2015年12月31日木曜日

河床礫の長軸と流向

昨晩の続きです(内容で分けました。)
(青野宏美「地質のフィールド解析法」近未来社, 2010, §2)

次に驚いたのが、河床礫の向き。
長軸が流向に直交するそうです。コロコロ転がって留まるため。言われてみれば、納得です。
今まで、多くの河床を見ていましたが、礫の大きさや固さは気にしていたものの、長短の向きは全く眼中に入っていませんでした。稀に古流向を推定する場合でも、斜交層理しか気にしていませんでした。これからは、礫層の長短方向も意識しておきましょう。


捻り鎌

夜になって、ようやく落ち着きました。

この休みに読んでおこうと購入しておいた図書を読み始めました。
青野宏美「地質のフィールド解析法」近未来社, 2010
この本、今まで何度か眺めていたのですが、(残念ながら)実務に差し迫って必要とされなくなってしまった地質専門の話です。必要な知識なのですが、こういった余裕のある時にしか読めません。ゆっくり読みましょう。

最初に驚いたのが、「捻り鎌」。
恥ずかしながら、私は今年初めて使用したツールです。土砂露頭を剥いで観察するにはちょうど良く、今年は現場でかなり役立ちました。もう手放せません。
この「捻り鎌」を地質分野に持ち込まれた方が、日本人だそうです。しかも、使われだしてまだ30年程度。驚きました。ココまで普及しているので、もっと以前に海外から伝わったのかと思っていました。
 
踏査では岩盤を相手にマッピングすることが多いのですが、土砂の構造や、詳細な観察を必要とする場合もあります。まだまだ知らないことが多い様です。


2015年12月30日水曜日

地磁気の逆転

今日は大掃除。
私用も挟みつつ、(やはり終わらなかった)メール対応を片付けつつですので、大掃除はまだ終わっていませんが、目途は立ちました。


夜になって落ち着いたので、録画していた「ザ・コア」を見ることに。
この映画、気が付けば14年前の作品。当時、鳥が窓にぶつかる予告編で、「地磁気の逆転時を話題にしたものか!他には何が起こるの?」と非常い興味をそそられておりました。が、そのままでした。今日まで何度も放送されていたようですが。

残念ながら地磁気の逆転の話ではなかったですね。違和感を抑えながら見ていたのですが、途中、地下1100kmにメキシコのナイカ鉱山を彷彿とさせる(実際見たことはありませんが)水晶の洞窟が出現し、あきらめがつきました。そこからはSFとして楽しむことに。

そういえば千葉県市原市の露頭は GSSP に認定されたのでしょうか?
調べてみましたが、まだ更新されていません。
http://www.stratigraphy.org/index.php/ics-gssps
決定は来年の夏のようです。
http://www.nipr.ac.jp/info/notice/20150520.html
若い地質でしょうから、GSSP に認定されなくても、露頭の保存対策や環境整備には万全を期してほしいところです。


地磁気逆転時には何が起こるのでしょうか?なぜ逆転するのか、どのくらいかかるのかも知りたいところです。
逆転現象は生きているうちに見ることができなくても、その理由の一端は知りたいですね。


2015年12月28日月曜日

3日遅れ?の仕事納め

今年はロスタイムが3日間あって、今日が(おそらく)本当の仕事納め。結果的には世間の仕事納めと変わらず、少しお得な感もあり。

振り返ってみると、今年は流されてしまったような気がしますね。
やり残し事項は、ほぼ残ったままです。短期目標は数点クリアーしましたが、長期目標である「現場での経験」を積んだかと言うと、納得できるほどでもない。技術力が付いたかと言うと、そうでもない。知識・経験共にイマイチ進歩のなかった1年だったように思えます。

「今年は○○を実施した!」と胸を張って言えるものはないのですが、あえて言うなら3次元の取り扱いが多かった様に思われます。
シミュレーションや可視化は勿論ですが、港湾、道路、廃棄物、橋梁など、基本的には3次元ベースで地質分布等を取り扱いました。ボーリングが平面上に複数ある場合には、結果的に間違えず、短時間で正解にたどり着くことができます(相変わらず、2次元で作成された方のミスを修正し続けていますので、2次元にはなかなか戻れません)。
CAD屋さんではないのですが、CADに触れる時間も多かったように思います。腱鞘炎になるくらいですから。

来年こそ、もっと身になることに携わりたいものです。
このフラストレーションを良い方向に活かせるよう、努力しましょう。

2015年12月27日日曜日

点群データの活用 その2

先日の先輩のお手伝いで気付いた点があります。

UAV + SfM 手法で作られた点群データですが、航測LPのように広域ではないため、グリッド化せず、間引きもせず、全データを使用してサーフェスを作成していました。それから断面を切って2次元安定計算に供したのですが、これ、そのままでは使えません。断面地形のポリラインの頂点が多数あるため、そのまま読み込めば安定計算のスライスが異常に多くなってしまうのです。

ポリラインの頂点が2000個、計算に必要な最小限の部分だけ抜き出しても1000個になります。PCで10個ピッチ&機械的に抜き出し100個にすることは容易なのですが、それでは地形の折れ点が飛んでしまう可能性があります。
一方、従来の実測図は現場で変化点を抽出した「モデル」といえます。取り扱いやすい反面、地形を抽出する技術者の力量に大きく依存します。(たとえ仕様・規定を満たしていてもです)。簡素化・モデル化をいつするか、だけの違いしょうか。

結論から言えば、現段階では人が断面地形をトレースするのがBESTです。たったこれだけですので、問題といえないかもしれません。
ただ、いずれは2次微分などのフィルターを通して、地形の折れ点を抽出する機能を3次元段階で実装し、必要な情報を保存しつつ軽くできるようになるのでしょう。ノウハウは必要になるでしょうが、そう難しい理屈ではありません。現段階でも地形差を用いて間引いてますからね。

UAV + SfM から対策検討までといった流れは、今後、時間的制約のある斜面災害などで多く求められそうです。時間内に対応できるよう、ある程度、備えておくべきでしょう。

2015年12月26日土曜日

Hyper KANAKOの制限

先週より、「KANAKOが動かない」と後輩に言われておりました。

先輩のお手伝いが終わり、今度は後輩の番。私もHyper KANAKO に詳しいわけではないのですが、待たせた分、答えを出さねばなりません。できれば短時間で。

まずは何が動かないかの検証です。
後輩の作ったモデルはハイドロが数日、1次元が数km、天然ダム多数、といった予想よりかなり大きなものでした。おそらくモデルの大きさ、確保したメモリ−関連で「動かない」と言うのでしょう(このような時、ソースを確認できない点はネックです)。

問題を切り分けるため、LPデータはそのまま、1次元、2次元範囲は縮小、ハイドロはデフォルト、定数や計算条件もデフォルトに戻して計算。結果、うまく流れます。

次に天然ダムを1つ入れて計算。これも決壊し、流下します。

次にハイドロを数日、計算時間を 50000秒に設定。で、ここで OUT。計算途中でエラーが出て最後まで計算しません。ハイドロの土砂濃度を低くし、流れやすい設定に変えてもダメ。同じ時間で止まります。

刻みを 0.01秒から 0.1秒に変更すればその 10倍の時間まで計算します。これは1次元・2次元の計算領域、回数、確保したメモリー、書きだすファイルの大きさなどの制約だろうと踏んで、領域を変えてみることに。

結果、2次元領域を変えても変化なし。
一方、1次元領域を2.5倍にすると、計算が止まる時間が約1/2.5に減りました。1次元の計算は5mピッチ固定なのですが、これを手入力で 50m にしてやると、計算が止まるまでの時間は 10倍に増えました。ファイル書き出しを含む1次元の計算に制約があるようです。

対応としては、開発元である大学の先生に問題を報告・確認し、1次元の制約であれば改良を申し入れるというのがBESTです。が、すでに冬休みでしょう。
対処療法ですが、1次元の範囲を可能な限り狭く、1次元の仮定を逸脱しないピッチと刻みを使って制限内に収めて乗り切る、といったところでしょうか。「制限」は、そのモデルでのアタリ計算からある程度導けるでしょう。

ま、これで先輩、後輩のお手伝いは終わり。答えも出せて一安心。
次は、自分の番です。


点群データの活用

会社の営業は既に終了しているのですが、例年通り実際の仕事納めはまだ先です。

私は(休みだと伝えていたのですが)28日に打ち合わせ予定。その準備に昨日まで追われていました。作業自体はサービスなので優先度は低いのですが、期日が迫っているため、本来実施予定の代金をいただいている仕事を後回し。
先輩も同じような状態。(休みだと伝えているにもかかわらず)終了日の夜にデータを受け取ってしまい、契約前にいろいろ検討されていました。ま、サービス業なので仕方ありません。

先輩の作業が緊急であったため手伝っていたのですが、少し驚くことがありました。
受け取ったデータが点群データ。UAV+SfMで作成されたようです。このデータから断面を切って検討する流れなのですが、点群のみを送付されたのは初めてでした。つい1年前は「今後の展開が楽しみ」などと呑気なことを言っておりましたが、既に対策検討までを念頭に、データが取られ、作られ、授受されるまでになっていたようです。
http://phreeqc.blogspot.jp/2014/10/uav.html

XYZRGBのデータでしたので、基本的にはどのようなソフトでも読み込むだけで可視化できます。作業後にReCapで読み込んで眺めていたのですが、それを見た先輩、「断面を切った位置を一緒に表示してほしい」と一言。その発想はありませんでした。断面線を3Dポリラインにして点群と表示すれば良いだけです。
早速試してみたところ、なかなか良い感じ。グリグリ回しながら、「これはスタンダードになる」と感じておりました。

UAV+SfM による測量は、現段階で公共測量作業規程に含まれていません。そのため測量業務としては発注されていませんが、ダムなどの調査や災害時・緊急時には需要があります。国土地理院さんで検討を進められているようですので、次の改訂には注目しておきましょう。

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20160409
国交省さんよりUAVを用いた公共測量マニュアル(案)が出ました。
http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/index.html

ボーリング調査深度 NEXCO

先日、国土交通省関連の支持層の考え方や、ボーリングでの確認深度について整理しました。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_6.html
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_38.html

もう一つ、NEXCOさんの考え方もよく利用しています。
以下は、NEXCO「土質地質調査要領」H24.7の関連個所を整理したものです。図書では調査段階に応じた調査内容が詳細に記載・区分されていますので、下表だけではカバーできません。が、辿るきっかけにはなると思います。

斜面(切土・地すべり)

盛土(軟弱地盤の定義を含む)


橋梁
トンネル

2015年12月16日水曜日

微動と支持層コンター図?


事前調査によって、支持層分布を経済的かつ面的に把握するにはどのようにすれば良いか?という課題は、解決すべきまま残っています。

橋梁基礎の傾斜問題は記憶に新しいところです。2か月前の建築杭基礎問題なども関係しているでしょう。
各種構造物において支持層を面的に把握するためには、ボーリング調査が必要です。中央で1本か対角で2本、規模が大きければ数本といった例が多いと思います。1本では傾斜がつかめませんので、サウンディングで補足する場合もあります。が、途中の礫打ちで、貫入不能、支持層未達になる場合も多々あります。表面波探査まで実施させて頂ける例はレアですし、深くなれば届きません。

ふと、思いついたのですが、こういうのはどうでしょうか?
①常時微動を計画基礎内でメッシュ状に実施する。
②H/Vスペクトル比のピーク周期を平面上にプロットし、コンター図を作成する。
③最低限、周期の最も大きな箇所(=支持層が深いor周囲に比べ軟弱な箇所)、できればそれを含む複数個所でボーリングを計画・実施。
④(これはおまけですが)ボーリング調査で確認した支持層深度=Hとみなし、支持層深度を求めるための仮の速度Vを算出し、周期コンター図を支持層深度コンター図に変換。

④については、工学的基盤面でないため2枚舌になってしまいます。が、実務では役立つ可能性があります。①②③については、経済的かつ測定・移動の容易な常時微動を効果的に利用すれば良いと考えた結果です。ボーリング位置を各種条件面で固定し、実施中に①②④を流すのも手かもしれません。
また、ピークが軟弱層の存在を示唆していた場合でも、それは1次調査として価値があると考えられます。
 
ま、いずれにしても現状維持では進展が望めません。何か手を動かさないといけないでしょう。


2015年12月8日火曜日

力学的エネルギー

LS-RAPID や LSFLOW などの土砂移動の計算コードでは、運動方程式や質量保存の考え方、土砂の位置・運動エネルギーの変化などが支配方程式を構成するための根底にあります。また、外部へ放出されるエネルギーも、energy parameter との比較を行う上で必要になってくるものと考えます(まだそこまでたどり着いていません)。

この「運動方程式」や「力学的エネルギー」については、高校初期の物理の範疇です。計算コードは複雑に見えますが、この基礎物理をアレンジしているだけのことです。
以下、高校基礎レベルでの、「運動」「力学的エネルギー」「仕事」に関する記載の整理です。

運動方程式(F:力 [N=kg・m/s^2] 、m:質量[kg]、a:加速度[m/s^2])

F= ma

静止摩擦力(F0:静止摩擦力 [N] 、μ:静止摩擦係数、N:垂直抗力[N])

F0=μN

動摩擦力(F':動摩擦力 [N] 、μ':動摩擦係数、N:垂直抗力[N])

F'=μ'N

仕事(W:仕事 [J=N・m] 、F:力 [N]、x:距離[m])

W=Fx

仕事率(P:仕事率 [W=J/s]、W:仕事 [J] 、t:時間[s])

P=W/t

運動エネルギー(運動エネルギー [J=kg・m2/s2=N・m] 、m:質量[kg]、v:速度[m/s])

K=1/2mv^2


位置エネルギー(U:位置エネルギー [J] 、m:質量[kg]、g:重力加速度[m/s^2]、h:高さ[m])

U=mgh

ばねによる位置エネルギー(U:位置エネルギー [J] 、k:バネ定数[N/m]、x:距離[m])

U=1/2kx^2

2点間の仕事(エネルギーの変化)

W=K2-K1
W=U2-U1

エネルギー保存(E:力学的エネルギー[J])

E=K+U・・・一定
K1+U1=K2+U2


熱力のエネルギーについては、また今度。

2015年12月6日日曜日

ボーリング調査での確認深度

支持層以外でも、ボーリングで確認する深度は調査対象によりある程度決まっています。
支持層はコチラ→ http://phreeqc.blogspot.jp/2015/12/blog-post_6.html

・切土、トンネル
基本的には掘削面とその下位の状況(主に力学)を確認することがボーリングの目的となります。通常の切土では、北陸地整さんのように、3m毎に1回の簡易揚水試験を実施することは、あまりないですね。掘進時水位記録として、作業後に孔内水を汲み上げる程度です。アンカーが入りそうな場合はその深度まで(北陸地整さんの通り)なのですが、踏査で下部に軟岩が出てくる場合はそこまで確認したいところです(本設アンカーの定着)。
トンネルの水平ボーリングは NEXCO さんの方が長くなっています。これは北陸地整さんがうまくまとめられています。http://phreeqc.blogspot.fr/2015/12/blog-post_5.html


・ため池・河川 
こちらは力学も確認しますが、どちらかと言うと透水性(水理)の確認が主体でしょうか。
どちらも、基礎地盤までの透水性を確認し、危険であれば対策を計画するという流れになります。
ため池では今年の7月に新しい指針が出ましたが、まだ業務で扱っていないため未確認です。下表は昨年度までの改定案(古い基準と変更なし)を示しています。


ため池・河川は、ほぼ決まり通りに進めても問題ありませんが、切土は出てきた地盤に応じ刻々と判断が求められます。支持層にしても、薄層支持で終えそうなのか?さらに掘り進むのか?など、ボーリング1m毎に得られる自然に応じ、判断しなければなりません。指針のルールはあっても、現場は結構忙しくなります。

支持層の考え方

今年話題となった、支持層の考え方について整理しておきましょう。

構造物を設計する際に、ある地盤条件を満たした場合にその構造物の「支持層」として取り扱います。軽いものは、それなりの層で支えると良いのですが、大きな物、重いもの、重要なものはしっかりとした地盤で支えることが必要です。物によって支持層に該当する条件が、変わるということです。調査時は、 その条件がどこにあるかを確認するといった流れです。当然、該当層がでなければ、出ないなりの設計になります。

「支持層」となり得る条件は設計対象によって変わりますし、分布深度によっても(基礎形式が変わるので)変わります。北陸地整さんのように地域や県によって決め事を作られている場合もありますし、NEXCO さんのように 自前の要領を出されている会社もあります。
以下は代表的な指針(道路・港湾・建築)による支持層に関する記載を(個人的な判断も含めて)整理したものです。基本的には、5m以上確認ですね。

 
最近は、工学的基盤も併せて検討する場合が増え、直接基礎・杭基礎と併せて調査深度を判断する必要が出てきました。実務上は、上記指針などに示された「基本ルール」を踏まえつつ、多様な自然とお客様の意向、経済的な条件などに対応・最適化しなければなりません。

2015年12月5日土曜日

北陸地整 地質調査の手引き(案)

北陸地整の設計要領(道路編)には、地質調査の手引き(案)が含まれています。

設計要領(道路編)平成24年4月改訂版(平成25年4月一部改定)
http://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/kijyun.html#sekkeiyouryou
http://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/kaitei/sekkei_r/index.htm
第16章  地質調査の手引き(案)
http://www.hrr.mlit.go.jp/gijyutu/kaitei/sekkei_r/pdf/16.pdf

ノウハウや感覚で決めていた事項、説明を求められる箇所が適度に決められ記載されていますので、有用です。ポイントは以下の通り。
  • ボーリングはオールコア、サンプリング・孔内水平載荷試験は別孔
  • 原位置試験から30cm以上離してサンプリング
  • 支持層は5m以上確認
  • 孔内水平載荷試験は3~10m以内に3回
  • 地表に軟弱な粘性土が分布する場合は地表から3m以内で1 回サンプリング

以下、抜粋です。 ====================================================
 
16-1総則
  • 地層確認用ボーリングはコアボーリング、サンプリング用の別孔はノンコアボーリングを標準
  • 各種の原位置試験を行った箇所の下でサンプリングする場合は、それらの試験による孔底付近の乱れを避ける目的で試験最終深度より 30 ㎝以上再掘進を行う。
16-2道路設計
1.予備設計
(1)軟弱地盤上の盛土
  • 標準貫入試験を併用したφ66 ㎜のコアボーリングを標準。
  • 支持層(N値50以上)に達してから、層厚を最低5m(標準貫入試験で6回)確認。(盛土だけでN値50確認はレアですね。)
  • サンプリングの回数は、層厚3m程度に1回を標準。層厚が1m程度と薄い場合でも、盛土の安定や沈下に影響すると考えられる場合、サンプリング実施。
  • サンプリング用のボーリングは、地層確認のボーリングに併設(1~2m位離す)して行うこととし、コアの採取は必要としない。これまでは、地層確認のボーリング孔を利用してサンプリングを行うことが多かったが、採取した い地層の分布が正確に把握されていない段階でのサンプリングは、層厚が薄い場合等で必要な試料が得られないこと があった。
(2)斜面崩壊の危険性のある地山の切土
  • 地層確認を行う場合は、標準貫入試験を併用したφ66 ㎜のコアボーリングを標準。
  • 切土したのり面が地下水の影響で崩壊する危険性がある。→簡易揚水試験を深度3m毎に1回
  • 長大切土斜面(切土高 20m以上)など→弾性波探査実施。
  • 調査深度は、計画路床下3m程度
2.詳細設計
(1)軟弱地盤上の盛土
  • 「予備設計の調査」に準ずる。
(2) 函渠、擁壁の土工部(構造物箇所)
  • 「軟弱地盤における盛土の調査」に準ずる。
  • 支持地盤が地表部に現われている所→平板載荷試験を実施。
  • 軟弱地盤の擁壁計画位置→サンプリング孔で、孔内水平載荷試験を行うことを標準。孔内水平載荷試験は、「橋梁設計のための調査」に準ずる。
16-3橋梁設計
  • 調査深度は、支持層(N値 50 以上)に達してから層厚を最低5m(標準貫入試験で6回)を標準。支持層は、一般に砂層でN値 30 以上、粘性土でN値 20 以上とされているが、ここではN値 50 以上の基盤層の確認を標準とする。
  • サンプリング用のボーリングは、ボーリング位置から1~2m離した別孔で行うことを標準
  • サンプリング頻度は、軟弱層全層で各層または深度3~5m毎に1回地表に軟弱な粘性土が分布する場合は地表から3m以内で1 回
  • 孔内水平載荷試験は、サンプリング孔内で、深度3~10m間で3回を標準とする。平均的な変形係数を求める意味と杭の水平抵抗に支配的な地盤の深さが地表面から1/β程度のため。1/βは一般に 10m以内。
  • 動解を行う場合→繰返し三軸試験,繰返しねじりせん断試験等は、各地層毎または層厚5m程度に1回を標準とする。
16-4トンネル設計
  • 坑口斜面の安定検討および支持力不足の予想される箇所でそれぞれ1~2本を計画する。
  • 断層破砕帯では垂直ないし斜めボーリングを行う。
  • 沢部の土かぶりの薄い箇所では垂直ボーリングを行う。
  • 各坑口部のトンネル天端付近で水平ボーリングを行う。
  • 坑口のボーリング削孔径はφ66 ㎜とし、深度1m毎に1回の標準貫入試験を標準。
  • 垂直ボーリングはトンネル計画高より5m程度深くする。
  • 水平ボーリングは、50m程度を標準とするが、延長の長いトンネルでは地山が安定する位置までとする。(100m~200m程度)
16-5アンカー
  • ボーリングは道路横断方向のアンカー定着部およびアンカー頭部付近の2箇所
  • 調査深度はアンカーの計画深さまたは岩盤の層厚を最低5m確認することを標準。

2015年12月2日水曜日

薄層のモデル化

土木学会「実務に役立つ耐震設計入門」を読んでおりますと、薄層の取り扱いについて留意点が書かれていました(p157)。

地震応答解析で1m程度の薄層をモデル化するか否か?については、以前、書き留めています。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/03/blog-post_28.html
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/03/2.html
基本的には平面的な広がりを判断すべき、という考え方だとおもわれます。が、解析については別の視点から検討されています。以下の2例で説明されています。

・軟らかいものの中に硬い薄層が入っている場合
・硬いものの中に軟らかい薄層が入っている場合

前者については、応答変位・応答加速度が変わらず、後者は大きく変化する場合があるので注意が必要という結果。これはこれで、一つの判断材料になります。

1・2次元であればモデル化は容易なので、薄層が広がるケース、広がらないケースの両方で検証すれば良いでしょうね。その結果、安全側の設計を取るのも良し、あるいは対策工の金額差と調査追加費を比較し、後者がかなり安くなるようであれば追加調査を行うのも良しでしょう。いずれにしても、お客様の意向を伺う材料までは提示できるわけです。

薄層の問題は地震応答解析だけではなく、基本的な設計にも関わる課題です。地質屋さんの判断が大きく影響する可能性が出てきますので、難しいですが目をそらさずに向き合わなければなりません。

2015年11月29日日曜日

Windows10

VAIO を Windows10 に上げて、1週間ほどたちました。

Win 8.1に満足していたのですが、Sony さんより VAIO 用の update ソフトが準備されましたので、10にあげてみました。

update 作業は簡単でした(ようやく昔のの MacOS に近づいた感があります)。
データはすべて保存されたまま。Bluetooth マウスのペアリングは飛んでいましたが、やり直せばOK。システムの保護設定(復元ポイントの作成)も飛んでいましたが、再設定でOK。COMODO の firewall もリインストールでOK。大きな問題はありませんでした。

使い勝手は Win 7 寄りに戻ってしまったようですね。Win 8.1はタッチパネルと相性が良かった反面、デスクトップユーザーに酷評されていましたので、仕方ない選択かもしれません。個人的には、タッチパネルでは 10 より 8.1の方が魅力的だと思います。

現段階で、細かい不満点があります。
・ライブタイルが機能しない場合あり。多くの報告あるようですが、未だに原因不明。
・VPN 接続時、VPN 設定画面を表示することが必須になった(1手増えた)。
・「デスクトップ」タイルがなくなった。→タブレットモード切り替えボタンの表示が必須

ライブタイルに関しては Win 8 でも報告多数でしたね。いずれ改善されるかもしれません。その他は仕様変更でしょうから、期待できませんね。
ま、しばらく使って Win 8.1 に戻すか考えてみましょう。

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20160122追記
2か月経とうとしていますね。追加の不具合です。

・「機内モード」が常時点灯。実際はoffの状態。これもた多くの報告があるようです。
・VPN詳細設定で、「従量課金経由接続経由のVPN接続を許可する」「ローミング中のVPN接続を許可する」が、いつの間にかonになる。これも少ないですが報告あるようです。

・プリンタードライバーがWin10に未対応だった。これは不具合ではないですが。ま、VAIOからはほとんど紙に出力しないので良いですが。


2015年11月27日金曜日

Evoluent VerticalMouse 4

8月末に腱鞘炎になってから3か月がたちました。

症状は、良くも悪くもならず。
不便なのは、踏査時ぐらいでしょうか。どうしても木をつかんで斜面を下らないといけない時などは、痛くても離せません。それ以外は「痛!」と思う程度ですので、それほど困ってはいません。

先日、注文していたエルゴノミックマウスがようやく届きました。

Evoluent VerticalMouse 4 Left
http://evoluent.com/products/vm4l/

機能面は満足。専用ソフトを入れると、6ボタンに動作を割り当てることが可能です。ソフト毎にも個別設定可能です。
http://evoluent.com/buttons/

海外製だからでしょう、サイズが大きめ。しかも思ったよりがっしりした造りです。
そのためか、痛みが残るためか、あるいは慣れていないせいかは分かりませんが、若干動かしづらい。特に、画面下方向への動きはまだ慣れていません。

プログラマブルキーボード、マウスがそろいました。痛みはまだ治っていませんが、当分はこれで試してみましょう。

LS-RAPID 土塊内部摩擦

LS-RAPID では、土塊内部の抵抗を基本的に取り扱いません。

しかし、それでは計算が破綻するようで、後付で内部抵抗に似たパラメーターを追加されています。

一つ目は、土塊内部の動摩擦係数。ただし、全土塊内部を計算するわけではないようです。土塊縁辺部において、尾根部よりも土塊カラムが高くなった場合等のみ、その土塊カラム内部でせん断抵抗を計算し、尾根越えを許容するオプションがあります。尾根越え計算をするかどうかのチェックが該当するのですが、チェックしない場合は単なるエラーでしょう。

2つ目は、 異常な速度を制限するために設けられた、α(1/2)mv^2。このチェックを有効にすると、設定速度以上でこの外力が発動するようになります。あくまで速度に応じた抵抗力を設けるというだけであり、速度を制御するパラメーターではないようです。ま、こちらも解析上の不具合をなくすために設けられたパラメーターだと思います。

これらのパラメーターが引用文献や解説書の支配方程式に入っていない点が、理解を妨げています(先の Bss も支配方程式に入っていません)。
他にも、計算中に保存則が効かず土塊体積が増えていく現象?があり、それをタイムステップ毎に割り戻すパラメーターも設けられています(これも支配方程式には入ってきません)。
このあたり、市販ソフトのためプログラムの中身が見えませんので、 手の出しようがありません。

LSFLOW と LS-RAPID、どちらもパラスタ(合わせこみ)は必要ですが、個人的には前者の方が自然に近い支配方程式やアルゴリズムを採用しているように感じます。

LS-RAPID、使い勝手は良いので今後に期待です。

2015年11月21日土曜日

LS-RAPID 水圧の取り扱い

LS-RAPID の続きです。

LS-RAPID では、すべり・崩壊の発生シミュレーションを扱えるところが特徴の一つです。豪雨による水頭上昇や、地震波による崩壊を扱えます。LSFLOWでは、崩壊した後の土砂移動を扱うと割り切っていますので、決定的な違いです。

発生シミュのうち、豪雨シミュでは水頭の上昇を誘因とするため、間隙圧比 ru (=u/σ)を入力します。
ru の上昇は、水頭の上昇を模擬しています。この間はせん断に伴う過剰間隙水圧の影響は無視され、せん断抵抗角はピーク時の値φpを使用します。崩壊後の定常状態では先の Bss で補正されたτss を使用しますので、そこに水頭、過剰間隙水圧が含まれた形となります。計算上は ru = 0 として Bss にバトンタッチです。
では、ピーク時から定常状態に至るまでのせん断抵抗力低下過程では ru をどのように扱うか?というと、せん断変位で按分するようです。そのせん断変位量の閾値はリングせん断などで決めるという流れです。

ru の入力値は、解説書にあるSLIDEモデルでも、浸透流計算結果でも、観測値でも良いのでしょう。それらを使用することで、すべり・崩壊の発生から一連の流れで扱えるという点が、特徴なのだと思います。


2015年11月20日金曜日

LS-RAPID のτss

五大開発さんの LS-RAPID を使用することになりました。
再度、解説書を読み直しています。

今までは土研さんの LSFLOW を使用していました。崩壊後の土砂移動を扱うシミュレーションコードです。LS-RAPID も土砂移動を扱っているのですが、F=ma の考え方(組み合わせ)が異なります。LSFLOWはナビエ・ストークス経由ですので、着想がより流体ベースなのでしょう。

また、決定的に違うのが全応力(LSFLOW)と有効応力(LS-RAPID)。このあたり、開発者のこだわりが見えます。

LS-RAPID で特徴的なのが、すべり面(移動土塊と不同層の境界)の強度の考え方。すべり面の動摩擦としてφmを設定します。これは、LSFLOW と同じです。が、もう一つ、すべり面の定常状態のせん断強度τss も設定します。これは、リングせん断での残留状態から設定するようです。
では、計算で用いられているすべり面強度はどちらが優先されるのかのか?ということになるのですが、解説書に書かれていました。


定常状態のせん断強度τss の設定は、室内試験にて初期の垂直応力にかかわらず一定となる結果を利用されています。垂直応力によって変わるのが強度でなく、全応力の見かけのφa(ss)。つまり、土塊の高さによって、τssは変化はしないとされています。とりあえずそれを境界全面に設定します。
試験を飽和状態で実施しておけば、最も強度 τss は低くなるという考え方でしょうか、定常状態のせん断面で発生する過剰間隙水圧発生率 Bss=⊿U/⊿σ3 が低くなれば(乾燥に近づけば)強度は動摩擦係数φmと有効上載圧によって決定される値まで上昇する。せん断時の過剰間隙水圧を測定するのが難しいので、実際はBss=0..3程度(尾根で乾燥側、谷部で湿潤側など変化させる)とし、φmを再現計算で同定する、といったような流れでしょう。


2015年11月10日火曜日

せん断剛性の推定

最近読んだ文献・図書で引用されていた式です。平均有効主応力の関数になっています。いずれも出典は手元にありませんが、いずれ確認しましょう。以下、備忘録です。

初期せん断剛性の推定
「七ヶ宿ダムの動的解析」土研資料2480号, 1987.3

ex.ロック材:G0=5820(2.17-e)^2/(1+e)・σm^0.6

それをもとに岩崎らがまとめた式
「地下構造ハンドブック」建設産業調査会, 1984, pp458-464

ex.砂質土:G=A(γ)B(2.17-e)^2/(1+e)・P^m(γ)


2015年11月3日火曜日

モビライズド面

ある資料を探して、土質工学会「地盤工学における数値解析の実務」をパラパラ見ておりました。

ふと、目についたのが地下空洞の解析。「20年前の古い図書なのに広範囲の内容が扱われているなあ、いえ、古いからこそ?」などと感心しつつ、見ておりました。
その中に、スリップライン法が載っていました。これ、以前見たときはどのようにしてモビライズド面を決めているのかわりませんでした。この図書でも詳しく書かれていないのですが、ググってみるとでてきました。
http://www007.upp.so-net.ne.jp/unonet/doctor/chapter1.pdf
応力場の検討では、空洞周辺の応力状態をFEM解析により算出する。岩盤のφが一定であれば、モビライズド面は主応力に対して、45°±φ/2の方向となるため、円形空洞の場合には、図1-8に示すような対数らせん状のモビライズド面が形成されることから、このライン上でのすべり安全率を算定するスリップライン解析によりすべり安全率Fs=1.5以上が確保できることを確認する。
mobilized というくらいですから、海外の文献が出典なのでしょう。
現在は原発の指針にも掲載されているようで、検討もなされています。
http://www.ensc.jp/pc/user/HOUDOU/h26/o270326/genshiryou1-1.pdf
http://www.tepco.co.jp/nu/material/files/g10012902.pdf

電力さん特有の考え方、ソフトかと思いきや、そうでもないようです。ググってみると、Soilplusにも表示機能があるとのこと。ちょっと見てみましょうか。

2015年11月2日月曜日

ダムの固有周期

ダムの耐震関連の文献を読んでいました。

堤高が高くなるにつれて固有周期が長くなるという傾向は理解しやすいですね。図書にも載っています。
そこから後は、研究段階ということでしょうか(私が知らないだけかも)?
例えば、法長が長くなると周期が短くなる、ア-スダムは経験式にそぐわない場合がある、など。天端/基礎のスペクトル比からE(G)を逆解析で同定する場合もあるようです(3年前に同じような話を聞いています)。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/11/blog-post_17.html

過去の地震動から強振動時の応答倍率の変化を求めたり、G/G0を求めたりと、過去のデータの活用幅も広いようです。

地震応答解析については、以前より短期目標に掲げていますが、あまり進んでいません。少しづつ前には進んでいますが。
学ぶべき知見、たくさん残っています。

2015年10月31日土曜日

岸壁と常時微動

物理探査学会の133回講演要旨集に、面白い事例発表がありました。


鈴木ほか「岸壁付近で観測される常時微動の特徴-焼津漁港の観測結果例-」

港湾で微動を計る場合に、岸壁からどの程度の離隔を取ると、構造物自体の影響を取り除くことができるか?という視点で測定をされた事例です。港湾だからでしょうか、応用さんなのに JU を使用していらっしゃいました。

結論としては、「高さ10mの岸壁なら、30m離れると良い。」かつ「岸壁と平行方向の成分に着目すれば良い」と言うもの。岸壁に近いと、サイト増幅特性をあらわすピークから低周波側のノイズが取れないようですね。また、離隔が30mなのか、高さの3倍なのかは結論づけられていません。今後のデータ収集に期待です。

2015年10月26日月曜日

GSFLOW のモデル作成手順

USGS の GSFLOW が Ver.1.2に up しました。

残念ながら、PRMS、MODFLOW を含め統合された GUI にはなっていないようです。前 Ver. 同様、必要に応じて個々の GUI 等を利用すれば良いという考え方でしょう。

モデルの作成方法は以下に詳細が掲載されています(以前からあったのでしょうか?知りませんでした)。ここでは、ArcGIS が活用されています。丁寧に書かれていますので、理解しやすいですね。
http://wwwbrr.cr.usgs.gov/projects/SW_MoWS/GSFLOW%20-%20Instructions%20for%20Input.html
https://wwwbrr.cr.usgs.gov/projects/SW_MoWS/GSFLOW.html


地表部のデータセットが揃っているとありがたいですね。
現場レベルだと、色々なサイトを巡って収集する必要があります。ある程度揃うかもしれませんが、手間でしょうね。

サンプルデータで計算後、可視化しようとして躓きました。
Model Viewer が MODFLOW の name ファイルを読み込みません。エラーを吐きます。おかしいなあと思って input フォルダーの nam ファイルを確認すると、相対パスになっていました。
input ファイルと output ファイルを一つのフォルダにまとめ、パスを外すと読みました。MODFLOWは相対パスで良くても、Model Viewer はダメなのでしょうか。あるいはパスの長さ?

とりあえず、手元で GSFLOW を動かせる環境は整っていますし、操作上の不明点もありません(実際は、手を動かし始めると出てくるのでしょうが)。
あとは気力でしょうか。地表流に地下水、モデル作成からキャリブレーションまでを考えると、二の足を踏んでしまいます。
どなたかやる気のある方、簡素化できるノウハウをお持ちの方、いらっしゃいませんかね。

******************************
20200523修正
リンクが切れていたので、張り直しました。

2015年10月25日日曜日

測量の課題

最近、3次元で設計をしたい、CIMの実積を作りたいと言われる設計者が出てきました。

現段階で、CIMの本質を担う設計は数として少ないと思われます。それでも、国やソフトウェアベンダーがCIMを推進してきた影響(ブーム)が浸透しつつあるのかもしれません。

当然、要求と課題は前倒しになり、調査段階、測量段階に投げられます。最初からCIMのモデルケースというのが決まっておれば、3次元データを作る前提で各段階の計画もなされるのでしょうが、現状そうでないことの方が多いでしょう。
過年度まで測量・調査が順に終わってきて、いきなり3次元設計をしたいというようなケースもあります。その場合、設計会社の地質屋さんが3次元データを作成する必要に迫られます。当然、2次元地形から3次元を起こすのですが、これが手間。通常、測量実施会社に問い合わせても、3次元データで再提供されることはほぼありません。コンターや縦横断、一部の地形や端点は3次元になっても、各種構造物やその間の現況道路、水路など勾配を有するものの作成はマンパワーになります。

測量屋さんも腕に良し悪しがあり、2次元成果でも、その差は歴然となります。当然、腕の良い熟練者に依頼するのですが、その場合、使用されるソフトが3次元に対応していなかったり、3次元の経験がなかったりします。ま、当然ですね。設計側で「3次元地形が必要」と言い出したのは、ついこの間からですので。
3次元地形を取得するのに地上レーザーが良いか?というと、そうでもありません。構造物などは腕の良い測量屋さんに書いていただいた方が信頼できます。
一方、3次元地形に関するノウハウ習得は若い方の方が早いかもしれません。が、測量の腕がついてこないかもしれませんし、初期投資の実権を握っているのは経験のない executives でしょう。

全国測量設計業協会連合会では、CIMの推進に向けた情報共有・検討を行っているようです。
今後、3次元化を前倒しする上での測量段階での課題、要求精度と手法の整理など、何とかしなければなりません。

2015年10月22日木曜日

fractional step 法

太田ほか「混相流の数値シミュレーション」を読んでいて、本論と全く関係ないところに、ふと目が留まりました。

1点目、ナビエ・ストークスの解き方です。
既知の un から仮速度 u* を出し、そこから Pn+1 を出し、さらに un+1 を出すといった方法。これ、以前気になったのでよく覚えています。
この手法、名前があったのですね。fractional step 法というそうです。しかも1960年代に発表されていたようです。古いですね。

2点目、密度の変化がある場合の補正計算。
非圧縮流体だと密度を気にしなくて済むのですが、以前実施した深層崩壊などは密度変化が必ず伴います(考慮しないと再現できません)。
付録Aに密度変化を考慮する場合の補正法が載っていました。∇・u = 0でなく、∇・u =  -1/ρ・Dρ/Dt として上記の Pn+1 算出に組み込むというものでした。Dρ/Dt は取り扱う現象に合わせて考えて組み込みなさいということだと思いますが、ま、そこがミソなのでしょう。

肝心の本論はと言うと、ほとんど?といった状態。
まだまだ先は長そうです。


2015年10月18日日曜日

微動探査とボーリング深度

工学的基盤の深度が事前にわからないか?という課題に直面。

既往資料では不明、近隣のボーリングだと、掘削深度が100m級になりそうな現場です。
こういった場合、アレイを組んで S波速度構造を押さえておけば良いのでしょうが、川辺では欲しい位置に組めませんし、そもそも微動計の数も未だそろっていません。

こういった問題、他社さんも抱えられているようで、いろいろ工夫していらっしゃるようです。基本は常時微動にアレイ、表面波などを組み合わせ、事前に計算しておくパターンのようです。基盤岩分布を知りたいのであれば、重力異常を併用することもできるようですね。これは知りませんでした。どの程度のスケールまで妥当性が担保できるのか、知りたいところです。

常時微動と1/4波長則を使えば、ある程度重要な深度は出るでしょうね(と言いながら、1/4の意味を理解し始めたのはホンの4年前ですが)。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/11/blog-post_29.html
例えば、H/Vから推定される1次固有周期が1Hz程度であれば、平均Vs=100m/sとして、1/1=4H/100でH=25m、という目安にはなると思います。地震屋さんに言わせると「あてにならない」そうですが、目安が何もないよりは良いでしょう。ま、この深度が工学的基盤に該当するかどうかはまた別の話なのですが。

なんにせよ、アレイを組めない状態では話になりません。
微動計、数が欲しいですね。

地質断面図と工学的判断

久々に、頑固なおじいさん地質屋と出会いました。

私見ですが、おじいさん地質屋の傾向は、以下でしょうか?

長所
・よく山を見て、よく歩く。効率が良い。
・地質が好き。
・地質図を書くのが上手。思想が分かる図面が書ける。

短所
・経験論のみに頼りがち。
・思い込み(思い入れ)が強い。
・変化に弱い。聞かない。曲げない。
など

今回の地元のおじいさん地質屋さんは、切土用の断面図を作成されていました。が、純粋な地質分布の表現。思想を感じる断面図なのですが、土軟硬など掘削区分は入っていません。いろいろ言い訳をされていましたが、結局、設計者とお客様が、地質断面図ではなく工学的断面を書くように説得して、土軟硬対応のシンプルな絵を追加していただくことになりました。
自信あったんでしょうね。最後は怒っていました。おじいさんなのに。いえ、おじいさんだからでしょうか。

若い地質屋さんは逆でしょうね。
「省力化」という名のもと現場に行く機会が少なくなり、経験に裏付けされた判断に乏しくなるのは仕方ありません。一方、数学・化学・物理学などをベースとした知見やシミュレーションなどの工学寄りの技術をある程度携えてるようですし、順応が早いと思います。

熟練の方と若い方、組んで動いている会社もありますが、そういった会社は将来が楽しみです。
思想図だけではダメ、思想をベースとしない工学的断面だけでもダメ。設計者や施工屋さんは、その本質や作成過程は分からずとも、結果だけを利用されます。地質屋が思想図の上に工学的判断を載せられるようにならないとダメということです。

2015年10月13日火曜日

Vs と 密度

設計者と話をしていて、不思議に思ったことがありました。

地震応答解析に使うせん断剛性率 G を算出するのに、「PS検層は必要」と言われるのですが、「単位体積重量は一般値でOK」と言われます。ρに関し一般値を用いるなら、S波速度もN値からで良いのでは?と思うのですが、そうでもないそうです。
聞くところによれば、昔、言い始めた方が「PS検層は必要」の意見をお持ちだったそうで、それはその分野で常識となった。しかし、密度に関しては言われなかったので一般値のままであった。とのこと。最近、その方がおやめになったか何かで、「本当にそれでよいのか?」と振出しに戻りつつあるそうです。何事も得てして、そのようなものです。結局、「PSやるなら密度検層もやったほうが良い」という個人的な考えは崩れませんでした。

ところが今日、國生「地震地盤動力学の基礎」を読んでいて、「密度検層はPS検層より重要でないかも」という考え方に傾きました。以前、地震屋さんが言っていたことにも関連します。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/09/blog-post_45.html

考えが変わったのは157ページあたり。増幅率がVsの比に比例するという例が出ています。これがすべてではないでしょうが、こういったデータがあるなら、密度は一般値でもPS検層は必要!と述べられる理由が出てきます。要は感度の問題なのでしょう。
その後数ページはS波およびその速度比が利用されています。地震屋さんの世界では常識なのかもしれません。

調査計画を立てるにも、もう少し経験と知識が必要です。

2015年10月11日日曜日

潮位

ひと段落つきました。

振り返ってみると、ここ1カ月ほぼ休みなし(世間ではシルバーウィークというものがあったそうですが)。器用貧乏+貧乏暇なしのコンボでした。

山が終わったら、今度は海。今日は既往資料を集めてGEORAMAでモデルを作り、どこで掘ろうかと検討していました。
ここで、ちょっと戸惑ったのが基準面。港湾では D.L を用いるのが一般的ですが、陸の既往資料や地形として利用する基盤地図情報は T.P 表示。これらをDLに統一する必要があります。ボーリングは孔口標高の補正をすれば良いだけなのですが、地形はどうしたものかと。
少し考えた結果、5DEM サーフェスを D.L と T.P の差だけ高さ方向に移動して、D.L 表示に統一しました。地形サーフェスを移動させる点に違和感があったのですが、ま、何も考えなくて良くなったので良いでしょう。

また、基準面については、地震屋さんから「何の略?」と聞かれて「確か、data line」と答えていましたので、ついでに調べることにしました。

高極潮位H.H.W.L(highest high water level)
朔望平均満潮面H.W.L(high water level)
大潮平均高潮面H.W.O.S.T(high water level(mark) of ordinary spring tide)
平均海面M.S.L(mean sea level)
東京湾平均海面T.M.S.L(Tokyo mean sea level)(T.P(Tokyo peil))
大潮平均低潮面L.W.O.S.T(low water level(mark) of ordinary spring tide)
朔望平均干潮面L.W.L(low water level)
平均干潮面M.L.W.L(mean low water level)
最低水面(海図の水深の基準)C.D.L(cardinal(chart) datum level)
=管理用基準面(港湾・漁港工事を施工する際の基準)D.L(datum line)
低極潮位L.L.W.L(lowest low water level)

datum line は data line と覚えていましたが、聞き間違いだったのいでしょう。何を見ても datum でした。
朔(新月)望(満月)というのも知りませんでした。英語より国語を学ぶべきですね。このあたりは気象庁のHPが詳しいようです。
http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/knowledge/tide/sakuin.html
http://www.data.jma.go.jp/kaiyou/db/tide/genbo/explanation.html

河川では、同じ記号でも、また別の意味になります。基本事項は分野によって変わりますので、非常識にならないよう気をつけましょう。

2015年10月4日日曜日

土壌硬度計

土壌硬度計と一軸圧縮強度の関係です。
http://www.pari.go.jp/search-pdf/vol049-no02-02.pdf


土質によって違うのか、汎用の換算式はないようですね。同期に製作所HPのQ&Aを教えてもらいました。
http://fujiwara-sc.co.jp/pg123.html
現場毎に一軸圧縮強度試験を実施し、キャリブレーションが必要、という流れであれば、キャリブレーション用のquを代表値として整理します(土検棒と同じです)。そのあたりが古くからあるにもかかわらず、土木分野では限られた目的でしか使われていない理由かもしれません。

これまで、のり面の植生を考える場合以外は使用していなかったのですが、今回、いくつかの露頭で試してみました。
硬軟の違いが数値化できるという点(第三者に伝えやすい点)は、優れていると思います。表層部の乾燥や緩みの影響はその場で判断しないといけませんが、それは地質屋さんなら感覚で処理してきたところかと思います。影響のないところまで剥いで、各層でいくつか測定しておけば、それらの相対的な硬軟が説明できます。一般値から土質定数を設定するうえで、参考になるのではないでしょうか?(今回はそこまで行きませんでしたが)

振り返ってみると、使う側の意識の問題だったのかもしれません。これからは意識しておきましょう。


2015年9月28日月曜日

火山噴出物の写真

火山噴出物の同定は難しいと思います。

噴出物は各地で古くから研究されており、その地方での層序が決定されています。数10cm単位で命名されているため、いきなり知らない土地に行って、一見では判別できません。
昔の資料では写真がなく、研究に使われた露頭も無くなっていることが多いようです。図書も適当なものが見当たらないですね。残念です。

こちらのサイトでは、写真を用いて噴出物を整理されていました。こういったサイトが火山毎に増えると、調査に出向く場合に助かります。
http://ooisivolcano.my.coocan.jp/volcano/tephras.htm

この連休中、既往柱状図やコアを眺めていたのですが、地元の地質屋さんでも噴出物の記載にはバラツキがありました。コアだけでは同定が困難ですし、構成物も不均質なので難しいのでしょう。扱うスケールによっても、対象や目的によっても記載を変えられているようで、それが余計に複雑化を招いていました。

私もまだまだ。
試料や露頭を何度か見直し、先輩に教えを請い、XRDの結果を見て、また見直しの繰り返しで、ようやく納得いくものができてきました。
層区分を整理しGEORAMAに断面を書かせてみると、珍しく一発で決定。flow unit 自体は単純なのでしょう。
さらに細分すると、次第に矛盾点が出てきます。GEORAMAが正誤を教えてくれているように感じます。そこを修正していく際に、またコアを見直し再考します。

そうやって、何度も歩き、何度も見直して、自然の状態に近づけて行くのだと思います。地質屋の基本の一つでしょう。


2015年9月26日土曜日

せん断剛性と密度

せん断剛性Gを密度とVsから出す場合の単位の取り方です。
もともとは下記の通りだと思われますが、γを現行の単位体積重量kN/m3、ρを密度t/m3=g/cm3として取り扱うと、算出される G がkN/m2となり扱いやすいですね。

ρ=γ/g
G=ρVs2
ここで
湿潤重量γ:tf/m3
湿潤密度ρ:tf・sec2/m4
重力加速度g:9.8m/sec2
 S波速度Vs:m/sec
せん断剛性率G:tf/m2

ところで、この単位体積重量はサンプリング+土質試験結果として得られるわけですが、どの単体を使えばよいか、今まで全く悩んでいませんでした。不飽和領域で湿潤単体、飽和領域で飽和単体を使用すれば良いと思っていましたが、そのような細かいことを書かれている書物はありません。整理を頼んでいた方から、あらためて尋ねられる機会があったのですが、返答に困りました。

結局、耐震のプロに聞きました。
答えは「あまり気にしなくても良い」でした。
SHAKE前提ですが、土層のGの相対値が効いてくるため、ρは湿潤でも飽和でも、それほど大きな差は出ないとのこと。
うーん。本当でしょうか。

SoilPlusで 入力してみましたが、地震波の入力がうまくいかず断念。
課題が残りました。

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2015/10/12追記

「Gの相対値(比)が効いてくる」というのは、以下のことでしょう。ρも相対値が使われることになります。

國生剛治「地盤地震動力学の基礎」p138 (4.2.12)~(4.2.15)式

p157 あたりも理由の一つかもしれません。
手を動かすことも大事ですが、基礎理論の理解がまず最初、ですね。

2015年9月22日火曜日

G=ρVs2

PS検層結果の整理をお願いしていて、以下の式に疑問を持ちました。

G=ρVs2

あらためて考えますと、この導出を見たことがありません。ρが関与するイメージがわかず、波動の本を読み返してみました。しっかり載っています。
長谷川修司「講談社基礎物理学シリーズ2振動・波動」p167 

波動方程式は以下の通り。一般的ですのでわかりやすく解説されたサイトもあります。
http://d.hatena.ne.jp/Rion778/20111231/1325257353

 


弾性体のずれ変形は 以下の通り。




これを見比べ、「ずれ変形は速さ Vs=√(G/ρ) で伝播する」ということでした。
P波の場合はG(せん断剛性率=ずれ弾性率)をE(ヤング率)に直せばよいとのことですが、こちらはとりあえず置いておきましょう。

2015年9月20日日曜日

ゲーミングマウス + プログラマブルキーボード

私はマウス操作に左右両手を使っています。

右手が痛くなったら左手で、左手が痛くなったら右手で、というように、交互で使用するケースと、複数台のPCを左右で使うというようなケースがあります。
基本は左手操作なのですが、 その左手が腱鞘炎になってしまいました。ハンマーで腱鞘炎ならず、マウスで腱鞘炎と言うところが、地質屋さんとしてちょっと恥ずかしいところですが。

仕方ないのでエルゴノミックマウスの左手用を探すことに。
どうせならゲーミングマウスの左手用!と思ったのですが、これが皆無。通常のエルゴ左手用も、引っかかったのは2種だけでした。左手用は売れないんでしょうね。
結局、左手用のエルゴマウスをオンラインで注文したのですが、1か月経ってもまだ届きません。在庫も抱えないようにしているのでしょう。

ついでに両手用のゲーミングマウスを購入。これが当たりでした。
http://gaming.logicool.co.jp/ja-jp/product/g300s-gaming-mouse
9ボタンのため、CADで使用するには割り当てが足りず、プログラマブルキーボードを併せて購入しました。ゲーム用でなければ、案外安い。
http://www.scythe.co.jp/input-device/rakuraku-keyboard3.html
左手が自由に使えませんので、右手にゲーミングマウスを配置。片手でマウス操作+コピペ、undo、redoなどができるのはありがたいです。
「Logicool ゲーミングソフトウェア」を入れて設定すると、Civil3D を立ち上げた際に、マウスの設定が自動でCAD用に変わるようになります。便利です。割り当てられなかったコマンドはキーボードに登録。キーボードは配置が変わったためか、押し間違いがよくあります。が、そのうち慣れるでしょう。

さらに、2台のPCをマウスが行き来できるように、Input Director をインストール。マウスは各PCにつけていますので、どちらが親になっても(右手でも左手でも)両PCが操作できるようになりました(当分は右手onlyですが)。今まではスイッチで切り替えていましたので、快適です。少し不具合がありますが、ほぼ満足です。

ちょっとしたギミックの組み合わせで、快適になるものですね。






2015年9月14日月曜日

フラジパン

もう一つ、この図書から。
山野井「日本の土: 地質学が明かす黒土と縄文文化」

最近、十数mにわたって道沿いに切られている土壌全体に、規則的な筋状の構造を見ました。薄く剥いでみると、亀裂や断層のようにシャープな形状でなくやや不規則に曲がりを有しており、下に行くほど結合し数が減っている、といったような筋状構造でした。露頭上部は数が多いものの、最上部は消えていました。その時は「木の根の跡だろう」と気にしないようにして離れたのですが、少し形状に違和感があり記憶に残っていました。

この図書のp93図5-11左の写真を見て、「似ている」と思い、読み進めました。

どうやら「フラジパン」と呼ばれる構造のようです。永久凍土でクサビ状の氷(アイスウェッジ)ができた跡で、水平断面を見るとポリゴンのようになっているとのこと。
確かに、最終氷期にそのような構造が形成されてもおかしくありません。 水平断面を確認したいですね。

これまで、最終氷期の構造など取り扱ったことがなく、このような発想がなかったので、新鮮でした。私が見たのが「フラジパン」である確証はありませんが、これからの踏査では、そのような見方もするでしょうね。儲けものでした。

2015年9月13日日曜日

クロボク土

山野井「日本の土: 地質学が明かす黒土と縄文文化」

クロボクの話です。今年の2月に発売されてから、ずっと気になっていました。
今まで、クロボクは火山灰と関連してできる土壌と教えられてきました。が、それが現世の表層にしかないことに引っかかっていました(表層付近に何枚か分布する箇所もあるようですが)。なぜ、過去に何度も同じ環境が生じているはずなのに、現地形の最上部にしかないのかと?
その答えを著者なりに出されていました。

・クロボクには微粒炭が含まれる = 縄文人の野焼き、山焼きの影響を受けた土
・微粒炭が活性炭となって、可溶腐植を吸着 ・保持し,クロボク土が 形成

ただ、この原著論文が1996年で約20年前。あまり受け入れられていないようですね。
山野井徹(1996)黒土の成因に関する地質学的検討, 地質學雜誌, 102(6), 526-544
http://ci.nii.ac.jp/els/110003013763.pdf?id=ART0003437151&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1442138430&cp=

抵抗が大きかったのでしょうか、次の年に、誌上討論が行われています。
 山野井論文「黒土の成因に関する地質学的検討」の問題点
http://ci.nii.ac.jp/els/110003013937.pdf?id=ART0003437918&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1442136874&cp=
山野井論文「黒土の成因に関する地質学的検討」についてのペ ドロジストの疑問にこたえて
http://ci.nii.ac.jp/els/110003013938.pdf?id=ART0003437921&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1442137616&cp=

人為的な影響は1976年のアーバンクボタ13でも触れられています。
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/996533/www.kubota.co.jp/urban/pdf/13/pdf/13_2_5.pdf

ただ、人為的な影響があるのなら、日本よりは世界で多く認められ、報告されているはずです。そのあたりはどうなのでしょうか?

個人的には面白い知見だと思います。世界に通ずる知見であれば良いですね。


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2015.9.16追記
先輩に、「10万年前のクロボクが深部に存在する地域もある」と言われました。
見てみたいですね。さすがにこれは、ヒトとは無関係ですね。

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2015.11.8追記
今日、NHKスペシャル「アジア巨大遺跡 第4集 縄文 奇跡の大集落 ~1万年 持続の秘密~」を見ました。青森県三内丸山遺跡での縄文文化研究の紹介でした。
豊かな森と共生していた縄文人が農耕文化を拒んだ理由として、「自然環境の破壊」を考えられている方がいらっしゃいました。意外でしたね。
現在の各地の縄文文化の研究では、野焼き、山焼きが行われていたのかどうか、答えは出ているのかもしれません。

2015年9月12日土曜日

USB 簡易スコープ

観察のため、孔内にカメラを入れることがあります。

機種は多様で、条件や目的によって選択します。
ボーリング孔であれば、BTV(Borehole TV)と呼ばれている亀裂観察用のカメラの出番が多いでしょう。
一番大掛かりなのが、立坑の観察。カメラはBTVと似たようなものですが、直径数mありますので、準備や調整に時間がかかります。

先日、CCD スコープと、USB 接続の簡易スコープの2種を使用しました。
前者は3m の完全防水。焦点距離は10mm〜無限大まで対応していますので、撮影は容易です。が、画素数は30万とやや少なめ。100V 電源も必要で、現場でのケーブルの取り回しが煩雑です。

USB接続の簡易スコープは、同僚の紹介で購入。5m のUSBバスパワータイプで、タブレットやPCに挿すだけですので、現場での取り回しが非常に楽です。ネットでは2〜3千円で売られています。簡易防水(同僚の7m タイプは水没で壊れました)かつ焦点距離が数cmまでのため、使用環境は限られます。が、100万画素程度の静止画は撮影可能です。
今回は UAV のプロポ等取り付け台に、NEXUS7+USB変換ケーブルを取り付けて使用しました。初めての使用でしたが、数枚に1枚の頻度で綺麗な写真がとれました(焦点距離を合わせるのに苦労します)。

オモチャの割には、役に立ちそうです。

2015年9月9日水曜日

判例

産廃判例訴訟の判例を集めた図書がありました。これがなかなか新鮮です。

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北村喜宣監修「産廃判例が解る」環境新聞社p10-16

民事訴訟:住民が原告の事件

有害物質水道水混入を理由に建設等差止が認められた事例
全隅町安定型処分場建設等差止請求事件

判旨
[1]当該廃棄物処分場に「有害物質」が搬入され埋め立てられることが合理的に予測されるか?
[2]当該廃棄物処分場の「有害物質」が場外に漏出することが合理的に予測されるか?
[3]漏出した「有害物質」が水道や蛇口まで到達することが合理的に予測されるか?


原告が上記3点について合理的に高度の蓋然性をもって疑われる(①~③)ことを立証する必要がある。
被告は下記を立証すべき。立証できない場合は[1]~[3]の法的因果予測の面の証明があったというべきである。
④「有害物質」が搬入されない、。
⑤仮に「有害物質」が搬入されても、埋め立てられない十分な対策を講じている。
⑥仮に「有害物質」埋め立てられても、場外に漏出しない十分な対策が講じられている。

立証事実と立証責任
差止請求者が、どの様な経路でどの程度の量が水道水に到達し、健康被害を摂取者にもたらすものかを、自然科学的論証において必要とされる厳密さをもって特定し、すべてを立証するこは不可能。予測の立証の程度は「通常人が合理的疑いを差し挟まない程度に真実性の確信を持ちうる」との判断を示した。[1][2](予測)でなく、①②(蓋然性をもって疑われる)とすることで証明責任を軽減した。

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最初の事例は上記のような内容でした。
面白いと思ったのは、「蓋然性」という語句。技術者は「可能性」「確度」「確率」などという客観的な語句を多用し、「蓋然性」といった主観的な語句をほぼ使用しないと思います(私が国語を知らないだけかもしれませんが)。 便利な言葉です。


次の事例は、「改正共同命令」に適合していない=未処理液の漏出による健康被害の蓋然性が事実上推定される、といったもの。受忍限度を超えるという事実の証明は困難なため、有害物質混入の蓋然性という比較的証明が容易な前提事実からの推定を許すことで、立証負担を軽減するという手法が特徴のようです。これもユニークです。裁判のテクニックだそうですが、ニッチかつディープな世界のようです。


2015年8月25日火曜日

進行性破壊

地すべり学会誌に、安定解析で進行性破壊を表現する論文が掲載されていました。

大西ほか(2015)「進行性破壊を考慮した新しい斜面安定解析法」地すべり学会誌,Vol.52, No.3

大雑把には、弾塑性 SSRFEM で得られる進行性破壊と同様の結果を、LEMでも表現できる、といった内容でした。数式の一部で「誤植?」となりましたが、発揮される強度と安全率の捉え方、残さ力の再配分などはSSRMと同じようなもの。比較的優しいと思います。

地すべりで SSRFEM を活用している事例は、10年以上前に講習会やじすべり学会誌などで周知されるようになったと思います(テキストはもっと昔からありました)。当時は「これは凄い、流行になる!」と感じていたのですが、実務では全く広まりませんでした。おそらく、地すべりの実務は逆算の世界、SSRFEM は順算だったからでしょう。

今回の安定解析も、順算です。SSRFEM と同様になるのはもったいないですね。

2015年8月23日日曜日

ArcGIS の地下水解析

ArcGIS のSpatial Analyst に「地下水解析」があります。

見つけたときに「なに、これ,?」と思いヘルプを見ました。平面2次元浸透流の、差分法に近い計算式です。が、具体的な操作方法がよくわかりません。サポートも詳細を把握されていなかったようで(Arcで地下水を計算したいと思う人がレアなのでしょう)、やり取りしながら試してみました。

通常の浸透流ではパラメーターを設定し水頭を求めることが多いのですが、これは異なりました。水頭、透水量係数、有効間隙率を設定し、流向・流速や水収支を計算します。流向・流速は、それぞれラスターの各セル内に格納されます。Ver.10.3よりセル値のベクトル表示が可能となったようで、流向ラスターに流速ラスターを magnitude として設定すれば、ベクトルが作画されます。
また、流向・流速より任意点からの粒子追跡が可能で、さらにそれを使った移流分散計算結果がTXTで書き出せます。TXTには時間・濃度・距離などが入っており、それを使用して任意時間の濃度を可視化できます(結果を見る限り、近似式の方を使用しているようですね)。

通常の浸透流よりは制限が多く、特に水頭を正しく与える必要があるため、利用法は限られてくると思われます。地形・水系からkmスケールで、流向を読み取りたい、汚染物質がどの方向へ流れやすいか知りたい、といった机上調査に利用できそうです。GIS ベースなので計算時の座標を気にしなくて良い点、結果の可視化(地形などとの合成)の手間が省ける点などは、通常の浸透流と比べて有利でしょう。

簡単な2次元差分はEXCELでも解けますが、Arcなら透水量係数の変化として構造物の影響を扱えます(疑似3次元のようなもの)。水頭入力は独特ですが、理論上これもまた然りといったもの。
手を動かしてみると、多様な考え方に出会えます。蛙が大海を知るためには、自ら動き続けないといけませんね。

ArcGIS でコンター図

地下水コンターを描く際に、観測井のデータ以外に水系の標高を利用したい場合があります。

その場合、水系の座標(XYZ)が必要になるのですが、その取得方法はソフトによって手数がかなり変わってきます。
基本は、水系のSHPファイルを読み込んで高さを与えたり、3Dポリラインやポイントを作成して座標を抽出したりするのですが、力技になる場合が多いと思います。

最近、 ArcGISでコンター図を作成したのですが、これ、一番楽でした。大まかには、以下の流れです。
1.水系のSHPを読み込む。
2.そこからポイントを作成。
3.ポイントに地形ラスターから標高を与える。
4.観測井のポイントとマージ
5.マージしたポイントから水面のラスター作成。
6.水面ラスターからコンター作成。

4で作成した座標を書き出せば、他のソフトでも利用できます。観測データの追加や変更がなければ、5のデータを GeoTiff にしたり、6のコンターを CAD データとして書き出しても良いでしょう。

地形に関しても、GeoTiff と、その範囲の CAD データの2種を書き出しておけば、Civil3D 側の作業が楽になります。TIN サーフェスで地形を作成したい場合、その2種を読み込んで切り抜きサーフェスを作成するだけでOKです(グリッドサーフェスだと、GeoTiffだけでOK)。MVS もGeoTiffだけでOKです。便利ですね。

1つのソフトで作業を完了することにこだわらず、複数ソフトの長所を拾って組合わせると、作業は楽になりますし、ゴールにもたどり着きやすいと思います。


2015年8月21日金曜日

LANDSAT8 + ArcGIS

蒸発散量の算出にLANDSATのNDVIを使用している文献がありました。

ArcGISを使用して算出しているようです。
広域の浸透流をかける際、各場所毎に蒸発散量をを設定します。これがNDVIからカテゴライズ&プロットできるようになると良いですね。
浸透率に関しては、スケールによっては国土数値情報 土地利用細分メッシュデータを利用できます。これも衛星データを利用しています。広域の地表データの抽出には、リモートセンシングの出番ということでしょう。
http://nlftp.mlit.go.jp/ksj/jpgis/datalist/KsjTmplt-L03-b.html

Landsat画像は、USGSのサイトから入手できます。Landsatlook Viewer で欲しい年、Cloud Cover 率などを指定後に検索をかけると、条件に合ったデータを提示してくれます。良い時代になりました。 さすがUSGS、素晴らしいですね。
http://landsatlook.usgs.gov/viewer.html

昔はデータを購入し、Photoshop や ER Mapper で加工していました。今回はArcです。 大まかな流れは以下の通り。簡単ですね。
1.メタデータをカタログからドラッグで取り込み
2.画像解析のNDVIボタンを押す!


1時間ほどで完成。
リモートセンシング、復習しないといけませんね。

2015年8月18日火曜日

地形・地質情報の表示

大局的な地形・地質情報を見るのに、データの重ね合わせや可視化は有効な手段です。

最近は多くのソフトで可視化が可能となっていますが、手順・手間は様々です。
私は、Civil3d, Infraworks 360 LT, Google Earth Pro, カシミール, 地質図Navi, ArcGIS などをよく使用しています。

Civil3Dでは、Bing Maps (道路+航空写真)をボタン1つで on•off 可能です。測地系の設定ができますので、基盤地図情報や Open Street Map などから切り出したSHPファイルを指定すれば、写真や、地図に重なって表示されます。ただし、これらを3次元でグリグリ回すのは難しいでしょうか?
グリグリ回すには 5mDEM 等を取り込んでサーフェスを作る必要があります。が、海域などを含んでいると、その部分のTINを消去しないといけないため、手間がかかります。
ただし、現場スケールでは、現段階で必需品となっています。

Infraworks ではモデルビルダーで簡単に3次元可視化できるのですが、LT版には付属していません(モデルビルダーの精度もイマイチ)。CUG の HP でアナウンスのあるビルダーデータ収集プログラムも、GeoTiffなどに変換してくれない場合があります(海域がダメ?)。地形に関しては基盤地図情報を ArcGIS で GeoTiff に変換し取り込むのがベストだと思います。取り込んでしまえばグリグリ回せます。
現場スケールで Civil のデータがあれば、その後の可視化(データ取り込み)は専門技術を必要としないため、お手軽です。

3次元表示で手軽なのが Google Earth。デフォルトの標高データは粗いですが、広域なら問題ありません。少なくとも、写真と DEM の準備が必要なくなります。KML に加え Pro 版では SHP を読み込めますので、上記の細かい水系や道路、シームレス地質図などを重ねて立体表示できます。グリグリも問題ありません。広域を見たい場合は、これが楽でしょうね。ただし、重いデータは表示できず、落ちてしまう難点があります。また、WMS にも対応していますが、一部の透過がうまく表示されない問題も残っています(残念)。

カシミールはかなり昔から使用しています。最近は他のソフトを利用することが多く、利用は減ってきました。
主にGPSトラックの取り込みと踏査写真のプロット等に利用しています。また、空中写真の年代別表示が非常に手軽です。Google Earth よりも、昔の写真に対応しています。

地質図Navi はかなり優秀です。
シームレス地質図のみならず、各種 WMS (地すべり分布図、活断層分布図、水理地質図など)をデフォルトで有していますので、一通りの情報を手軽に得られます。
欠点は3次元可視化できないこと。これだけです。非常に惜しいのですが、情報量と手軽さは他を凌駕しています。今後の発展に期待です。

 ArcGIS (ArcMap)もいいですね。インストールしたPCが直近にないので、使用頻度はたと比べて少ないのですが、基盤地図情報を取り込むのはこれが一番手間がかからず綺麗に取り込めます。さすが老舗です。現在、Ver.は10.3です。
SHP取り込みは勿論、それの加工もお手の物。2次元でのデータの重ね合わせや演算に特化しています。
先日知ったのですが、Spatial Analystでは簡単な2次元平面の地下水計算が可能です。ちょっとクセがありますが、流速や粒子追跡、移流分散の表現が可能でした(これはまた、後日)。
欠点は地質図Naviと同じ3次元の概念が薄いこと。グリグリはできません。dwg 読み込み可なのですが、Civilのソリッドも読めません。残念。
余談ですが、サポートがすばらしい。レスポンスは 早いし、内容も丁寧です。


それぞれ、一長一短です。
現段階では、必要なスケールと目的に合わせ、それらを使い分ける必要があります。

2015年8月16日日曜日

桜島とハザードマップ

PC版の地質図Navi を眺めておりますと、「火山ツール」という機能が下の方に表示されていました。

同じ産総研の「第四紀噴火・貫入活動データーベース」を利用し、プロットしているようです。興味を引いたのが、そこにある火砕流シミュレーション。表示された火山の中から計算したい山を指定し、経験的なパラメーターを入力すると、地形的に火砕流流の到達しうる範囲(H/L値)が示されます。優秀な地質図Navi ですが、ここまで重ね合わせができるようになっているとは知りませんでした。

ニュースになっている桜島で表示してみましたが、意外に北側中心の結果。避難勧告は東南地区主体であったのに、おかしいなあと思って見てみますと、どうも火山の位置が火口とずれています(現在活発な火口以外から噴出しないとは限らないので、それでも良いのですが)。
地質図Navi 上では火口を動かすことができないので、本家サイトへ。
http://g-ever1.org/quick/
本家サイトで南岳の火口をクリック、位置指定を行って計算。結果、南東中心の範囲になりました。この結果は kmz 書き出し後、Google Earth で 3D 表示可能です(不具合もあるようですが)。

桜島のハザードマップでは、危険なエリアが円表示になっています。http://www.city.kagoshima.lg.jp/shimin/kikikanri/kikikanri/kurashi/bosai/bosai/map/sakurajima.html
「事前に、火口の位置を予測することが困難」「火口は山頂を挟んだ両山腹にできる可能性が高い」「島内全体にわたって危険な状態」と書かれておりますので、被災の可能性としては全島を考えるということでしょう。
昨日の避難勧告は、まず被災の可能性が考えられた東南側自治体において、昼の間に避難できるよう出されたということでしょうか?今後、火山性地震が活発化すれば(昨日よりは落ち着いたようですが)全地区避難となるのでしょうね。

地質図Naviでは、観測位置が公開されています。火山性地震の発生回数は気象庁から発表されています。傾斜計やGPSの結果もどこかで公表されているかもしれません。いろいろな情報がネット等から得られるのですが、それらをどのように一元化、アナウンスしていくかは、土木分野共通の課題なのでしょう。


2015年8月14日金曜日

Phantom3 とSfM

Phantom3 から GoPro ではなく、専用カメラとなりました。

ReCap 360 (photo) はGoPro3+, 4 の魚眼レンズをサポートしていました。シャープな画像であればそれ以外でも問題ないとの回答が、以前見かけた forum にありましたので、先日、先輩が撮影した動画で試してみました。

4K対応、4GB近い MOV 形式です。まず、MOV を閲覧するために コーデック か Player を探す必要があります。今回は、GOM Player で閲覧しました。
偶然だったのですが、ソフトに画面キャプチャ―機能がついていました。しかも、「○秒おきに○○枚」といったような指定ができます。ReCap での SfM を目的とするため、2秒間隔の250枚で切り出しました。大満足。

それを ReCAP 360 に投げて寝かせていますと、できました。仕上がりに問題ないですね。
撮影範囲と角度さえ工夫すれば、4K動画からでも問題なく3次元可視化できます。またルーチンが増えました。

2015年8月13日木曜日

崩壊と安定計算

京大防災研「地盤災害論」山海堂を読んでいますと、間隙水圧と水位の図が出てきました(p13)。

非常に簡素な図ですが、これ、よく混同されています。実務上はほとんど区別されていないといっても良いでしょう。

地すべりの場合、すべり面にかかる有圧水の(過剰)間隙水圧を計測している(はずの)ため、安定計算式は整合しています。が、断面に落とす際には「H.W.L.」など、「水位」と表記するのが慣例です(水圧線などと書かれている教科書はあります)。

崩壊の場合、自由地下水の水圧を計測することが多いのですが、実務ではp14のような内容を意識せず、水位・水圧を取り扱っています。
また、崩壊でも自由地下水対応の式は使用せず、地すべりと同じ式を採用するケースが多いようです(有圧水でも BishopやJanbuを使用する会社は、残念ながらまだ少数派です)。理屈はあっていませんが、経験と割り切りで対応されてきた分野なので、OKなのでしょう。浸透に関し体積力法と水圧法が同じ結果を出すこと(地盤工学会「斜面安定解析入門」p40)、浸透を考慮した式が結果的に修正Felleniusに通じること(申潤植「地すべり工学-最新のトピックス-」p12)なども混乱する一因としてあるのかもしれません。

地盤災害に限らず、土木は経験色の強い分野です。が、理屈を習得しておくことも重要だと思います。

2015年8月8日土曜日

歯科医と患者

虫歯の治療が終わりました。

以前通っていたデンタルクリニックでは「様子見」だったのですが、今通っている所では一人目の歯科医が「様子見」、もう一人が「治療」といった判断でした。

結局、両者相談の上、治療が始まったのですが、治療を受けながら全く異なることを考えていました。
  • おそらく、判断が難しい問題だったのだろう。
  • 事務所に居れば、お客さんが問題を運んできてくれて、その場で即時調査・判断・対策が始められる。対価も決まっており、利益率は高いのだろう。
難しい問題に踏み込んだ判断するには、やはり高度な知識と経験が必要になるのでしょう。それは資格制度だけでなく、「人気」や「口コミ」といったバロメーターに反映されます。
また、治療計画書や設計図を作成する手間が無い、最初に関わった仕事を逃すことがほぼない(治療計画だけを無償でまとめさせて、他の歯科医に発注する患者はいない)、ほぼ100%の対価が保証される(治療費3割引きなど聞いたことがないし、施した手間の一部を「慣例」などと言って支払わない患者もいない)でしょうから、かなり利益は出やすいと思います。

また、患者側もその恩恵を実感していること、逆に質が悪ければ直ぐ気づき、しかも自身に悪影響が出ることなどから、対価の支払いに躊躇しないのではないでしょうか?

高度な知識と経験を有する歯科医、対策の質に敏感な患者、両者が揃っているからこそ、うまく回っている分野なのでしょう。

2015年8月5日水曜日

トンネルCIM

CIMトンネルモデル作成ガイドラインVer.0.3が、JACIC のHPに掲載されています。

今年度Ver.1.0になるそうですが、特に実務に影響を与える規定や、詳細な仕様はなく、効力についても不明です。現段階では、ソフトウェアベンダーの飯のタネに利用されているのみでしょうか?

地質に関しては、パネルダイアグラム作成までしか要求されていません。
掘進時の切羽点検では、地質の分かる方も少ないでしょうし、全切羽で修正(作成)も通常のトンネルでは実施されないでしょう。そのため、その程度に止まるのだと思われます。

Webでは、大林さんの施工段階での取り組みをよく見かけます。本来であれば、そのモデルを用いて維持管理段階の情報を入力•蓄積し、データベース化できればよいのでしょうが、現段階では、施主側での既存の管理法や委託会社の環境に左右されるでしょう。

いずれ、データフォーマットが規定され、入力仕様も定まってくれば、各社ソフトも揃って、うまく流れるようになるかもしれません。
今後の動向と、若い方の好奇心には留意しておきましょう。


問題解決の視点

天然ダムの決壊計算を実施し、「まだまだ」と思った点に以下のようなものがありました。

・浸透流やパイピングの取り扱いがない。

あくまで手を動かした KANAKO での感想ですが、理論上、他の多くの河床変動計算コードにも当てはまると思います。
天然ダムを越流するまでは、計算上、ダムが安定しています。そこに浸透流やパイピングの概念は組み込まれていません。流水による河床変動の計算をベースとしているので当たり前なのですが、実際とは異なり違和感満載ですね。


話は変わりますが、昨年発生した広島の土石流について、地下水の上昇のみでは説明できない点がいくつか挙げられています。

・1次元浸透流で雨を入れると、表層部は飽和するが底部は飽和しない。
→降雨が短時間のため、空気が封入され飽和しない。
・室内試験による強度定数を使用すると、安全率が1.2を上回る。
→ではなぜ崩壊したのか?
・軟岩が削られ、V字・U字の谷が形成されている。
→6.29ではなかった現象。

被圧地下水、パイプ流、空気圧が関与した可能性があるようです。深層崩壊と共する部分があります。それらを計算に載せるためには、綿密な踏査による地質状況の把握と調査法・解析法の技術開発といった両輪・フィードバックが必要でしょう。


問題を解くには既存の幾つかの視点、新たな視点の組み合わせが重要になるということだと思います。一歩引けば、見えてくるものもあるのでしょうね。


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20150811追記
同僚や先輩が、昨年度発生した広島土石流に関わっています。
相談を受けてアドバイスしていましたし、講演も聞いていましたので知ったつもりになっていました。報道も可視化結果も見ましたし、6.29にも携わっていましたので、余計に勘違いしていたのでしょう。
先日、現場を眺める機会があり、そこで勘違いに気づかされました。
想像より大きな現場でした。机上では伝わらないものがあります。

今後に活かすためにも、現場と机上、両立しなければと反省。現場を見るだけでもダメ、可視化やシミュレーションなど、机上だけでもダメ。両立できて初めて人の役に立てるのでしょう。

2015年8月4日火曜日

Hyper KANAKO その2

Hyper KANAKO の天然ダム決壊解析機能を試してみました。

最初は2次元領域にダムを設定し、エラーの続出。
そういえば、説明資料に1次元計算であることが書かれていたと思い出し、1次元領域に配置し直して再計算。これで最後まで流れました。

で、結果の表示になりストップ。
描きたい断面の位置を手書きで指定し、「結果断面図作画」ボタンを押してみるのですが、無反応。
1時間ほど考え、ようやく原因が判明。どうやら、計算結果は MapWindow のプロジェクトフォルダでなく、デフォルトでは以下に保存されるようでした。これを指定しないと、読み出せなかったわけです。
C:\HyperKANAKO\ThreeD\Simulation\(プロジェクト名)\

設定を正しますと、断面の表示が確認できました(時々エラーが発生しますが)。
高さ40mの天然ダムを設定したのですが、どうも河川縦断方向の延長は指定できないようです。従って極端に薄いダムができてしまいました。天然ダムが薄いため、計算結果も決壊以降の下流側への土砂供給が少なすぎ。実際とは全く異なる形になりました。

操作は簡単ですので、もう少し開発が進み、安定性が増せば、実務でも利用できそうです。それまで再度、眠らせておきましょう。



2015年8月2日日曜日

Hyper KANAKO

講演に影響を受けたこともあり、ずっと眠らせていた Hyper KANAKO をひっぱり出して、手を動かしてみました。

気にはなりつつ、実験式を追えない(出典に詳細が書かれていない)ので、机の中で眠らせていました。

HPから最新版をインストールしてUSBを更新しセットアップ。一通りのマニュアルを読み、サンプルファイルを動かす。これだけなのですが、案外あっさり動いて、昼までに終了。堰堤の入力や計算結果の表示も問題なく動きました。

昼から広島の土石流発生箇所を題材として計算してみました。
基盤地図情報の10mメッシュを変換するツールがあったので、5mでなく10mをDL。それを変換後、初期設定ファイル作成まではあっさり進みました。
が、1次元の計算範囲を決める際にストップ。GUI は MapWindow ベースなのですが、Web 上の地図が取り込めません。OpenStreetMap 等も読めるように開発側は考えているようですが、完全対応はVer.4.9からのようです。Web Map Service (WMS) 等が容易に利用できるようになっていますので、数値地図25000は久しく使用していません。が、当面はそのCDが必要なようです。レトロですね。残っているか探してみましょう。

また、計算結果では、なぜかゴミが発生。1次元の計算部分から2次元平面領域に入った直後、計算領域の端の方で水位が発生しました。何度か実施してみましたが、すべてに発生します。どこか、設定を間違えているのでしょう。

VRMLの表示にも問題。計算結果を段彩図として重ね、VRML で 3D 表示できる仕様のようですが、それがうまく動作しません。GIS 内では表示できますので計算は(ゴミが出ていますが)正常に終了していると思われます。VRML 用のファイルを作成する段階で、何かエラーが発生しているようです。

何度か試してみましたが結果は同じ。結局、解決しませんでした。

ま、急ぐ話ではないので、次に天然ダムを取り扱ってから、また寝かせておきましょう。


2015年8月1日土曜日

河床変動計算

先日、河床変動に関する講演を聞いてきました。

昨年度、土石流特有の実験式を追いきれず、また実務でも計算不要となったためスルーしていたのですが、良い機会なので聴講してきました。
http://phreeqc.blogspot.jp/2014/12/blog-post_21.html

河床変動方程式は1970年代には既に提唱されていたようで、40年以上使用されています。が、その割には、土石流、河川で異なる式を使い、しかも土砂濃度といったユニークな視点で多くの方が実験を行い、それぞれ独自の式を提唱されてきたようです。門外漢から見ると、他分野に比べあまり統一されていない印象を受けます。いずれ統一されるでしょう。

講演は、いくつかの計算例を用いて説明がなされており、いずれも興味深い内容でした。
少し期待していた基礎方程式(実験式)部分は軽く流され、その先の話がメインでした。ま、これは仕方ありません。
中でも印象に残ったのが、表層部の影響の評価。河床変動に関しては、砂州内の浸透流や表層の植生の影響を考えないと、全く合わないそうです。
側方浸食については、取り入れていないコードがスタンダードのようです。短期の河床変動を相手にすることが多いのでしょうか?

様々なコードがあるようですが、この分野、2次元平面までが主体のようです(LS-FLOWもそうでしたね)。3次元に比べ簡易ですし、流れの部分の方程式はどれもほぼ同じようですので、とりあえず周りから攻めてみましょうか。

2015年7月30日木曜日

盛土の締固め

地盤工学会誌に締固め試験の記事が掲載されていました。

以前、「スレーキング材は含水比管理より、飽和度管理を行ったほうが良い」と書かれたものを読んだことがあります。その時は、「なぜだろう」と思っていたのですが、少し調べても出てこなかったのでスルーしていました。

今回の記事は一般的な盛土材において、密度と飽和度を使ったほうが良いという内容。が、2ページと短く、よく理解できません。
元になった文献を読んでみようと、他部署の雑誌を探してもらいました。

「基礎工」技術ノート 2013.7~

私の部署で回覧されることはなく、目を通していませんでした。また、個人で持っている方もいらっしゃるようで、歯抜け状態。ま、知りたいところは最初の4回までで納まっていましたのでセーフでした。

要点は以下の通りです。

現代の現場の締固め機械では、容易に室内試験の締固めエネルギーを超過する。
そのため、室内試験でのρd90%以上に現場の乾燥密度が高くなってしまう。
結果、含水比管理をしていると、飽和度が100%に近づく。
結果、泥濘化を招く。
そうならないためにも、飽和度管理が重要。

CBRなどの強度・変形特性はρdと飽和度の関数となる。(含水比・締固めエネルギーはパラメーターとして不要)
最適飽和度は締固めエネルギーに依存せず、土質の影響も少ない。
現場での締固めエネルギーによる wopt 近くの透水係数は、室内試験の wopt の湿潤側で見られる極小値よりも、容易に小さくなる。
従って、含水比管理は本質的でない。土の締固め特性は、乾燥密度と飽和度の関係で表現した方が合理的。


実際の運用はよくわからないのですが、
1.室内締固め試験で最適飽和度を求める
2.その飽和度における各種ρdに対応した強度を求めて図3-15の様な曲線を得る
3.試験施工でρdmaxを求め図3-21の様な整理を行う
4.それにより強度が推定でき、ρd管理値(施工法)を決定可能。
ということでしょうか?

文献には施工例が続いていますので、(歯抜けですが)確認しておきましょう。


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20150731追記

第15回に運用がかかれていました。
ρdの決め方が違いましたね。目的に合致する強度を有するρdを施工目標値とするのが理想のようです。






2015年7月26日日曜日

文献

ためていた文献の整理をしておりました。

多いなあと感じたのが「深層崩壊」「土石流」といった近年の土砂災害関連、そこから派生する「発生場」「天然ダム」「降雨特性」「数値解析」「UAV」でしょうか。特にUAVの利用による災害現場の地形取得、SfM、土量計算はここ1年で圧倒的に増えています。数値解析では粒子法の適用も出てきました。

ちょっと変わったところが、ビッグデータの活用でしょうか。Twitter データから統計的に警戒情報を抽出しようとする試みは面白い試みですね。そういえばNHKスペシャルでも、カーナビの走行データやタクシー会社の走行記録、携帯電話の位置情報等を利用して震災時の人の動き等を解説・問題抽出していました。今後はこれらの動向にも注意を払うべきでしょう。

先日、JSTの文献複写サービスが平成28年2月末で終了する案内が届きました。代替えサービスがいくつかありますし、ネットでも容易に文献を入手できるような時代になりました。個人的にもサービス利用は激減していましたので、終了自体問題ありません。が、入社時から頼っていたサービスだけに少し寂しい気がします。

文献は仕事を行う上で重要なツールです。質・量・入手方法に変化はあるでしょうが、技術者である内はこれからも取り残されないよう、追随していきましょう。


2015年7月25日土曜日

観測井戸と透水係数

久しぶりに、ゆっくり文献を読んでいたのですが、なかなか面白いものがありました。

Nadège Baptiste1, Robert P. Chapuis, What maximum permeability can be measured with a monitoring well?, Engineering Geology, Volume 184, 14 January 2015, Pages 111–118

観測井戸のつくりで透水試験結果が大きく変わりますよ。何も考えずに設置してはダメですよ、透水係数を過小評価してしまい、結果、揚水試験の方が透水試験が高くなるスケール効果の一因となりますよ、といった内容。

驚いたのが、水の中の微細な泡の有無で透水係数が1オーダー変わる点。
あと、ストレーナーの影響を数値計算と理論解で比較している点。以前、私も実施しましたが、浸透流の分野でも案外一般的なのかもしれません。
ストレーナーの影響(その4まで)http://phreeqc.blogspot.jp/2014/09/blog-post_22.html


以下、内容の備忘録です。意訳あります。


1. introductuon
K1:スクリーンの透水係数
K2:フィルター材の透水係数
K3:原地盤の透水係数

2.観測井戸設置の基本ルール
2.1. 粒径加積曲線の作成
原地盤の粒径把握。
細粒分が抜けているとか、2層が混ざっているとか、評価方法あり(Chapuis et al., 2014)。

2.2. フィルター材の選定
原地盤の均等係数、D50などによって、推奨されるフィルター材の径が変わる(Table 2)。

2.3. スクリーンスロットサイズ
MWでは、フィルター材のD10より小さ目のスクリーンスロット。

2.4. MWの設置
セントラライザーやタンパーの使用。
ベントナイトやグラウトがフィルター材へ侵入しないように、2層の干渉区間を設ける。

2.5.記録
設置記録、15cm毎程度。
きちんと記録すれば4時間ぐらいかかるが、多くの施行者は10分~30分と低品質。

3. スクリーンの透水係数
3.1手法
タンク中にMWを設置。低レイノルズ数で、乱流にならない程度の水位差を設け、6段階の流量を設定。(Fig.2)
3.2. Thiemの式
3.3. 数値解法

4. K1、K2、K3の影響
4.1理論解
4.2数値解

5.結果
5.1. K1
K1=1×10-4m/s前後(タンクに入れた。直後の水)
K1=1×10-3m/s前後(2日後の水)
微細なエアーを含んでいると、透水係数は1オーダー落ちる。
現位置では目詰まりにより、さらに落ちる。

5.2. K1.k2の現位置試験への影響
5.2.1. フィルター(充填材)のない場合
現地盤のK3に対し頭打ち(Fig.4)。VP50位のMWだと、ktest=5×10-2〜10-3m/s。目詰まりがあると10〜100倍低くなる(10-4〜10-5m/s)。

5.2.2 フィルター(充填材)のある場合
K1=1×10-4m/s、目詰まりで10-5m/s。
現地盤のK3がスクリーンのK1か、フィルター材のK2 を超えた時点で頭打ち(Fig.5)。

※K3が10-2〜10^0cm/sオーダーで頭打ちになっているので、実際の地盤(10-3〜-5cm/sオーダー主体)では、あまり関係ないでしょう。高透水部のみ気を使えば良いでしょう。

5.2.3 スラグ試験の数値解析例
5.2.4 フィルター材の選定例

6. 考察
透水係数は幾つかの手法、スケールで評価される。
小スケール:土質サンプルの粒径より推定(信頼できる手法の前段階)
中スケール:透水試験
大スケール:揚水試験

MWにおける透水試験でのスクリーン・フィルターの影響を論じたが、同じMWで揚水試験をすると、異なる影響が出るだろう。

大スケールの方が透水係数高い。いろいろな理由が推定されている。
しかし、各々の透水係数の品質については疑問視されていない。

MWの品質の悪さが、いかに透水係数を低く見積もるか(中スケールの透水係数を減ずるか)、そして、それが人工的なスケール効果を生み出すことに寄与するであろうことについて論じた。

2015年7月24日金曜日

地盤工学会賞

ためていた地盤工学会誌を読み返しておりますと、平成26年度の地盤工学会賞が掲載されていました。


目を引いたのが、2つ。小径倍圧サンプラーと以下の論文です。

神谷ほか, 溶存イオンデータの多変量解析に基づいた広域地下水流動系の評価, 地盤工学ジャーナルVol. 9 (2014) No. 2 p. 219-231
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jgs/9/2/9_219/_article/-char/ja/

執筆者が発注者主体になっていますが、最初の発表は学生さんではなかったでしょうか?勘違いですかね?
http://phreeqc.blogspot.jp/search/label/R

発表当時の「画期的」という評価には、まだピンと来ていないのですが、論文賞を取るくらいですので重要なのでしょう。ちなみに、まだ実務で使っていません。


倍圧サンプラーは、今頃なぜ?といった印象を受けましたが、これもほとんど使用していません。ほとんどのオペさんが使ったことがないサンプラーですので、準備なし、ノウハウ未伝達でいきなり適用というわけに行かないのと、サンプリングで失敗したくない(一発で採取したい、掘り直しは避けたい)=使い慣れた道具で取ってもらいたい、という思いがあるからです。

ただ、両者ともに学会賞を取るくらいですので、画期的なのでしょう。今後の動向には注意しておきましょう。


2015年7月22日水曜日

水位測定

久しぶりに USGS のサイトでソフトの更新をチェックしていました。

特に目新しいものはなかったのですが、Featured Science に動画がUPされていました。気になって視てみることに。

USGS Groundwater Videos: Groundwater Technical Procedures Videos
http://water.usgs.gov/ogw/video/gwpd.html

見終わって、「なぜこのような古典的な手法までUPされているのだろう?」と言うのが率直な感想でした。



で、今日、採水に行って水位計をド忘れ。

ふと思い出したのが、GWPD 1 -- Measuring water levels by use of a graduated steel tape 。

試してみると、案外使えます。地下水が浅かったので 5.5mコンベックス でも問題なく測定できました。コンベックスにチョークを塗るだけの古典的手法ですが、有用。私には伝わっていない技術?知恵?でした。

コンベックスがボロボロになっているので買い換えようかと思っていたところです。次は黒っぽいモノを探しましょう。


2015年7月20日月曜日

H27 技術士試験

昨年に引き続き、技術士試験を受けてきました。

経験4年~7年で受験できる試験に、私のようなモノが受験するのも趣旨から外れているのでは?と思うこともありますが、ま、試験自体は楽しいので。これで3年連続です。

今年も、試験対策はあまりできませんでした。昨年以上に手を動かさなかったので、漢字が出てきません。帰って調べてみると誤字もあり。情けない。

ポカミスもありましたが、文章は仕上がる。うーん。年の功です。もっと勉強しておけば、良い内容になると思うと、後悔ですね。

体力的に、あと数年は受験出来そうです。が、頭は結構フラフラ。
答案を復元したので、今日はもう寝ましょう。

明日から再び現場、3時半起きです。
気分的にリセットかかりました。また頑張りましょう。

2015年7月2日木曜日

維持管理と探査

先月、2週間ほど道路標識の点検を行っていました。

地上より 5m 程度上にある標識の点検でした。
地上より目視しながらふと思い出したのが笹子トンネルの事故。あれも5m上でしたね。地上からだと金具が入っているかどうかも見えにくい距離なので、それが締まっているかどうかは触らないと絶対にわかりません。笹子トンネルでもボルトが数本抜け出していないと、目視ではわからなかったでしょうね。

今月は吹付けのり面の熱赤外線調査を予定しています。
コンクリートの浮きは、打音調査でわかりますが、手が届かない位置はダメ。そこで遠隔探査になります。が、熱赤外線を利用した推定精度は良くないと感じています。表面の状態(日射、影、湧水)に大きく影響されてしまいます。
もっと精度の良い遠隔探査手法は現段階で実用化・普及していません。打音に代わる遠隔探査技術を開発・実証しよう、といった段階かと思います。

東芝
http://www.toshiba.co.jp/about/press/2015_06/tp_j0801.htm
JR
http://kenplatz.nikkeibp.co.jp/article/const/column/20141104/682273/


事後保全になりますが、実際に事故が起こって、問題が分かって、それを克服する、そしてフィードバックする。維持管理時代の幕開けでは、このような積み重ねも重要になるでしょう。

点検も実施してみないと、実感としてわからないものなのです。橋、トンネル、河川など構造物にかかわらず、とりあえずトライしてみましょう。


2015年7月1日水曜日

Infraworks と 道路中心線形XML

InfraWorks で作成した3Dモデルが好評で、色々追加要求されています。

先日、全道路に色を付けて欲しいと要望があったため、色のついていない箇所に計画道路を作っていました。が、LT版では設計道路を作成できないことに気づきました。

設計道路ができないと、後で線形沿いの動画(ドライブシミュ)を作成するのが面倒です。
何とかならないか?と思いつつ、Roadway Design がないと何ともならないので、計画道路を適当に地形の上に張り付けてみることにしました。

張り付けながら、やはりIPを適当に置くのはまずい思い、道路中心線形XML の読み込みをトライ。が、すぐに挫折。読み込む術がなさそうです。

ダメもとでサポートに問い合わせると、以外に簡単に取り込むことができました。
余談ですが、Autodesk社のサポートには良い印象がなかったのですが、この Infraworks のサポート担当さんは良いですね。特にレスポンスが良い。手探りの部分はあるようですが、質問に対する適確な調査と結果が早々に帰ってきます。優秀な方なのでしょう。

で、その取り込む方法は単純に以下の手順を踏むだけでした。

1. 線形 XML を Civil3D で読み込み、dwg 保存
2. Infraworks で Civil3D の dwg を読み込み。

設計速度等の情報を保持した設計道路として読み込まれています。良いですね。

設計道路の情報を利用して線形沿いのドライブシミュも容易にできました。
簡単なのですが、残念ながら出来栄えは数世代前のゲームのようでした。スケールの問題が大きいのでしょう。道路沿いの作り込みが必要です。
もともと、Infraworks は見せ手に技術がなくても手軽に可視化可能な反面、その出来がトイカメラの様なところがあります。やはりドライブシミュの様に、地形に近接した箇所の描画は、本職のCG屋さんに任せるべきなのでしょうね。

ま、簡単に道路設計の情報を取り込める、ということは分かりました。

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20150702追記
Civil3D 2015 + Jツールで中心線形XMLを読み込んだ際、起点の標高を誤って読み込むケースがあるようです。
今回は、起点よりマイナス側で標高をセットしていたXMLで発生しました。これ、可視化しなければわからなかったでしょう。



Infraworks Viewer

Infraworks 360 を入れて30日以上経過しました。

私のアカウントではLT、他の方のアカウントでは Viewer になっています。
今回、新たなモデルを Viewer で閲覧してもらおうと思い、データをコピーしてから、ふと気づきました。

ローカルモデルを「開く」ボタンがありません。

以前サポートに問い合わせたときは、「30日経過後にデータを渡せばOK」と言われていましたが、実際手を動かしてみますと、どうしても開くことができません。
あらためてサポートに問い合わせると、「先の回答は誤りで、実際はクラウド上のモデルしか閲覧できない仕様」とのこと。うーん、Infraworks の仕様が5月に大きく変わったためか、サポート側も手探りのようです。

問題は、お客さまの環境です。お客様側もデータを見ることができなくなっています。
なんとかせねばと思い、体験版の Full Ver. より パブリッシュ して、Viewer で確認してみました。
アカウント追加時のメールが文字化けするバグがあり招待されたことが分かりませんでしたが、Viewer 上で表示された招待を受け、閲覧することは可能でした。結果、完璧です。
同時にシナリオを書き出していたのですが、こちらもWeb経由で確認。IEでも問題なく動作しました。見た目、若干手抜き & 色褪せたモデルになっていましたが、動きは良好。お客様の意向次第では、購入してもよさそうです。

結局、2016 でもオンラインでしか確認できないため、 2015 時代と大きな変化はありません。早くオフラインで見ることができるようになれば良いのですが。

2015年5月18日月曜日

柱状図の玉石径

若い設計者と話をしていて、失敗に気が付きました。

ボーリングコアで採取された礫や玉石の径を柱状図に記載する際、個人的に、全周が確認できた場合に長径を「φ」(最大をφmax、平均をφave)、一部しか確認できない玉石は、コア長「L」(同様)として記載しています。
が、これは基準等で統一された記載法ではありません。入社時に例の部長様より習った独自の記述法なのですが、当然、設計者に伝えなければ意味が分からないと思います。今回はこれを伝え忘れていました。で、φ、L、共に3倍して工法を選定されていました。結論としてはL(恐らく短径)の3倍が効いてくるので問題ないのですが、反省です。

気を抜くとダメですね。気をつけましょう。


2015年5月17日日曜日

DWG から 3D PDF

Civil User Group のフォーラム(https://cim-cug.jp/)で、DWG を 3D PDF に書き出せる無償 Viewer の紹介がありました。

Bentley View V8i
http://www.bentley.com/ja-JP/Products/Bentley+View/


InfraWorks のモデルや ReCAP のデータを FBX に書き出し、それを Bentley View に読み込んでみました。
構造物は綺麗に書き出せます。
が、ドレープしていた写真等は正しく読めたり、読めなかったり。書き出しはぼやけたり、間違っ多場所に張り付いていたり。建築・機械系をターゲットに作られているのでしょう。

需要(土木系の 3D モデル作成者)が増えないと、書き出し精度は高くならないのでしょうね。PDFにしても、CIM の共通フォーマットにしても、ブラッシュアップされるまではもう少し時間がかかりそうです。

UAV で土量計算

UAVで土量計算を実施している例がありました。

大成建設がダム工事の現場で効果を実証
http://www.autodesk.co.jp/adsk/servlet/item?siteID=1169823&id=24316438
http://news.mynavi.jp/news/2015/04/24/101/

大成さんのスライドを見る限り、DJI F550 + GoProHero3+ + ReCap360+Civil3Dですので、手持ちのツールで十分再現できます。が、Autodesk の発表を見る限り、点群作成はReCap360 とは書かれていません。ReCap360にイリノイ大学の新しいアルゴリズムが取り込まれたと解釈すべきかどうかわかりませんが、実務上は大成さんのスライド通り、ReCapを使用しているのでしょうね。
詳細は掲載されていませんが、この技術の素晴らしい点は、イリノイ大学のアルゴリズムでしょう。
SfMはLPと異なり相対位置を使用しますので、画素の位置を見定めるアルゴリズムと写真を撮る高度(解像度)さえ工夫すれば、今回のような精度を出せるのでしょう。また、SfM の場合、UAV の位置情報はLPに比べ軽視できる=安価な GPS で OK となりますので


UAV を地形測量に利用する場合、3つのノウハウが必要かと思われます。①撮影のノウハウ、②モデルを作るノウハウ、③ヘリを操縦するノウハウです。

①撮影はモデルを作る上で、どのカメラセッティングで、何処の写真が、どの程度の頻度(精度、カバー率)でほしいか、こだわりが出てくると思います。そうすると、どのスピードで、どの高度で飛ばしたいかなどといった要望が出てきます。何度かモデルを作れば、自然と身につくノウハウです。

②モデルを作るノウハウは、ほとんどありません。点群までは自動でできます。ググれば得られる情報です。スマホと 123D で遊んでいるのと同レベルです。ハードルはほとんどありません。
成果を売るのであれば、必要なのは「お金」です。金をかければ良いものが早くできるのが現状です。PhotoScanのようにGPU対応のモノもありますので。
なお、点群>サーフェス>コンター>横断の流れは機械作業ですので、CADの使えるパートさんでも可能です。

③飛ばすノウハウは・・・素人ですのでわかりません。基本はプロに任せようと考えています。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/04/uav.html

結局は③がネックになり、①②を分かっているプロに頼むのが安心ということになります。もしくは、自分で③を身に付けるかですね。何度も墜落させて。


作ったコンターを地形測量としてお金をもらうとなると公共測量作業規定が絡んできますので、測量屋さんににお願いするようになります。
地質屋が単独で可能なことは、見せるモデルを作るくらいでしょう。4年前くらいでしょうか、当初は3次元解析用の表層データの取得を一つの目的として始めましたが、現段階では見せるモデルまでに止めています。
ただ、崩壊地形を色々な角度で見ていると、見えていなかった構造が見えてくる場合がありますので、UAV+SfM に限らず、3D可視化は一連の作業として実施すれば良いと思います。

とりあえず手を動かすことが必要でしょう、


2015年5月16日土曜日

InfraWorks 360 LT 2016

昨日より、Autodesk Infrastructure Design Suite 2016 が販売開始になりました。早速、DLしてみました。

InfraWorks 2015 の名称が変更になり、InfraWorks 360 LT 2016 になりました。(InfraWorks 360 2015 は、そのままInfraWorks 360 2016 になったようです。)
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9670


IDS のインストーラーには InfraWorks 360 体験版インストーラーが含まれており、30日間はフル機能を使えるようでした。 また、サブスユーザーは30日経過後、 LT として引き続き使用できる形態のようです。ややこしい。
なお、サブス契約のない方は、Viewerとして引き続き使用できるようです。これは良いと思います。2015まではViewer、ありませんでしたから。

Infraworks 2015 では、 FBXへ変換時、「オブジェクトを同じテクスチャと合成」のチェックを外した方が他のソフトにうまく渡せませていました。残念ながら2016では失敗。クセをつかむまでもう少し時間がかかりそうです。

余談:
Civil3D 2015でも、「FBX書き出し」が機能しない場合がありました。これは旧Ver.から有名なようで、プルダウンメニューからではなく、コマンド「FBXEXPORT」を使えば書き出せるという、裏ワザっぽい正攻法があります。


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2015.5.19追記

以前、IW 2015で FBX のマテリアルが読めないと悩んだことがあります。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/04/infraorks-2015.html
今日、IW 2015で読めたマテリアルを IW360 2016で読んでみると、ダメでした。読めません。
CUG のフォーラムで「Navisが入っていないと読めない」という情報がありましたので、眉唾乍ら Navisworks Freedom 2016 も入っているPCで再び読み込んでみました。
結果、読めました。IW360 だけではダメなようですね。中途半端。

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2015.7.1追記
Viewer といっても、ローカルに保存されたモデルは開くことができません。クラウド上に UP されたデータのみ閲覧できる仕様のようです。LT だと UP できませんので、Full Ver. が必要なのでしょう。イマイチです。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/07/infraworks-360-lt-2016-2.html

2015年4月26日日曜日

粒子形状と粒子間摩擦

砂防学会誌3月号より
松島亘志「斜面崩壊・流動解析における粒子形状モデリングの意義」

これ、個人的には興味があったところでした。

岩盤が崩壊し、土砂となって流下する場合、体積が増えます。これを既存の手法でモデル化するとなればDEMが一番手っ取り早いように思えるのですが、実際は膨大な粒子が必要となり、計算負荷の面で却下となります。また、土の粒子形状や粒子表面の摩擦をどのように設定するのか?などと(手も動かさずに)ぼんやり考えていました。そのヒントが書かれていたように思います。

粒子形状のモデル化については、古くから議論があるようです。この文献の中では、その1つを使って月表面表層砂の安息角を再現しています。結果、「2要素モデル」で十分だったようです。軽い結果でしたので実務でも使えそうだなあとぼんやり感じながら読み進めました。

粒子間摩擦も20度以上で一定となる結果。
粒子間のバネ定数や減衰定数の影響も限定的だそうです。良いですね。

で、最後に間隙比とせん断抵抗角の図で、「ああ、やはり」という結果。
4要素モデルと10要素モデルで異なる結果、粒子数も600と3000で異なる結果。この試行結果では収束していないので、さらにモデル要素数、粒子数を増やして収束を確認する必要があるとのこと。残念。ま、その結果はそのうち掲載されるでしょう。

DEMで見かけの体積変化を(実務レベルで)扱えるようになるのは、まだ少し先でしょうか?プロがそばに欲しいですね。

2015年4月22日水曜日

ArcMap で 地理院地図

井戸調査の結果をArcGIS 10.2で整理しました。

Arcは普段使用していませんので、後輩に助けを請いながら、思い出しつつの作業です。

Arc くらいになると、住所を読み込めば自動でジオコーディング&プロットしてくれるのかと思いきや、まだそこまで至っていない模様。後輩に聞くと、Webで事前に変換しているとのこと。検索してみると、それなりにジオコーディングのサイトがありました。
いくつか見ておりますと、EXCELのVBAの紹介がありました。IE 経由で Google Map に住所を送り、帰ってきた body から緯経度を抜き出すもの。ちょうど井戸調査結果の住所をEXCELで処理していましたので、そこに緯度・経度をはめ込むよう VBA をいじって変換してみました。ん、便利です。
途中、200ほどリクエストを送ったあたりからロボットと判断されてしまいましたが、少し時間を置けばすべて変換できました。
*後で知ったのですが、Arcにもジオコーディング機能はあるようですね
http://resources.arcgis.com/ja/help/main/10.1/index.html#/na/002500000025000000/


で、コーディング後のデータをプロット&区分するのは容易なのですが、基図として用意した住宅地図は表示が重く、また座標をもっていません。それ以外には基図がありませんし、基盤地図情報からDLして変換するのも面倒です。Google Map のように、自動で住宅地図レベルまで表示してくれるとありがたいのですが、後輩、その機能も使っていないのでわからないとのこと。iOS版のアプリでは表示してくれますし、オンラインもあることですので可能だろうと、サポートに質問しようかと思いきや、HPに以下のアナウンスが掲載されていました。
https://esrij-esri-support.custhelp.com/app/home

新着情報


おお、なんというタイミング。
ありがたく DL させていただきました。
(公開は1年前、昨日より空中写真が使えるようになったようです)

インストール後、標準地図をクリックすると、一発で地図が表示されました(淡色地図や空中写真はスケールを拡大した状態でないと表示されないようです)。井戸の位置もバッチリ。地図上に、色分けした井戸が重なりました。簡単でした。

これで基図を準備する必要がなくなりました。ありがとう!ESRIさん。
あとは基盤地図情報も1クリックで表示できるようになればベストです。期待しましょう。

2015年4月19日日曜日

UAV は落ちる

先日、後輩達が Phantom による空撮を行っていました。

私は近くで施工屋さんと別の話をしていたのですが、その後、UAV の話に。
「あんなところで引っかかると回収に行くのが大変ですね」「安いので捨てると思いますよ」

で、後輩のところへ戻ると、墜落していました。orz

以前、他社さんと UAV の話になった際に、「1年間で○○円落としました」「UAV は落ちるものです」と言われていました。Phantom のようなノーコン持ちのおもちゃでなく、1ケタ上のプロ仕様、2ケタ上の損失で出された答えが「UAV は落ちる」です。説得力があります。その後の「プロに任せるべき」は、リスク&リターンを経験・考慮された上での結論でしょう。

安いマルチコプターが普及しています。初期投資が小さく、操作が容易なため、コンサルタントは勿論、施工屋さんも導入されています。搭載する機材も、カメラ以外にレーザー、熱赤外などが出てきました。容易な3次元可視化、測量、点検への活用も導入を後押ししているのでしょう。そのため、(今後数年間は)「撤退」という選択肢はありません。墜落することを前提に活用の場を吟味するしかないようです。


2015年4月18日土曜日

井戸調査

今日は井戸調査。

井戸調査は事業開始前に実施するのが基本です。
通常、事業に反対される方もいらっしゃいますので、調査が簡単に終わることはありません。
また、セールスと勘違いされ、話も聞かれず断る方、怒鳴って追い返そうとする方も多くいらっしゃいます。朝からお酒を飲まれて話が進まない方もいらっしゃいます。病院や施設へ入所されていたり、平日や昼間は働かれているのでお会いできない方、昼間は夜勤で寝ていらっしゃる方など様々です。当然、どのような方とも一切トラブルを起こすことなく調査を進めるのが基本です。理不尽な怒られ方をしても、トラブルが大きくならないよう切り抜けることも必要です。自分の仕事がサービス業であると強く感じる仕事の一つです。

全地連の赤本によれば、井戸調査は2種類あります。
井戸の有無を確認する井戸調査A、その結果をもとに用途や構造等を調べる井戸調査Bです。通常は同時に行いますが、順を追って実施する場合もあります。井戸調査Bが終わらないとモニタリング計画を立てられませんし、調査漏れがあると、その計画も一気に覆る恐れがあります。また、新たにモニタリング孔を設けた後に井戸が発見されると、無駄なお金を使ってしまったことになります。
予測手法として浸透流解析を選択する場合では、観測点配置そのものが解析の信頼性にも影響します。できるだけ多くの観測可能な井戸を押さえておき、適切な配置を検討したいものです。

調査目的を考えると、その過程はどうであれ、おろそかにはできません。
たかが、されど、です。


2015年4月3日金曜日

InfraWorks 2015 の問題

私が使用しているのは InfraWorks 2015 です。360ではありません。

2台のPCに Ver.15.3 と 15.1 を入れていたのですが、このマイナーチェンジで仕様が大きく変更されています。Civil3D 2015 Productivity Pack 1との連携を深めたのが15.3だそうです。

結果、以下の対応を迫られましたが、今回はサポートさんの迅速な対応に、大助かり。Gracias!
  • 15.1 では Civil3D で作成した着色済みソリッドの dwg が読めた。が、15.3で読めなくなった。15.3では基本 FBX 読み込み only 。
  • Civil 側で FBX に変換した時点で、色情報が失われる。Infra 側で読み込み後に着色できない。そのため、Civil側で変換前にマテリアルをあてておく必要あり。
  • InfraWorksでは、他の Autodesk 製品で使用されているマテリアルを独自変換して表示する。互換性は低く、読めるマテリアルが少ない。
どこまでも中途半端です。
可視化は容易ですが、出来栄えはのっぺりとしており CG としてはイマイチ。道路を簡単に表現できるが設計には使えない、オフラインで提供できるViewerがなく、オンラインで共有するには360が必要。
一体、どこを目指しているのでしょうか?Autodesk さん!

*********************************************************
20150409追記
Autodesk -Technical Q&A に上記問題の詳細が登録されました。2016も同様のようです。
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9598
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9594
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9595
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9606


20150411追記
そういえば、以下の問題も問い合わせました。詳細がUPされています。
LandXMLがズレる。>15.1から15.3にUPで解決。
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9597

DWGの曲面がおかしくなる問題は分解して対処しましたが、設定があったのですね。
http://tech.autodesk.jp/faq/faq/adsk_result_dd.asp?QA_ID=9416

2015年4月2日木曜日

ソリッドモデル

先日、CG部門の先輩に、構造物の可視化について相談しました。

先輩が主に使われているのは、3ds Max。
構造物の可視化はおもて面だけでよいので、裏側や地下は作りこまない「はりぼて」でよいとのこと。それでも簡単な方法はなく、手作りで時間をかけるしかないそうです。先輩のCGは非常にきれいですからね。

一方、地質のCGは、いつもお断りされているそうです。3次元分布の推定が地質屋さんでないと難しいというのもあるようですが、ポリゴン・サーフェスモデラーでは、ソリッドモデルを作り込めないという根本的な問題があるとのこと。
地質は、(可視化の場合)色つきの断面が必要です。どこで切っても、色付きの面が見えないといけません。前者ではそれが実現できません(事前に断面を切る位置に面を貼っておけば、それらしく見えます)。
また、地層は構造物のように決まった形でなく、ソフトが異なれば同一面が再現できない(推定式やクリギングパラメーターの違いを含む様々な問題)というのもあると言われていました。確かに、この点は CIM でもクリアーすべき大きな課題と考えています。

構造物(ポリゴン・サーフェスモデル)や地質(ソリッドモデル)など、「すべてを1つのソフトで表示するのは難しいので、対象を絞らないといけない」とアドバイス頂きました。うーん、確かに。MVSで、地下も地表も一度にモデル化していたのですが、できたモデルを見ると地表(構造物と地形の接触)はイマイチ。設計者にも見せてみましたが、反応イマイチ。お客様が興味のあるのは構造物ですので、こちらをもう少し作り込まなくては御期待に沿えません。

結局、地表のモデルを Infraworks 2015で追加。
Infraworks の品質は Max よりもかなり劣りますので、今までCGのような「商品」として提供するのは避けていました。が、今回は MVS で使用した構造物や地形などのパーツをそのまま流用できますので、「おまけ」感覚で追加してみました。
で、作ってみると想像より出来が良く、MVS の地表モデルよりは立派。つべこべ言わず、手を動かせ!でした。

Infraworks で着地点までの見通しが立ちましたので、ここから作り込もうと決めました。
が、途端にいくつか問題が出てきました。ま、それはまた後日。






2015年4月1日水曜日

有効応力解析と全応力解析

FEMを使った変形解析では、静的全応力解析が主流です。有効応力解析は、圧密や液状化の問題に利用されています。

基本的には変形(変形係数・ポアソン比・せん断剛性)の話題になりますので、ここ数日の有効応力法・全応力法(c・φ・安全率)の議論とは土俵が異なります。が、自重解析での塑性化チェック、弾塑性モデル、SSRM 、ダイレイタンシー角などを扱う必要があるでしょうから、やはり基礎知識として押えておくべきでしょう。

数値計算における有効応力解析と全応力解析の違いについて、詳細に説明した書物は見当たりません。もっと先の話をするために本を書かれているからでしょう。基本的には、変形に関し浸透・水圧の計算を取り扱っている(土の計算と連成している)か否かの違いです。
それらの違いやパラメータの取り扱いについては、以下の入門書が丁寧で参考になると思います。
備忘録を兼ねてピックアップしてみました(いやー、忘れていますね)。

地盤工学会「地盤技術者のためのFEMシリーズ①初めて学ぶ有限要素法、②弾塑性有限要素法が分かる」
動解での全応力解析と有効応力解析 ②P198 
全応力解析(土骨格・間隙水を一体として扱う)
有効応力解析(土骨格・間隙水を個別に扱う) 
地震時は、よほど透水性のよい砂礫でない限り非排水
非排水せん断で、ダイレイタンシーによって過剰間隙水圧発生
全応力解析では、過剰間隙水圧の影響を含めた形での動的変形特性や動的強度特性を用いる必要がある。しかし、大ひずみ領域ではダイレイタンシー挙動や繰り返し効果が顕著になり、過剰間隙水圧を陰に含んだ全応力強度特性を室内試験から設定することは困難。
全応力解析はダイレイタンシー挙動がさほど顕著に表れない中ひずみまでの領域で用いられることが多い。
大ひずみ領域では、有効応力解析を用いざるを得ない。 
単位体積重量 ①P152②P199
中ひずみ以下での「非排水条件下での飽和地盤を対象とし、動的変形特性を用いた全応力解析」の密度・・・粘性土や地下水以浅:湿潤密度、地下水位以深:飽和密度
有効応力解析を行う場合は、地下水面下で有効単位体積重量γ’を用いればよい。 
変形係数 ①151②P209
有効応力解析の弾性係数E’
一軸のE50は非排水であり、全応力に対する弾性係数。
有効応力解析では、有効応力に関する弾性係数に変換する。利用するのはせん断剛性G。せん断剛性G=E’/2(1+ν’)は体積変化に無関係。
E’/2(1+ν’)= E50/2(1+ν)
E’=E50(1+ν’)/1.5
有効応力解析のν’=1/3程度。
(講習会では、「粘土の側方流動などを扱う場合、ν=0.1~0.2程度が多い。0.3を超えることはない。」と言われていました)

ソフトによって水位や単体の入力・表現方法、ダイレイタンシー特性の設定法などにルールがあります。そのソフト・コードがどのような処理をするのか理解しないと、パラメーターの設定を大きく誤ります。まず確認、ですね。
FORUM8さんはFAQとして掲載されています。確認される方が多いのでしょうね。

有効応力解析UWLC
http://www.forum8.co.jp/faq/win/uwlc.html#q1-5

全応力解析GeoFEA2D
http://www.forum8.co.jp/faq/win/geo2d.htm#q2-32
http://www.forum8.co.jp/faq/win/geo2d.htm#q2-33
http://www.forum8.co.jp/faq/win/geo2d.htm#q2-81


全応力法(圧密持有効応力法)、有効応力法、全応力解析、有効応力解析、ややこしいように思えますが、ベースは至ってシンプルです。

地すべりと有効応力法

地すべりの場合、実務では2次元逆算法が主体です。

この場合、c、φは計算用のフィッティングパラメーターとしての色合いが強くなります。cは層厚から(全応力法的に)決定し、安全率よりφを逆算します。全応力法でも有効応力法でもありません。言わば経験的手法です。


有効応力法の順解析を研究された方もいらっしゃいます。例えば、以下の文献です。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jscej1984/1997/575/1997_575_1/_pdf

これは、地すべりのせん断が非常に遅いため、粘土も排水強度で評価できるとの考え方です。c'、φ'は乱れの影響を受けにくい、そのため、コアからとった乱した試料で試験が可能。というユニークな研究でした。
当時、この一連の文献を読んだ際には「使える!」と思ったのですが、現在、ほとんど普及していません。経験的手法(主測線での2次元逆計算)の方が安価で実績があると考えられている?分野ですので、ため池や河川ほど土質力学が入ってこなかったのでしょう。
農林さんも土質力学(ピーク強度と残留強度)を踏まえたc・φ設定法を図書にされていましたが、こちらもなかなか普及していません。発刊当時、これも良い手法だと思ったのですが。

近年、トンネルと地すべりの問題では、3次元安定計算の実施が増えています。が、c、φの考え方についてはいまだに進歩がありません。有効応力法、全応力法どころか、基礎となる土質力学の観点からは、ほとんど進歩していない分野です。


2015年3月23日月曜日

有効応力法と全応力法 その4

「河川堤防構造検討の手引き」2012 では一般全応力法が採用されています。
http://www.jice.or.jp/siryo/t1/201202090.html

3年前に改訂されたのですが、以前は有効応力法か全応力法かの記載はありませんでした。というか、全応力法前提で書かれていましたので、砂質土はCU試験となっていました。読めば分かる仕様です。
問題はため池の場合と逆で、基礎地盤などに高透水性材料があった場合です。CUでなく、CD試験が必要になります。

全応力法であることを知ってか知らずか、「砂質土でなぜCUなのだ!CDだろ!」「中間土はCUBが良い!」「砂はφ評価」という技術者が多かったように思います。中間土のCUB、φ'評価は全応力法ではダメですが、排水材料のCDは必要でした。これを受けてか、3年前の改訂で、砂質土(排水材料)でもCD,CUBが使用できるようになりました。一般全応力法によることも明記されています。(低拘束圧による試験実施も記載されました。)

どの程度の技術者が、調査計画やサンプリング後の試験提案で、基準に対応できているのかわかりません。が、基準自体はより親切かつ具体的になっていますので、対応できないのは技術者側に問題があるということになります。気を付けましょう。

2015年3月22日日曜日

有効応力法と全応力法 その3

「土地改良事業計画設計基準 設計ダム技術書 フィルダム編」では、条件により全応力法と有効応力法の使い分けが定められています。

完成後の地震時の安定計算では、先の文献の排水条件と同じ有効応力法の式が採用されています。これは、ロック材など透水性の高い材料は即時排水するため、地震に起因する間隙水圧ueやせん断による過剰間隙水圧usは発生しないという考え方でしょう。

一方、地震荷重により圧密排水しないような透水性の低い材料(非排水材料)に適用すべき式は基準で省かれています。
非排水材料は地震荷重に対し、それに応じた間隙水圧ueが発生します。そのため、文献内の式では地震荷重と相殺されています。が、せん断時の過剰間隙水圧usはそのまま残ります。有効応力法ではこれを考慮しなければなりませんが、基準ではその式が省かれているのです(ロック材と同じ式を使用することになっています)。

ため池の円弧すべりでは、ダム基準が適用されます。地域性もありますが、締固めた堤体などに粘性土が使われていることも多々あります。その場合、せん断時に正のダイレイタンシーを引き起こそうとしますが、非排水材料=定体積(水が入ってこない)ですので、負の過剰間隙水圧usが発生します。σ'=σ-u-us(ueは相殺)ですので、本来はσ'が負のusによってσ-uより大きくなるはずです。が、上記基準に従えば考慮されません。結果、堤体の強度(σ'tanφ')を過小評価することになります。その影響は先の論文のFsに表れていた通りです。

ため池基準、耐震基準は改訂されるようですが、それらの安定計算式の参照先であるダム基準はアナウンスがありません。文献と異なり、上記の影響は小さいという考えなのでしょうか?まだ私が知らない実証があるのかもしれません。
http://www.maff.go.jp/j/council/seisaku/nousin/gizyutu/h26_4/
ま、「何かおかしい」と思った際には上記も含めてチェックすべきでしょう。

次は河川。



2015年3月20日金曜日

有効応力法と全応力法 その2

先の2つ目の文献では、有効応力法も全応力法も、正しく計算すれば同じ安全率が得られるという計算例が載っています。
この文献では一般全応力法に目が行きがちですが、有効応力法の計算例も共に載っている文献としてレアですね。
http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0005447927

ただ、過剰間隙水圧usの計算箇所だけ詳しく書かれていません。簡単すぎて過程を省かれたのでしょうか?
とりあえず、表5(2)のusの部分だけ、計算結果を追ってみました。上に計算式を付けています。あっているでしょうか?

c' φ' ccu φcu
kN/m2 kN/m2
10 33 195 16.2
σ0=σ-u τf=ccu+σ0tanφcu σ'=σ0-us
(=(τf-c')/tanφ')
us=σ0-σ' Us=usl
m kN/m2 kN/m2 kN/m2 kN/m2 kN/m
4.6 7 197.0 288.0 -281 -1293
2 23 201.7 295.2 -272 -544
1.9 25 202.3 296.1 -271 -515
4.4 26 202.6 296.5 -271 -1190

c' φ' ccu φcu
kN/m2 kN/m2
10 33 160 9.6

σ0=σ-u τf=ccu+σ0tanφcu σ'=σ0-us
(=(τf-c')/tanφ')
us=σ0-σ' Us=usl
m kN/m2 kN/m2 kN/m2 kN/m2 kN/m
10.7 187 191.6 279.7 -93 -992
10.2 206 194.8 284.6 -79 -802
5 200 193.8 283.1 -83 -415
5 185 191.3 279.2 -94 -471
10.2 141 183.8 267.7 -127 -1292
8 97 176.4 256.2 -159 -1274


EXCELで計算したのですが、round 関数を使用していませんので端数は合いません。が、ほぼ同じ結果です。この計算で良いのでしょう(1箇所だけ大きく違いますが文献のミスでしょうか?)。
CUBの間隙水圧が、せん断面で発生している水圧かどうかは不明です。が、「わからないから無視する」よりは、使用した方が正解に近づくということでしょう。

続きは後日。

2015年3月17日火曜日

有効応力法と全応力法

今月の地盤工学会誌は「ため池・アースダムの耐震」特集でした。

ニューマークD法が紹介されています。今年度より実務で使われるようになりましたが、本格的な利用は来年度以降でしょうか?

読み進める中で、懐かしい言葉が目に入りました。

「圧密時有効応力法」

いわゆる全応力法のことです。雑誌「基礎工」で2002年に連載されていた「基礎の設計-優しい基礎知識」で目にしたのをよく覚えています。当時は容易に理解できず、「どこが優しいの?」と、何度も読み返した記憶があります(今でもすぐに忘れて見返しますが)。筆者は同じ龍岡先生です。

全応力法(一般全応力法、φ=0法など)と有効応力法ですが、実務ではあいまいに用いられていると思われます(情けないですが、私もあいまいに用いています)。が、定義は比較的はっきりしています。以下は三笠の一般全応力法中心の解説ですが、全応力法と有効応力法の違いを知るには参考になると思います。

http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/175674
http://ci.nii.ac.jp/lognavi?name=nels&lang=jp&type=pdf&id=ART0005447927
http://ci.nii.ac.jp/els/110003334642.pdf
(3つ目の文献で言われる間隙水圧は、せん断時の過剰間隙水圧のことです)


要は、せん断時のダイレイタンシーに伴う過剰間隙水圧usをσ0に加える(σ'=σ0-us=σ-u-us)のが有効応力法、c・φ側に反映して考慮するのが全応力法です。
安定計算で必要なパラメーターは以下の通り異なります。
有効応力法:σ0(=σ-u)、us、c'、φ'
(一般)全応力法:σ0(=σ-u)、ccu、φcu、(cd、φd)

間隙水圧(静水圧)uはどちらも考慮されています。
が、稀に間隙水圧を考慮しない全応力σを使うのが全応力法と言われている技術者もいらっしゃいます。この辺、言葉が紛らわしいですね。全応力法を「圧密時有効応力法」、σ0を「有効な全応力」(usを差し引いていないので有効応力ではない)と先の文献で言われるのは、その辺をはっきりさせるためかもしれません。

有効応力法の場合、破壊時に発生する過剰間隙水圧usを反映しがたいという欠点があります。実際に測定できているのかどうかが分からない(おそらく測定できていない)ということでしょう。そのため、実務上はusを無視し、静水圧を引いたσ0を使用することが多いですね。その影響については2つ目の文献で触れられています。
一方、全応力法ではすべてのパラメーターを測定可能です。が、現場条件や排水条件によって強度が変化しますので、どの土質がどの時点の現場条件(応力状態)が最も危険側になるかを考えて試験を計画する必要があります。一般全応力法はそのようなニーズによって誕生したのでしょう(あいまいに使っているので、偉そうに言える立場ではありませんが)。

続きは後日。