2017年5月7日日曜日

物理探査の教科書から

John M. Reynolds 「An Introduction to Applied and Environmental Geophysics 2nd Edition」の気になる箇所の備忘録です。地下水や物理探査、海外には良い教科書がありますね。

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主な地質の弾性波速度 p147
主な地質の比抵抗 p291
主な地質の比誘電率、電波速度、導電率 p551


表面波

波の伝播イメージ Fig 5.41
分散曲線(高次モード含む)Fig 5.40-41


EM法

1次磁場と測定した2次磁場の比から見かけ導電率を推定 p434 Box 11.1

見かけ導電率と多層地盤モデルの関係 cumulative response function の利用 p434 Box 11.2 Fig 11.8

EMデータから1次元多層地盤モデルの構築 inversion の利用 p437 11.2.4.2 computer analysis


GPR

電磁波は地中で減衰する。
→海水の表皮深さは1cm。wet clay で30cm。 p540-541 
→表皮深さと比抵抗の関係 Fig 13.5

減衰した電磁波で測定・推定された導電率は、理論導電率よりもかなり小さい。
→小さな導電率で表皮深度を過大に見積もることに注意(実際は導電率が高く、表皮深さが小さい) p541-542 Fig 13.6

表皮深さは地中レーダーの浸透深度とイコールではない。 p541

波長と鉛直方向の解像度の例 Table13.3

地下水位近傍で含水率が高くなると電磁波速度が落ちる→走時から計算した鉛直スケールが間延びする Fig13.12

主な地質の探査深度と波長の関係(物理探査ハンドブックにも同図あり)p553

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空中電磁探査で、表皮深度に1/2をかけて探査深度としている方がいらっしゃいましたが、案外、1次磁場の中間でないと2次磁場が減衰しきって返ってこれない、といった内容を考慮されていたのかもしれません。その場合、減衰した2次磁場から過大な比抵抗・表皮深度を求めないための補正というのも1手必要になるでしょう。

いずれにしても、上記の深度問題は単純な式で解けないようです。現状では分散曲線からの深度変換、EM探査からの深度変換ともに、逆解析を用いざるを得ないようです。それにはボーリング結果や検層結果との比較がより求められるのでしょう。p439には以下の通り記載されています。
However, there has yet to be an unequivocal demonstration of true depth discrimination being achieved using a fixed-dipole length, variable-frequency system. As with any modelled data, it is always sensible to test the results by using groundtruth information (e.g. from boreholes).

2017年5月1日月曜日

深層学習で岩石名判定 その2

Web サービスの利点の一つは、携帯端末からアクセスできることです。

岩石名の学習結果はサーバー(Labellio https://www.labell.io/)に保存されていますので、iPhone からアクセスできます。iPhoneで写真を撮り、サーバーに判別してもらい、結果を返してもらうといった流れです。

で、実施した結果がコチラ。

1.00って、出るのですね。色付きには、よほど自信があるようです。

残念。花崗岩ですが、dioriteの判定。写真が悪いのでしょうか?
色ナシは難しいにしても、この程度は正しく判定してほしいですね。

OK。色付きには自信ありのようです。

石英閃緑岩ですが、Gabroの判定。
ま、言いたいことは分かります。

わかりやすい流紋岩。ですが、スコアは低め。
何を迷っているのでしょう?

これはスコアが高い。
そういえば、教師データに似たような色の縞々がありました。

流理がないと正しく判定されないようです。

いえ、こちらは安山岩なのですが。
斑晶があれば流紋岩、なくて黒っぽいと安山岩、と学習しているのでしょうか?

難しそうな写真でしたが、正解。
悩んでいるところ、なんとなく理解できます。

これも玄武岩でしたが、判定は安山岩。
斑晶が見えない場合は色で判定しているのでしょう。
写真の撮り方も影響するようです。

黒味が強いと、正しい判定。色ですね。



地学を習いたての中学生が色と形で判定している感覚に近いでしょうか(それしか情報を与えていないので当然ですが)。ま、1枚の写真のみから判定するのであれば、人もこの程度かもしれません。
岩石名判定の場合、拡大した画像や偏光顕微鏡写真などを組み合わせないと精度向上は望めないようです。人が通常利用する複数種類のデータを与え、組み合わせを考慮させないと、正しく判別してくれないのは当然でしょう。

そうすると、見た目だけで土軟硬を判定させるのは、ちょっと難しいということになります。人は必ず、ハンマーで叩いて判断しますので。
例えば打音を組み合わせるだけでも、かなりの精度が望めるように思えます。これは、以前にも書き残していた通りです。

他の分野でも、画像だけでは簡単に行き詰まるでしょう。近い将来では「画像+α」のような判別器が一般化するかもしれません。技術的には現段階でも問題ないでしょうから。

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20171103追記
柱状図の基準を当てはめることで、解決できそうです。
https://phreeqc.blogspot.jp/2017/11/blog-post_3.html