2017年1月31日火曜日

表層部の簡易CU

水底より 2m 程度の薄い飽和粘性土に対し、設計者から簡易CUの実施を求められました。

確かに、砂分を多く含む粘性土ですので一軸だけでは心もとないでしょう。が、難しいでしょう。

層の中心でサンプリングしたとすると、土被り1m、粘性土の飽和単体が16kN/m3とすると、有効土被り圧が6kN/m2になります。拘束圧はその 2/3 で 4kN/m2。小さすぎます。
https://phreeqc.blogspot.jp/2013/11/blog-post_2830.html
https://phreeqc.blogspot.jp/2013/11/2.html

先輩は2mからのサンプルで”厳しいながら”実施したこともあると言われていました。が、それなりの準備をしないと、正しい評価は難しいでしょう。

試験一つにしても、多面的に検討し、提案しないといけません。難しいですね。

2017年1月30日月曜日

ロッド自沈を計上?

先輩より「液塑性限界試験で NP の場合、試験数量として計上しているか?」と聞かれました。

私は基本計上しています。「見ただけでわかるでしょ」は通じません。お客様や設計者は土を見ませんので。それで良いとも思えませんが、そのような試料であったことを伝えることも、この御時世、求められているのかと。

これについて歩掛で何か触れられていないか?と確認しておりましたが、特に記載は見つかりませんでした。が、他の種目について触れられていたものがありました。
「港湾土木請負工事積算基準」では、標準貫入試験の計上方法について細かな取り決めが書かれています(恥ずかしながら初めて知りました)。概要は以下の通り。

・ロッド自沈は計上しない。モンケン自沈は計上してよい。
・貫入区間内で層変わりしている場合、本打ち区間で厚い方の土質で計上。(予備打ちは含まれていません)
・同層厚の場合は上層で計上。

あくまで、モンケンでたたく行為について代金を支払うといった考え方のようですね。サンプラーの上げ下げの手間は考慮されていないように読み取れます。

シンウォールサンプリングについても記載があります。
これまで試料の脱落したものは計上していませんでしたが、計上しても良いとのこと。

技術論とは無関係の細かなルールですが、覚えておくとつまらないところで躓きません。
忘れないようにしましょう。


2017年1月29日日曜日

風速10m

悪天候による作業中止は、山の中ではあまり発生しません。しかし、海上ボーリングなどでよく発生します。

労働安全衛生規則では、悪天候による作業中止項目が多く決められています。
このサイトが比較的よくまとまっているでしょうか?規則は度々改正されますので、時点での決まりを確認する必要はありますが。
http://isabou.net/soft/petit/common/PipeStage/Staging/ReferBadWeather.asp

通常、「風速 10m/sec 以上」で判断したり申請したりすると思われますが、この数値は労働安全衛生規則には出てきません。「強風」と書かれているだけです。
その根拠は通達によるのですが、これも改廃が繰り返されています。
最新では林業関連で更新されおり、以下に掲載されています。

厚生労働省労働基準局 基発0115第4号 平成26年1月15日

足場やクレーン関連では、これのようです(古い通達で内容を見たことがありませんので、誤っているかも知れません)。
基発第101号(昭和 34年 2 月18日)
基発第309号(昭和46年 4 月15日)
http://www.to-gisi.com/magazine/51/doc05.pdf


吹き流しを警戒船などに配置する理由は、風速10mの判断を分かりやすくするという目的があるように思います。真横に吹き流され続けると、10m/sec を超えているとみなすとか。
ただ、風速6m位になると真横を向き始めるので、風速計によるチェックも必要でしょう。最近は UAV が流行ですので、お持ちの方も多いと思います。

いずれにしても、安全に対する学習・予測・準備は怠らないようにしましょう。

心配

危険な現場や、海上ボーリングなどモロに自然の影響を受ける現場では、夜も一抹の不安を抱えています。いくら対策をしていても、自然相手に完璧ということにはなりません。ま、できる対策は実施していますので、あとは仕方のない領域になるのかもしれませんが。

昨日、そのような心配も終わり、遠方からやってきた仲間を含め遅めの新年会をしていました。
が、そこでまた大きな心配事が発生。飲んでいても心から楽しくなく、今も胸の一部を支配しています。

受け入れざるを得ないのですが、なかなか、スッキリしませんねえ。

2017年1月17日火曜日

淡水性と海成粘土

海成層かどうかの判別には、経験的に以下のものが使われているようです。

・貝殻片、ウニの針、有孔虫、珪藻等
・黄鉄鉱や石膏などの硫化鉱物
・電気伝導度やpHなどの化学特性
・CNSの比や含有量

先日、有孔虫かな?と思って生物のプロに写真を送ったところ、正解でした。海~汽水性の種だったようです。これも一つの指標になり得ますが、残念なことに私にはそれらを判別する能力がありません。学びたい!

黄鉄鉱については、淡水性の指標と言われる藍鉄鉱とも共生します。後で海水が浸透したのか?と思いましたが、このような現象について詳細について調べられた文献は見当たりませんでした。見つけたものは「海水の浸透の影響があったのだろう」とか、「今後の検討に委ねたい」とかで終わっています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jssj1972/35/35/35_35_77/_pdf

そもそも、津波の影響で土壌や地下水の塩水化が問題になっている場所があるにもかかわらず、数百年~数千年も海の下に位置して、その影響を受けない方が不思議です。
硫化物については、ある程度の量が得られて初めて海成と判断するべきなのでしょう。


これも先日、新たな判別要因の1つとして、XRF を使ってみました。これだと、直接的にSやClの含有量を得られます。乾燥させて測るだけですので、お手軽です。

結果、S 含有率は海成で高く、淡水性で低くなりました。Cl も同様でした。
当たり前の結果なのですが、なんだか釈然としません。海水浸透の影響はあまり出ていない、堆積環境がよく保存されている、と解釈すべきなのでしょうが、うーん。
こうなると、生物学的アプローチの方が明快で有利ですね。

簡単なようで難しい。このような基礎的事項でも、まだまだ学ぶべき箇所は多く残っているようです。

2017年1月16日月曜日

dextral & sinistral

英語は苦手な方で、専門書以外はあまり読めません。

その専門書も随分狭い範囲しか読んでいないようで、少し範囲を超えると途端にわからない単語が出てきます。

先日も、わからない単語が出てきました。

dextral strike-slip fault (右横ずれ断層)
sinistral strike-slip fault  (左横ずれ断層)

strike-slip fault については十数年前に感銘を受けた書物で触れていました。当時、地下水を専門にする方から「strike-slip fault ってこの現場にある?」と聞かれた事に対し、よくご存じだなあと驚きながら返答したことをよく覚えています。
が、「dextral」「sinistral」は知りませんでした。辞書を引くまで、何か主応力軸に関係する用語かと思っていました。このような、基本的な単語を知らないのは、マズいですよね。

「dextral」「sinistral」は、どうもラテン語から来ているようですね。貝では右巻き・左巻きの説明で使われるようです。地質では、横ずれ断層で特徴的に使われる単語のようです。
normal (dip-slip) fault, gravity fault, low-angle reverse fault などはそのままですので、読めます。右横ずれも right-lateral fault と表記されていたら容易ですが、「dextral」「sinistral」も覚えておかないといけません。

そういえば、NHK ラジオの語学番組を聞かなくなってずいぶん経ちました。そろそろ復活しないといけないと言われているような気がしてきました。

2017年1月14日土曜日

人工の滝

今日はホテルで朝食を摂りました。

人工的に造られた庭園に滝が流れていましたので、その前で頂くことに。

が、なんとも言えぬ違和感。

原因は、自然ではありえない石の配置と滝の形成。極端に表現すると、岩海の表面に滝が流れているような配置と構造でした。

滝の最上部に人工のオブジェがありましたので、設計された方は厳密に自然を再現しようとされたのではないと思います。が、わかっていても気持ち悪い。おそらく、そのような感覚を地質屋さん以外は感じえないのでしょう。

あまり見続けて感覚が覚えてしまってはいけません。明日は違う席にしてもらいましょう。




2017年1月12日木曜日

デジカメで顕微鏡写真

実体顕微鏡でコアを観察をしてみると、いろいろなものが出てきました。

見逃していた火山灰。

藍鉄鉱と黄鉄鉱の共生。

球状黄鉄鉱。

生物遺骸。


写真に残しておきたいのですが、顕微鏡に接続している一昔前のカメラではピントを合わせるのが一苦労。後輩に「苦手だ」と話していると、「iPhone をくっつけると撮れますよ」と言いながら iPhone を持ってきました。
それは凄い!と期待しながら見てましたが、残念ながらうまくいきません。私も試しましたが、ダメでした。

ネットを見てみますと、確かに、iPhone やデジカメを 接眼レンズに付けると手軽に顕微鏡写真が撮れるようです。コリメート法と言い、双眼鏡や望遠鏡を使う野鳥観察などで使われている手法のようですね。接続キットも販売されています。

試しに、手元にあったデジカメ「オリンパス TG-4」を接眼レンズにくっつけてみますと、ちょうどレンズリングが接眼レンズのゴムにぴったり合って、外から光が入りません。カメラ位置を上下左右に動かして光軸をあわせてみますと、おお、鮮明な画像がカメラの液晶モニターに映ります。ズームすると、ばっちりです。
White バランスを「蛍光灯」モードに切り替えて肉眼に近い色合いにしてから撮影!
出来ました。やや肉眼で見るよりピントの甘い感じがしますが、以前の写真や手軽さを考えると上出来です。
デジカメを固定できれば、Wi-Fi 経由でiPhoneからリモート撮影できますね。ま、肉眼の方が視野が広く観察しやすいので、固定しない方が良いかもしれません。

うーん、これ、地味にスゴい。感謝です。

2017年1月9日月曜日

やり残し事項 2017

今日は貯めていた雑務処理。朝から始めて15時までかかりました。

今年度の実績をまとめたところ、個人売り上げは例年に届いていませんでした。が、それでも部内では2番目。全体に仕事が少なかったのかな。そういえば、皆さん休日は休まれていたように思います(おかしな表現ですが)。
新人を抱えた先輩方の苦労も数字に出ていました。ま、長期的な視野で見ると、新人・若手が育って2馬力、3馬力となりますので、今は我慢の時でしょう。その繰り返しで企業として存続するわけです。
https://phreeqc.blogspot.jp/2013/12/blog-post_28.html で激高していた上司は、私の1/8 程度。その世渡りスキルを見習いたいですね。


昨年のやり残し事項は以下の通り。
今年は、手を付けなかったコードの一つを減らしましょうか。

道具
帯磁率計(携帯型)
ガンマ線測定器(携帯型)
振動三軸

技術
動的解析(耐震、液状化)
斜面設計

資格等
・技術士(あと1つ)

コード
・DtransuのCUDA化・・・100万で購入可。
・粒子法コード作成・・・OpenMP、CUDAの実装は200万で購入可。
・剛体(DEM)+粒子法のカップリング(900万で販売されている)
・DtransuとPhreeqcのカップリング(500万で販売されている)Phastでも十分。


5年単位の中期目標については、3月で達成できるかもしれません。その場合は1年前倒しになりますが、4月以降に新たな中期目標に移りましょう。

Fault-Related Rocks

ようやく、心身ともに解放されました。

で、昨年末に購入していた図書を読み進めることに。
Arthur W. Snoke 「Fault-Related Rocks」
写真が多く載っていますので、楽しめそうです。

まずは18ページまでの導入部分を読みました。
図版集かと勝手に思っていましたが、
「塑性」「粘性」
「温度」「圧力」
「溶解」「沈殿」
「透水性」「流体圧力」
「せん断剛性」
などといったキーワード出てきて、ちょっと驚き。

先日、「なぜ直下型地震は深さ 10km 位が多いのか?」といった質問を受けていたのですが、これを読んでいたらもっと詳しく答えられていたでしょう。断層と地震は関連があり、それは温度・圧力・鉱物種・剛性などに関連し、ひいては断層岩のでき方にも当然かかわります。当たり前ですが、これを読むまではつながっていませんでした。

本編までたどり着いて、今日は終わり。
ゆっくり楽しみましょう。


2017年1月2日月曜日

ミス流出リスクへの対応

先月の29日に以下のような文言で始まるメールが、例の部長様からやって来ました。

「本年もよろしくお願いします。」

最初は何のことかわかりませんでしたが、ちょっとして気付きました。ああ、メールを読むのが年明けと思っていらっしゃるのね、と。ほとんどの方は瞬間に PC や手元のデバイスに届いてしまったと思いますが。


本題は「ミス防止」のようでした。
どこかの部署で書類記載にミスがあり、他部署も巻き込んだ問題に発展したようです。
が、まず、部長様の文章ではどのようなミスなのか具体的な内容が伝わってきません。もともと、誤字・脱字が多く、文字間に無意味な空白の多い読みにくいメールだったので推測しながら読むことが多かったのですが、最近、本当に推測も理解もできない文章になってきています。ちょっと心配です。


ま、リスク対応とすれば、以下のように切り分けて考えれば十分でしょう。

1.ミスを作らない
2.作ったミスを見逃さない
3.フレームワークの改善


1.ミスを作らない

記載間違いであれば、人が記載しないようにしてしまえば良いわけです。製造業でいうと、製品安全とか、フールプルーフの視点での対策です。

例えば、グループウェア内に入力済みの情報は、文書に記載済みとなって書類が発行されるようなシステムにしてしまえばOKです。


2.作ったミスを見逃さない

これは、根が深い問題でしょうね。
通常、書類の決済や確認は、executives 5人くらいで行います。ヒューマンエラー対策も含まれています。が、全く機能していません。

なぜか?

簡単です。
誰も細かいところは見ていませんし、それが原因で大きな問題に至っていませんし(バイアス)、たとえ問題になっても個人で責任を取らなくてよいからでしょう。

対策は簡単で、権限と責任を明確化することです。
本当に必要な方に絞って責任と権限を与える。当然、ミスを見逃せば責任を取らされる。人事考課と連動したり、大きな問題に繋がれば減給を伴う降格であったり。
責任を取れる人は昇格や給与面での優遇を受ける、責任を取りたくない人は自ら降格を願い出る、そういった実力主義への移行です。

ただこれだけのことですが、実行するのは難しいようですね。基本、成果主義でなく年功序列の事なかれ主義ですので、そのデメリットの側面が出てしまったと言えるでしょう。ある程度のミスは許容する深層心理があるのかもしれません。


3.フレームワークの改善

これは、1.2.と関連しますが、現状のフレームワークを作成した方々にも責任があります。フレームワークの改善を PDCA サイクルの一環と言ってしまえばそれまでですが、簡単に考えられる1の様な対策を怠るのは、マネジメントとして稚拙。ミスを見逃した責任者と同様に、ある程度の責任を取るべきでしょうね。


1.3.の対策を講じなかった言い訳とすれば、「お金がかかる」といったところでしょうか。品質第一が、コスト第一にすり替わる瞬間です。
あるいは、大事に至らないのでリスクを保有しておいても良いといった判断だったのかもしれません。この場合、結果として問題になったわけですから、リスク特定に抜けがあったと言わざるをえないでしょう。

ま、メールの文章がよくわからないので、回答できない方が多くいらっしゃると思います。そもそも、管理職が聞いて回る様なレベル・内容でもないと思いますので、私もしばらくは様子を見ましょう。