2011年11月30日水曜日

AutoCAD とクラウド

AutoCAD WS というモバイルアプリがあります。
http://www.autodesk.co.jp/adsk/servlet/pc/index?id=15771272&siteID=1169823

iPhoneには随分前に入れていますが、実務では一度も利用したことがありません。さすがに、iPhone で CAD 図面を編集する根気はありませんので。テストケースでは大きな図面は表示できませんでしたが、今考えると Civil3D の図面だったからでしょうか?

このアプリ、 iPhone だけに限らず iPad、Android、通常の PC の Web ブラウザー、さらには iPod touch に至るまで対応しています。アプリをインストールしていなくてもWebブラウザーから(ある程度)編集できるところが良いですね。
クラウド上での共有・同時閲覧・チャット可。2人で1つの図面を見る場合、2つのカーソルが同時に表示されるようです。遠隔地からの打ち合わせに有効ですね。タイムラインも保持されています。そして無償。

そういえば、Photo Scene Editor もクラウドサーバーに計算させていましたね(現在は123Dに取り込まれています)。

恐るべしAutodesk。

2011年11月29日火曜日

地盤の固有周期

道路橋示方書の液状化の計算で、地盤の特性値(固有周期)TGを求める箇所があります。

層圧HをVsで割って4倍する簡単な式ですが、今まで意味を考えたことがありませんでした。そこに興味がなかったのです(技術者がこんなことを言ってちゃいけないのですが)。

先日より、吉田望「地盤の地震応答解析」を読んでいるのですが、その中で式の説明がありました。単純な話です。T = λ / V ですから、地震波のλが層厚Hの4倍の時に反射波と同位相になり、波が増幅されるわけです。定常波の発生による共振ですね。多層の場合は簡易的に各層の4H/Vsを足し込んでるわけです。1次固有周期と言うのは3/4、5/4でも増幅されるからでしょうか?

地震応答解析の概念は理解しやすいですが、液状化はまだ理解していません。
一歩ずつ進みましょう。

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2014/2/21追記
地盤工学会「ジオテクノート9 地震動」p22にも書かれています。

2011年11月28日月曜日

Visual Studio 2010 shell

先日、Visual Fortran を Ver.12 に入れ替えてから、EXCEL や WORD を立ち上げる際に、VS 2010 shell のインストーラーが起動するようになりました。

サポートに聞いても事例は無く、試行錯誤。

3~4時間かかりましたが、原因が分かりました。
VS 2008 shell を後でアンインストールしたのがまずかったようです。システムを復元し、VS 2008 shell をアンインストール、2010 shell をリインストールで正常な動作になりました。ふ~。

で、早速 VF12でコンパイルし、計算時間を測ってみました。

結果、・・・遅くなりました。

まあ、こんなもんです。

2011年11月27日日曜日

汚染は無主物?

11月14日の朝日新聞デジタルに、以下の記事が出ていました。
テレビでも報道されていたようですが、この時は特に気にとめませんでした。
http://www.asahi.com/national/jiji/JJT201111140111.html

福島ゴルフ場の仮処分申請却下=「営業可能」と賠償認めず―東京地裁
東京電力福島第1原発事故でゴルフコースが放射性物質に汚染され、営業できなくなったとして、福島県二本松市のゴルフ場「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部岩代コース」の運営会社など2社が、東電に放射性物質の除去と損害賠償の仮払いを求めた仮処分申請について、東京地裁(福島政幸裁判長)は14日までに、申し立てを却下する決定をした。2社は同日、東京高裁に即時抗告した。
決定で福島裁判長は、ゴルフ場の土壌や芝が原発事故で汚染されたことは認めたが、「除染方法や廃棄物処理の在り方が確立していない」として、東電に除去を命じることはできないとした。
さらに、ゴルフ場の地上1メートル地点の放射線量が、文部科学省が子供の屋外活動を制限するよう通知した毎時3.8マイクロシーベルを下回ることから、「営業に支障はない」と判断し、賠償請求も退けた。 

ところが24日、朝日新聞の記事「プロメテウスの罠」や26日「みのもんたのサタデーずばッと」で裁判における東電さんの答弁内容が公にされ、ネットで火がついたようです。話題になっている部分は以下の点です。検索すれば簡単に見つかると思います。
  • (放射性物質は)もともと無主物であったと考えるのが実態に即している。
  • 債務者の所有権を観念し得るとしても、 既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。つまり、債務者が放射性物質を所有しているわけではない。
つまり、東電さんは飛び散った放射性物質は、既に当社のものでない(だから、除染しない?)と主張されていたようです。この答弁、本当でしょうか? 本当なら、石原都知事が言うように、日本人がダメになった証拠かもしれません。
まあ、ネットでは一部だけをクローズアップしていると思いますので、答弁書を全て読まないと判断できませんが。

裁判所がこの主張をどう判断したのかわかりません。しかし、結論として「棄却」であれば、この理屈が通ってしまったように受け止められる恐れがありますね(それで火がついたのですが)。本当のところどうなんでしょう?


大気汚染や地下水汚染などの環境問題も、同じ理屈で「もう既に私のものではない」は認めてもらえないでしょうね。


2011年11月25日金曜日

libiomp5md.dll と OpenMP

急ぎの計算があったので、後輩の Workstation を借りています。

Del l の precision T3500です。
残念ながら4コアでした。

早速、OpenMP で並列化済みの Dtransu とデータファイルをHDにコピーし、起動!
と思いきや、いきなりエラーが出ました。

コンピューターにlibiomp5md.dllがないため、プログラムを開始できません。・・・
そういえば、コンパイル時にライブラリーにリンク張る設定にしてました。(っていうか、並列化コード、使ってないんですね。もったいない。)

libiomp5md.dll を自分のpcからコピーして再度実行すると、以下のエラーが出ます。

アプリケーションを正しく起動できませんでした(0xc000007b)。・・・

うーん、これは前にも見おぼえがあります。でも、忘れました。
検索してみると、X86の dll を64bit OS で使用した場合に出るエラーでした。
64bit 用の dll に入れ直すと、正常作動しました。


うーん、OpenMPで並列化したコードを配布する場合、このライブラリーは一緒に配布して良いのでしょうか?サポートに問い合わせると、以下の回答が得られました。

「可能リスト(fredist.txt)に入ってますし、Redistributable Libraries に入っているので問題ないですよ。」

そうですか。そんなリストがあったんですね。
確かに、書かれていました。どこまで見ていないんでしょうか。



余談ですが、SSRの更新をしたにもかかわらず、登録をしていなかったため、Update 7もDLできない状態でした。あわてて登録、VFを12に、shellを2010に入れ替えました。はあ、プロが側に欲しい。


さらに余談ですが、12月の地下水学会の講習会で2次元版DtransuのOpenMP並列化コードが配布されるようです。他支店から参加するので、参考に見せてもらいましょう。


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2012.8.24追記
上記だけではダメな場合もあります。
基本は Redistributable Libraries をインストールしてしまいましょう。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/08/0xc000007b.html


2011年11月24日木曜日

破壊と圧密の繋がり

先日の体験セミナーで、太田先生の論文集CDを頂きました。

関口太田モデルの概念は、恥ずかしながらこの年にして、やっと理解しました。日本では頻繁に使用されている超有名な構成則のようですね。MIDAS社はその太田先生と打ち合わせをしながら圧密モジュールを開発したそうです。それで記念に論文集を配布しているとのこと。

中を見て愕然。分からないことが多すぎます。ちょっとは理解していたつもりですが、まだまだです。

それでも眺め続けていると、ふと気が付きました。
「太田秀樹・・・・見たことがある名前・・・・深川先生と共著?・・・あ、pressuremeter とベーンの太田先生だ!」

繋がりました。
昔、孔内水平載荷試験からc・φを求めるのに、関係論文を集めていた時期があります。その中でよく出てきた名前でした。地盤工学会「土の強さと地盤の破壊入門」の中でも詳しく紹介されています。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/01/blog-post_8311.html


失礼ながら、偉い方は先人だとばかり。
マイナーな方を先に知っていたわけですね。

ま、破壊と圧密が繋がるのは、今となっては納得です。

2011年11月23日水曜日

MIDAS

MIDAS 社の SoilWorks という 2次元FEM ソフトの体験セミナーに参加しました。

以前、ある仕事で MIDAS GTS に関し問い合わせをしていたことがあります。3次元の SSRFEM が可能だそうで、お客様への御提案にと思い、製品価格や技術的な問い合わせをしておりました。価格が高かったため、その時は購入しませんでした。
今回、2次元版のセミナーに参加すれば、3次元版の GTS も1年間フル機能で体験できるということで、つられて行きました。(後で知ったのですが、他支店の他部署でもつられていて、そちらは既にサポート会員になっていたようです。)

MIDAS 社のプリポストは CTC 社の SoilPlus でも採用されています。今回の SoilWorks でも同じようなインターフェースでしたが、さらに改良が加えられていました。個人的には非常に使いやすく、満足できるレベル。AutoCAD からのコピペでジオメトリを持ってこれる点や、3Dビューで矢板や杭の形状を3次元モデル表示させることが可能な点など、操作性や可視化は十分満足する内容です。実際の負荷のかかる計算はやっていませんが、2次元であればそれほど問題にはならないでしょう。
肝心のソルバー機能について詳細は体験できませんでしたが、静的変形モジュールは浸透流モジュールなどと浸透力や水位、水圧としての連携ができるそうです。非関連流れ則も選択できました。
下の動画は YouTube に up されていた、MS-Word の報告書自動作成機能です。トライアルの整理時には良い機能ですね。


ただ、これだけ高評価しておいてなんですが、たとえ肝心のソルバー機能が良かったとしても、購入しないでしょうね。既に所有している3次元ソフト(SoilPlus)で2次元解析可能ですから。新たに100万、200万のお金を払って2次元ソフトを購入するメリットがありません。(2次元しか扱わない企業にはお勧めですが。)

で、GTS と SoilPlus との比較になります。
インターフェースは同じなので、ファイルの入出力、ソルバー機能、価格の比較になります。
どんな内容か、早く知りたい所です。

2011年11月22日火曜日

Asの含有形態 その2

3段階抽出法が何を表しているのかがよく分からなかったので、土壌汚染担当の先輩に聞いてみました。

「実務ではやっていない。段階的な抽出法自体は学会発表レベルでは多くある。」とのこと。

教えていただいた発表予稿集をあさってみますと、5段階のような試料を繰り返し利用する抽出法が発表されていました。それぞれの段階で何を対象に何を用いて溶かすかが説明されており(想定通りきちんと解けているかどうかの検証はありませんでしたが)、こちらは説明しやすいですね。実務でやるとしたら、あいまいな3段階でなく、5段階なのでしょう。

このような試験が実施されているのであれば、モデルコンセプト確立まで、もう少しですね。

2011年11月20日日曜日

Asの含有形態

土のAs含有形態について考えています。

熱力学データを用いた反応計算でAsの含有形態を推定するには、土と水(間隙水)の両者のデータが必要です(定量的にも、定性的にも)。ところが、実務で実施される含有量試験は湿潤状態の試料であり、間隙水に含まれるAsも一緒に測定してしまいます。その影響がどの程度かは現場によって異なるでしょうし、区分して測らない限りは良く分からないデータが得られることになります。つまり、計算には使えません。
特に吸着の場合はひと手間必要です。純水で土を洗うと間隙水の影響は抜けますが、吸着しているAsも一緒に洗い流してしまいます。水を使用してはダメということです(海外の参考書では詳細が述べられています)。

一方、国交省「建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版)平成22年3月」には資料集に「3.岩石・土壌に含まれる重金属等の起源を識別する試験法」が掲載されています。
3段階抽出法が紹介されていますが、評価の仕方は書かれていません。溶出量は土1kg当たりに換算するのでしょうか?文献を読みなさいということでしょうか?
3段階のうち、2段階(溶出量試験・含有量試験)は通常行いますので、あとはXRFで分析すれば良いだけです。先に述べたように水と土の分離があいまいである以上、このような大雑把な試験法や比較でも実務的には価値があると判断されているのでしょう。
5段階も紹介されていますが、こちらも十分対応できるレベルだと思います。コチラのほうが説明しやすいですね。

実務で含有形態を知りたい場合では、まずマニュアルの5段階抽出法を実施し、重要案件では化学計算を行うのが良いのかもしれません。
含有形態が分かり、それを計算で再現ができたなら、コンセプトモデルは出来上がりです。あとは搬出先の条件に合わせて、水-反応連成計算を行い、敷地境界での濃度を推定すれば良いですね。こちらは3次元まで対応可能でしょう。MATLAB+COMSOL+IPhreeqc がスマートですが、HYDRUS, PHREEQC, PHASTの組み合わせでも対応できますね。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/05/matlab-comsol-iphreeqc.html

調査計画、特に採水方法や保管方法など、また岩石・鉱物・土の判定方法や欲しい精度を、事前に良く考えておかないと問題は解けませんね。以前にも書きましたが、こういった環境問題は地質屋さんの力量に大きく依存していると思います。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/05/limestone4.html

実務で含有形態の考慮やコンセプトモデルの作成は、まだまだ実施されていません。法的調査に必要ないからでしょう。業界の意図も含まれている気がしますね。

2011年11月19日土曜日

インフラBIM 土木3D新時代

Autodeskから「インフラBIM 土木3D新時代」が公開されています。
http://bim-design.com/infra/civil_map_news/2011/11/bim_3d_pdf.html

日刊建設通信新聞で組まれていたBIMの特集のまとめのようです。私も読んでいました。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/09/bim.html

土木分野では、まだまだこれからといったところでしょう。記事の多くも測量や地質モデリングといったBIMにおける風上側の話でした。

記事にもありましたが、企業規模の大小というよりは、明らかにビジョンを持った企業が3次元に取り組んでいると思います。初期投資や負荷のかかる作業に取り組むには、企業としての戦略が必須だからです。儲けのない所に投資を行う企業はありません。先行投資、業務拡大の具体的なビジョンができた企業から順にBIMへ参加している状況でしょう。


しかし、なぜAutodeskが記事を公開しているのでしょう?

2011年11月18日金曜日

SYSカムクレイモデル その2

まだ完全には理解できていません。
でも、読めば読むほどうまくできていると思います。

特に塑性せん断ストレッチングDspの大きさの取り扱い。上負荷面と下負荷面が離れるほどDspは0に近づき、弾性的挙動になるところ。これで処女載荷部と繰り返し載荷部の勾配の違いも再現できるのでしょうか?Msの変化よりも、こちらの方が旨そうです。

でも、まだ短所が分からないレベルなんですよね。講習会は無いですし。
勉強するとすればGEOASIA研究会ですか。
うーん、迷います。

2011年11月17日木曜日

SYSカムクレイモデル

SYSカムクレイモデルの論文を読みました。

分かりません。想像していたアプローチとも異なります。
いえ、イメージは分かります。硬化・軟化と塑性圧縮・塑性膨張の関係を修正し、(「過圧密の解消」と「構造の崩壊」の相対的な速さの違いを用いて)土を表現するところに特徴があるようです。しかし、ピンときません。砂の挙動、粘土の挙動がそれでどのように表れるのか、試験時の挙動を思い浮かべても、まだ頭の中でリンクしません。

理解できるかどうか分かりませんが、もう少し時間をかけてみましょう。

2011年11月15日火曜日

崩壊現場で地質を考える

今日は崩壊現場で1時間半ほど地質を見ていました。

といっても、崩壊から1ヶ月以上過ぎていますので、あとは対策待ちの現場です。誰もいませんので、落ち着いて観察できます。前日に上司よりアドバイスを頂いたこともあり、それらを確かめながら細かく見て行きました。

断層破砕か熱水破砕か、せん断構造があるかどうか、貫入岩の分布と熱水脈との関係、鉱物と風化・変質との関係、亀裂面の性状、透水性の違い、などを細かく見て行きました。
最初は繋がらなかったのですが、1時間くらい考えていると、頭がスーッと整理でき、地質が見えるようになりました。疑問点が次々解消でき、何故崩壊したかがイメージできるようになりました。地質のモデル化から計算ツール、手法まで一気に整理できました。サンプルもいくつか採取し、研究職にXRDをお願いしました。

これらの崩壊過程を検証するためには、必ず計算が必要になります。残念ながら、今回は踏査のみですので、計算に必要なパラメーターが得られていません(災害復旧においてはゴージャスな計算ですし、不要ですが)。その検証を得て、初めて露頭を前に考えたことが正解だったと言えると思います。地質屋さんの悪い点ですが、言いっぱなしが多いんですよね。今回もそうなりますが。

露頭を見つめ、答えを得るという基本的な地質屋の仕事は、鍛練次第で時間短縮ができると思います。災害現場のように時間がなくても、力量のある方は瞬時に答えを得るかもしれません。私はまだまだです。見逃しも多い。違和感は残さずに、短時間で答えを得られるよう、今後も努力していきたいものです。


2011年11月14日月曜日

設計者の提案

設計者より、土層強度検査棒の調査実績を教えてほしいと問い合わせがありました。

設計業務で提案されたそうです。この方、調査担当者よりも調査法に敏感で、狭い常識的な試験法を超え、色々と試されています。脱帽です。

残念ながら、私を含め、設計に利用した実績がありません。
マニュアルを読めば分かりますが、土検棒だけで設計に使えるc・φを得ることはできません(感覚的にはまだキャスポルの方が精度が出ると思います)。結局、土検棒の結果を設計に利用するには、その土を使った力学試験データが必要です。拘束圧のせん断抵抗力への寄与や、(現場計測)不飽和>(推定)飽和>(解析)不飽和もはっきりさせたいところです。まあ、こういった問題点はツールではなく必要とする精度や解釈上の話なので、個々の現場で技術者が考えてやりなさいよ、ということでしょう。

一方、設計者はそんなこと無関係で、加点のための提案のようです。当然、力学試験も多く実施します。内容は私以上に理解されていますので、割り切って使われる分には問題ないでしょう。逆に、今回は力学試験データとの比較を提供してもらいましょう。


反対に、その設計者から、3成分コーン(CPT)の実績紹介を受けました。
これ、数ヶ月前に見学の機会があったのですが行けませんでした。得られる結果は貴重です。間隙水圧(とその消散)を測れるところが特徴でしょうか?液状化の調査などでは威力を発揮しそうです。難点は大型であること。自走式ですがある程度スペースが必要です。斜面は困難でしょうね。OYOさんがミニラムに付ける間隙水圧測定オプションを開発していますが、まだ販売されていないのでしょうか?早く欲しいですね。
そういった難点を解決したいのは建築分野も同じようです。論文も紹介してもらいましたが、住宅メーカーが小スペースでも可能な自走式機器を開発、使用されているようです。

土木分野ではまだまだ汎用ツールとなっていません。
地盤工学会誌では2009年8月号でCPTを特集しています。完全に読み飛ばしています。設計者からの指摘があって初めて読み返すのですが、こういった指摘なら反省しつつも大歓迎です。

まだまだですね。

2011年11月13日日曜日

Doing More With Less

NHK実践ビジネス英語の10月号に「Doing More With Less」というテーマがあります。

この講座では英語を聞くというよりも、内容に興味を持つことが多いですね。ま、本来は言語を勉強すること自体が目的ではないので、正しい方向でしょう。
今回のテーマは1か月前に放送されていたものですが、数年前から流行り出した文句のようですね。
人手を減らして経営の効率化を図るという企業のスリム化は、不況がもたらした最大の産物の一つです。その結果、やるべき仕事が山のようにあるという現実が「新たな基準」となりました。・・・・同じように社員の大幅削減を進め、より少ない社員でより多くのことをする方法を見出さざるを得ませんでした。・・・・さらに、複数の仕事を1つのポストにまとめることで、既存の社員に負担の増加を求めていることも挙げられます。・・・・
気付いてはいましたが、認めたくなかった「新たな基準」。NHKのテキストにさらっと書かれると、現状を認めざるを得ません。痛いですね。

昨日、現場で地元の方から「1%にならないといけない」と言われました。
経済を支配する側を目指せということです。支配する側になれば「新たな基準」から抜けられるのでしょう。投資の考え方が繋がるところが皮肉です。
1%です。やっぱり痛いですね。

2011年11月10日木曜日

Cam-clayで砂と粘土を統一?

ここ最近、Cam-clay model の理論を、現場往復の車内で聞いています。

このモデルを初めて聞いた時、e-logp曲線を弾塑性状態の硬化として解釈していることに目から鱗でした。偉大です。これは思いつくようで思いつきませんね(私だけ?)。土質力学の教科書の弊害でしょうか?圧密は一次元、強度は三軸試験というように、別々の単元で論ぜられています。統一的に解釈できることが実務上良いのかどうかは分かりませんが、確かに、カムクレイの方が頭を整理しやすいですね。
修正CC、関口太田モデルなどは、そこから差が理解できれば到達できますので、最初はオリジナルCam-clayでしょう。まだ完全に理解できていない細かな箇所が残っていますので、もう少し時間をかけてみましょう。


聞いている中で、少し気になったことがありました。
「これ、粘土だけ?」

孔内水平載荷試験を行うと、粘土、砂、岩盤に関係なく、必ず弾塑性的な挙動を示します。しかも硬化。土であれば10%以上の孔壁ひずみを示すことが多く、ほぼ100%硬化を示します。繰り返し載荷をすると良く分かります。応力-ひずみ曲線だけ見れば、やや乱暴ですが圧密試験結果と良く似た形です。
しかし、硬化パラメーターを塑性ひずみで同じように表すことができるのかどうかは分かりません。破壊時の排水状態は結果から推定することは可能ですが、有効応力までは困難でしょう。そのあたりのパラメーター(引数)を何にするかはもう少し理解しないと議論につくことすらできませんが、偉い先生方なら砂と粘土を統一的に説明することができるような気がします。

と、ここで思いだしたのが、過去に上司から勧められた解析プログラム「GEOASIA」。All Soils All States All Round Geo-analysis Integration だそうです。凄いですね。
当時は興味がなかったので、そのまま放置でした。しかし、砂・粘土など材料に無関係で、有効応力解析が可能、しかも、「SYSカムクレイモデル」を使用しているそうです。SYSが何を意味するのか知りませんが、上記のような話でしょうか?急に興味が沸いてきました。

いずれにしても、もう少し理解しないと議論の場に上がれません。
まずは、基礎力を付けることを考えましょう。

2011年11月9日水曜日

アスファルト合材

舗装屋さんが「合材、合材」とよく言われるので、なんだろうと思っていたら、アスファルト合材のことでした。

恥ずかしながら、舗装に使われるのは「アスファルト」だと思っていました。アスファルト合材なんですね。確かに、アスファルトは黒くて硬質な羊羹のような見た目の材料です。それもアスファルト、舗装もアスファルト、あまり深く考えていませんでした。

アスファルト合在は常温合材、加熱合材に大別できるそうで、それぞれに特徴があるようです。いろいろと教えていただきました。舗装には常温合材は不向きのようですね。常温合材もバーナーで加熱し薬品を飛ばせば加熱合材に似るそうですが。温度管理が難しいそうです。


川砂など、細粒分が少なく、粒度のそろった材料は締め固めが難しいですね。実際締め固めてみるとよくわかります。そういった場合の締め固め方法も御存じでした。経験ですね。


舗装屋さん曰く、舗装屋はやることが細かいそうです。高さ管理、温度管理、時間管理に始まり、周辺の掃除まで。確かに、きっちりした仕事をされています。

今度から舗装工事の見るところが変わりそうです。

2011年11月8日火曜日

舗装

舗装について詳細な知識はありません。

舗装構成は知っていますし、CBR試験も幾度も実施したことがあります。しかし、実際に現場でどのように舗装を作っていくのか、細かいところまで知りませんでした。

そんな中、今日から舗装屋さんと一緒にお仕事です。

「その茶色いの、なに塗っているんですか?」
「乳剤。昔の人はアメリカから入ってきたときに何が入っているのか調べたけどわからなかったので、なめたらしいよ。」

「レーキに、なに掛けているんですか?」
「軽油。アスファルトがひっつかないようにするため。昔は・・・。」

「レミファルトの特徴は?」
「骨材に・・・・・」

「転圧は・・・」
「・・・」

一緒に作業しながら聞いていたのですが、非常に詳しく教えていただきました。ヘーということばかり。ありがたいことです。

まだまだ知らないことがあります。
明日も教えていただきましょう。

2011年11月7日月曜日

解析の責任

今日は往復10時間の移動、委員会参加、打ち合わせ。今も移動中です。

シミュレーション結果の報告とそれに基づいた今後の現地対応について話し合う場が持たれました。

前にも記載しましたが、解析を始めると、ついつい数字にとらわれがちになります。
その数字が机上でなく、現場でどのような意味を持つのか、その数字がそこで暮らしている市民の生活にどの程度影響を与えるのか、何のために解析しているのか、何度も繰り返し考えなければなりません。

私の出した結果に、数千人の生活を左右する影響力があるのです。
もっと、しっかりしないといけませんね。

2011年11月6日日曜日

不飽和斜面の安全率

久しぶりの休日です。

学会HPのチェックをしていると、地盤工学ジャーナルで面白い論文が出ているのを見かけました。

川﨑 元, 西垣 誠, 実用的な不飽和土用三軸圧縮試験装置の開発とそれを用いて測定した不飽和土のせん断強度について, 地盤工学ジャーナル,Vol. 6 (2011) , No. 1
http://www.jstage.jst.go.jp/article/jgs/6/1/39/_pdf/-char/ja/

内容は2本立て。
1つ目は通常の三軸圧縮試験機を改良することで実務的に不飽和三軸試験が行えることの報告。
2つ目は、締固めたマサ土について、Öberg と Sällfors が提案している(飽和時の試験結果から導く)不飽和時のせん断強度推定値と、上記試験機で得られたサクション一定排水せん断試験結果の比較、盛土安全率への影響度などの議論です。2つ目の結果は概要に以下のように記されています。

1) Öberg と Sällfors が提案している従来の予測法では,本装置で測定したせん断強度よりせん断強度を低めに見積もることになる。そしてその差はサクション変化によるダイレイタンシーのせん断強度への寄与分の差と,湿潤過程におけるサクション 0 の不飽和ケースの粘着力と飽和ケースの粘着力の差で構成されている。
2)  従来の方法で推定したせん断強度と本装置で測定したせん断強度との差の影響は湿潤過程にある盛土の安定解析上,無視できない

面白いですね。つまり、少なくともサクション0の試験をして予測式に使用する必要がありますよ、と。
それで出るなら簡単ですね。試験機については本当に簡単に改良できるのか、プロに聞いてみましょう。

サクションによる安全率の変化について、粘着力の寄与分、φの寄与分を述べられています。あまりに明確な結果であり、面白いですね。斜面では降雨浸透により見かけの粘着力が減少し崩壊が起きると言われますが、その通りなのでしょう。

拘束圧に応じてポアソン比は不変ですが、変形係数は異なります(=せん断剛性が異なります)。では、ダイレイタンシー角はどうなんでしょう?結果は変わっていますね。低拘束圧の方が正のダイレイタンシーが出やすいというのは感覚として納得できますが、深く考えたことはなかったですね。注意すべき点です。

安全率の評価ではGa3dのSSR法が採用されています。ピーク強度とダイレイタンシー寄与分考慮後の強度の2つで分けて計算されています。拘束圧依存性も反映できるよう、モデルを2層としています。この程度の反映は実務でも必須なのでしょう。

前者のケースでは実際に比べて過大な安全率が出ますし、後者のケースでは過小な安全率が得られものと推定されます。降伏後にピーク強度からダイレイタンシー寄与分考慮後の強度(≒残留強度)に落とせば、それらの安全率は中間になると思います。試験結果では緩やかに落ちていますので、私が岩盤を意識して改良したコードは使えませんね。FLACなどひずみに応じてc・φを設定するタイプのひずみ軟化を扱えるコードを用いて計算した方が良いのでしょう。

全般的には実務に対して2段階程度上を行く内容です。
一つは、安定計算では飽和度を無視していること。2次元・3次元、あるいは順解析・逆解析においても、すべり計算において不飽和帯の強度を考慮することはありません。港湾や軟弱粘土では、ほぼ飽和として扱うので問題ありませんが、盛土や地すべりなどでは無視です。つまり、試験値を使ったとしてもそれは飽和の試験結果であり、計算上は不飽和も含めた平均強度として扱っています。不飽和斜面の崩壊も実務ではオーソライズされたものがありませんので、なかなか取り込めないのが現状でしょう。
もうひとつはSSR法の使用です。斜面安定に関する数値計算は土研(トンネルと地すべり)や盛土工指針(浸透流)でオーソライズされた感はありましたが、SSR法はさらに上を行く話でしょう。

いろいろ考えさせられる論文でした。
時間のあるときに出会えてラッキーでしたね。

2011年11月5日土曜日

中央構造線沿いの地形

今週末は天竜川の上流で調査をしておりました。

天竜川沿いに、助手席から景色を見ながら進んでいると、どこかで見たような地形・地質が。

「あ、四国に似ている。」
天竜川沿いに見える三波皮結晶片岩、急峻な地形、その斜面上の集落、多発する落石・斜面崩壊。非常に良く似ています。隆起量まで調べていませんが、中央構造線沿いはどこも似たような地形発達史を有しているのでしょうか?紀伊半島はどうなんでしょう?
佐久間ダムを通り過ぎると、今度は花崗岩系の石が。でも、パッと見、片麻状組織がありそうです。助手席から見ただけでしたので、後で地質図を調べてみました。領家帯でした。

そういえば、当社の研究職が中央構造線を抜く長尺ボーリングの分析を昨年度行っていましたが、この近くだったような気がします。地形・地質を実際にをみると、コアにも興味がわいてきますね。又機会があれば聞いてみましょう。

2011年11月3日木曜日

河川構造物の耐震性能照査指針(案)・同解説

そういえば、ALIDの論文で説明されているG1・G2の変化を3年前の社内講習で見た記憶があり、資料を探しました。当時、表面波探査が液状化の調査に使えないかと考えていましたので、印象に残っておりました。

ありませんでしたね。比較的物持ちの良い私ですが。配布資料がなかったのでしょう。

河川のプロが説明していたのを思い出し、さらに19年に国交省から出た河川構造物の耐震性能照査指針(案)の説明だったことも思い出しました。
http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/bousai/wf_environment/structure/index.html

改めて見ますと、確かに、静的照査法が書かれていますね。「下に凸なバイリニアモデルで表現するのが良い」ですから、ALIDがそのまま適用できるのでしょう。設計の方によれば、簡易法と呼ぶとか。

そういえば、昨年度より河川の耐震設計が始まりましたので、調査時には念頭に置いておく必要がありそうです。

2011年11月1日火曜日

N値からせん断剛性 その2

ALIDの論文が会社の倉庫にありました。
http://library.jsce.or.jp/jsce/syosi/ronbun/ID127918.html

自重解析後、液状化後の低下した剛性を出発点とし、静的に解いていますね。ですから、Vsや地震波はパラメータ推定にも計算にも必要とされていません。先日も記載しましたが、なかなかユニークな発想だと思います。汎用ソフトでも工夫すれば取り込むことができそうですね。

設計の方が気にされていたG0に関して言えば、

  1. 静的せん断試験より、せん断ひずみγ=10-3の時のG
  2. E=2800N,ポアソン比0.33を仮定したG・・・水平方向の平板載荷相当(通常10-2以上になると思います。)

ですから、低減率が違うのですね。設計の方は勘違いされていたようですが、G0の設定にVsは使用されていません。

ちなみに計算中は非排水状態を仮定しポアソン比0.49程度を使用しています。水圧の消散過程をモデル化しなくて良いのでしょうか?流動だから?感覚的には他の有効応力-弾塑性コードに比べ変形が大きく出そうな気がしますが、どちらが現実とあっているのかは経験がないので分からないですね。その辺はベテラン技術者の出番ですし、来年度の課題としましょう。

また、「ロッキング>減退積分>ゼロエネルギーモード発生>回避」や、「基準配置、微小変形理論で大きな変形を解くことも可能」あたりが興味惹かれました。久々に得るものの多い論文でしたね。


液状化と聞くと、すぐに「繰り返し三軸やPS検層が必要!」と思い込みがちですが、設計が使用するコードの理論や中身を知らないと、調査計画すらできないですね。

今回はいろいろ学ぶことがありました。