若い方に、興味のある研究テーマを聞いてみました。
「加水ハロイサイト」をキーワードに挙げられていました。近年の地震災害でマスコミに取り上げられた鉱物です。
以前は層状粘土鉱物が注目されていました。それらが整理・オーソライズされるに至らず、別の鉱物へ新展開を見出すようになった感がありますね。長い間この業界にいたにもかかわらず、何の成果も出せなかったことには、責任の一端を感じます。
地すべり災害は地質(岩種)に関係するといわます(がけ崩れ災や土石流災も岩種に関係しているといわれますが、これは疑問です)。
新鮮でも軟らかい岩種、(先天的、後天的にかかわらず)亀裂の発達した岩種に特徴的なのは感覚で理解できます。それらの粘土鉱物の力学的性質に着目するのも自然でしょう。
が、地質屋さんとしてはここまで。鉱物と力学的考察について統一見解が出されるまでには至りませんでした。
より難しくしているのは、地形的・水理的な力学バランスと構成鉱物の力学的性質が重なった結果を、一方だけで解釈しようとしているからでしょう。いえ、着手時は2属性のうち1属性に着目するとしておきながら、いつの間にかそれだけで binary classification として着地させたいロジックのすり替え、焦りがあったのかもしれません。
ま、一方だけでもデータが整理されるのは、後進のためにはありがたいことです。が、現段階では、統計や機械学習の視点ではデータが足りません(この程度の問題では機械学習に頼るまでもないでしょうが)。
データが揃えば、自ずと解けるレベルの問題でしょう。
ハロイサイトでも良いのですが、それだけに着目せず、力学的条件もあわせて整理しておけば、いつか後進が解いてくれることでしょう。