2014年6月27日金曜日

CIM Webinar

CIM の情報を集めようと思い、大塚商会さんの 週一 Webinar に参加していました。
http://event.otsuka-shokai.co.jp/14/0626cim/

Autodesk の製品群を中心に、どのようなことができるか?といった、概要説明がメインでした。CIM の本筋というよりはソフト販売が目的なの?といった印象を受けましたね。ま、3次元のベースアップのきっかけになるかも?という点では歓迎すべきなのでしょう。

今日、社内講習で BIM に関する話が出てきました。、その先生曰く、「BIMで良いのは属性情報が与えられていること」だそうです。シミュレーション用に要素分割後、個々に属性を与えるのではなく、最初に与えているモデルを取り込めるとのこと。津波シミュでしたが、木造・鉄筋コンクリートの区別を3次元データから取り込み、その属性を利用されたようです。ま、違和感を感じながらも、ふんふんと聞いておりました。

まだまだ世間でいう CIM というものがピンと来ていません。施工時の出来形がモデルに残るなら、維持管理上好ましいとは思います。が、設計段階も含めると省力化になっているのでしょうか?試行案件経験者の率直な感想が聞きたいところです。


2014年6月26日木曜日

新旧調査手法

砂防学会の発表予稿を通して見ていたのですが、以下の3点が印象に残りました。

・空中電磁探査
・酸素同位体比
・UAV

上記調査が増えたように感じましたね。深層崩壊を通じて砂防分野に興味を持ち始めたのが最近ですので、ようやく気付いたのかもしれません。
酸素同位体比は、地下水調査で他の同位体と併せて実施されています。UAVについても比較的安く導入できます。空中電磁探査は前回記載した通りです。これだけは何とかしたいところです。

一方、最も興味を惹かれたのは、古典的な堰堤の老朽化調査でした。
数点ほど発表されていましたが、いずれも表面だけでなく、トモグラフィー的な弾性波測定を計画・実施されていました。これ、地味ですが解像度はかなり上がるでしょうね。

新しい調査法を導入する必要もありますが、古いものをより深く使えるようにすべきと、あらためて感じた予稿集でした。


2014年6月24日火曜日

空中探査

ヘリが何か運んでいたので見ていると、空中探査でした。電磁探査でしょうね



今年の砂防学会でも、いくつかの発表があり、気になっていました。
実際に見たのは初めて。昨今、UAV も実務に適用され始めているのですが、思わず、周りの方と一緒に写真を撮っていました。

さすがに、早いですね。山をなめるように数往復し、見えなくなりました。往復する密度も決まりがあるのでしょうね。あのスピードなら、きっと周辺の山々も一緒に測って、今後の営業材料に使うのでしょうね。

トンネルの事前調査でよく実施される2次元比抵抗探査ですが、最近は3次元地形で補正しないとダメだと思っています(比抵抗は当たらないといわれる一因でしょう)。3次元の測定ができればBESTですが、時間がかかるのが難点。また、崖など人が入れない場所は測れません。その点、空中探査なら問題なさそうです。深度はどの程度測れるのでしょうか?
出遅れ感、満載ですが、基礎知識だけはつけておく必要がありそうです。



2014年6月22日日曜日

岩盤分類 その3

道路トンネルの地山等級も比較してみました。

が、こちらはうまくいきませんでした。


まずは岩盤、コアの状態のみで対比させた表です。
過去の文献では弾性波なども用いて対比されていますが、ほぼ同様の対応となっています。
感覚的には、やや危険側でしょうか。



次は弾性波のみです。こちらは安全側すぎるように思えます。



比較すると、下のような感じです。あってないですね。弾性波を測定している深度(拘束圧)の違いが関係しているのでしょうか?イマイチわかりません。



切土の計画では、岩盤分類に応じ勾配を決めます。が、流れ盤など亀裂と道路の交差角によっては、その勾配よりさらに緩く計画します。従って、岩盤分類と決定された勾配が必ずしも1:1ではありません。

分類->地山条件を考慮->勾配決定・・・状況に応じ、岩盤分類と勾配が1:1とならない。

しかし、トンネルの場合は条件の考慮が岩盤分類の前になります。同じ岩でも、亀裂の傾斜とトンネルの掘進方向、湧水、土被り(地山強度比)などによって、地山等級を変更(低減)します。

地山条件を考慮->分類->パターン決定・・・岩盤分類とパターンが1:1となるよう配慮が必要。

そういう意味では、岩盤状態のみで決めた等級は、それらの取りうる中で最も高い等級であるといえるでしょう。ココから、地山条件で低減し、最終的な等級を決定することになるのですから。これ、決定的な違いですよね。

例えば、ある場所での施工実績に合わせて低減させた表を作ったとしても、他の現場では使えない、同じトンネルでも場所によって変わるなど、使い勝手としてはイマイチになるのでしょう。
なかなか難しいですね。


岩盤分類 その2

退職された方の引き継ぎを行っていたのですが、気になる点がありました。
岩盤分類(岩の分類、岩盤等級など)の個人差です。

以前にも書きましたが、小規模な構造物を扱う分野では、判定にズレが生じています。電研式よりも安全側で判定することが多いと思います。土研式に近いでしょうか?
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/06/blog-post_14.html

ところがこの方、扱っている現場が大きいためか、以前に分類に関するトラブルを経験されたこともあるためか、きちんと電研式(菊池の岩盤等級)と国交省仕様(岩の分類:土軟硬)に従って分類されていました。そのため、私の現場判定とずれていました(もちろん、私が安全側にずらしているのですが)。既にいくつかの設計が終わっているため、私もこれらの基準に従ってきっちりと分けることにしました。
ただ、電研式と土軟硬との対比については明確な基準がありません。そこで、まずは比較表を作ってみました。個人的な解釈も多々入っていますが、このような感じになりました(土砂は省略)↓。



今まで、入社当時に教えられた、「この岩だと軟岩Iだ」「このコアは中硬岩」「CL~CM級が軟岩IIに対応」などのOJTで培った経験が身についており、文章をきちんと対比したことはありませんでした。よく読めば、1:1で対応しているのですね。いまさらですが、改めてそれぞれの分類はよくできているなあと感心。同じランクでも地質によって風化程度を変更している点は共通ですね。

菊池の分類は塊状のみですね。これは大きく勘違いしていました。結晶片岩などの層状の岩体においても、岩級を付けていましたが、これは完全に経験のみの判断でしたね。
国交省の土軟硬区分では、地質による状態の差異が一つの欄にまとめて記載されているので、一読では理解し難くなっています。が、菊池の分類と比較すれば、その意図を解釈できると思います。上記の表では、菊池の分類をイメージして小分けしてみました。誤りもあるかもしれませんが。

結論としては、退職された方の判断は両者ともに正しく、これに合わせて私も判断すればよいことが分かりました。

次はトンネルの地山等級と比較してみましょう。

「その3」へ続く。


2014年6月17日火曜日

ReCap 360 その2

ReCap 360 を使ってみました。

縦断測量後に重機が掘削してしまい、地形が変わってしまった箇所を撮影。その後、ReCap 360 でモデル化してみました。

要領は 123D と同じです。写真をUPし、モデル化してくれるのを待つだけ。演算が終わるとメールでお知らせも同じです。写真は80枚強使用しましたが、200枚以上使えるようでした。また、123D では1度でうまくいかないことが多かったのですが、今回は1発でOKでした。

結果をDLし、ローカルの ReCapで読み込み。距離を測ってみると、比較的合っているのに驚きました。なぜ、距離が分かるのか?と驚いていたのですが、超偶然だったようです。ま、当たり前ですね。
http://forums.autodesk.com/t5/Photo-on-ReCap360/Scaling-the-model-amp-density-of-point-cloud-in-RCS-for/td-p/5066434

点群にしてCivil3Dで読み込もうとしましたが、エラーでできず、今日はここまで。
あとはスケール(座標)の問題だけです。

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20140624追記
123D と同様、目視にて位置合わせをする作業が「高度なツール」をonにすることで可能になります。その際に座標入力ができるようです。あくまで、モデルを作るときのみ座標付けできるようです。後付けは不可でした。
プロに聞いたところ、現在はローカル座標のみだそうですが(桁数の関係)、CADに取り込んでしまえば位置合わせ可能となります。手持ちの写真では既知の杭が写っていなかったため、チャレンジは次回に持ち越しです。

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20140809追記
7月の頭頃でしたか、既知の杭に座標を与えてモデル化。
見事、Civil3D でReCapの点群データをカラーごと読み込みできました。
ただし、公共座標はどうしても認識しません(任意座標もイマイチ)。プロの言われた通りのようです。開発中とのことでしたので、次のVer.で対応するかもしれませんね。


2014年6月15日日曜日

Calcite の溶解と pH

Calciteの溶解計算をしてみました。

Calcite が溶解し pH が上昇する過程を、PHREEQC の1次元移流-反応計算で再現、今後の水質を予測をします。
以前、研究職から途中経過をもらっていたのですが、手を付けていませんでした。地質屋さんにとってはメジャーな問題で、過去にも似たようなケースを何度か実施しています。
http://phreeqc.blogspot.jp/2010/12/calciteh.html

手元にある水質データの中で計算に使えるものは、Ca イオンの濃度と pH の2種のみ。測定箇所は、流入、流末、その中間付近の3箇所。計算では流入を Solution 0 とし、他の2箇所を再現します。

研究職からもらった input ファイルですが、なぜか計算が遅い。何か問題があるのは分かるのですが、それが何かイマイチつかめず。その後、もっと簡単な逆計算モデルで試してもらいましたが、成分が少なすぎてそれもダメ。多分、イオンバランスが無茶苦茶(percent error が90以上!)なので、陰イオンを入れてバランスを取る必要があったのでしょう。いつも思うのですが、メジャーイオン、溶存酸素、酸化還元電位くらいはデータが欲しいところですね。ま、なくても合わせることはできるのですが、その分、推定が多くなります。

仕方ないので、順解析としてバッチ試験をモデル化し、CO2 の分圧と Calcite の飽和度を変化させ、感度を見ながらあたりを付けることにしました( alkalinityで percent error を改善しました)。他の計算でもそうですが、pH と分圧( open or closed )の関係は結構重要です。案外、鉱物の影響しか気にしない地質屋さんが多いようですが、これでは調査計画が不備になります。

で、その結果を advection に持っていき、本番!
いきなりですが、今回はそこそこ良い結果が出ました。あとは分圧と Calcite の比表面積をパラメーターとした微調整で終わりです。

今後、予測に入るのですが、これ、もう少し簡易なモデルにしないとダメでしょうね。今回は流入から流出までの1時間程度を再現しただけですが、これを数年間といったオーダーで計算する必要がありますので。
もう少し考えないといけません。


2014年6月8日日曜日

PS検層


PS検層の問い合わせが増えてきました。

どちらも一長一短ですが、現場条件によって一方を選択せざるを得ない状況が出てきますね。個人的な感覚も多く含んでいますが、以下に整理しました(出張先のホテルで書いていますので、誤りがあるかもしれません)。物理探査の本を見れば、測定法や理論などはもっと正確に書かれていると思います。

測定法
ダウンホール法
(板叩き法)
サスペンション法
測定概要
地上で発信。受振器を測定深度に降ろし、地上から測定深度までの波の到達時間を測定。横軸に時間、縦軸に深度をとって、勾配(速度)変化を図化・読み取る。そのため、いくつかの深度より区間の平均的な速度として決定することが多い。
発振器と2つの受振器が内蔵されているゾンデを測定深度に降ろし、原位置で速度を測る。測定毎に速度が算出されるので、一般的にダウンホールに比べ、解像度は上がる。ただし、解析時には平均化して利用することが多い。
地表条件
海上など、地上で発振できない場合は適用不可。
既設構造物、埋設管なども注意が必要。
制約なし。
深度
深いと波が届かない。(個人的には30m程度?地盤による。)
制約なし。
測定ピッチ
制約なし。1mピッチが多い。
保孔管
ケーシング可(ただし、経験が必要)。
ケーシング不可。VU50場合により可(継手外径67mm)。
ケーシングを抜くと、孔壁が押し出し、VU管に土砂が密着する。そのため、測定値には地盤の乱れが含まれる場合がある(逆に、土砂が密着しないと測れません)。
受振器
φ40mm(エアー等で孔壁に密着させる)
φ52
必要孔径
φ66
φ86
地下水
地下水がなくても測定可。
地下水以下に限定。
余掘り
不要。
ゾンデが大きいため、最低4m以上(通常5m)の余掘りが必要。
(岩盤5m間のデータが欲しければ、岩盤を10m掘削する。)



孔径は使用するゾンデにもよると思います。通常はサンプリングも同時に実施するため、φ116mmになる場合が多いでしょうか?

いい加減、ゾンデ直さないといけないですね。

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20140830追記
発振波の卓越振動数も異なるようです。
http://phreeqc.blogspot.jp/2014/08/ps.html

20151013追記
こちらの会社が経験的にまとめられていらっしゃいます。PSのサスペンションでは、「ネトロンパイプが望ましい」となっています。
http://www2.odn.ne.jp/mony-geo/PDF/Geologging-adpt.pdf

20151016追記
塩ビ管のVsが300m/s程度。工学基盤を知りたい場合には、ちょうど知りたいところの波が重なるようです。

2014年6月1日日曜日

ReCap 360

3年前、Photo Scene Editor の登場で、度肝を抜かれましたが、その後 123D として公開され、 ReCap 360 になりました。



入門用の説明が以下に整理されています。知らなかったのですが、123D では写真 40 枚まで、ReCAP Photo では100枚までという制約があったそうです(今もあるのかわかりませんが)。


わからないのが、ポイントへの座標の関連付けの部分です。動画では点群をInfraWorksに取り込んでいましたが、これは空撮会社のデータですので可能なのでしょう。地上LPも同様に簡単だと思われます。では、写真から作った点群に座標系を認識させるにはどうすればよいのでしょうか?123D が出たころに悩んだことがありますが、できそうにないのであきらめていました。

ReCap 360 では試したことがありませんが、こちらでも難しそうですね。何か良い手はないものでしょうか?

3次元データとソフト

道路設計者から地質横断を書いてほしいとCADデータを貰いました。

路線測量前ですが、横断を30箇所ほど切って、概略の計画を入れられています。測量平面図の2次元コンターに V-Roadのオプションで高さを与え、平面・縦断計画を作成、横断を書きだされたようです。

私がデータを受け取る前に、別の技術者が崩壊前のLPデータを使って、いくつかの横断に土層ラインを入れていました。調査計画を立てるためです。こちらは Surfer を使われていました。

で、私。
崩壊前のLPを読み見込んでサーフェスを作成。中心線XMLがなかったので、代わりに頂いたSIMAデータから線形を作成。その2つから縦断を作成し、最後に全測点の横断を書き出し、頂いたデータに重ね合わせました。

ちなみに、既往ボーリングは砂防関連の調査。砂防の設計者はLPデータを Civil3D で処理し、任意断面を切っていました。


触っていて、無駄が多いと感じましたね。
道路技術者が V-Roadを選択するのはわかります。ですが、こちらとしてはGEORAMA + Civil3D のほうが効率が良い。ある程度、ポリラインの高さのやり取りはできますが、座標系や線形要素、TINサーフェスなどがうまく授受できないため、基本的にはデータの作り直しです。道路屋、砂防屋、地質屋、それぞれが同じような作業を行っています。同じ会社なのに、 もったいないですよね。(ちなみに、橋梁屋さんは2次元でした。)

CIM も一部で流行っているようですが、まだ3次元化するのに頑張っている or ある会社のソフトウェアラインナップを連携して使おうとしている、といった状態ではないでしょうか?
ま、それはそれで、3次元の長所が分かるので良いと思います(ソフトウェア会社に踊らされているようにも見えますが)。
CIM というからには複数のソフトウェア ベンダー間で、情報の欠落なくデータを授受できる環境にならないとダメでしょうね。電子納品の時のように規格を先行統一、ソフト後追いといった形でも良いですから、とにかく無駄のない作業を進められる環境が欲しいものです。