2014年3月31日月曜日

マリオットタンクの原理

表層部の不飽和層の透水試験を実施する場合、ボーリング+ノッチ(注水式定常法)か、マリオットタンクを利用するかと思います。

個人的にはマリオットタンクを使用したことがありません。会社にあるタンクは古く、設置が面倒なのと、地下水位が分からないという短所があるので、個人的にはボーリングとの抱き合わせを選択しています。

最近、簡易なマリオットタンクが出ているようです。カタログが時々回ってきます。ま、水頭を一定
にするというだけですから、複雑な構造は必要なかったのでしょう。
それらを見て、自作できるかと思い少し調べてみると、以下のページに面白い絵が掲載されていました。原理が分かりやすいですね。
http://homepage3.nifty.com/kuebiko/science/freestdy/Mrott.htm


ペットの自動給水器と同じレベルだったんですね。

2014年3月29日土曜日

トップリング

道路際の斜面で崩壊が起こり、通行止めになったと連絡があったようです。

担当することになりかけ、まず、「どう着地させよう?」と思いました(結局、担当からは外れました)。

トップリングの場合、仕様で決まった設計法を見たことがありません。一方、対策方法は地すべり同様に切直し(排土)+排水、切直しができない場合は地すべり同様にアンカー、そしてそのための計算法はすべり計算の逆算に限られるようです。
個人的には、クリープ境界面(破断面)のせん断抵抗力を増やすより、トップリングを起こしている板(層)の間のせん断抵抗力を増やす方が効果があるように思います(破砕が進み、地すべりに移行しかけているような場合は地すべり対策同様でOKだと思います)。が、そのような設計は見たことありません。

去年、大学の先生(とっても元 JH 職員)の講演で、面白い例え話を聞きました。JH ですから、切土施工中に起こったトップリングであり、比較的若い場に限ってのことだと思います。
「トップリングは本が将棋倒しをしているようなもの。頭をガムテープで張ってやれば、動かなくなる。地すべりのようなすべり計算・対策はダメ。みなさんも良い対策方法を考えてください。」
なるほど!と思いました。素人目線では長めのロックボルトやケーブルボルトを板に垂直に打ち、全面を固めに行く方が素直な対策なのかと思います(現場条件に制約を受けますが)。計算は板間のせん断力と抵抗力の割合(安全率)を見てやればOKでしょうね。ま、このあたりは設計者の面白いところなのでしょう。

こういった流れが出来上がっている背景には、地質屋の誘導の失敗も含まれているように思います。トップリングでも、すべり面と見紛うような境界面を断面図に入れてしまい、フェレニウスで解けば良いと誘導してきたことが一因にあるのでしょう。
現場や設計者、お客様を見て、チャンスがあれば正しいと思われる設計法を試してみないと、前に進まないのでしょうね。


2014年3月26日水曜日

土質試験一覧表


室内土質試験一覧表は、ボーリング孔毎に整理されます。

これをサイトや構造物単位でまとめたい場合、再度、EXCELで整理しています。
が、これ、多くの土質試験整理用ソフトでは TXT に書き出せないんですよね。書き出せるとしたら、XML です。以前はこれを EXCEL + VBA で読み込んでいたのですが、孔毎に試験種別が異なるため、汎用性を持たせるまでは仕上げていませんでした。

先日、基礎地盤さんの土性BASEを使用していて、TXT ファイルへ書き出せることに気づきました。以下、備忘録です。
  1. STLIST.XML → .SRY 変換
  2. 土性Base(編集)で別孔,本孔の試験結果を統合(シフトキー押しながらセル選択後、コピペ)
  3. 土性Base(編集)で柱状図読込み(資料採取情報は上書きしなくてOK)
  4. 土性Base(表示)で、一覧表表示 → csv 書出し


2014年3月23日日曜日

試料の乱れ

数か月ぶりに、シンウォールのサンプリング記録を書きました。

これ、あまり作られていないようですが、重要な仕事だと思っています。
乱れの少ない試料を抜いた際、どの深度でどのような特徴があり(砂分が多い、礫が混じる、礫押しで乱れている、クラックが入るなど)、どこで何の試験をしたか、どこが供試体の何番かなどの情報を記載します。供試体選定の重要な根拠となります。また、後で深度方向の特徴を見る際に役立ちます。手を抜くと、2年前にような失敗に繋がります。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/03/blog-post_22.html

今回、N値0の軟弱粘土を対象にサンプリングを行いました。
一部、採取時に乱れた可能性が考えられた箇所では、別孔で採り直しをしていたのですが、その2本を試験室で比べると、固さが全然違っていました。別孔採取試料は案外固く(いえ、軟らかいのですが)、本孔の試料はプリンのようでした(ちょっとオーバーな表現ですが)。
コアはどちらかというと後者に近かったですね。あたりまえですが、やはり乱れています。
コアを見ている限り、自立するかどうか不安だったのですが、乱れの少ない試料では全く問題ありませんでした。

今回の試料は、含水比が液性限界に近かったので、このようなこと(少しの乱れで液状?軟らかくなる)になったのかもしれません。原因の詳細は分かりませんが、抜いた試料を見れば、乱れた試料はオミットでき、調査の品質が保てます。
近年は生産重視で現場と試験が離れていますが、地質屋としてはできる限り両方に携わっていきたいですね。



XP から Linux

XPのサポートが切れるので、新しいPCを選んでほしいと頼まれました。

Webと写真整理がメイン。たまにWord等。
タッチパネルが良いという事でしたので、Win8 +タッチ、i5 でメモリ 4GB 以上を見てみると、簡単に7万円越えでした。

もったいないので、今のPCでLinuxを入れることを提案。
運用できるようにするまで少し手をかけてやらないといけないか?と思いながら、最近の動向を知るべく本屋に行ってみました。すると、案外同じことを考える方がいらっしゃるようで、いくつかの雑誌が XP からの乗り換え特集を組んでいました。
1冊買って中を見てみましたが、ディストリビューションの多さに驚きました。人気なんですね。十数年は、Red Hat 一択だったように思いますが。

で、付録のUbuntu のライブ版を起動。
すると、32bit 版がすんなり起動!(1発で動くとは思っていませんでした)
次は Wi-fi 接続ですが、こちらもすんなりOK。Web閲覧も、Firefox が入っていたので OK。VPN の設定まであります。驚きです。ここまで進化していたんですね。
USB の外付け HD も、つなぐだけで認識。ファイルアクセスも全く問題ありません。
プリンターはメーカーHP にドライバーがなかったのでダメかと思いましたが、何と、こちらも手を加えなくても認識。驚きました。
結局、全く問題なく移行できそうでした。これだと、余っているHDにインストールしてしまえば、後からデータ移行も可能です。しかも、XPに比べて軽い。私にとっては申し分ないです。あとは使用者の慣れと好き嫌いだけですね。

軽量ディストリビューションも多数あるようです。古いPCも、用途によっては、まだまだ再生できそうですね。


2014年3月21日金曜日

国土地理院+3D

西之島で魅せてくれた地理院さん、今度は3Dプリンター用の地形データ提供開始です。
http://cyberjapandata.gsi.go.jp/3d/

昨日公開されたばかりですが、かなり人気のようです。
現段階では地図画像+10mメッシュのみですが、見たい場所を選び、ボタンを押すだけで、WebGL、STL、VRML データを作成・閲覧・DL できるようです。お手軽です。私が試したときは簡単に可視化できたものの、夜中なのに DL できませんでした。地形ファンが殺到しているのでしょうね?5DEM祭り以来です。

個人的には、地形の3Dよりも、それをWebで提供する技術と姿勢に感心しました。本気ですね、地理院さん。
あと、3D プリンターを使ったことがないので、VRML でカラープリントできることを知りませんでした。VRML、まだ現役なんですね。この形式なら、対策工や計画、地質分布など、いくらでも作れますので、今後提案しても良いでしょう。

地理院さんが一般ユーザーを呼び込み、結果、フルカラー3Dプリントの敷居が下がれば良いですね。知識だけは取り入れておく必要がありそうです。

2014年3月16日日曜日

建築物の揺れ

先日、伊予灘を震源とする地震がありました。

私はホテルで地震を感じました。
初動時は、あれ?酒のせい?という感じでしたが、その後のユラーでやはり地震だなあ、深度1か2くらいかなあと。ただ、周期が長いなあ、2秒程度?そういえば8階だからか?揺れの数も少ないし、遠方なのかなあ、などと考え、気にせずに寝ました。

翌朝、震度3の地域であったことを知りました。意外でしたね。
昨年できたばかりのホテルだったので、免震構造なのかと思い、フロントの方にも聞いてみました。が、不明とのこと。ま、そりゃ御存知ないでしょう。長周期が観測されたエリアでもなかったので、建物によるのだとは思いますが、詳細は分かりませんでした。

ホテルを予約する際、その説明欄に「免震」「制震」などと書かれているのを稀に見ます。今まで気にしていませんでしたが、案外、重要な情報でありがたいかもしれません。逆に、「○年open」や「○年の耐震基準を満たしている」などの情報もアピールになると思います。
大抵、1~2晩過ごすだけですが、地形以外にも見るところはあったようです。
 



2014年3月8日土曜日

1次元の地震応答解析

地盤工学会「地盤の動的解析-基礎理論から応用まで-」の5章の備忘録です。

・上下をよりせん断速度の大きい層で挟まれている>エネルギー蓄積>大きなひずみが発生>非線形性顕著、せん断応力がせん断強度に達する>加速度が上限に達する。(p107)

下の論文の式(3)によるようですが、最初はピンときませんでした。イコールの意味が分からなかったのです。負担できない荷重は、未破壊の隣の土柱のせん断面で(それがだめならその隣の土柱で・・・)負担させるという多次元のイメージがあり、個々の土柱でイコールにならなくても良いのではないか?と思ってしまいます。ま、そういう地盤は1次元では解けないので適用外、逆に1次元に適用できる問題であれば等号でよいと解釈すべきなのかもしれません。正解を知りたいところです。

末冨ほか 地震動の上限値と地盤のせん断強度の関係 654 I-52 2000 195-206
http://library.jsce.or.jp/jsce/open/00037/2000/654-0195.pdf

ボーリングで、1m厚の粘性土が砂礫地盤に挟まれていた場合、モデル化が必要かどうかを聞かれたことがあります。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/03/blog-post_28.html
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/03/2.html
今回も触れられていましたが、1次元ということで扱うのであれば、その水平方向への連続性がカギとなるのでしょう。地質屋の判断になるのでしょうけど、これ、わからないでしょうね。


・拘束圧依存性(p109)

「弾性定数」が出てきました。意味がよくわかりません。
が、それ以外はOK。拘束圧の影響と材料のばらつき、当然両方ありですね。


・液状化地盤の例(p110)

以下の文献がそのまま載っています。現行のテキスト(といっても発刊は7年前)に20年以上前の事例がそのまま紹介されているということは、1次元は既に完成形になっているということでしょうか?

吉田 望 1995年兵庫県南部地震におけるポートアイランドの地震応答解析 土と基礎 43(10), 49-54, 1995http://ci.nii.ac.jp/els/110003976942.pdf?id=ART0005464138&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1394261781&cp=



5冊読みましたが、それでも「理解した」という気にならないのは、やはり身近な問題を解いていないからでしょうね。ま、設計者ではないのでそれでも良いのですが、スッキリしません。公開されている YUSAYUSA も動かしてみましたが、納得はできませんでした。やはり、課題があり、それを解いて答えを出さないと、理解したという気にならないのでしょう。

今後、機会があれば積極的に取り組んでみましょう。

動的解析の基礎理論

最後は、地盤工学会「地盤の動的解析-基礎理論から応用まで-」です。

やはりこの手の本は手を動かしながらでないと頭に入らないことが多いようです。2年前から全く成長していません。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/03/2.html

応用よりも基礎理論が多く、網羅されているといった印象でした。以下、備忘録です。


・サンプリングの違いによるせん断剛性の変化(p9)
この図は、吉田望「地盤の地震応答解析」に出ていましたね。実務上の取り扱いも書かれていたと思います。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/05/g0.html

・ベンダーエレメントと拘束圧(p9)
あたりまえですが、案外忘れがち。

・液状化強度と安定問題、変形問題(p13)

・液状化時の透水係数(p15)
6~7倍

3章の入力地震動についてはついていけません。そんなものかなあ、という程度。難しいんでしょうね。実務でも、地震波を作成するだけで1業務、というのもありますからね。私はまだまだです。
ま、その中でも興味が惹かれたのは以下の箇所。

・P波、S波の放射特性(p42)

・表面波の生成(p44)


4章の解析法では、細かく書かれている印象。数値解析の注意点(三角形要素、ロッキング、アワーグラスなど)も触れられていました。気になったのは以下の箇所。

・メッシュサイズ(p84)
これも以前、読みましたね。動的解析特有です。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/12/blog-post_31.html

・自重解析(p86)
図4.42です。前に説明していただいたのですが、なぜこうなるのか分かりません。まだまだ。
初期応力状態の求め方が難しいのが、液状化による変形の難点の一つなのでしょうか?

・境界条件(p86)
ふーん、といった程度の理解です。面白いと思うのですが、イマイチ、分かりません。

・水・土の形状関数の次数
FVMで説明されています。
次数の違いについては以前、講習会で説明されていました。講師の方は「個人的には、合えばOK」などと言われていました。


5章は後日。

2014年3月1日土曜日

液状化

次は、地盤工学会「地盤工学実務シリーズ18 液状化対策設計」です。10年前の図書です。
この本は液状化に特化して解説されていました。他の本とかぶっている箇所が多々ありますが、何度も読んで頭に刷り込むには良い機会でした。以降、備忘録です。

・限界動水勾配(p25)

・流動する地盤から杭に及ぼされる荷重が速度に依存する(p43)
ダッシュポット、粘性の存在

・液状化の際は非排水として扱うことが多い>実際には間隙水圧の浸透、転移が生じる。>地震応答特性、残留変形に影響する場合あり(p59)
礫、グラベルドレーン、転移による二次的な液状化

・最大せん断応力τmaxの補正(p62、79)、・液状化強度比の補正(p66)・FL値(p80)
このあたりは他の教科書よりもやや詳しく書かれています。

・FL値から間隙水圧上昇量の簡易予測(p81)

・FL値から液状化の程度の予測(p83)
層内の一部で液状化するときは、説明に困りますよね。その場合に試してみましょう。

・全応力解析による液状化予測(p90-92)
FL値・累積損傷度

・有効応力解析による液状化予測(p93-)
地震終了直後の残留変形で、その後の沈下は求められませんね。実務では技術者によって多々工夫されています。
要素シミュレーションにも触れられています。
地震以降の変形については、p98より記載有。ALID、微小変形と有限変形の違いなどは、ここで触れられています。


案外、解析については書かれていませんね。10年前だからでしょうか?最後の本に期待しましょう。