・浸透流やパイピングの取り扱いがない。
あくまで手を動かした KANAKO での感想ですが、理論上、他の多くの河床変動計算コードにも当てはまると思います。
天然ダムを越流するまでは、計算上、ダムが安定しています。そこに浸透流やパイピングの概念は組み込まれていません。流水による河床変動の計算をベースとしているので当たり前なのですが、実際とは異なり違和感満載ですね。
話は変わりますが、昨年発生した広島の土石流について、地下水の上昇のみでは説明できない点がいくつか挙げられています。
・1次元浸透流で雨を入れると、表層部は飽和するが底部は飽和しない。
→降雨が短時間のため、空気が封入され飽和しない。
・室内試験による強度定数を使用すると、安全率が1.2を上回る。
→ではなぜ崩壊したのか?
・軟岩が削られ、V字・U字の谷が形成されている。
→6.29ではなかった現象。
被圧地下水、パイプ流、空気圧が関与した可能性があるようです。深層崩壊と共する部分があります。それらを計算に載せるためには、綿密な踏査による地質状況の把握と調査法・解析法の技術開発といった両輪・フィードバックが必要でしょう。
問題を解くには既存の幾つかの視点、新たな視点の組み合わせが重要になるということだと思います。一歩引けば、見えてくるものもあるのでしょうね。
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20150811追記
同僚や先輩が、昨年度発生した広島土石流に関わっています。
相談を受けてアドバイスしていましたし、講演も聞いていましたので知ったつもりになっていました。報道も可視化結果も見ましたし、6.29にも携わっていましたので、余計に勘違いしていたのでしょう。
先日、現場を眺める機会があり、そこで勘違いに気づかされました。
想像より大きな現場でした。机上では伝わらないものがあります。
今後に活かすためにも、現場と机上、両立しなければと反省。現場を見るだけでもダメ、可視化やシミュレーションなど、机上だけでもダメ。両立できて初めて人の役に立てるのでしょう。
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