2010年10月31日日曜日

遅延係数と分配係数

カラム試験から遅延係数を求め、そこから分配係数を推定する手法では、いろいろな推定式があります。
一番良く用いられるのは、ヘンリー型(線形)でしょうか。それでも、複数の式があります。たとえば、R=1+ρd・Kd/θのように体積含水率を用いたり、/neのように有効間隙率を用いたりする式があります。これは、土に含まれる間隙の溶存分をどのパラメーターで表しているかによります。飽和ならneでも良いでしょうが、不飽和ならθとneの小さいほうを選べばよいと思います。

基本的に、移流分散方程式における遅延係数なり分配係数は、一種のフィッティングパラメーターであり、これが自然地盤に適用できる保障はありません。化学反応を連成させて分配させるほうが、実現証を説明しやすいのは間違いありません。汚染物質の知識と、土を見て適切な試験法を判断する力が技術者に求められています。

2010年10月28日木曜日

モデル入力ミス

今日、10日間計算していた浸透流の結果をチェックして愕然。
揚水ポイントの近くに、浸出面境界を誤って張っており、とんでもない結果となっていた。
やっぱり、可視化してチェックしないといけないですね。

ところで、この10日間、Core i7-980XをO.C.し、4GHzで動かしていました。温度は50度台前半で安定。常用できます。

2010年10月26日火曜日

現地踏査

今日は、泊りで現地踏査中です。

山の踏査は久しぶりだってんで、腕が落ちたかもしれません。
小断層をいくつが見つけていたのですが、宿で整理すると、現場で書いていたイメージと違う亀裂構造ができつつあります。明日、再度確認です。

現地踏査で作り上げたモデル精度以上に、解析や設計結果の精度を上げることはできません。また、現地踏査は一番精度を上げやすいところでもあると思います。妥協せずに明日も頑張りましょう。

2010年10月25日月曜日

Borehole TV

今日はBorehole TVについて2つの話題。

「旧型BTVはパーツ生産中止のため、今後は在庫がなければ修理できない」と、レアックスさんから通達が来ました。今後はレンタルするか、会員になって使用するかの選択ですが、どちらも100万単位のお金が必要なため、なかなか厳しくなりました。社内では「独禁法違反だよね」なんて冗談で言っていましたが、今後使いづらくなったのは間違いないです。

先週末開かれていた応用地質学会全国大会では、以下のようなボアホールの紹介がありました。
http://www.fgc.jp/solution/technical/index.html
簡易ですね。本物のBTVに比べるとコストパフォーマンスは高いと思いますよ。あとは、どの程度の精度かですね。

また、コアパックをロッドなどにかぶせて突っ込み、その中に清水を入れて沈殿剤を使用しないBTV観察方法も紹介されていました。これには感心しました。こういったノウハウは全地連向きの発表かもしれませんが、伝えていってほしいですね。

そういえば、11月に広島である地質技術伝承の講演会ですが、当社からは3人出席します。しかし、50代が2人。何を伝承してもらうのやら・・・

2010年10月24日日曜日

Asの吸着



最近、私の周りで汚染物質の吸脱着が話題になっています。
有機物の吸脱着なんで、新たな勉強が必要です。

私は地質が専門なので、鉱物の溶解や沈殿といった無機物を扱うことがメインになります。
3次元飽和輸送+地球化学反応(熱力学ベース)連成計算ではPHASTが使いやすく、
当時いろいろ勉強したなーと思い、過去の資料をあさっていたら、面白いものが出てきました。

ヒ素の吸着の有無を表示した一例です。
参考書に載っていたウラン吸着例をヒ素に変えて表示したテストケースです。
pH6.6の地下水に、As 0.265ppm, pH3.5のヒ素含有酸性抗廃水が流入する単純なモデルです。
領域は500m*800m*100mで、上流側125m、下流側100mの水頭を設定しています。
表面錯体とヒ素の吸着はDzombak & Morel のDDLモデルで、諸元は下記の通りです。
Hfo_sOH 5e-6 mol strong sites, 100m2/g specif. surf., 0.09g
Hfo_wOH  2e-4 mol weak sites

吸着を考慮しない場合

地盤中のFerrihydriteによる吸着を考慮した場合


ヒ素に限らず、地盤の吸着特性を「安全側」として無視できるかどうか、
地質屋として判断できる力が必要です。



2010年10月22日金曜日

PHREEQCの備忘録

何回やっても忘れてしまうんで、メモっときましょう。

O2、CO2分圧

EQUILIBRIUM_PHASES 1
    O2(g)     -0.7 10
    CO2(g)    -1.5 10

有機物

REACTION 1
    CH2O       1
    3.75 millimoles <<適当!

2010年10月21日木曜日

虚像井を使った計算

EXCELって便利ですよね。

古典的な虚像井を使った水位低下計算ですが、簡単に水頭の3次元分布がグラフ表示できます。
不透水層や河川が直線とみなせる場合に限りますが、かなり問題解決には役立つと思います。昔の人は一箇所毎に手計算されていたのでしょうが、今は数式を縦横にドラッグするだけです。
EXCELによる計算例はコチラ↓
https://sites.google.com/site/geochemist001/resources/groundwater

でも、あまり使われていないのは、浸透流が使いやすくなったからでしょうか?問題を解くツールを増やしておくことは、実務で有利になります。温故知新が大事です。

2010年10月20日水曜日

EmEditor

計算がどこまで進んでいるのか確認しようとしましたが、結果を書き出したTXTファイルが1.7GBに膨れ上がっていました。
当然、ファイルが大きすぎてメモ帳やWordでは開けないので、実用的なEditorを探しました。

結果、EmEditorが比較的高速に開くことができたので、購入しようと思います。
1500万行もの巨大TXTファイルでしたが、最初の方は一瞬で表示され、XP32bitでも数十秒で最後まで開きました。OS7 64bit Core i7-980Xでも20秒くらいで表示されました。驚いたことに、どちらも編集はストレスなく出来ました。抜群です。

GSLIB

今日、ある現場の汚染の総量の話をしていました。

よくある話なのですが、汚染が発覚してから調べ始めると、汚染物質の総量がわからないといった問題が生じます。その場合、土に吸着している汚染量と地下水中の濃度分布から総量を想定するわけですが、実測値の空間的な補間の仕方によって大きな差が出てしまいます。結局、モニタリングなどの実測値にあう分布を採用するわけですが、恣意的といえばそうなんですよね。そこで話が出たのが、地球統計学によるシミュレーション。工学系の先生から出たのでびっくりでした。

SISimを使った例としては、透水係数の分布を確率論的にシミュレートし、浸透流解析結果が最も合うモデルを採用したのを見たことがあります。そのときは地質屋として絶対論的手法で亀裂構造図などから水理地質モデルを作成する立場だったので、確率論的モデルは補助的手段としてみていました(発注者も同様の考えでした)。しかし、結局、亀裂構造モデルが完成せず、確率論的手法によるモデルのみが公表されました。その後、両方出来る地質屋のほうがいろんな問題に対応しやすいと考え、GSLIBなどを勉強したのを思い出しました。
http://www.statios.com/GSLIB/index.html

今から考えると、透水係数の空間分布を数十~百数ケースもシミュレーションで発生させ、それを浸透流で検証し最良モデルを選択するといったようなことを、よく時間的に許せたと思います。

話はそれましたが、汚染分布にSISimを適用するといったことは忘却の彼方でした。(過去に他の掲示板で自分で書いていました)。恣意的な部分はなくなるわけで、対外的には説明しやすいと思います。今後使えるかもしれません。

2010年10月14日木曜日

G-TRANのエラー頻発

相変わらずのG-TRANと地層研。

今日も、パートさんがG-TRANで入力していると、メモリーエラー頻発。原因は地層研もわかっており、鋭意修正中だそう。しかし、再度ファイルを開きなおすと、境界条件に設定していた色が変わるから困ったもの。設定していた数値が変わっていないか確認し、再入力へ。
サポートに電話しましたが、「そのモデルでしか再現できないと思います」と言い切られ、取り合ってくれませんでした。一瞬、サポートなら、「どういった作業をされていましたか?」と、確認してくれてもよさそうなものと思いましたが、そこに時間を使うのももったいなかったので、早々に切り上げました。今年度、次々にソフトの不具合を問い合わせてしまったので、嫌がられているのでしょうね。

2010年10月12日火曜日

目指せノーベル賞?

今日、応用地質の第4号が届きました。

AsやCdの溶出について論文が載っていましたが、なぜ、このような低レベルの報告が掲載されるのでしょうか?少なくとも、海外では参考書に載っている基礎的な内容です。いかに日本の応用地質分野が停滞しているかがわかります。
この間、応用地質学会の記念論文集の執筆を手伝いました。環境地質に関する現状と課題を依頼され、この分野における移流分散と化学反応の連成の重要性について記載しました。ところが、査読できる先生が学会にいらっしゃらず、ノーチェックのまま出版となってしまいました。
ノーベル化学賞に輝いた鈴木章・北海道大名誉教授は「2位じゃだめか、は愚問」と言い切られたそうですが、さて、応用地質分野にそこまで言い切れる先生方はいらっしゃるのでしょうか?

2010年10月11日月曜日

PEST

Visual MODFLOW Pro に付属のPEST、とても良いですね。
http://www.swstechnology.com/groundwater-software/groundwater-modeling/visual-modflow-pro

観測された水位や濃度に合致するように、自動で透水係数、比貯留などを同定することができます。いわゆる逆解析です。モデルも逆解析用に新たに作る必要がありません。順解析でのパラスタはとても時間がかかるので、利用価値大ですね。

2010年10月7日木曜日

遅延係数と汚染濃度2

以前、遅延係数R=2のとき汚染物質の流速V’が地下水流速Vの半分になるので、濃度αが半分・・・といったようなことを記載しました。コチラ>遅延係数と汚染濃度

これ、正しくないですね。正確には、汚染物質の流速を半分にするので、濃度は変化なし。つまり、回収量=α*V'*A=α×V/R*A=α×流量Q/Rとなります。
すっきりしました。

2010年10月6日水曜日

Visual MODFLOW

Visual MODFLOWは8年くらい前に購入していましたが、日の目を見ず現在に至っています。
http://www.swstechnology.com/groundwater-software/groundwater-modeling/visual-modflow-premium

現行Ver.ではMODFLOW-SURFACTというアドオンで不飽和も扱えるようになっているんですね。Streamで小川などをモデル化すると、トンネル掘削による流量低下などが計算できます。完全な地表流ではないですが。
PRO以上だとPHT3Dも含まれているので、不飽和浸透流+輸送+化学反応の連成ができるのかと思いましたが、エンジンは別々なので駄目なようです。SURFACT+MT3D(不飽和浸透流+輸送)もだめでした。やっぱりDtransuの勝ちです。しかし、計算は速いんですよね。差分法だからでしょうか?

ちなみに、MODFLOWはセルの中心で計算するため、断層破砕帯などの薄い低透水箇所は2列以上でモデル化するのが無難な類のアプリです。

今後、GSFLOWなどの地表流の扱えるパッケージが加えられたり、SURFACT+PHT3Dの連成ができるようになれば、かなり使えますよね。期待大です。

差分法

差分法はなんて簡単なんでしょう。

今日、EXCELで2次元の地下水流動阻害、揚水による地下水低下を試算してみました。等方均質、1層と簡単なモデルでしたが、びっくりするほど簡単ですね。専用ソフトを使うのが馬鹿らしくなってきました。次回から、なんとかEXCELで解ける簡単なモデルにできないかと考えてしまいました。

計算例はコチラ↓


前にも紹介しましたが、地下水流動阻害による地下水低下問題には理論解があります。その時、透水係数は関係なく、幾何学形状のみで低下量が決定しますが、差分法でも同じです。透水係数は必要ありません。(揚水する場合は必要です。)

いや~びっくりですよ。