2014年11月30日日曜日

地質調査の CIM

全地連より、以下のガイドが公開されています。

「CIM 対応ガイドブック -地質調査版-」H26.10
http://www.zenchiren.or.jp/geocenter/

このガイド、先月出たばかりのようですが、適確な内容が多いと思います。
(このようなガイドを作成できる程度に人材がいること自体、驚きました。)

CIM に対応しよう!はブームですし、全地連さんとしても新たなマーケットとして期待されているのかもしれません。個人的には静観していますが。
http://phreeqc.blogspot.jp/2014/11/cim.html

積算について留意点が述べられています。面積・地層数・構造・モデル数に加え、付加する属性や地層数、出力様式などを考慮しすべきと書かれています。ただ、具体的な積み上げ法は書かれていませんでしたので、このままではお客様側では手の出しようがありません。今後の検討事項ということなのでしょう。個人的には単純に、1メッシュあたりいくらでも良いですし、現行のようにボーリング本数をベースに積み上げても良いと思います。浸透流で使われている積み上げを流用しても良いでしょう。

課題も一覧にまとめられています。
ハード、ソフト、人的要因、作成範囲の決め方、精度など、多くが課題として挙げられています。が、案外、容易に解決できるものと思われます。おそらくですが、手書き図面から CAD に移行したころも、同じような課題が出たのではないでしょうか?で、手を動かしてみると、案外簡単だったと。
ま、多くは3次元でのモデル化に関する課題であり、CIM の本質に関する課題は少ないと考えます。ですから、現在、何らかの3次元解析を行っている方は、ほぼクリアーしているということになります。

いつでも対応できますので、あとは、地質調査の CIM に何を求めるか?必要なのか?といった要求部分を明確にできるかどうかでしょうね。



2014年11月29日土曜日

踏査の視点

踏査を終えて帰ってきたのですが、後輩と話をしていて驚きました。

崩壊箇所の踏査だったのですが、私は主に崩れた斜面を見ていました。どの構造が原因で、どの方向へ、どの順番で崩れたのか知りたかったからです。
その話を後輩にしても、後輩は???な状態です。

後輩は崩れた堆積物の処理が気になり、斜面は殆ど見ていませんでした。その設計をするために踏査をしているのですから、ま、当然と言えば当然です。
お互いの写真を見ても、とっているモノが違います。話も合わないわけです。

同じ時間、同じ場所を踏査しても、興味や視点が違うとここまで結果が違うのか!と驚いた出来事でした。

2014年11月27日木曜日

CIM と 地盤モデル

CIM に期待しているところは、個人的に他の方と異なっていると思います。

設計者ではないので、数量計算や施工管理等への応用は興味ありません。が、そこのノウハウが利用できるかもしれませんので、CIM の情報は仕入れるようにしています。具体的には、3D モデルの応用が進めば、解析ソフトでのメッシュ作成やプロパティ連携など、いくつか恩恵を受けられるのでは?と、本質と異なるところで期待しています。

本業の地盤や地質などは、CIM といった観点では向いていないように思われます。
例えば、調査会社が3次元のモデルを作成したとします。設計会社がそれを使って道路や橋梁を計画します。そして、施工段階の掘削、あるいはチェックボーリングで、施工会社が3次元モデルを修正する必要が出た場合、CIM、ひいては3次元の恩恵を受けられるでしょうか?答えは限りなく No でしょう。ソリッドやサーフェスを手作業で修正することは難しいでしょう。おそらく、既往ボーリングに新たな情報を追加し、なんらかの境界面推定コードの利用で作成し直す必要が出てくると思います。そうすると、データが増えることによって、遠方まで微妙な影響が出てきます。調査会社と施工会社が同じ推定コードを採用しておれば、その影響は少ないかもしれませんが、別コードだと大きくなるでしょうね。例え、調査会社が同じコードでやり直したとしても、以前のサーフェスやソリッドは破棄になります。
設計側での再チェックも必要になりますが、この時の手間を考えると、はるかに2次元の方が楽でしょう。2次元では遠方を変更する必要がないので、チェック箇所が少なくて済みます。

過年度の CIM 試行業務は、ほとんど構造物が対象でしたので、まだこのような問題点が出るところまでたどり着いていないかもしれません。しかし、いずれは調査、測量へと拡大していくと思われます。事例が増えるにつれ、露呈することでしょう。
解決策としては、ソフトウェアベンダーか官が、統一した推定コードを公開することでしょうね。また、ボーリングデータ追加時に、サーフェスを変更する範囲を指定できる機能も必要でしょう。

現段階でそのような動きはありません。そのため、地盤モデルは3次元で作るべき(そこから2D断面を切り出せばOK)ですが、現段階で CIM には向いていないと思います。あと10年は待つ必要があるかもしれません。


2014年11月18日火曜日

踏査後の温泉

今日は踏査。

来年実施するシミュレーションのために、データを集めに来ました。
少し寒く、思いついたように時折みぞれが降りましたが、おおむね、良好な天気。葉が落ちて見通しも効く様になりました。踏査をするには良い季節です。

踏査が終わると、温泉宿へ。冷えた体を温めて、ゆったりしました。

内業を進め、ご飯を食べて、また内業。夜10時過ぎに仕事を終え、また温泉。何もない山奥なので、星がとても綺麗。落ち着きます。

若い方の中には、出張を嫌がる方もいます。一人で好きなように歩いて、温泉につかって、少し美味しいものを食べて。良いと思いますけど。


残念だったのは、現象を再現しようとすると、想定していたシミュのコードが使えないこと。今のところ、解決方は思いついていません。ま、後で考えるとして、明日は次の山を見に行きましょう。


2014年11月16日日曜日

MPM (Material Point Method)

今月の地盤工学会誌は、新しい数値解析の特集でした。

DEMや粒子法がいくつか掲載されていました(DEMはかなり古いはずですが)。これだけまとまって掲載されるのは珍しいですね。

目を引いたのがMPM (Material Point Method)。
初めて聞きました。粒子とメッシュを使う、Lagrange-Euler 型だそうです。何か、似たようなソルバーを見たことがあるなあ、と思ったのですが、思い出せません。あえて挙げるならDtransu の移流部分でしょうか?違いますね。
ま、計算としては粒子法にメッシュを上積みしているようですので、負荷は減っていないでしょうね。

記載されている MPM の土石流への適用方法は、LS-FLOW の簡略化と似てますね。計算を軽くするための工夫でしょうか?( これだけ見てるとLS-FLOWで十分な気もします。)

ま、新しい手法ということで、これらの動向には留意しておきましょう。


2014年11月15日土曜日

ゲリラ豪雨の卵

今日のNHKスペシャル「巨大災害」は豪雨の特集でした。

いくつかの話題を集めて構成されていましたが、興味が惹かれたのは「ゲリラ豪雨の卵」の話。以前、防災研の中北先生の講演を聞かせていただいたことがありますが、今回も同じデータが使われていました。

河川のボーリング現場で、上流の雨によって川が一気に増水し、マシンがつかりそうになったことがあります。現場では、スマホで X-MP を見るよりも、卵の表示の方がわかりやすいですよね。講演を聞いた際に、安全管理に使える!と思いHPを探しましたが、見あたりませんでした。今日の話では、まだ実用化には至っていないようです。

ま、上流側で降った場合に警報を発するサイレン・回転灯が下流側まで整備されていないと、遊んでいる方々は逃げないでしょうね。すべての川にそれらを整備するのは無理でしょうから、やはり最後は自分で判断するしかないのでしょう。
その現場では「○○の方向から生暖かい風が吹き始めたら、気を付けるようにしている」とオペさんは言われていました。地元に聞けば、「昔からよくある。前回のはまだマシ」と言われていました。案外、地域的特徴があるのかもしれません。

いずれにしても、X-MPに加え、「卵」の表示は有効です。公開に期待しましょう。


切土のり面勾配

後輩から頼まれて、施工中の現場を見に行きました。

以前、私が調査した現場だったのですが、ずいぶん切り下がり、施工が進んでいました。

地質を確認したところ、土砂・軟岩・中硬岩の分布は、ほぼ想定通りでほっと一安心です。

では、何が問題なのか?と彼に聞くと、切土勾配で困っているのだ、とのこと。彼の設計では、勾配を決める際に土砂が多いからこの段は1割、ではなく、段の上部は土砂なので1割、下部は軟岩なので7分というようになっていました。私が横断図に書いた分布を使って、段の途中で勾配を変化させていたようです。
施工屋さんも緩い側で切らずに、きつい側で切っていました。ラウンディングなしで、切り下げとともに重機も降ろしてしまったので、さあ、上部の7分の土砂をどうするか?が問題になってしまったようです。何方も何方です。

切らないなら補強するしかないのですが、なんともな話です。
ま、これも一つの経験として留めておきましょう。




模擬試験

今年は技術士試験の勉強をほとんどしていなかったのですが、筆記は通過していました。

勉強した昨年はダメで、勉強しなかった今年はOK。運も実力の内なのでしょう。

届いた結果を見ると、IIはAでIIIはB。Bがあっても通過するのですね。

早速ですが、先日、口頭の模擬試験を受けてきました。模擬試験直前になって、ようやく整理をはじめたのですが、まあ、なんとか間に合いました。試験制度が変わってから状況を知りませんでしたので、良い情報収集にもなりました。

さあ、方向性も自分の位置もある程度理解できたので、対応していきましょう。


2014年11月14日金曜日

CIM と 3D

ソフトウェアベンダーが CIM 対応ソフトを売り進めている謳い文句の一つに、「3次元は効率的」があります(CIM=3Dではないと思うのですが)。
これは半分正解、半分誤りだと考えています。

確かに、3D モデルを扱うことで今まで(2次元で)見過ごしていたミスが顕在化するようになります。3次元を扱うのが苦手な方ほどその恩恵を大きく受けることになるでしょう。が、修正箇所が相応に増えるため、今まで以上にモデル作成に時間がかかるようになります。

一方、3次元に手を出さず、2次元を扱い続けていれば、そのような負担は増えません(精度向上もありませんが)。ハイスペックPCも不要ですし、作業スピードも早く利益を出しやすい、ストレスも受けませんので、ある意味、幸せだと思います。「作業単価が上がらない限り、今まで通りの精度で、2次元を扱うのが妥当」と言われると、そうなのかもとも思います。ただ、私は自分の頭の限度を知っていますので、3次元を扱うことをやめないと思います。

先日、ハイスペックPCのBIOSが立ち上がらなくなりました。マザーかな?と思いつつ、半日かけて原因を突き止めたところ、電源ユニット・グラボ・CDドライブの接続不良でした。天井のエアコン取り換え作業を行った翌日でしたので、作業員さんがPCにあたったのかもしれません。組み直すと難なく立ち上がるようになりました。
BIOSが立ち上がらなくなった際、上司に「40万で新しいPCを買いますか?3次元から手を引くのも選択肢の一つですが?」と聞いたところ、「買う」とのお返事。国交省主導で CIM が叫ばれている中、さすがに手を引くことは考えていらっしゃらないようです。

事業規模にもよりますが、これまでの精度で問題が生じない、あるいは生じても軽微と判断されるなら、今まで通り2次元設計で十分だと思います。3次元測量から維持管理に至るまでの費用と、2次元設計+施工時に顕在化するミスの頻度・金額などを、リスクマネジメントの観点より検討することも、現段階では CIM 業務とするかの一つの判断材料になるでしょう。

手書き図面に代わりCADが標準となったように、いずれ 3D モデルやCIM も普及して行くと思われます。が、まだ試行段階です。今後の動向に着目しておきましょう。



2014年11月10日月曜日

GEORAMA 2014 の不具合 その2

GEORAMA (厳密には、Ver.3.2 の方)の不具合といいますか、何とも、な話です。
(2014のその1はこちら http://phreeqc.blogspot.jp/2014/05/georama-2014_6.html

以前より、GEORAMAのボーリングで指定した境界面深度と、推定した深度が一致しない現象を確認していました。単純に、メッシュで推定しているので、メッシュ間のボーリングでは数cmズレるのだろうと考えていました。
地すべりのモデルで、すべり面や水位が数cm違う場合では、「なぜ違う値を使うのか」と聞かれてしまいます。本来、そのような精度はないのですが、それが理由にはなりませんし、流儀でもあるので、推定後に手で合わせる必要があります。

今回は水平層で起こりました。周辺のボーリングと100~200m弱離れており、互いの影響はほとんど受けない位置にあります。が、多くのボーリングで規則的にずれます。数cmづつ、綺麗にズレが生じるのです。これは、バグか?と思い、サポートに聞いてみました。

結果、よくわからない回答が来ました。
「線形の位置とボーリングがずれているはず」と繰り返されます。GEORAMA は正しく、Civil3D のスナップが、きちんと機能していない(スナップしても、微妙にずれている)可能性があるという趣旨でした。

本当に Civil3D が悪いのか確認してほしいという趣旨で、データを送ってみました。
数日後、帰ってきた答えが「ズレは GEORAMA の仕様」というもの。
要は、ボーリング標高やその境界面深度を四捨五入して10cm単位で丸めて計算するため、数cmのズレが生じるといったものだそうです。それでは、柱状図を10cm単位で記載した場合でも、地表面標高はcm単位ですので、境界面の一致する確率は10%、ズレる確率が90%になります。Civil3D は?なぜ指定値を丸めるのか?と思いましたが、それには触れられていません。

対処法は「GEORAMA のボーリング境界面深度を利用せず、断面でポイント指定する」という致命的なもの。断面に置く境界ポイントはcm単位で計算するため、ズレが生じない、だからボーリング指定を全て消して、後者を使ってくれ、とのことでした。下2ケタに直すくらい、どの言語でもすぐだと思いますけど。

とりあえず「修正してほしい」と依頼しましたが、どうなるでしょうか?
ボーリング深度指定が使えなかったり、回転場で斜めボーリングが機能しなかったり。なんとも、な話です。

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20141127追記

「Civilの機能は問題なし。GEORAMAでずれている。修正するがいつになるか不明。わかったら連絡する」と連絡があってから、音沙汰なし。CTCさん、相変わらずです。