京大防災研「地盤災害論」山海堂を読んでいますと、間隙水圧と水位の図が出てきました(p13)。
非常に簡素な図ですが、これ、よく混同されています。実務上はほとんど区別されていないといっても良いでしょう。
地すべりの場合、すべり面にかかる有圧水の(過剰)間隙水圧を計測している(はずの)ため、安定計算式は整合しています。が、断面に落とす際には「H.W.L.」など、「水位」と表記するのが慣例です(水圧線などと書かれている教科書はあります)。
崩壊の場合、自由地下水の水圧を計測することが多いのですが、実務ではp14のような内容を意識せず、水位・水圧を取り扱っています。
また、崩壊でも自由地下水対応の式は使用せず、地すべりと同じ式を採用するケースが多いようです(有圧水でも
BishopやJanbuを使用する会社は、残念ながらまだ少数派です)。理屈はあっていませんが、経験と割り切りで対応されてきた分野なので、OKなのでしょう。浸透に関し体積力法と水圧法が同じ結果を出すこと(地盤工学会「斜面安定解析入門」p40)、浸透を考慮した式が結果的に修正Felleniusに通じること(申潤植「地すべり工学-最新のトピックス-」p12)なども混乱する一因としてあるのかもしれません。
地盤災害に限らず、土木は経験色の強い分野です。が、理屈を習得しておくことも重要だと思います。
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