時間ほど考え、ようやく原因が判明。どうやら、計算結果は MapWindow のプロジェクトフォルダでなく、デフォルトでは以下に保存されるようでした。これを指定しないと、読み出せなかったわけです。
C:\HyperKANAKO\ThreeD\Simulation\(プロジェクト名)\

設定を正しますと、断面の表示が確認できました(時々エラーが発生しますが)。
高さ40mの天然ダムを設定したのですが、どうも河川縦断方向の延長は指定できないようです。従って極端に薄いダムができてしまいました。天然ダムが薄いため、計算結果も決壊以降の下流側への土砂供給が少なすぎ。実際とは全く異なる形になりました。

操作は簡単ですので、もう少し開発が進み、安定性が増せば、実務でも利用できそうです。それまで再度、眠らせておきましょう。



2015年8月2日日曜日

Hyper KANAKO

講演に影響を受けたこともあり、ずっと眠らせていた Hyper KANAKO をひっぱり出して、手を動かしてみました。

気にはなりつつ、実験式を追えない(出典に詳細が書かれていない)ので、机の中で眠らせていました。

HPから最新版をインストールしてUSBを更新しセットアップ。一通りのマニュアルを読み、サンプルファイルを動かす。これだけなのですが、案外あっさり動いて、昼までに終了。堰堤の入力や計算結果の表示も問題なく動きました。

昼から広島の土石流発生箇所を題材として計算してみました。
基盤地図情報の10mメッシュを変換するツールがあったので、5mでなく10mをDL。それを変換後、初期設定ファイル作成まではあっさり進みました。
が、1次元の計算範囲を決める際にストップ。GUI は MapWindow ベースなのですが、Web 上の地図が取り込めません。OpenStreetMap 等も読めるように開発側は考えているようですが、完全対応はVer.4.9からのようです。Web Map Service (WMS) 等が容易に利用できるようになっていますので、数値地図25000は久しく使用していません。が、当面はそのCDが必要なようです。レトロですね。残っているか探してみましょう。

また、計算結果では、なぜかゴミが発生。1次元の計算部分から2次元平面領域に入った直後、計算領域の端の方で水位が発生しました。何度か実施してみましたが、すべてに発生します。どこか、設定を間違えているのでしょう。

VRMLの表示にも問題。計算結果を段彩図として重ね、VRML で 3D 表示できる仕様のようですが、それがうまく動作しません。GIS 内では表示できますので計算は(ゴミが出ていますが)正常に終了していると思われます。VRML 用のファイルを作成する段階で、何かエラーが発生しているようです。

何度か試してみましたが結果は同じ。結局、解決しませんでした。

ま、急ぐ話ではないので、次に天然ダムを取り扱ってから、また寝かせておきましょう。


2015年8月1日土曜日

河床変動計算

先日、河床変動に関する講演を聞いてきました。

昨年度、土石流特有の実験式を追いきれず、また実務でも計算不要となったためスルーしていたのですが、良い機会なので聴講してきました。
http://phreeqc.blogspot.jp/2014/12/blog-post_21.html

河床変動方程式は1970年代には既に提唱されていたようで、40年以上使用されています。が、その割には、土石流、河川で異なる式を使い、しかも土砂濃度といったユニークな視点で多くの方が実験を行い、それぞれ独自の式を提唱されてきたようです。門外漢から見ると、他分野に比べあまり統一されていない印象を受けます。いずれ統一されるでしょう。

講演は、いくつかの計算例を用いて説明がなされており、いずれも興味深い内容でした。
少し期待していた基礎方程式(実験式)部分は軽く流され、その先の話がメインでした。ま、これは仕方ありません。
中でも印象に残ったのが、表層部の影響の評価。河床変動に関しては、砂州内の浸透流や表層の植生の影響を考えないと、全く合わないそうです。
側方浸食については、取り入れていないコードがスタンダードのようです。短期の河床変動を相手にすることが多いのでしょうか?

様々なコードがあるようですが、この分野、2次元平面までが主体のようです(LS-FLOWもそうでしたね)。3次元に比べ簡易ですし、流れの部分の方程式はどれもほぼ同じようですので、とりあえず周りから攻めてみましょうか。