ラベル トンネル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル トンネル の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2025年8月10日日曜日

文献:点群からロックボルトの抽出

 A physics-guided hierarchical deep learning framework for underground rock reinforcement compliance check based on 4D point cloud data - ScienceDirect

AI要約

この論文では、地下鉱山での岩盤補強(ロックボルト)の設置パターンの適合性チェックを自動化・高精度化するために、階層型深層学習フレームワーク(PGHDFramework)の利用を提案している。従来は人手に頼ったため誤差や労力が大きかったが、SLAM-LiDARを使った4次元点群(空間座標+反射強度)データを活用し、手法の汎用性と精度を向上させた。提案手法は、まず物理ベース(LiDAR強度情報)のフィルタリングとクラスタリングでボルト候補を抽出し、その後、PointNet++をベースとした階層型ニューラルネットワーク(4DBDNet)で空間・物理属性を統合した点群セグメンテーションを行う。評価実験では他の先行手法と比べて高い精度・再現率・IoUを達成し、新設坑道でもボルト間隔自動算出による適合チェックを実現できることを示した。今後は粉塵・腐食・視点遮蔽など現場の制約への対応が題として挙げられる。

物理モデルと損失関数について:
本手法の物理的特徴づけの中心は、「強度(LiDAR Intensity)」である。LiDARの強度値は、ターゲット(ボルトと岩盤、金属メッシュ等)の表面反射率ρ、およびレーザーの入射角などの物理パラメータで決定される。論文ではWeitkampのLiDAR方程式を元に、ボルトと非ボルト領域の強度値差が主に表面反射率(材質の違い:金属vs岩盤)に由来する点を物理的に説明している。これに基づき、強度値によるしきい値処理(Intensity Thresholding)が分類に利用されている。
また、Deep Learning部分(PointNet++を用いた4DBDNet)では、強度値(i)を空間座標(x, y, z)とともに標準化し、点群特徴量として多階層で統合的に扱い、ロックボルト識別精度を向上させている。損失関数そのものには直接物理方程式を組み込んでいないが、物理的に導かれた強度しきい値と、それに基づく点群フィルタ/クラスタリング結果を教師データのラベリングに利用し、点群の空間的実測データに物理属性を付与した学習データを生成し、データ駆動型学習を物理的根拠で補強している。

点群の利用方法について詳細:
SLAM-LiDARで取得した点群は(x, y, z, intensity)の4次元データとして保存される。強度しきい値(Intensity Thresholding)で非ボルト点を物理モデルベースでフィルタリング。強度値の違いは主に材質違いなので、しきい値を可視的に調整した。
DBSCANクラスタリングで、密度ベースでボルト点群を抽出。さらにOctreeベースの接続成分解析(CCA)で個別ボルトクラスタを分離。ボルト形状の物理寸法に基づくしきい値処理(dimensional thresholding、buffering)でボルトサイズ・形状に合致するものを抽出。得られたボルトクラスタにラベル付与し、各点について(x, y, z, i, label)の形で教師データ化。値はZ-score標準化し、空間的バラツキと強度の違いを均等に扱えるようにした。
最終的にPointNet++をベースとした4DBDNet(4D Bolt Detection Neural Network)に入力し、多階層・多スケールで空間+物理情報を融合し、点ごとのボルト/非ボルト分類を学習・推論させた。
精度評価は、ボルトレベル(クラスタ単位)、点群レベル(点単位)で実施。精度・再現率・F1スコア・IoUなど多面的指標で先行研究と比較した。

まとめると、本論文の物理モデルは点群の「強度」と「空間座標」を融合し、その違い・相関をラベリング等に活用することで、従来法では解像不十分だった非突出型(Split Set)ボルトの検出と識別精度を大幅に高めている点が最大の特徴である。

損失関数に物理モデルを組み込んでいるのかと期待しましたが、そうではない様子。国内のトンネルではロックボルトは整然と打たれていますので、このようなモデルは必要ないでしょうね。
 

2020年7月23日木曜日

リニア中央新幹線 有識者会議

先日、御客様との話の中で、静岡のリニア問題に関する話題が出ました。

これ、詳細な議事録が公開されています。以前より興味があり目を通していたのですが、お客様の中にも気になる方がいらっしゃるようですね。

リニア中央新幹線静岡工区 有識者会議

議事録を読んだ際に感心したのが以下の点。(第2回議事録)
  • 解析モデルの不確実性ををふまえた上でのリスク管理システムを作っていただきたいと住民側が要望している。
  • 通常は住民側が安全・危険の2択で質問・要望するのに対し、エンジニア側がリスク管理の視点で説明する。しかし、ここでは逆転している(住民側がリスク管理、リスクコミュニケーションの向上をJR東海さんにお願いしている)。
住民側として説明をうけるはずの静岡県が総監技術士の視点で発言しているのに対し、JR東海さんが主に専門技術士の視点で説明しているような異例の流れとして読めます。JR東海さんの地下水解析の委託先は国際航業さんとのこと。リスク対応方針を決める立場ではない担当技術者の心中を察します。
モデルの不確実性については、「地下水モデル」にも書かれていました(備忘録としてまとめた内容はどこかに置いたかな?)。理解できていない部分がまだ残っていますが、大事な内容です。この不確実性の結果も見据えて静岡県にアドバイスされているブレインがいらっしゃれば、その方は優秀です。見習わねば。


もう一点。使用するアルゴリズムへの委員からの指摘です。(第3回議事録)
  • 委員からは、そもそもの解析ソフトももっと最新のもの、国際的なものがあるので、そちらでやって欲しいとの意見を散々申し上げているが、JR東海からは、高橋の方法だとか国鉄時代のものを使用すると言われてしまうので、そうなると私達としても結果を検証できない。
第1回議事録に「水収支モデル(TOWNBY)」の記載があります。これが「国鉄時代」のアルゴリズムです。TOWNBY 以外の新たな手法を要望される方がいらっしゃるのを初めて知りました。この方の仰る国際的なモノとはどれでしょうね。
広域モデルである程度の精度で予測し、その結果を個別の詳細モデルの境界条件として利用し精度向上を図るという2段階手法は常套手段だと考えます。それを100mメッシュ(感覚では広域モデル相当)のTOWNBY のみで説明を通そうとされるのは、確かに乱暴かもしれません。それ故、副知事の仰る不確実性を明記し、それを踏まえたリスク管理が求められるのでしょう(厳しいですが、理解します)。
私なら、詳細モデルとして何を使うでしょうか?おそらく、知り合いの先生のアルゴリズム(浸透流+地表流NS)を利用させてもらえないか、まず相談するでしょうね。ダメなら GETFLOWS でしょうか。高価ですし、自分で修正できないのが難点ですが。
不確実性は統計手法が良いでしょう。浸透流の予測結果に対して実施したことはありませんが、z分布、t分布などを仮定した検定のような手法を当てはめることができそうです。


目指すは専門技術・リスク管理技術の両輪での解決。総監の視点が必要です。
私レベルだと一人で解決に導くことは難しいでしょう。が、技術者としては腕の見せ所です。JR東海さんが合意に向かう道筋を見つけられるよう、今後を期待しています。


2017年10月14日土曜日

吸水膨張試験

岩石の吸水膨張試験ができないか?と問い合わせ。

できません。その設備、ありません。

トンネル業務で膨潤性を判定する際には、スメクタイト含有量を XRD 結果から推定し、利用しています。吸水膨張圧まで測定したことは個人的にありません。その先の計算を見据えて興味を持ち続けていますが、残念ながらナシです。

あらためて地盤工学会基準を見てみますと、以下のように書かれていました。
  • 吸水膨張試験は地山の膨張性を判定する指標の一つとして取り扱われているに過ぎない
  • 結果を設計施工に積極的に利用している例はわずか
  • その理由として、膨張応力や膨張性を利用した設計手法・解析手法に関する研究・検討事例が極めて少ないことなどが挙げられる。
  • しかし近年、変状事例が各地で顕在化してきており、設計条件を決める場合に試験結果を利用している例がある。(近年といっても、古いと思います。)
  • 14例のうち、13例がトンネル、1例が切土アンカー

興味を惹かれ、切土アンカーの文献を読みました。が、ピースの試験長と膨張圧の関係に着目されておらず、イマイチでした。要素シミュでパラメーターを求め、数値解析に持っていく、という流れが BEST でしょうか?web 上にはこのような文献もありました。

A Study of Swelling Behaviour in a Tunnel Using Finite Element Methods

他には、線膨張係数を使って見かけの E を変更している文献もありました。おそらく、分子シミュでも扱われているのではないでしょうか?

土木の場合、純粋な鉱物学的「膨潤」のみを指して膨張性地山とは呼でしょう。塑性化後の押出しを区別しにくいのか、「○○cmの押し出しが発生した」というように結果のみが示されます。観測だけでは区別していない(できない)ため、試験の定量的利用が難しいのでしょう。

まずは正攻法でも、そうでなくても良いので、数値解析を利用し現象を理解する材料を作る必要があるでしょう。解析例を蓄積しすれば一部の会社の特殊技術ではなくなり、設計・施工法も標準化されるでしょう。地質屋さんのモデル化もより正確性を求められます。
皆で進めると、近い将来、難しい問題ではなくなるように思われます。

2017年2月25日土曜日

トンネルの事前調査・施工時調査

トンネルの事前調査のコアを分析していた方と話をしていました。

「今まで見たことがないくらいスメクタイトが出ている」とのこと。

ま、見た目からして大丈夫そうな岩なので、バルクでかけると「微量」という判断になると思われます。バルクでも目立てば岩石の吸水膨張試験や浸水崩壊度試験を実施すれば良いでしょう。
そういえば、昨年8月にトンネル標準示方書が改訂されています。膨張性の指標の一部が変更されたそうですが、未確認でした。確認してきましょう。

先日、災害科学研究所「トンネル技術者のための地盤調査と地山評価」 講習会に参加してきました。同財団3冊目のトンネル関連の図書です。前2冊が先進的でしたので期待していたのですが、残念ながらあまり多くの知見は得られませんでした。
今回の図書では、事前調査と施工時の調査に大きく分かれているように思えます。前者については総括的な内容でしたが、後者については執筆に力を入れられたようでした。トンネルの事前調査には限界があり、今後は施工時の調査を併用してリスクを低減させる、といった大きな流れが読み取れます。

勿論、事前調査でも得られるものはありました。
弾性波探査や比抵抗探査を実施しても、検層で検証・補正されていない例が多いとのこと。確かに、速度検層は実施しますが、電気検層は実施していないですね。指摘を受けて改めて気付きました。反省。

トンネルの事前調査の件数自体、昔より減ってきていると感じます(維持管理のための点検・調査業務は増えています)。事前調査の経験や知見を授受できる機会が減ってきていますし、それに係わる技術者数も減少傾向にあると感じます。私を含め、その質も落ちているように思います。経験等を AI にストックさせるという体制も現段階では整っていませんし、今後、施工時の調査へ場がシフトしていくのであれば、事前調査の経験等の伝達はより困難になるでしょう。ま、時代の流れ、と言ってしまえばそれまでかもしれません。

施工時の調査が施工に有益かつ効率的なのは私も実感していますし、維持管理段階で有用なことも理解しています(自身、施工時の調査を実施していた時は、事前調査をほとんどあてにしていませんでした)。
今後は事前調査の経験等を失わないようにする一方、維持管理を見据えた施工時調査の拡大に努めなければならない、という見解にようやくたどり着いたということでしょう。


2016年4月13日水曜日

トンネル情報化施工の発展

トンネル調査について相談がありました。

300mの土被りで、事前調査が空白地帯の区間に対し、追加調査を実施したいとのこと。

難しいですね。


トンネルの事前調査には(一般的なコスト感覚では)限界があると思います。
物理探査や地表踏査では、300m下の地質分布を描くことはできますが、亀裂分布やそれに伴う変質・破砕程度を予測できません。支保+補助工法に供するレベルという点では後者が必要であり、事前調査が「当たらない」理由の一つになります。ましてや湧水の予測はさらに困難でしょう。
この分野では、事前調査で坑口部や低土被り部の問題を検討+全線の大まかな支保パターンを区分し、掘削時の情報化施工で実際の地山に対応するのが現状だと思われます。

情報化施工に関してはゼネコンさんが素晴らしい技術をお持ちです。
昨日、大成さんが2種の広報を発表されました。

トンネル先行変位計測システム『TN-Monitor』を開発
切羽前方の微細な地盤変形を正確に把握
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2016/1439209140224.html

トンネル湧水対策計画ツール「T-WELL_PLANNER」を開発
山岳トンネル工事での迅速かつ効果的な湧水対策が可能に
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2016/1439208703034.html

特に後者には驚きです。解析に5日←分かります。解析に半日←お手上げです。
事前に準備すれば、ココまで対応可能なのですね。素晴らしい。
https://www.decn.co.jp/?p=66047


ゼネコンさんの情報化施工技術の発展に比べ、事前調査分野が停滞しているのは間違いありません。何とかしたいですねえ(私にはお宝が眠っているように感じるのですが)。

2016年1月24日日曜日

初期値圧測定

トンネル設計に関与している先輩から質問を受けました。

「水圧破砕法って知ってる?」

ええ、存じております。久しぶりに聞きましたが。
どうも初期値圧測定を提案しようとした方から、その計画立案をお願いされたようでした。

以前、初期地圧の整理をした際、各深度・位置での方向がバラバラで解釈に苦労した記憶があります。それが水圧破砕法の結果でした。水圧破砕法の精度が相対的に悪いということは、当時、既に知られておりましたので、それもバラツキの1因かと考えていたのですが、断定はできませんでした。

オーバーコアリングを追加で実施することになった際も、プレボーリングでコアを確認し、試験位置を決め、ワクワクしながら結果を待った記憶があります(その結果は忘れましたが、かなり高めの側圧係数になっていたような気がします)。
 
初期値圧に対し、個人的には以下の印象を持っています。
・岩盤中の応力を計ることは可能だが、それをサイト特性として解釈することは難しい。
・場所や深度によってばらつきがある。1点ではダメ。
・それでも、データは有用。変形解析を実施する特殊時山などでは、測定しておくべき。
・初期値圧でゾーニングできる可能性がある。亀裂構造図と重ねて評価すべき。
 
再度チャレンジしたいとは思っていますが、それ以降チャンスに恵まれません。今回も鉛直ボーリングの水圧破砕法では、欲しい方向の応力が得られない、ということで計画をやめられたようです。
初期値圧のゾーニング、いつかリベンジしたいですね。

2016年1月17日日曜日

地元の反対

新規事業に対し、地元の方々より反対意見の出ることは多々あります。

先日、Google アラートに、トンネル計画に対する異質の反対意見が引っかかりました。

産経ニュースより
http://www.sankei.com/smp/west/news/160114/wst1601140003-s.html
「神々の怒りを招きかねない」「都市の繁栄を脅かす」-。広島市の中心部で予定されている高速道路のトンネル工事について、一部住民からこんな理由で反対の声があがっている。この場所が広島の「鬼門」に当たり、工事は「風水」的によくないというのだ。JR広島駅周辺の混雑緩和が期待される道路計画だが、地盤沈下を懸念する住民の反対運動が起きたことで工期は大きく遅れている。そんな中、持ち上がった風水による反対はどんな影響を及ぼすのか。
弱りましたね。どうするのでしょう。
技術論なら技術者でも説明できますが、風水となると専門外。宮司?祈祷師?風水師?安倍清明みたいな方に依頼して調査・対策を提示するのでしょうか?あるいは西洋占星術やタロットカードなど、西洋起源の鑑定で対抗するのでしょうか?ピンときませんね。

立場によって、技術は知っているが風水を知らない、あるいは風水を知っているが技術を知らないというところの問題もあるのでしょう。
無知は罪なり、知は空虚なり、英知持つもの英雄なり、です。どのような英雄?が、どのように話を収めるのか、楽しみですね。

2015年12月26日土曜日

ボーリング調査深度 NEXCO

先日、国土交通省関連の支持層の考え方や、ボーリングでの確認深度について整理しました。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_6.html
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_38.html

もう一つ、NEXCOさんの考え方もよく利用しています。
以下は、NEXCO「土質地質調査要領」H24.7の関連個所を整理したものです。図書では調査段階に応じた調査内容が詳細に記載・区分されていますので、下表だけではカバーできません。が、辿るきっかけにはなると思います。

斜面(切土・地すべり)

盛土(軟弱地盤の定義を含む)


橋梁
トンネル

2015年12月6日日曜日

ボーリング調査での確認深度

支持層以外でも、ボーリングで確認する深度は調査対象によりある程度決まっています。
支持層はコチラ→ http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_6.html

・切土、トンネル
基本的には掘削面とその下位の状況(主に力学)を確認することがボーリングの目的となります。通常の切土では、北陸地整さんのように、3m毎に1回の簡易揚水試験を実施することは、あまりないですね。掘進時水位記録として、作業後に孔内水を汲み上げる程度です。アンカーが入りそうな場合はその深度まで(北陸地整さんの通り)なのですが、踏査で下部に軟岩が出てくる場合はそこまで確認したいところです(本設アンカーの定着)。
トンネルの水平ボーリングは NEXCO さんの方が長くなっています。これは北陸地整さんがうまくまとめられています。http://phreeqc.blogspot.fr/2015/12/blog-post_5.html


・ため池・河川 
こちらは力学も確認しますが、どちらかと言うと透水性(水理)の確認が主体でしょうか。
どちらも、基礎地盤までの透水性を確認し、危険であれば対策を計画するという流れになります。
ため池では今年の7月に新しい指針が出ましたが、まだ業務で扱っていないため未確認です。下表は昨年度までの改定案(古い基準と変更なし)を示しています。


ため池・河川は、ほぼ決まり通りに進めても問題ありませんが、切土は出てきた地盤に応じ刻々と判断が求められます。支持層にしても、薄層支持で終えそうなのか?さらに掘り進むのか?など、ボーリング1m毎に得られる自然に応じ、判断しなければなりません。指針のルールはあっても、現場は結構忙しくなります。

2015年8月5日水曜日

トンネルCIM

CIMトンネルモデル作成ガイドラインVer.0.3が、JACIC のHPに掲載されています。

今年度Ver.1.0になるそうですが、特に実務に影響を与える規定や、詳細な仕様はなく、効力についても不明です。現段階では、ソフトウェアベンダーの飯のタネに利用されているのみでしょうか?

地質に関しては、パネルダイアグラム作成までしか要求されていません。
掘進時の切羽点検では、地質の分かる方も少ないでしょうし、全切羽で修正(作成)も通常のトンネルでは実施されないでしょう。そのため、その程度に止まるのだと思われます。

Webでは、大林さんの施工段階での取り組みをよく見かけます。本来であれば、そのモデルを用いて維持管理段階の情報を入力•蓄積し、データベース化できればよいのでしょうが、現段階では、施主側での既存の管理法や委託会社の環境に左右されるでしょう。

いずれ、データフォーマットが規定され、入力仕様も定まってくれば、各社ソフトも揃って、うまく流れるようになるかもしれません。
今後の動向と、若い方の好奇心には留意しておきましょう。


2014年9月9日火曜日

せん断ひずみ

トンネルの変形を扱った数値解析を実施していたのですが、そのレポートを書いていた時の話。

私が出した結果を使って、他支店の方が作成した資料を、また私が再構成して仕上げていました。
おかしなもので、自分で書いたロジックの誤りはなかなか見つけられないのですが、他の方の誤りはすぐ目につきます。応力解法率の設定根拠が異なっていたり(私の説明が悪かったのでしょう)、使用している数字が異なっていたり。

中でも興味をひかれたのが、以下の点。
その方、1軸圧縮強度から限界ひずみを設定、それをゆるみ領域の閾値に設定されていました。その後、数値解析によるせん断ひずみ分布に、その閾値を適用されていました。疑問に思い調べてみると、お客様から頂いた前例に倣ったようです。
基本的には「限界せん断ひずみ」を用いるべきなのでしょうね。ま、実務的には安全側となるので結果的に良いのですが。提示したい結果に合うように、わざとそのように設定されたのかもしれません。

逆に、私にない良い点もすぐ目につきます。通常、私が使わないソフトで綺麗に再ポスト処理されていたり、説明が上手だったり。

一人で作業するよりは、複数の人間で試みる方が、気付くことも多いようです。



2014年8月26日火曜日

八箇峠トンネルの事故

南魚沼、八箇峠トンネルの事故報告を読んでいました。
http://www.hrr.mlit.go.jp/saigai/h240524/

「換気を行っている状態では検出できないほどの低濃度のメタンガスが、冬季の作業休止中に坑内にたまって、爆発を起こした」というのが結論のようです。入坑時、換気されていない状態だったのでしょうか。再開時に酸素濃度、ガス検知を行わず坑内に入るのは結構怖いのですが、「慣れ」だったのでしょうね。

事故発生当時、坑内にガスが残っているかもしれなということで、切羽付近を狙って地表からボーリング孔を開け吸引、換気したようです。石油系の技術を使うという文言もありましたので、土木系から見るとやや特殊なボーリングだったのでしょう。私はメタンガスの噴出する山に遭遇したことはありませんので詳細は知りません。ガス田地帯であれば、対応技術や管理基準なども発展しているのでしょう。

上記サイトに掲載されていた再発防止策の要点は、以下の通り。

・坑内の可燃性ガス濃度と酸素濃度の測定を行い、安全性が確保されたことを確認してから入坑する。(坑内の空気を吸引して安全な濃度(5%LEL未満)を確認)
・坑内換気設備の起動は、坑外の安全な場所から行う。
・濃度の管理基準値を設定
・可燃性ガス濃度の測定は、切羽において天井から10㎝と路盤から1.5mの位置で測定。
・可燃性ガスの危険等に関する安全教育や避難・救護訓練を全作業員を対象に実施します。

意外とベーシックなものですね。色々な技術がある中でも、360度回って基本に返っているように思えました。

2014年8月7日木曜日

トンネル施工の実況

JVさんがトンネル施工の状況動画を公開されています。


お世話になった坑夫さん達が写っていました。皆さんお元気で頑張っていらっしゃるようです。

こういった施工現場を動画で公開するのは良いですね。トンネルをどうやって掘るのか、一般の方にも一目瞭然です。案外、調査や設計なども公開すれば興味を持っていただけるのかもしれません。将来の人材確保にいかがでしょうか?



おまけ。
火薬手帳の更新講習で見せられた動画です。Youtubeでしたか。

トンネル施工アニメーション 

2014年5月26日月曜日

ゆるみを考慮した安定計算

地すべり土塊内にて滑動方向と平行にトンネルを掘削する場合の式を変形します。
(財)高速道路技術センター「トンネル掘削を誘因とする地すべり対策に関する基本検討報告書(日本道路公団委託)」平成8年



横断形状で、トンネルがすべり面を切る区間bの粘着力c"を0(cの低減率=0)とし、すべり面の横断長Bで分担(平均化)させた式です。以下のように考えるとわかりやすいでしょうか?



ゆるみを考慮する場合、ゆるみ領域がすべり面を切る区間bの粘着力c"を0.3cとみなして分担させれば報告書の説明に合致します。φも同様にφ"=0.75φとして扱い平均化すれば一致しますね。
厳密にはスライス毎の横断チェックが必要になりますが、先人がそこまでしていたとは思えません。代表断面といった考えなどで省力化されていたのでしょう。


2014年5月24日土曜日

トンネルと地すべり 安定計算

地すべりがトンネル掘削によって影響を受ける場合の、安定計算手法です。

LEM での手法は限られており、実務上は NEXCO さんの設計要領に載っている手法1択です。いえ、厳密には旧JH委託報告書と合わせて2択でしょうか。コレです↓
(財)高速道路技術センター「トンネル掘削を誘因とする地すべり対策に関する基本検討報告書(日本道路公団委託)」平成8年
確か、平成18年頃の設計要領に「詳細は旧JHの委託報告書による」といった趣旨の注意書きがあったのですが、現在はなくなっています。

今回、地すべり土塊内にて滑動方向と平行にトンネルを掘削する場合と、地すべり直下をトンネルが横断する場合の2者を実施しました。前者では、すべり面の横断形状が必要です。

なお、旧JH さんの委託報告書と NEXCO さんの設計要領で、異なる点があります。具体的には以下の通り。

・ゆるみ領域
NEXCO: 2.0D まで
旧JH委託: 1.0D まで

・土塊内を並走する場合:ゆるみ考慮の有無
NEXCO: 掘削による荷重変化のみ考慮。ゆるみは考慮しない。
旧JH委託: 荷重変化に加え、ゆるみを考慮することが可能。

・低減値の下限
NEXCO: cの下限値0.4
旧JH委託 cの下限値0.3、安全率0.95程度(すべりの型による)の逆算値を下回らない程度。


旧JHの委託報告書で 1.0D とされましたが、設計要領は改訂されず、現在に至ります。ま、実務上は安全側という殺し文句で現行通り 2.0D とすれば良いのですが、なぜ改訂されなかったのか疑問です。

一方、ゆるみに関しては現行の方が危険側。坑口部で地すべりに突っ込んでいく場合、ゆるみを全く見込まない計算方法では怖いですよね。コチラは旧JH委託報告書を優先したいところです。
ただ、肝心のゆるみを考慮した場合の計算式が、あいまいにしか書かれていません。文章を読めば展開できるのですが、実務上はやや(検査対応として)使いづらいものがあります。

当時のことは今となっては分かりません。相違点については設計要領を優先しつつも、着地点(対策)を見据えて検討する必要がありそうです。


2014年5月4日日曜日

断面でのトンネル表示

Civil3D 2014で、各断面にトンネル形状と、掘削によるゆるみ領域(影響範囲)を表示しようとしています。

トンネルと直行している断面はなく、それぞれ多様な角度で交わっています。
思いつくのは以下の手順。これなら手間はかかりません。

1.中心線形データ読み込み
2.コリドー作成
3.コリドーからソリッド作成
4.GEORAMA 2014でソリッド断面表示

が、まず最初の段階で躓きました。
予備設計をされている会社が「中心線形データとは?」と言われます。後で聞いたのですが、地元の業者さんは地元の仕事をメインでされているため、国交省の電子納品仕様は対応されていなかったようです。仕方ないので、平面線形のはいったCADデータと、縦断線形の計算書を頂き、そこから作成しました。

コリドー作成、そこからソリッド作成は特に問題なかったのですが、GEORAMA でまた躓きました。
コリドーから作成したソリッドを切断する際、演算に失敗します(厳密には、Civilで切れていない?)。厚みがないためでしょうか?
コリドーからサーフェスを作成し、GEORAMA の地層として登録・固定しても作画されません。サポートにも問い合わせましたが、GW 中のためか返答なし。
この点は Civil3D 自体の断面作成機能で回避できますが、各断面毎に作成して位置合わせをするのは面倒です(15断面ありますので)。

なかなか、思うようにいかないものです。

---------------------------------------------
20140507追記
サポートからの回答がありました。コリドーのソリッドはアーチとインバートの2つ。それの和をとって一つにすることで、輪郭は表示できました。要は、閉じてないと認識しないようです。
ハッチはダメ、坑口部の閉じていない個所もダメでしたが、ま、とりあえずは先に進めそうです。

20140510
トンネル断面を0.0001m押し出して、コリドーソリッドにくっつけました。これで GEORAMA でもソリッド断面が抽出できました。
トンネル断面にハッチングをかけ、その境界を抽出することでも輪郭ができますね。いろいろな作り方がありそうです。あと、3Dモデリングでホームタブ-修正ー3D位置合わせが便利でした。


2014年5月2日金曜日

トンネル湧水のpH

後輩から相談。あるトンネルの湧水のpHが高いので処理したいとのこと。

施工中の中和プラントは撤去してしまったようで、今は自然流下のみ。階段状流路による曝気も実施済み、希釈も難しいそうです。

酸性水に対する問題はよく聞きますが、アルカリ側については問題として取り上げた事例をあまり聞きません。コンクリート構造物であれば、ある程度は高くなりますし、自然に低減するのを期待するのでしょう。

対策事例をググると、以下のような発表がありました。
http://www.thr.mlit.go.jp/Bumon/B00097/k00360/happyoukai/H22/ronbun/3-8.pdf
http://www.web-gis.jp/e-Forum/2013/PDF/2013-055.pdf

やはり、曝気とプラントがメインのようです。
ダイヤさんの発表には成分が記載してありましたので、これをPHREEQCで計算してみました。大気圧下で CO2 を完全に溶解させると、pH6 まで低下します。が、実際はそこまで下がらないようですね。SIはほぼ不飽和を示していましたので、曝気時間や流下中の溶解が要因として考えられるのでしょうね。詳細は分かりませんが。

個人的には、酸性岩を reactant として利用する対策は躊躇しますね。重金属など、他の溶出物質の有無、長期的な溶解特性を調べてからでないと採用できません。維持管理として、定期的な reactant の入れ替え作業、水質監視も必要となってきます。

ま、対策を急ぐならプラント設置一択になるのでしょうが、時間に余裕があるなら原因を把握すべきなのでしょうね。

2014年4月23日水曜日

掘削開放率

トンネルの掘削を2次元で計算する場合、掘削開放率が用いられます。

トンネル・ライブラリー24号に、その話も書かれていました。要点をまとめると、以下のようなことでしょう。
  • 3次元の地山特性曲線を2次元平面ひずみ場で応力解法率として厳密に表現することは困難。そのため、着目点(先行変位か最終変位か、地表面沈下か天端沈下か)に応じて応力解法率を設定する必要あり。
  • 3次元に一致する結果が得られる応力解法率は、掘削工程や物性値、土被りなど様々な影響を受ける。そのため、二次元解析は「目安」を得る手段であることに留意する必要あり。
このような細かい設定を考えるくらいなら、素直に3次元でモデル化する方が初心者向けだと思います。p184にも書かれていますが、3次元解析によって現象を理解できる経験・能力を得ることが必要でしょう。そうすることで、2次元モデルとして解析・評価する感覚が見につくのだと思います。この分野も、経験が物を言う世界なのです。

ところで、「カイホウ」という漢字は、「解放」「開放」のどちらが正しいのでしょうか?
応力なら解放率でしょうし、掘削なら開放率で良いと思いますが、どうなのでしょうね?




支保部材・補助工法のモデル化

2次元で支保部材、補助工法をどのようにモデル化するかが、以下に整理されていました。

土木学会「実務者のための山岳トンネルにおける地表面沈下の予測評価と合理的対策工の選定(トンネル・ライブラリー24号)」p149-151

過去のライブラリー2冊が整理され、表になっています。こういった表、欲しかったんですよね。
基本的には等価な剛性でモデル化するか、掘削解法率を低減するかだろうと思います。多いのは前者でしょうね。後者の場合、3次元解析との比較になりますが、そうであれば三次元の結果を見れば事が済みます。わざわざ次元を落として再確認する必要がありません。

ソリッド要素、トラス要素、ケーブル要素、ビーム要素、パイル要素の簡単な説明もあります。このあたり、私がよく知らないところです。構造物をよく扱う方は、こちらの方が詳しいのでしょう。どのソフトで、どの要素を実装しているのか、把握しておく必要もありますね。


お客様の中には、補助工法の効果を定量的に把握する手法がないと思われている(そのように説明を受けている)方がいらっしゃいます。解析的手法による結果と施工実績との対比が少ないためでしょうか、まだまだ通常の設計手法としては認知されていないようです。
現段階では、支保部材・補助工法のモデル化を含めた解析的手法の中身を基礎知識として押さえ、それを使った評価の検証を蓄積して行く必要があるということだと思います。




2014年4月20日日曜日

解析領域と地表面沈下

解析領域と地表面沈下の話がトンネル・ライブラリー24号に出ています。

モデルの中でトンネルを掘ると、ある程度のリバウンドが出ます。下方領域が大きいほどリバウンドが大きく出ます。そのため、地表面沈下を対象とした解析では、下方領域を小さ目にしないといけないという内容でした。トンネル・ライブラリー16号にも出ています。
http://phreeqc.blogspot.jp/2010/12/12.html

これ、沈下の計算でも同じことが言えますね。
通常の解析領域同様に下方領域を設定すると、盛土により岩盤が弾性変形し大きな沈下が生じてしまう、といった考えにくい現象です。土質定数の設定や事前調査にも問題があるわけですが、解析領域にも気を付けないといけないという点は上記のトンネルの場合と共通でしょう。

境界条件にも触れられています。
トンネルの場合は側方:水平ローラー、下方:固定境界として計算しているものが多いようです。JH等のマニュアルでそのように扱われていたからでしょうね。
先日、他社の解析屋さんに「なぜ下方は固定?」と問うと、やはり「一般的」「マニュアル通り」という答えが返ってきました。トンネル・ライブラリー24号p147に掲載されているような偏圧地形であるがなかろうが、「固定境界」としているようです。これ、地表面沈下を対象とする場合(下方領域を小さくとる場合)は注意が必要と明記されていますね。ま、答えを見たらダメかどうかはすぐにわかると思いますが。

ただし、次のようにも書かれています。
(下方を1D程度に抑えるのは)掘削による浮き上がりを抑制したいという解析者や設計者の意図が読み取れる。言い換えると、・・・自らその予測値を自分で与えたことに注意を喚起したい。
確かにそうです。下方領域=1Dを読んだときの違和感がこれでした。執筆者が熟練者のため、先のような記載になったのでしょう。正解に対する嗅覚(経験)が必要ということでしょうね。ベテラン技術者ほど数値解析を割り切って使っているというのはこういった点を指すのだと思います。

まだまだです。