クロボクの話です。今年の2月に発売されてから、ずっと気になっていました。
今まで、クロボクは火山灰と関連してできる土壌と教えられてきました。が、それが現世の表層にしかないことに引っかかっていました(表層付近に何枚か分布する箇所もあるようですが)。なぜ、過去に何度も同じ環境が生じているはずなのに、現地形の最上部にしかないのかと?
その答えを著者なりに出されていました。
・クロボクには微粒炭が含まれる = 縄文人の野焼き、山焼きの影響を受けた土
・微粒炭が活性炭となって、可溶腐植を吸着 ・保持し,クロボク土が 形成
ただ、この原著論文が1996年で約20年前。あまり受け入れられていないようですね。
山野井徹(1996)黒土の成因に関する地質学的検討, 地質學雜誌, 102(6), 526-544
http://ci.nii.ac.jp/els/110003013763.pdf?id=ART0003437151&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1442138430&cp=
抵抗が大きかったのでしょうか、次の年に、誌上討論が行われています。
山野井論文「黒土の成因に関する地質学的検討」の問題点
http://ci.nii.ac.jp/els/110003013937.pdf?id=ART0003437918&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1442136874&cp=
山野井論文「黒土の成因に関する地質学的検討」についてのペ ドロジストの疑問にこたえて
http://ci.nii.ac.jp/els/110003013938.pdf?id=ART0003437921&type=pdf&lang=jp&host=cinii&order_no=&ppv_type=0&lang_sw=&no=1442137616&cp=
人為的な影響は1976年のアーバンクボタ13でも触れられています。
http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/996533/www.kubota.co.jp/urban/pdf/13/pdf/13_2_5.pdf
ただ、人為的な影響があるのなら、日本よりは世界で多く認められ、報告されているはずです。そのあたりはどうなのでしょうか?
個人的には面白い知見だと思います。世界に通ずる知見であれば良いですね。
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2015.9.16追記
先輩に、「10万年前のクロボクが深部に存在する地域もある」と言われました。
見てみたいですね。さすがにこれは、ヒトとは無関係ですね。
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2015.11.8追記
今日、NHKスペシャル「アジア巨大遺跡 第4集 縄文 奇跡の大集落 ~1万年 持続の秘密~」を見ました。青森県三内丸山遺跡での縄文文化研究の紹介でした。豊かな森と共生していた縄文人が農耕文化を拒んだ理由として、「自然環境の破壊」を考えられている方がいらっしゃいました。意外でしたね。
現在の各地の縄文文化の研究では、野焼き、山焼きが行われていたのかどうか、答えは出ているのかもしれません。
今までにボーリングや露頭で、地表付近にない黒土を見てきましたが、
返信削除それは普通と思っていました。それはここでいうものとは違っていたのか。
それとも?
※遅レスですみません。
返信削除少なくとも、著者の言われるクロボク土とは、異なるのでしょうね。