AI を使うことで、コーディングの壁がなくなりました。
これまで土水問わず多様なシミュレーションコードを触ってきましたが、これらは全てAIが組めるようになりました。プログラムの組み方を知らなくても、AI に教えてもらいながらシミュレーションができる時代になってしまいました。この点で、シミュレーションを専門にする技術者のアドバンテージはなくなりつつあります。生き残るには、これまでにないアイデアを出し続けられる人か、AI の誤りを正せる人か。そう考えると、若い方々をどのように育てるべきか悩むところです。効率化のためには AI に頼るべきですが、生き残るためには AI に頼らず時間をかけて考え、失敗を繰り返しながら判断力をつけて頂きたい。いずれにせよ、AI によって一定レベルの技術者の需要が失われるのは確実でしょうから、それを見据えて今何をするか、何をしたいかを考えてもらう必要があるでしょう。
建設コンサルタントが委託されている設計業務も、ある程度 AI ができるレベルになっています。各種基準書は AI にやさしい形で提供され始めましたし、点群、平面図、用地、各種制約条件等を与えて判断ポイントを教えると、どの会社でも 1, 2 年で実用化できる環境は整っています。もしかすると、国が設計スキル群を公開するかもしれません。そうなると、設計者の数が今ほど必要なくなります。より短時間で誰でもできる仕事になるので、設計単価も安くなるでしょう。そもそも、誰でも一定品質で設計できるように基準やマニュアルが整備されてきた背景があるため、画一化、統一化と相性の良いAIこそ、この理念の行きつく答えなのかもしれません。ま、コンサル業界がそこまで見ていたら、失業を伴う方向に本気で取り組むことはないと思いますが。
そう考えると、重要となるのは測量や調査です。人はもちろん、AIであっても地下の状態はわかりません。いかに精度よく、効率的に3Dデータを現場から持って帰られるか?地下の状態を的確に把握することができるか?近い将来、地質踏査やボーリング調査がこれまで以上に重要視されると思います。ま、さらに先はそれらも自動化されるのでしょうが。
そしてもう一つ。現状の AI は国産ではありません。先日の Mythos や Fable 5 をめぐる一件では、そのサプライチェーンリスクを改めて突きつけられました。頼りすぎるのも危ういが、頼らなければ後れを取る。AI を使うことを前提としながらも、それに依存しきらない考える技術者をどう育てるか。これが、短期的には避けて通れない課題なのだと思います。
