2018年6月28日木曜日

ヘルメット+送風機

今年はヘルメットにファンがついているものを購入。

トーヨーセフティー ウィンディーヘルメット
http://www.toyo-safety.co.jp/seihin/helmet_394.html
長所
・重さは気にならない程度。
・ケーブルやバンドがなくスッキリ。
・単三充電池使用可。
短所
・うるさい(ただ、慣れる)
・ABS(3年で廃棄)
・涼しくない。
・防水でない。

コチラと迷いました。
タジマ 清涼ファン風雅ヘッド
https://tajimatool.imagestore.jp/contents/goods_info.php?gd=9971
長所
・首元が涼しい。後頭部は風を感じる。
悪い点
・重い
・うるさい(トーヨーさんに比べると静か)
・(試着では)頭頂部から前半分は涼しくない。
・見た目煩雑。ケーブルがむき出しのため、踏査時にひっかけて切りそう。
・防水でない。

現段階では、どちらも空調服ほどの効果は期待できません。また、どちらも雨に弱そうです(特にタジマ)。その他は一長一短でしょうか。
今回は軽くてケーブルが外に出ていない方を選びました。また、夏場は突然の雨に打たれることがありますから、すぐ壊れてもあきらめがつくようにと安価な方を選択しています。消極的な選択です。

現場で使ってみましたが、今のところ涼しいとまでは言えないですね。ただ、ヘルメットを脱ぐと額に汗をかいていますが、ファンから直接風のたる箇所だけは熱をもっていません。いくらかの効果はあるのでしょう。

3年後の進化に期待です。








2018年6月27日水曜日

洪積層の液状化?

道路橋示方書において、洪積層は液状化検討対象外です。

どこかに書いたかもしれませんが、以前は緩い砂質土であれば洪積層でも同手法で検討すればよいと考えていました。
が、平成24年の改定で、対象は「沖積層」に明言されました。プロによれば、安全側という名の過大設計が、事例を交えある程度明らかになったためとのことです。この方針は平成29年の改定でも維持されています。

洪積層の緩い砂質土が液状化しないのか、実際に試験をして検討している文献があります。
古谷ほか(2014)洪積砂質土層での液状化判定方法の一考察, 地盤工学ジャーナルVol.9,No.4,633-643
このように実際に試験をすれば明解でしょうが、実務では示方書があるのにそこまでされないでしょうね。

そうなると、沖積・洪積の境界判定が重要になるでしょう。
現状、判定は経験によるものが多いと思われます。年代測定を行うことはほぼありませんので、残渣を見たり文献と照らし合わせて判定をすることが多くなります。山間の谷底堆積物だと迷うことが多いですね。絶対年代ではなく、相対的に古そうなもの、N値の高いものを洪積の判断根拠にする場合もあります。
その程度の判定で、「洪積層だから液状化対象外」としてしまう危険性は地質屋さんにしかわかりません(判断の曖昧さをわかっているからこそ、検討対象としたわけです)。

沖積・洪積判定の曖昧さによる液状化層の見逃し回避と、検討手法による見逃し回避を区別できない状態で、今の基準が示されています。要は、まだ過大である可能性があるということです。
年代測定が使われるようになると、少なくとも前者の曖昧さは小さくなるでしょう。それに応じ示方書の検討手法は改訂されるかもしれません。
まずは、そのような根本的見直しが必要だと感じます。

2018年6月25日月曜日

国産コードの未来

東京大学出版会「地圏水環境の数理」を読みました。

GETFLOWS は高価なのでリースを受けたことがありません。が、中身を理解したいとは感じていました。どのように地表水と地下水を安定して解いているのか?時間ステップはどうしているのか?分割法は?など。

で、復讐も兼ねて図書を読むことに。
幸い、先月に河床変動計算を経験したためか、内容は概ね問題なく理解できました。毛管圧力PCの取り扱いで戸惑いましたが、過去に出された文献に補足的なことが書かれており、理解の一助となりました。

登坂ほか(1996)地表流と地下水流を結合した3次元陸水シミュレーション手法の開発
地下水学会誌 38 巻4 号 p. 253-267

残念ながら、タイムステップを飛ばせる理由はイマイチ詳しく書かれていませんでした。が、結果的には降雨の少ない時期には飛ばせるようなので、解法の選択によるのかなと思います。また、12年前の古い図書なので、並列化については何も書かれていませんでした。

地表流を調べていると、以下の文献にも遭遇しました。また、読んで手を動かさないといけません。
GSFLOW-GRASS v1.0.0: GIS-enabled hydrologic modeling of coupled groundwater–surface-water systems

国産で柔軟性・適用性が高いものの、研究成果を有償でリースしているGETFLOWS。地表流ー地下水の連携のみですが研究成果を無償で公開している GSFLOW 関連。対照的ですが、日本と米国の研究事情を反映しているようですね。また、そこまで深くは考えられていないのかもしれませんが、シェアや戦略といった要素も絡んでいるのかもしれません。国産コードが世界を圧巻する未来を見たいものですが、なんだか残念です。

ギフトオーサーシップ

ブラック・ペアン、面白かったです。

努力に打ちされた高い技術という話は、実際にあることでしょう。
一方、コーディネーターについては学会から批判が上がっていましたね。

個人的には、ギフトオーサーシップに関して少し思うところがありました。
これ、身近にありますね。何なのでしょうね。
個人的には丁重にお断りしたことがあります。正論ですが、組織人としてどう判断されるかは別の問題。ヒトの世です。

ギフトオーサーシップとか、ねつ造とか。私がその世界でがっつり生きていないからかもしれませんが、理解できないですし、理解できるようにはなりたくないですね。


2018年6月23日土曜日

地盤の固有周期 その2

以前、道路橋示方書における地盤の特性値(基本固有周期)Tの推定式について書き残しています。
https://phreeqc.blogspot.com/2011/11/blog-post_29.html

示方書では微動観測等の調査が基本のように書かれています。が、実際は解説により(2)の推定式を使用します。
(1)地盤の基本固有周期TG は,地盤調査等に基づき,適切に算出しなければならない。
(2)地盤の基本固有周期TG を,式(3.6.1)により算出する場合には、(1)を満足するとみなしてよい。 
地盤の基本固有周期TG を求める方法としては,微動観測等により直接的に得る方法もあるが,微小ひずみ振幅領域における地盤の基本固有周期であれば実用上十分な精度を確保して地層ごとの厚さや平均せん断弾性波速度から算出できるため,地盤の基本固有周期TG は式(3.6.1)により求めてもよいことが規定されている。
この式だと手計算でも答えを出せるのですが、層が複雑だと案外面倒です。
幸い、他の目的で微動探査を実施していましたので、今回はこの結果を利用することに。これなら実測なので直接的です。が、示方書では微動観測から基本固有周期を求める手順を、港湾基準のように規定されていません。

偶然、他目的で呼んでいた図書に関連内容が書かれていました。

鹿島出版会「活断層調査から耐震設計まで」

この図書では得られたスペクトルから判定していますね。発刊が2000年ですので、今なら H/V 含め評価する方が良いでしょう。ま、規定されていない以上、技術者が良いと思える手順で判断すれば問題ないということだと思います。

この図書、地盤種別についてもコメントされています。どこかで見た覚えがありますが、書き残しておきましょう。

I種地盤:良好な洪積層及び岩盤
III種地盤:沖積層のうち軟弱地盤
II種地盤:I,II種に属さない洪積・沖積層

建築・港湾・道路橋と、常時微動を公的に使いやすくしてもらえているのはありがたいことです。積極的に活用したいですね。

ダイナマイト

先日、火薬の更新講習に行ってきました。

その中で、2年前にダイナマイトの国内生産が中止になったとのお話がありました。そういえば、ここ数年、スタッキングばかりやってましたね。5~6年前に3桐を使用したのが最後です。あれが最後の現場になるとは。

含水よりダイナマイトの方が効きが良いのでそちらを選択していたのですが、これからは選択の余地がありません(まだ2号榎はあるそうですが)。というか、大型の事業が減っていますので、発破を必要とする調査自体が減っているのでしょう。

少し寂しいお話でした。

2018年6月21日木曜日

magma mixing/mingling その2

この文献では、3つの数値実験が実施されています。

幅の広めのモデルと、狭めの高・超高解像度モデル。どちらも流体として Navier-Stokes を解いているようです。

まずは前者の結果。以下のような順序が記載されていました。

  1. まず、注入された苦鉄質マグマが石英閃長岩メルトを加熱。軽い加水閃長岩相が混合物上に層状に形成される。一方、重い苦鉄質エンクレーブの大部分は、チャンバーの底部に定着。
  2. 次ステージでは、複数の高温閃長岩メルト(苦鉄質メルトを5~10vol%含有)が既存の閃長岩メルト内に複数注入される(図4a)。
  3. 苦鉄質相の一部(約5Vol%)は、固結したエンクレーブの形でチャンバー頂部に上昇。他の部分は晶出過程の中で密度および粘度の増加により上昇を止める(図4b、d)。
  4. その結果、チャンバーを底部から頂部まで貫通する細長い鉛直チャネル(細脈または一連のエンクレーブの形で偏在する苦鉄質岩とのハイブリッド組成)が形成される。

後者も似たようなメカニズム。よく考えられていますね。
いずれも、苦鉄質マグマだけでは重たくて上がれないので、水を含むメルトと混ざるなど軽いメルト(前者:hydrous syenite、後者:super-heated diorite )を生成する点がミソ。苦鉄質メルトは軽メルトの上昇に少量連れていかれるイメージです。
キーワードは水と密度、粘性でしょうか。シミュレーションの結果からは、粘性の違いよりも密度の違いが mixing/mingling を分けているようです。

おそらく地質屋さんの多くは、ここまで具体的に成因を説明できません。その結果、地質図は(スケールにもよりますが)その程度のレベルにとどまります。
過去に書いた閃長岩と花崗閃緑岩、エンクレーブの分布域、ここまでの知識なしで書いていますね。ヤバい。このような具体的な成因を想像して観察結果を解釈すれば、また違った地質図になっていたでしょう。反省。

この解析結果は、動画として公開されています。
正解かどうかは誰もわかりませんが、正解の可能性の一つを提示しているところがこの文献の価値だと思われます。

正解に近い絵の描ける(知識・計算力を有する)地質屋さんを目指さなくてはなりません。


2018年6月20日水曜日

大阪北部の地震

昨日の地震でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りします。

各団体で地震の評価が進んでいます。
今回観測された地震波は、兵庫県南部地震とは少し異なったようです。
防災科学技術研究所のサイトに掲載されているスペクトルを見ると、周期の短い側でピークがでています。兵庫県南部地震に比べ建物の被害が少なかったのは、この影響も大きいのでしょう。
http://www.kyoshin.bosai.go.jp/kyoshin/topics/html20180618075823/main_20180618075823.html

被災種別・形態についてはこれからでしょうか。
今しばらく、評価を待ちましょう。


2018年6月19日火曜日

magma mixing/mingling

以前に携わった現場にて、花崗岩閃緑岩中に MMEの入っている産状をよく見かけました。
幸い、海底下の新鮮岩を掘る現場でしたので、その産状は最良の状態で、かつ時間をかけて観察できました。が、実力不足のため成因はよくわかりませんでした。
いえ、流れた構造を持っており、マグマ・ミキシングを成因とはとらえていました。が、マフィックなマグマがどこから来たのか、どのように混合したのか想像できなかったのです。

先日、巡検に参加していた際に、このヒントを教えていただきました。

Alexander Semenov and Oleg Petrovich Polyansky, Numerical modeling of the mechanisms of magma mingling and mixing: A case study of the formation of complex intrusions, Russian Geology and Geophysics, November 2017

まずは用語。 mixing でなく、mingling が正解(10数年、間違えて使っていました)。

粘性が小さく、似ていることで混合する (Mixing)。化学組成のコントラストも小さいこと(SiO2含有量で10%以下)が必要。
The difference between them is as follows. Magma mingling results in a heterogeneous mixture containing separate portions of the initial melts; the derivative magma contains discrete fragments of melts of different composition.
Mixing, in contrast to mingling, is thermodynamic equilibration of two or more compositionally different initial melts to form a chemically and physically homogeneous mixture under conditions where the viscosities of the initial components are similar and low (Frost and Mahood, 1987).
粘性にコントラストがあったり、同化するには時間が短い場合は、Mingling (混交)。確かに、30年以上前の文献に書いてありました。
Tom Frost and Gail A. Mahood, Field, chemical, and physical constraints on mafic-felsic magma interaction in the Lamarck Granodiorite, Sierra Nevada, California, Geological Society of America Bulletin, January 1987

その他、いくつか文献を見ましたが、概ねこのように書かれていますね。いや、間違いにすら気づかない無知は恐ろしい。もっと文献を読まねば。

続く。


2018年6月14日木曜日

ソフトの価格

最近のソフトは高いですね。

SPH 900万、PSInSAR 700万、機械学習 500万。
現場用の試験機や車が安く思えてしまいます。

設備投資に関する感覚は支店毎に異なるようで、ある支店から見ると無駄遣いのような要望も散見されます。が、executives が知らない分野では査定が甘く、うまく言いくるめられているようです。
知識の有無は怖いですね。



2018年6月9日土曜日

reverse mentoring

4月より聴講を再開した実践ビジネス英語より。
今月の話題はタイミング的に心に残る内容でしたので、書き留めておきます。

Reverse mentoring helps get older employees up to speed and with the proverbial program in areas that are second nature to digital natives.

ついてきてもらえるか?ついていけるのか?
Technology has empowered digital natives. And it's left older, less tech-savvy executives searching for ways to keep up.

双方向であること。トップダウンでないこと。敵対関係でないこと。
It shouldn't be top-down or adversarial.
Reverse mentoring has got to be a two-way street for it to work.

ガンガン挑んでください。
They also show how some executives feel challenged by all these hard-to-understand young people they find themselves working with.

一方的に、「判断するから説明せよ」「これは指示だ」はダメなのでしょうね。よくわかります。「なぜですか?」に対する答えも理路整然とした内容でないといけません。
上司が「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば」だけでなく、若い方にも「やってみてもらって、教えてもらって、やってみて、承認しようとする」reverse の過程が必要になっているということなのでしょう。キーワードは「双方向」だと考えます。


2018年6月7日木曜日

圧密によるヒ素汚染

Overpumping leads to California groundwater arsenic threat

読めば「なるほど」と感じました。が、今まで見過ごしていた視点でした。
「濃度」というと移流分散や反応といった計算の視点から考えがちです。が、圧密も「あり」でしょうね。一つの現象に集中すると他が見えなくなるという点に、久しぶりに気付かされました。

機械学習ですのでメカニズムの解明は推定止まりです。が、以下のような内容が報告されていました。
  • 過剰揚水により、地下水低下。有効応力増加。帯水層が圧縮。地盤沈下が生じる。
  • 下部帯水層中の薄い粘土層の圧密により、間隙水が帯水層内に放出。
  • 間隙水はヒ素に高濃度であったため、地下水のヒ素濃度が上昇。
驚いたのは、過去の沈下の計測に SAR を利用している点、統計的手法として Random Forest を用いている点。
  • As a measure of overpumping, we use subsidence, derived from Interferometric Synthetic Aperture Radar (InSAR) data, to predict arsenic levels quantitatively.
  • We integrated estimates of subsidence with additional variables known from previous studies to affect arsenic levels into a random forest model that accounts for nonlinear relationships, as well as interdependencies of different variables.

あくまでデータの相関性を論じただけですので、真相は不明。特に、近年の沈下と過去の沈下で同じ沈下速度でも濃度の傾向が異なる点は、flush だけで説明できないように考えます。メカニズムを知りたいところですね。

ま、答えが出ない正攻法より、推定でも答えが出せる統計的手法、機械学習はお手軽です。DInSAR も Random Forestも使えるようにはなっていますので、答えを出せるかどうかは私の意識次第なのでしょう。

2018年6月6日水曜日

熱画像も 3Dモデルへ

レーザーを使う測量機器が増えています。

UAV搭載、handheldなど。据え置き型も付加価値をつけてきています。

handheld は使ったことがありません。が、お手軽そうですね。据え置き型より広い範囲を短時間でスキャンできますが、精度は数10mで数cmと粗め。既知点での補正も必要です。DSM (XYZRGB)で可視化やシミュレーションの地表面として利用する程度でしょう。ある大学の先生は河川堤防の沈下計測に使用するなどと言われていました。その後、どうなったのでしょう?

据え置き型の地上レーザーは以前から欲しいと考えています。
のり面の変位や岩壁の変位などを面的に把握するには良いツールだと考えます。UAVなど上空から測定するよりは、正面や下から測る方が有利な現場もあるのです。
測量担当者によれば機材もピンキリだそうで、のり面の変位を図るのはピンでないとダメ。カタログを見せていただきましたが、道路災などの初動に役に立ちそうです。これから利用例が増えてくるでしょう。

キリの部類ですが、面白そうな機種があります。
BLK360
https://www.youtube.com/watch?v=XU9aQVvVVIg
測量担当者によれば 25m くらいまでしか実用的でないとか。確かに、カタログ上の精度は地上レーザーにしてはイマイチ。
一方、この機種には熱赤外カメラも付いているようで、温度画像が3Dモデルとして取得できるようです。これ、いいですね。もし、XYZ+Tとしてデータが保存されていたら Good です。これまで必要だった合成・差分等の後処理に関し、一気に手間が省けるように感じます。時系列の位置合わせもICP等で可能でしょうし、対象が近ければ2時期の変位も出せますので、熱差+変位といった表現やキャリブレーションが可能になるでしょう。

いずれにしても、便利な機材が増えてきました。今後、どのような発展が待ち構えているのか楽しみですね。


2018年6月5日火曜日

1次元は難しい

再度、1次元の河床変動計算に取り組んでいます。

河床変動計算は初めてで、2次元、3次元には取り組んだことがありません。似たようなことといえば、DualSPHysics で2相のテスト計算を動かしたくらいです。

あらためて感じることは、モデル化が難しいということ。合流や屈曲の位置、計算結果の想定などから、どの範囲をどのようにモデル化するか意思決定を進める作業は、計算経験とセンスで成り立っているのでしょう。基本、3次元の現象は3次元でモデル化した方が、何も考えなくて良いので楽です。が、その現象を1次元まで落とし込もうとすると、本質を見抜くセンスが必要になります。不要なものをこそぎ落とす技術です。3次元ばかり扱っていると、本質を見抜く力が育たないのでしょうね。

そのためか、私には非常に難しく感じます。つくづく、昔の方は偉いなあと。
敬意を払って文献・テキストを読み、先輩に教えを請いながらの作業です。
早く「この現場だとこれくらいのモデルだよ」などと言えるように、センスを身に着けたいものです。


点群から変位の抽出

LP の整備もあり、点群データは多くの方に認知されたようと感じています。

最近では、LP を Web GIS で扱いたい要望や、地上レーザーを購入したい要望などが聞こえてきます。CIM 推しにより、点群が "become  a thing" 状態になったということでしょう。

そうなると次のステップも普及しそうです。例えば、点群の差分表示。差分を取れば地表面の変化を表現できますし、体積変化を出せます。崩壊前後の時系列データで、時点の崩壊・堆積量を求めることが可能になります(崩壊面、すべり面は、これだけではダメですが)。
よく利用されている表現ですが、広域かつ維持管理にまで普及すれば容易に変化箇所を把握できるようになります。広域だとメッシュ処理後の対象より粗いデータになりやすいのでスケールの問題はありますが、PSInSAR や MMS 等の併用でカバーできるでしょう。

次に変位。
何らかのマッチング手法を用いて2時期の変位を表現します。6年前に optical flow を試した時期がありましたが、これはイマイチでした。
https://phreeqc.blogspot.com/2012/02/optical-flow-block-matching.html
近年では ICP による点群同士、あるいは点群とメッシュのマッチングを行い、その結果から変位を抽出する手法が主流でしょうか?これに関してはプラントや岩盤を扱う例の載っている商用利用可能なソフト(GPL)も出ています。
CloudCompare Ver.2.6.1 http://www.danielgm.net/cc/
関連する箇所はコチラ↓
Registration > Align (point pairs picking)
 photogrammetry clouds で有効
Registration > Fine registration (ICP)
Distances > Cloud/Cloud dist. (cloud-to-cloud distance)
Distances > Cloud/Mesh dist. (cloud-to-mesh distance)

Optical Flow では 2D に修正する手間を必要としましたが、コチラは 3D の点群で、そのまま処理・表現できるところが長所でしょう。
ただ、過去にある会社が特許申請していましたので、土木分野では気を付けないといけません(結果はどうなったのでしょう)。
こういった海外のソフトの説明書に既に載っている例を国内で特許申請かけようとする姿勢は、消化し難いですね。誰でも使えるソフトや技術が、ある分野では国内で使えなくなるというのもイマイチです。

いずれにしても環境は既に整っていますので、すぐに次のステップに進むでしょう。しばらく、動向を見守りましょう。