2016年12月31日土曜日

藍鉄鉱

次は藍鉄鉱。

昨年度も粘土中に見られたのですが、今年度も見つけました。

淡水成の指標になるようです。

アーバンクボタ No.23 特集「海成粘土と硫化物」
https://www.kubota.co.jp/siryou/pr/urban/pdf/23/


大気に触れるとすると、青色になります。



乾燥が進むにつれ、水色っぽく見えてくるようになり、数も増えてきました。
綺麗な結晶ではないですし、水色っぽくなってきましたので、本当に藍鉄鉱なのか?と、ふと疑問に思い X 線にかけてみました。

結果は OK。藍鉄鉱のピークが出ています。Annabergite でも引っかかるのですが、ま、色からも組成からも前者で良いでしょう。


しかし、これ、なぜ淡水成の指標になるのでしょうか?先の資料にも以下のように書かれています。
この当時すでに,還元的な環境下にある内湾や潟の底泥中には,硫化鉄(FeS)やパイライト=黄鉄鉱(FeS2)が含まれ,一方,同様に還元的な環境下にあっても湖沼の底泥には,しばしば藍鉄鉱=燐酸第一鉄〔 Fe3(PO4)2〕が含まれていて,これらは,海成層と淡水成層を見分けるための有効な指標とされておりました.経験的には,こういうことはすでにわかっていたのです. 
検索では論文が引っかかってこなかったので、その根拠は分かりませんでした。

で、PHREEQC。
還元環境で Fe に S を入れると黄鉄鉱に飽和する計算結果が出ます。P を入れると、黄鉄鉱にも飽和し、藍鉄鉱にも飽和する結果となりました。共存は可能なようです(詳細は量比を変えて計算しないとダメですが、ま、この辺は既に調べられているはずですので、後で文献を探すことで対応した方がよいでしょう)。

どちらかというと、Sがあるか、Pがあるかの環境に依存する、といった所になるのでしょう。つまり、淡水にはSがなく、Pがあると。そのPは有機物でしょうか?で、点在すると。

うーん、先日の Hfo の P もそうですが、その由来については泥岩も含めて整理しないといけないですね。来年、意識しておきましょう。

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20170111追記
顕微鏡下では、pyrite もできていました。やはり共生するようです。
淡水成層に海進で海水が浸透すれば共生するのでは?などと考えていましたが、その可能性もあるということでしょう。P と S の起源、確認する方法はないでしょうか?


2016年12月29日木曜日

Hfo と砒素

年末のロスタイムに入りました。

今年は、現場から機械を全撤去して年を越せます。さらに12月末の納品も完璧に終わりました。
一方、研究職のポストが空白になってから私のやりたい分析はたまる一方でしたので、このロスタイムにいくつかこなすことにしました。

気になっていたのは、地すべりの横ボーリングから出ている Hfo。
オレンジ色のスライム状物質にヒ素が吸着されているだろうと考えていたのは5年ほど前でしょうか?調べようと思いながら今まで投げていました。
で、2か所のサンプルを昨日仕込んで、今日測定。

XRD では、1か所目がアモルファスのみ。2か所目はアモルファスに少し石英が入っていました。ま、当然と言えば当然ですが、ここまで何も出ないチャートは初めてです。

XRF では、Fe が15%程度。案外、多いなあという印象です。
砒素は土対法含有量基準値の半分程度。うーん、そうですか。

おやっ、とおもったのはリン。畑の下の横ボーリングだからでしょうか?1箇所だけ高い値を出していました。リン が Hfo にどの程度吸着するのか計算していませんが、今後、確認しておきましょう。

とりあえず、ロスタイムにモヤモヤを1つ片付けました。まだまだモヤモヤはありますが、少しづつ片付けましょう。



2016年12月25日日曜日

UAV 測量に使用するカメラ

国交省さんの UAV 測量に使用するカメラについて、簡単な解説が以下のブログに出ていました。

【挑戦! I-CONSTRUCTION⑰】現場でUAV測量、どうすればいい? 監督・検査要領から読み解く
http://kensetsunewsicon.blogspot.jp/2016/08/i-constructionuav.html

個人的に基準を読むだけではわからなかったのですが、こういうことだったのでしょうか?手計算だと数字が合わないのであっているのかどうかわかりませんが、ま、参考に残しておきましょう。


2016年11月13日日曜日

かけやによる起振

今日は表面波探査。

施工が止まる日曜日を選んで実施しました。
いつもと異なり非常に静かで、天気も穏やか。条件は最高です。

ギリギリの工程が予想されたので、今日は4人。私は本部担当ですので、残り3人で起振を担当。
かけやで叩き始めると、測定は早かったですね。

測定画面を見ていると、特にきれいなデータを叩き出す方がいらっしゃいました。画面だけ見ていても、その方が叩かれているのが分かります。他の方との差は微妙なのですが、やはりわかるのです。叩く動作に差は認められないのですが、違いが出ます。なぜでしょう。

その話を帰りの車でしていたら、後輩も同じ体験をしていました。ある現場で、一人だけ綺麗な波形を出す奴がいた、と。

綺麗な波形を出す方に共通なのが、現場経験の長い方のようです。ずっとハンマーやかけやを扱っていると、何かコツが身につくのでしょう。それが何かは、本人もわからないようですが、とにかく、何かあるのです。
弾性波の鉄板をたたき割るようなパワーを持っている方ではありません。動きに無駄のない、効率的な打ち方なのでしょうね。

おかげさまで、帰社後のデータチェックでは、高次モードなし、ノイズも少ないデータとなっていました。生データのまま逆解析をかけても、エラーなし。今後の解析のツメが楽になりそうです。

気持ちの良い現場でした。



2016年11月5日土曜日

水位予測 using deep learning その4

雨量と水位を使って計算してみました。

今回は関数内で配列を並べ替えたのですが、うまくいきました(雨量は0.01mmを加えています)。

過去48時間から12時間後を予測



過去24時間から12時間後を予測


過去48時間から1時間後を予測


過去24時間から1時間後を予測



つまらないですね。以前と同じ状況です。
https://phreeqc.blogspot.jp/2016/10/using-deep-learning.html

雨量を入れたせいか、特に1時間後の立ち上がりは水位のみからの予測時より改善されたように思われます。が、12時間後はやはり遅れます。直近はそこそこ合いますが、それでは逃げる時間を確保する目的での判断材料に使えません(防災面で利用する場合には、夜間の非難を避けるためにも、ある程度先の正確な予測が欲しいところです)。

過去の参照データを多くすると「なまる」し、少なくする「小賢しい」結果を出します。何か改善点があるはずですが、今の私の頭ですとココまでです。


実効雨量から回帰分析で作った水位と、同じく実効雨量から多層 NN、deep learning で作った水位の比較もしてみましたが、前者の方がよく合っていました。実効雨量自体が過去のデータに時系列で重みをかけて作成されていますので、両者ともに同じような計算をしているはずなのですが。ま、そういう意味では、実効雨量からの水位予測が「よくできている」と、あらためて認識できただけでも良しとしましょう。

deep learning は数値よりも、やはり画像を扱った場合に本領発揮するのでしょうね。


2016年11月3日木曜日

水位予測 using deep learning その3

Nan を回避するのに、はまりました。
前回のUPから5日かかっていますね。

原因はやはり「0」と関数の定義の2種のようです。
ただ、コードの思いつく箇所を修正してもダメ。場当たり的な回避方法は見つけましたが、根本的な対処法はいまだわからず。まだ、Pythonを理解し始めたばかりですので、どこか記述の仕方を誤っているのだと思います。プロが傍に欲しいですね。

まず、関数定義の異常について。
def 内で雨量を読み込ませると、それを計算に使用しなくてもNanを吐きます。最初はVSのバグかと思い、それを経由させずに直接 Python で走らせてみました。すると、より多くのエラーが吐き出されました。
まず、関数を認識しません。インデントがおかしいと、吐き出されます。スペースとタブが混在していたため、そこがおかしいのだろうとタブに統一(今まで、適当に扱ってきたところです)。
次は、関数の終わりを認識してくれません。次の行まで関数として認識されます。これは1行開けることで問題なく修正できました。
さらに、def  内で配列を加算させていたのですが、これもダメなようです。データを読み込む前にEXCELで計算させてcsvを作り、そのファイルを読み込むとNanを吐きません。一方、def 内での加算を使うと、Nanを吐きます。両者を比べても全く同じ値・並びになっているのですが、なぜか後者だけNanを吐きます。理解できません。

「0」に関しては、まず一番に疑っていたのですが、前回、適当な数値を def 内で足しても Nan を吐いていましたので検討から外していました(前回は加算の方で引っかかっていたようですが)。
しかし、0にいくら重み係数をかけても0でしょうから、やはり調整は難しいのでしょう。
対処法は先にEXCEL内で雨量に0.01mmを加算しておくという場当たり的なもの。これを直接読み込めばNan は吐き出されなくなりました。

で、計算!

が結果が悪い。

2層ほど追加してみましたが、予測形状は変わりません。ま、あたりまえの結果ですね。
過去24時間の雨量データを使っていますので、雨量のない日は一律0.01mmになります。それ以上の長期雨量は考慮されませんので、基底がフラットな形状に近くなるという訳でしょう。実効雨量に半減期の考え方が取り入れられているのも、こういったフラットな形状を回避するためなのでしょうね。違うツールを使って初めて気づくその工夫。思いつかれた方は凄いとあらためて感心。

で、使用するデータを過去24時間から240時間に変更。



ダメでしょう。これは。

もう少しケース数を増やさないと結論は出せませんが、雨量のみから水位を推定するのは得策ではないようです。複数期間の実効雨量から deep learning を使って推定するのは特許に引っかかりそうですし、それなら今まで通り実効雨量と回帰分析で十分です。これは、雨量と水位から推定させる方針にした方が良いのでしょうか?そうなると、井戸の枯渇が施工の影響かどうか?といったような問題には適用できなくなりますが。うーん。


2016年10月29日土曜日

水位予測 using deep learning その2

今度は雨量から水位を予測。正攻法です。

使うのは先日のコードとほぼ同じ。読みに行く先を水位から雨量に変更しただけです。

で、テスト開始!

がダメ。ロス関数が nan を返します。うーん、雨量の連続 0mm で引っかかっているのでしょうか?

雨量に0.1を足したらどうなるか?

ダメ。

では、30では?

これもダメ。データが原因ではないのでしょうか?


では、ロス関数を変更すればどうなるか?

optimizer を変更すればどうなるか?

活性化関数を変更すればどうなるか?

バッチ数を増やせばどうなるか?

隠れ層を減らすとどうなるか?


全てダメ。


うーん、小手先の操作だけでは対応できませんでした。素人だとここまででしょうか?
中身を理解して計算を追う必要があるのでしょうね。deep learning のアルゴには全く興味を惹かれないのですが、どうしましょう?


2016年10月28日金曜日

水位予測 using deep learning

まずは「24時間先まで予測させてみる」をテスト。optimizer は adam で変更なし。

24時間すべてでなく、24時間後のみを刻々と予測させる方針の方が見た目がよくなります。、コードの改変もほとんどありません。

過去10時間の水位データのみを使って、24時間先を予測。結果はこちら。


最高水位やピーク位置はあってないですが、 形状はあってます。ズレは24時間。実際に上がるのを確認してから、予測も追随して上がってくるのでしょう。当たり前ですか。



では、過去240時間(10日間)のデータで額種させるとどうでしょうか?


全くダメですね。考えすぎです。



では逆に、5時間に短縮するとどうなるか?


あ、これです。
ピークの形状は合いますが、ずれてます。HPの旅客データもそうでしたね。
http://machinelearningmastery.com/time-series-prediction-with-deep-learning-in-python-with-keras/
We can see that the model did a pretty poor job of fitting both the training and the test datasets. It basically predicted the same input value as the output.

そういうことだったのですか。違和感の正体ですね。全くダメです。
察するに、使用データが単純になる程、24時間先もそれに近い値を選択すれば誤差が少なくなる、というように学習したのでしょうね。賢いのか、ポンコツなのか。小賢しい能力です。

やはり雨量をトリガーとして教えないとだめでしょうか。

続きは後日。










2016年10月27日木曜日

ベテラン勢で弾性波探査

今日はベテラン勢4人で弾性波探査。

4人中3人は、本部を担当することができます(昔の調査屋さんは皆できたそうですが、今では少なくなりました)。

そのような面子でこなすので、指示なくとも連携良く、作業は速く、楽でした。ベストメンバーだったと思います。


帰りは私が運転していたのですが、後ろに陣取った2人は最初から寝る体制。ベテラン故、体力を使い切ったのでしょう。現場ではシャキシャキ動いていたのですが。

そういえば、探査の習得を希望する若い方はいないですね。おそらく、やらないといけないことに追われ、それどころではないのでしょう。ノルマや覚えないといけないことも多々あるのでしょうが、現場で踏査や探査を行うと、理解の仕方も違ってくるように思います。

ま、チャレンジしないといけないのは、若手もベテランも、関係ないですね。


 



2016年10月23日日曜日

多層ニューラルネットワークと時系列予測

先のコードを確認しながら、水位予測結果の(綺麗すぎる)一致の原因を探ってみました。

過去10時間の水位データを使って、1時間先の水位を予測しようという方針になります(時系列は「分」でも「日」でも等間隔であれば、特に気にしなくてよい部分です)。

ただし、若干の変更を加えました。
・データ長をフルで読めるように修正した。
・隠れ層を追加した。
・エポック数を減らした。
・格納されたデータを表示し、確認できるようにした。

ネットの情報や買ってきたPython の本を見ながら1行づつ確認したのですが、おかしなところは見つけられません。うーん、でも、納得できません。
これ、1時間後という設定がまずいのでしょうか?人の感覚でも、データが得られるたびに直近の勾配を延長しとけばある程度の挙動は一致するような気がします。機械学習の結果、近傍の勾配を重視するようなモデルを作り上げたのかもしれません。
ただ、旅客データでは、ここまで一致しなかったことを考えると、データの質の相違に起因する可能性が考えられます。水位の方が単純でノイズが少なく、予測しやすいとか。あー、傍にプロが欲しいですね。

私の知識ではコレ以上は分かりませんが、ま、正しい結果として受け入れるべきなのでしょうね。良いことではありますが。

今後の方針としては、以下の通りでしょう。
1. 24時間先まで予測させてみる。
1時間後という設定がまずいのであれば、さらに先まで予測させて状況を見てみるのが次の手でしょう。出力が24個になるので少し考えないといけないですね。
うまくいけば、WEBベースでデータ収集から結果表示までが可能となりますので、河川の防災情報などに使えそうですね。

2. 雨量から予測させてみる。
複数の入力値から1つの値を予測するといったこのコードは、どちらかというと雨量からの予測に適しているように思えてきました。トレーニング等に使用した水位データを雨量に変更し、水位予測をしてみましょう。これまでの実効雨量計算に対し、多層ニューラルネットワークを利用するといった方針です。これがうまくいけば、施工の影響についても今まで通り、判定できますね。

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参考にしたネットの情報
https://keras.io/ja/optimizers/#adam
https://arxiv.org/pdf/1412.6980v8.pdf ←後で読むこと
https://keras.io/ja/activations/

2016年10月20日木曜日

Python

カレントディレクトリは、以下のコマンドで見ることができました。_φ(・_・

import os
print(os.getcwd())

os というライブラリ?を読み込んで、get したカレントワーキングディレクトリをprintする、という流れでしょう。

 画面には新規プロジェクトのフォルダが指定されていました。あ、そうですね。VS のプロジェクトですから。

Python は初めてですが、とっつきやすいと感じます。この方のコードが読みやすいからでしょうか?難しいところはライブラリ任せになっているからでしょうか?いずれにしても、ネットの情報だけで読み進めることはできました。

カレントディレクトリにデータを置いて、コードを実行してからしばらく待ちますと、掲載された図と同じものが表示されました。成功です。

手元にあった水位データでも予測をかけてみましたが、異常なほど綺麗に一致しています。表示された誤差はほぼ0。いえ、これは何か設定があってないのでしょうね。まだ、どこがおかしいのか分からないレベルですが。
いずれにせよ、案外簡単に環境は整いました。あとは使う側のアイデアと努力次第です。
まずは Python と ライブラリの中身の理解からでしょうね。以前より少し興味が出てきました。


2016年10月19日水曜日

Python + Keras + Win10

昨日の HP にソースが紹介されていますので、試してみない手はないでしょう。

まずは環境を整えることに。
Keras と Python が使えないと話になりません。


確か VS Comunity 2015 でも Python の項目を見かけたなあ、と思い立ち上げてみると、ありました。
新規プロジェクトで Python を選んでみると、何かDLしろとの指示。で、素直にDL。

Keras の方は WinPython に含まれているようですので、これをDL。(VS要らなかったか。)

で、VS から 新規プロジェクトを作って、コードをコピペ。で、実行!

「Pythonが見つからない」との返答!

ま、そりゃそうですね。
どこかに環境設定があるはず、と思い 探してみますと、ありました。
「表示 」メニュー>その他のウィンドウ> Python Environments
これで python.exe 等の保存先を指定。
ついでに Open interactive window をクリックして、実行中の状況が分かるように。


 interactive window に貼り付けもう一度。

今度は 「ファイルがない!」と吐き出してくれます。うーん、親切ですね。


いったい、どこを見に行っているのか?Python は初めてなので、カレントディレクトリを表示させるコマンドが分かりません。少なくとも、Python Environments で指定した path ではないようです。
このレベルからか。Python の本でも買ってきましょうか。

ま、使う側はダメダメですが、Python と Keras は Windows10 で正しく動作してくれているようです。

続きは後日。




2016年10月18日火曜日

機械学習と時系列データの予測

 これ、面白いです!

Time Series Prediction With Deep Learning in Keras
http://machinelearningmastery.com/time-series-prediction-with-deep-learning-in-python-with-keras/

先週末に目にし、最初はなんとなく眺めていたのですが、読み進めるうちに引き込まれるのが分かりました。
これ、画期的ではないでしょうか?それとも、機械学習分野では当たり前のレベルなのでしょうか?Deep Learning と書いていありますが、本当にそれを利用しているのでしょうか?ド素人なので、そのレベルですらわかりません。が、適用可能な分野は限りない、ということだけは理解できます。

過去のデータから、今後の挙動を予測する。過去のデータには様々な要因が反映されており、その特徴を AI が見つけ、予測に反映してくれます。因果関係の判断がつかななくても、結果だけを見せればこの先どうなるか?を判断してくれるのです。特に複数の要因を反映している現象については(今後の精度向上次第ですが)利用価値が高いように思われます。
 
一方、AI は予測に使った判断根拠を教えてくれません。原因は分からないのですが、モデルは構築できているという点で、統計と同じニオイがします。理学屋さんには受けが悪いでしょうね。

これからはツールの一つとしてAI を所有しておくべき世の中になりそうです。この流れ?に取り残されるわけにはいかないでしょう。
手を動かしてみましょう。



2016年9月25日日曜日

地震予測と統計学

録画していたNHKスペシャルを見ました。

MEGA CRISIS 巨大危機 ~脅威と闘う者たち~
第2集 地震予測に挑む ~次はいつ どこで起きるのか~
https://www6.nhk.or.jp/special/detail/index.html?aid=20160911

あーあ、と思ってしまったのが、統計による予測。
マグニチュード4以上だったと思いますが、1か月予測で6/9=67%の正答率。現段階ではかなり良いと思います。
原因が分からなくても答えは出せる、と言うのが統計の強みです。研究の最終目標は高精度の予測、人的災害の防止でしょうから、(極端ですが)精度の担保された結果を出すことが可能であれば良いのです。地震予報として毎日公表しておけば、研究者でなく、一般の方々が評価してくれます。「結果」を出せなくても、それに通ずると信じているプロセスや「原因」を重視するのは地震屋さんだけでしょう。
地震屋さんはどういう気持ちでこの研究を見ているのでしょうか?おそらく、私が水理地質で味わったように、内心複雑だと思います。ま、両方できればいうことありませんので、否定はされないと思いますが。

ただ、未曽有の大地震については統計処理できるほどの数がないため、予測できないようです。そうすると、 原因の解明>>>予測といった流れに時間的余裕が生まれます。

データの多い中~小地震については統計を、対応できない大地震については原因の把握をといった並行作業で、地震予測の発展が望まれます。





2016年9月23日金曜日

シルバーウイーク

法面掘削の現場で、施主さんから「業者さんが掘り過ぎたので見て欲しい」と依頼がありました。

見に行くと、確かに掘り過ぎ。目で落ちるようで、落としていったら掘り過ぎたようです。境界ギリギリでした。能力不足により問題が発生し、これがまた仕事を生むパターンです。ヒトの世です。複雑ですね。

対応方針を決め、帰りに施主さんのところに寄ってみるとお休みでした。そういえばシルバーウイークですから、休暇を取られているのでしょう。「危険」や「急ぎ」の感覚は人によって異なります。

ついでに別のお客様も尋ねましたが、こちらもお休み。


能力不足で新たに仕事が生まれてしまうのは複雑ですが、そのせいで休めなくなるのも複雑な心境です。ま、今回は経験値を積ませてもらったと考えましょう。


2016年9月22日木曜日

支保判定と人工知能

切羽評価に deep learning を適用したニュースが引っかかりました。

日本システムウエア さんの deep learning を用いた画像判定サービス を使い、安藤ハザマさんが特許を出願したとのこと(営利目的であれば困りますね)。
http://www.nsw.co.jp/topics/news_detail.html?eid=427&year=2016
http://www.nsw.co.jp/topics/20160920_deeplearning.pdf
http://www.ad-hzm.co.jp/info/2016/pre/20160920.html

切羽写真から支保判定でなく、弾性波速度を推定させるようです。私は、支保判定を吐かせることしか考えていませんでした。が、弾性波の方が利点があるのでしょうか?
https://phreeqc.blogspot.fr/2016/02/blog-post_14.html
↑コレについては2月に思い付いた後、切羽写真を集めてみました。が、数が足りず保留にしていました。このニュースを見て、「あ、これはゼネコンさんのモノだ」と、納得したところです。

ただ、このシステム(といっても、そこらに出ているプログラムで判定可能ですが)をもっと積極的に利用すべきは施主さん(国など)の方でしょう。施工結果を学習した AI に頼りすぎると、過大な支保になる恐れがあります。危険側の支保は施工結果に含まれていませんが、過大な支保は含まれていますので。
国などの施主側が過去のデータを整理した後、ある切羽写真に対しどの程度の支保だと危険になるか(変位が大きい、崩落した、縫い返したなど)の情報を吐かせるシステムを構築する方が重要です。過大なデータを吐く AI に対抗するには、厳しいデータを吐く AI を所有する必要があります。
「AIが言っているから」に対抗するには、それなりの AI と、その異同を判断できる感覚(経験)が必要になります。


さあ、情報弱者になる建設コンサルタント、データ共有等による反撃は始まるでしょうか?それとも、まだ攻撃されていることに気づいていないでしょうか?(おそらく、後者でしょうね)
地下水や維持管理にも AI の導入が検討されつつあるようです。どういった分野で優位に立てるか、なども見通す目が必要になるでしょう。

基準通りの功罪

自然由来重金属対応マニュアルにある、スクリーニングの必要性の話を、先輩から伺いました。
(前の話:https://phreeqc.blogspot.jp/2016/09/xrf_99.html

先輩の考えは以下の通り。

・スクリーニングは個人的に提案していない
・スクリーニングで OK でも、溶出量で OUT になる場合がある
・溶出量と全含有量に相関があるとは言えない

相関が認められないことは、書き物にありましたね。 それを根拠に、スクリーニングを飛ばすことは、実務上、合理的な判断になります。


一方、先の土研さんの図書では、以下のように書かれいています。
スクリーニング基準値は、これまで行われた多くの建設工事における発生土利用実態から、自然由来重金属等による人の健康影響が明らかになった事例がないことを背景に、我が国における土・岩に含まれている自然由来重金属等の通常の値(平均値)以下の含有量の発生土については、問題なく利用可能であろうとの考え方に基づいて設定されたものである。
社会問題になるかどうかを、全含有量試験値のみで、経験的に判断しているわけです。例えば、φがどのくらいの土なら斜面がすべらないか?を安定計算なしで経験的に判断しているようなものです。
では、それと相関がないと言われる溶出量試験、または土壌含有量を優先する根拠は何でしょうか?(少し知恵のついた新入社員に聞くと「基準だから」と答えそうな質問です。)

個人的には、どちらも似たようなものだと思っています(どちらかと言うと、根拠の分かりやすいスクリーニングの方が説得に有利だと感じています)。どちらも、含有形態の把握や熱力学計算が丸々抜けていますので。このあたり、5,6年前から何も変わっていません。
https://phreeqc.blogspot.jp/2011/11/as.html
https://phreeqc.blogspot.jp/2010/08/blog-post_16.html

「基準通り」は合理的ですが、正解を得られるとは限りません。技術者として合理性を保ちつつ、正解を求める根本的な視点を忘れてはならないでしょう。

2016年9月20日火曜日

土器の起源と花崗岩類

三辻利一「新しい土器の考古学」に、土器と花崗岩類の化学的特徴の話題が載っていました。

新しいと言っても、80年代の話。K, Ca, Rb, Sr に着目し、土器とその出土地域に分布する花崗岩類の傾向を比較した内容です。岩石学としても、その頃の話題でしょうか?
分析は蛍光X線です。同時多元素測定が可能なこと、前処理が簡単なので大量に測定可能なことが大きな理由でしょう。

地域の花崗岩と花崗閃緑岩を4元素で特徴づけています。岩石学ではないので詳細は書かれていませんが、K:Ksp、Ca:斜長石(An)でしょう。液相濃集元素であるRb, Srに着目しているのも、当時の岩石学の影響を受けているのでしょうね。Srは斜長石、Rb は Ksp か Bt でしょうか?
斜長石の Ca が抜けて粘土鉱物が生成されるため、土器では極端にCaが減少した組成を示すと考えると、まあ、示されたような結果になるのかなあといったところです。

16年前の和歌山毒物カレー事件に XRF の利用がありました。亜ヒ酸の異同識別に用いられたようです(驚いたことに、いまだ分析結果について討論が続いているようです)。こういった起源の考察や利用法もあるのでしょう。

設計者からは濁りの起源の分析の相談を受けています。目で見える情報に加え、目で見えない情報を機器分析で示すことは起源を示すにあたって効果的だと思います。
調査計画を立案する際、どのような情報を、何で、どの程度得られるのか?程度は最低限知らないと、適切な機器を選択するのは難しいでしょう。
 「知らない」と投げ出すことなく、機器の発展について行かないといけません。

2016年9月19日月曜日

重金属等の起源

建設工事における自然由来重金属等含有岩石・土壌への対応マニュアル(暫定版) 資料集 (平成22年3月)の 「3. 岩石・土壌に含まれる重金属等の起源を識別する試験方法」にて、XRF の利用が紹介されています。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/manual/sizenyuraimanyu_zantei_siryou.pdf
  • 例えば鉛がカリ長石に含まれる場合には (図-5) 、カリウムと鉛の全含 有量の間に正の相関が見られる 2)。
  • ひ素と鉄の全含有量の間に正の相関がある場合には (図-6) 、ひ素は鉄鉱物として存在する可能性が高い 3)。
  • 蛍光X線分析法は土壌中に含まれる大半の元素を分析することができる ため、ひ素やカドミウム、鉛などの汚染が自然由来のものか、人為汚染に起因するかを判断するための重要な情報 を提供できる。
2) 独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター (2003):土壌・地質汚染評価基本図「5 万分の 1 姉崎」.
 3) 独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター (2006):土壌・地質汚染評価基本図「5 万分の 1 仙台地域」.
イマイチです。
ま、こういった方法で起源の可能性を示すことのできる場合もありますよ、程度の紹介だと思います。

日本分析化学会「X線分析の進歩」では、イメージング処理ができるよう機能強化された蛍光X線分析装置での分析例が掲載されています。1つの試料・分析装置で元素濃度とそのマッピング結果が得られると、起源についても説得力が出てきます。こういった説明をしないといけないのでしょう。ここまで説明できれば、足元が固まり、この後に予測計算を実施しても信頼性が高まります。実験と計算結果の整合を見てもよいでしょう。が、マニュアルは上記の通り。現段階ではそこまで目指されていないのでしょう。

2016年9月18日日曜日

スクリーニングと XRF

「建設工事における自然由来重金属等含有 岩石・土壌への対応マニュアル」では、スクリーニングでのXRF 分析適用上の留意点について、以下の通り示されています。
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/manual/sizenyuraimanyu_zantei_honbun.pdf

p46-47
  •  蛍光X線分析法は、固体のまま試料の元素分析が可能な方法であり、簡易、迅速に分析が可能であることが特色である。
  • しかしながら、定量下限値または検出限界がスクリーニング基準値未満の元素は限られていることに留意する必要がある。
    卓上型のエネルギー分散型蛍光X線分析装置は、現場でのスクリーニング試験に適している。
  • スクリーニング基準値未満の精度で定量できるのは、総クロム、ひ素、鉛である。
  • セレン、カドミウム、水銀が検出された場合には、スクリーニング基準値を超過しているとみなす。
  • 波長分散型蛍光X線分析装置はふっ素、ほう素の分析も可能な場合がある。
  • スクリーニング基準値未満の精度で定量できるのは、総クロム、ひ素、鉛である。
  • 波長分散型の装置を用いた場合、ふっ素も定量できる。
  • セレン、カドミウム、水銀が検出された場合には、スクリーニング基準値を超過しているとみなす。
  • 波長分散型蛍光X線分析装置でほう素が検出された場合にも、スクリーニング基準値を超過しているとみなす。
スクリーニングでの基準値はこちら。p49
クラーク数については Sc 等の例もありますので、バックグラウンド値を上手に使わないといけないのでしょう。

  • 日本国内では、さまざまな構成地質 によって、自然由来重金属等の全含有量もさまざまな値を示している。
  • スクリーニング基準値 を超え、全含有量バックグラウンド値以下の岩石・土壌については、一体区域内に搬出することができる。
  • ただし、搬出する場合には、対象となる岩石・土壌の拡散および酸化を防止する観点から、 覆土等の表面被覆を行うとともに、モニタリングを実施する。

資料集5 蛍光X線分析装置の定量下限値および検出限界
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/manual/sizenyuraimanyu_zantei_siryou.pdf
  •  表-1 は、日本国内で蛍光 X 線分析装置を販売する 5 社に対し、定量下限値および検出限界に関する情報を提供していただき、集約したものである。
  • 本表の結果は同一の試料に基づく分析結果ではなく、測定時間などの条件も統一されていない。
  • また、本 マニュアルに沿った測定方法による結果ではないため、あくまで参考値として取り扱うものである。


上記の様な背景から、土研さんの「建設工事で発生する自然由来重金属等含有土対応ハンドブック」2015 p32では、スクリーニング試験を取りやめています。

その相違は、土木学会でも整理されています。が、「だから、どうしろ」とは書かれていません。
 http://committees.jsce.or.jp/sekou09/system/files/


土対法に沿った試験は高価でないため、時間があるときはスクリーニングを飛ばしても良いと思います。一方、施工時の管理など、判定に迫られる頻度が多く、かつ時間もない場合には、スクリーニングを効果的に利用するなど判断が必要になるでしょう。それは施工規模と対策を含めたトータルコスト、バックグラウンド値、事前評価の結果などに委ねられると思います。
「だから、どうしろ」と書かれていないのは、「技術者が判断してくださいね」ということでしょう。

XRF の活用


XRF の活用例の一つに、土壌の分析があります。

建設工事における自然由来重金属等含有 岩石・土壌への対応マニュアル
http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/pdf/recyclehou/manual/sizenyuraimanyu_zantei_honbun.pdf


多分に漏れず、汚染土などのスクリーニングに XRF を利用したいと考え、ソフト内でアプリケーション(テンプレート)を作成し、定量してみました。
今回はセーフ。ただし、露頭試料であったため、溶出している可能性が考えられます。ま、本番はコアですのであくまでテスト結果になりますが。
 
水溶液も測れます。テンプレも入っています。
以下の様な利用例もありますね。

蛍光 X 線分析装置の効果的な活用について
http://www.gesui.metro.tokyo.jp/gijyutou/gn22/nenpou2010/5-2-8.pdf

XRF、使う人次第で活用の幅は大きく広がりそうです。

2016年9月16日金曜日

ICDD と ICSD

会社の XRD が新しくなりました。

MiniFlex 600、リガクさんの分析器です。先日よりそれを触っていたのですが、コンパクトかつ便利になりましたね。
機能面は大きく変わっていないのですが、usability が向上しています。 電源投入後、前回までの使用頻度を選択するだけで、それに応じた電流電圧値と時間を選んで立ち上げてくれるのはありがたいです。ヒューマンエラーに対しフールプルーフでの対応も進んでいます。
当然、制御は Windows からですので、操作に至るまでの余計な知識は必要ありません。(PC-98は、倉庫にて眠りにつきました)。

今日、一通りの測定が終わり、分析ソフト PDXL で定性に入ったのですが、ココで違和感。自動検索で表示される鉱物名が何か雑。
残ったピークから手動で検索しようと思いましたが、3強線から検索できない仕様でした。しかも、「magnetite」で検索できても、「magne」など省略キーワードで検索できません。
お手上げでしたのでメーカーに問い合わせることに。

話を進めていると、使用しているデータベースの違いで、省略キーワードでの検索可否のあることがわかりました。今回、購入担当者が選択していたのが「ICSD」。価格が安いので選択されたのでしょうが、こちらは省略したキーワードでの検索に対応していませんでいした。メーカは「ICDD」を使用されていましたが、こちらは検索可能でした。データベースの違いというよりはソフトの設計ミスで、容易に修正できるような気がしたのですが、ま、仕方ありません。


今まで、研究職はデータベースファイルを「PDF」と呼んでおり、私は(さらに古い)「ASTM」に慣れていたためか、「ICDD」を知りませんでした。よく見ると、PDF の CD に ICDD と書いてあります。ICDD(International Centre for Diffraction Data) が出している PDF(Powder Diffraction File) データベースを使用していたというのが正解のようです(調べましたが、ICDD を知らないのはモグリのレベルのようですね)。しかも、PDF-2には ICSD を元に作成されたデータも含まれているとのこと。鉱物検索程度であれば、ICSD を新たに購入する必要がなかったのです。「無知は罪」がブーメランで帰ってきました。

 所有していたPDF2.dat を変換し PDXL に取り込んだところ、短いキーワードでも検索できるようになりました。また、自動検索でも、しっくりくるの鉱物名が出てくるようになりました(ま、慣れの問題なのでしょうが)。これでひとまず環境は整いました。

さ、次はリートベルトです。自然界の鉱物でうまくいくでしょうか?

2016年9月14日水曜日

XRF の補正

先日より、XRF に手をかけ始めました。

XRF はこれまで経験がなく、十分な知識 & ノウハウを有していません。何かしら数字は出てくるのですが、その不確かさの程度も理解できていません。周りの方もあまり興味がないようですので、まずはメーカーの方に問い合わせたり、図書を読んだりすることに。

XRD とは異なり、XRF で定量するためには分析線の選択や、補正の話が出てきます。
分析線の選択は、ピークの被る箇所を避けて選択する、といったことが基本の様です。これは ICP などで似たような経験をしているため、特に違和感はありませんし、既にメーカーの方がPC内で設定されていました。

?と思ったのが、バランス補正と薄膜補正。これは、今までの機器分析で 経験していません。最初「Oでバランス」ということを言われていたのが理解できていませんでした。
このあたりの話を理解するのに、以下の様な資料が今の私にはよさそうです。産総研 NMIJ(計量標準総合センター)の資料です(懐かしい)。

XRFにおけるFP法の補正について
https://www.nmij.jp/~collab/bb_kai/NEN-KAI/h22/genkou/12-suzuki.pdf
XRFにおけるFP法の留意点
https://www.nmij.jp/~collab/bb_kai/NEN-KAI/h23/9%20suzuki.pdf 

薄膜は、本当に薄膜を測るときだけかと思っていたのですが、違いましたね。 試料の状態と分析対象をきちんと理解していないと、結果の精度も落ちてしまいます(当たり前ですが)。

ま、これからです。少しづつ、基礎知識を身に付けていきましょう。


***********************************
20160918追記
まずは試料調整から。
市川ほか(2015)蛍光X線分析の試料調整-基本と実例- ,X線分析の進歩46, pp75-95

2016年9月9日金曜日

切土法面の崩壊

施工中の法面が小崩壊を起こしたと連絡が入り、現地へ。

その現場、落石調査を私が実施しており、その後、設計者が落石対策に整形(切土)を追加し、施工されていた箇所でした。施工前は道路際に中硬岩の直壁が連続しており、整形すると聞いた時も「スライスカットなら問題ない」と感じていた現場でした。

ところが、地山背面に小断層を含む弱線(軟岩)が切土面と平行に走っており、そこを背面として剥がれ落ちたようでした。降雨や施工法の影響もあると思いますが、うーん、私にも油断があったように思います。

最近、大抵の案件はそこそこできるようになったなあ、と感じていたのですが、一気に現実に引き戻されました。
今、携わっている案件、(勝っていませんが)兜の緒を締めてかかりましょう。

2016年9月8日木曜日

等価透水係数

設計者より、複数の土層を平均した透水係数について質問がありました。

話を聞いてみると、どうも鉛直流れと水平流れを区別せず、土層全体の等価透水係数を算出されているようでした。

簡易な水理公式で湧水量などを求めたい場合、井戸周辺から集水するような流れは水平、止水矢板を用いた掘削で底盤から湧水する場合などは鉛直で代表させれば良いと思います。
各土層の透水係数と層厚、水頭差を利用すれば、簡単な四則演算で答えが出せます。土質力学の授業でも教えていらっしゃるのでしょうか?ネットでは以下の様な資料が引っかかりました。

モデル図
http://ftn.jp/tec8_8.7.pdf

式の展開 (個人的には各水頭差を用いた展開の方が良いと思います)
http://geotech.civil.yamaguchi-u.ac.jp/dorikih/kaito/vol6.pdf
http://www.research.kobe-u.ac.jp/eng-geotechlab/files/doriki_1/09_%E9%80%8F%E6%B0%B4(2)(%E9%80%8F%E6%B0%B4%E4%BF%82%E6%95%B0)_20160531.pdf

これらについて書いてある図書はあまり見ませんが、以下の図書にはシミュレーションを前提として等価な透水係数の計算式が書かれています。最後の付録の箇所だったと思います。

地盤工学会「 地下水流動保全のための環境影響評価と対策―調査・設計・施工から管理まで (地盤工学・実務シリーズ 19)」


鉛直・水平のみの流れという現象は、実際にはレアだと思われます。が、求めたい精度と手間を考えると、等価透水係数で代表させる価値は十分にあると思われます。
ま、それ以前に、各土層の鉛直・水平透水係数を原位置で精度良く求める必要性にも留意しないといけませんが。


2016年9月4日日曜日

DECALTO で沈下計算 その2

圧密沈下の計算に DECALTO を使用しています。
http://www.fujitsu.com/jp/group/fip/solutions/industry-solutions/construction-industry-solution/plan/decalto/

現在はVer.16。
久しぶりに使用する機会がありました。

相変わらずなのが入力の方法。
改善されているかな?と思って試してみましたが、そのままでした。
CADで地層を作って読み込ませるのですが、地層線だけではダメ。地層をクルッとポリラインで囲まないと層を認識してくれません。作り方がおかしいと「ねじれてます」とか「くぼんでます」とか教えてくれるのですが、どこの部分がおかしいのかを教えてくれません。MS-DOS の頃の syntax error を彷彿させます。ただし、Civil3D の DXF は問題なく読めるようになっていました。

出力もそれほど改善されていませんでした。
地層節点と呼ぶのですが、節点における結果(応力、変位)は書き出せません。任意位置での沈下量や応力もダメ。あくまで各層の⊿P、沈下量とその合計が、水平方向の指定距離にて出力されるのみです。その指定位置も最大50箇所、結果の一覧表示は(20箇所以上指定しても)20箇所までの制限があります。 FEMの感覚から一歩戻る必要があります。

ただし、一通りの計算は網羅しており、機能的には十分すぎるぐらいです。 サポートの回答も早いと思います。
インターフェースさえ改善してもらえれば、言うことなしです。次に使う際には改善されていることに期待しましょう。


2016年9月3日土曜日

崩壊と粒子法

今年も台風が複数上陸しています。

これまでは東日本ばかりに上陸し、土砂災害、水害、多々発生しています。ニュースでも多くの映像が流されています。

その中で目を引いたのが、小規模な土砂崩壊の動画。
1度崩れて土砂が堆積した箇所に、再度崩土が迫ってきていました。その勢いで1度目の崩土に乗り上げたあと、水のように飛び散って谷側に堆積していました。
以前、現場で撮影していた崩壊動画も、同じように対岸にぶつかり、駆け上がり、飛び散るように挙動していました。水分を多く含む土砂は流体のようだと、あらためて感じながら見ていました。
この様な流体の挙動を厳密に再現したい場合、可視化する場合には、粒子法でないとダメでしょう。LSFLOW などで堆積形状の再現はできますし、実務上はなにも問題ないのですが、ある程度の割り切りを用いていることは、なかなかお客様に伝わりません。

鉄道分野では、既に粒子法を用いた地盤の大変形対応ソフトを開発されています。活用の程度はわかりませんが、意欲的だと思います。今後、3次元の粒子法ソフトが安価になれば、土木分野でも活躍すると思います。

台風12号は明日上陸するようです。
土砂崩れは発生しても、災害にはならないことに期待しましょう。




2016年9月1日木曜日

微動探査による地盤調査

図書館で本を探していた際、以下の図書に目が留まりました。

日本建築学会「建築基礎構造設計のための地盤評価・Q&A」 2015年11月

建築の基準書関連で、このような本が出版されていたとは気づきませんでした。

中を見ると、なかなか面白い。
地盤調査や評価についてまとめられた図書なのですが、耐震に関する話題(定数設定や調査の解釈など)が当たり前のように含まれています。繰り返し三軸や PS 検層だけでなく、H/V での地盤評価やそれらに関する Q&A まで載っています。やはり建築は土木より進んでますね。以前、支持層コンターを微動探査結果から求められるのでは?などと記載しましたが、建築の世界では、そう珍しい話でなかったようです。
https://phreeqc.blogspot.nl/2015/12/blog-post.html

「2.4 物理探査による地盤評価」では、微動探査による地盤評価の話題のみであり、やや偏った感はありますが、他の図書には見られない意欲を感じます。ただ、大阪層群のH/Vピークが1秒で、その上の沖積層が厚い箇所では0.1秒付近にピークが出てくるというのは理解できません。なぜでしょうか?
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/10/blog-post_46.html

Q&Aには以下の様な内容が含まれています。これらも他の図書にはない個性的かつ意欲的な内容だと思います。
Q1-1 土質分類における閾値の根拠は?
Q1-12 PS検層を100mしてもVs400m/sが出なかったら工学的基盤をどう設定するか?
Q1-13 微動アレーや表面波探査の精度は?
Q1-15  H/Vから工学的基盤の傾斜が分かるか?
Q3-4 地盤の非線形モデルでは H-D と R-O のどちらが良い?

「どこが答えなの?」と思うような日本人らしい曖昧な表現もあります。が、それだけ答えにくい内容にも踏み込んで記載しているということだと思います。
先行する建築分野、注視しておきましょう。


2016年8月30日火曜日

異なる座標系の重ね合わせ ( Civil3D 2016 )

EXIF情報、GPS Trackを平面図CADデータに載せる場合、「座標系の違いが問題」と書き残したことがありました。

例えば、以下のような例です。
 平面図の測地系・・・JGD2000
GPSで選択した測地系・・WGS84
EXIFの位置情報・・・・・・・WGS84(LL)
 http://phreeqc.blogspot.jp/2011/12/exifcad.html


これ、Civil3Dで合成可能でした。答えは以下に記載されています。

一般社団法人Civilユーザ会「AutoCAD Civil 3D 235の技」
(旧300の技と共に PDF版 が手元にあります。書籍としても出版されているようです。)
・207 新旧座標系設定済の複数図面を座標変換
・208 新旧座標系未設定の複数図面を座標変換
「計画と解析」ワークスペース
「表示」タブ→「パレット」パネル→「マップタスクペイン」→「マップエクスプローラ」タブ
「図面」にドラッグ
「現在のクエリー」を右クリック→「定義」
 
最近、QGIS を薦められています。無料で一通りの機能が揃っているとのこと。EXIF情報もプラグインを使えば取り込めるそうです。

ま、CADにこだわる必要はないのですが、これで Civil3D における座標系の問題は解決です。

2016年8月29日月曜日

STYLUS Tough TG-4 その2

このカメラ、Wi-Fi 機能が付いています。
売り場に並んでいるカメラの多くに Wi-Fi がついていました。スマホ同様、今のカメラには標準なのでしょうか?
スマホのアプリと連携したり、GoPro と同じような使い方ができると思います。必要と言うわけでは無いですが、あれば便利といったところでしょうか。

これは素晴らしいと思ったのが、マクロ撮影です。
被写体に1cmまで近づくことができます。顕微鏡モードと呼ぶらしいのですが、ここまでの写真が撮れます。

(クルマにとまっていたバッタ。逃げません。)

さらに拡大撮影する機能を備えています。が、ここまでくると手ブレを抑えられませんでした。

さて、土や石はどこまで撮れるでしょうか?

STYLUS Tough TG-4

現場用のカメラが壊れました。

ブログを見ると購入が四年前。
Panasonic LUMIX DMC-FT3 を購入していたのですが、二年後にレンズが動かなくなり修理。そして今月、水平が取れなくなり修理に出しました。が、既に製造中止で交換部品の在庫が無く、修理不可との返答。耐衝撃でも、四年ぐらいしか持たないのは寂しいです(私の使い方が悪いのですが)。

で、新機種購入。
OLYMPUS STYLUS TG-4 Tough
カメラに詳しいわけでなく機種選定が面倒なので、今年、同僚が買っていたのと同機種にしました(同僚は、既に壊していましたが、耐衝撃はどれも同じだろうと割り切りました)。

早速 firmware を Ver.UP して、現場で使ってみました。
暗いところでも綺麗に撮れると聞いていましたが、確かにそのようです。今まで、山の中で16時を過ぎると、自動でフラッシュ点灯するモードに切り替わることが多々ありました(いかにも遅くまで頑張っているような写真になります)。
このカメラではフラッシュが点灯することはありませんでした。出来上がりを見ると、昼間のように綺麗に撮れています。良いですね。ただし、1箇所につき5枚程度撮っていたのですが、内2, 3枚はボケてました。フラッシュが付かなくても撮影可能になる代わりに(私のような素人の片手撮影だと)ブレやすくなるのでしょう。

GPS 機能には全く期待していませんでした。使用してみましたが、やはり私の仕事では使い物になりません。 
カメラでの測位結果をカシミール3D で表示してみると、かなり位置がずれています。GARMIN eTrex 20x のトラックからも数10~100mほど外れていました。A-GPS という衛星の位置情報を含むデータを転送することで測位が早くなるといった機能が増えていましたが、れでも測位時間、精度はイマイチでしたDMC-FT3よりは随分早くなっていましたが)。
また、午前中は GPS なしで130枚ほど写真を撮影。その後、GPS 機能を on にして150枚撮影。それでバッテリーがギリギリでした。最初からGPS機能を使うと、バッテリーは持たないでしょう。
精度もバッテリーも、まだまだ私のニーズにこたえてくれません。あと4年、待たないといけないのでしょうか?

続きは後日。



2016年8月27日土曜日

UAV de 集水井

古い集水井では、タラップが壊れて点検できないことがあります。
そのような時に有効なのが機械化やロボットの利用。それらの活用は国も推奨している現在の流れです。
https://www.pwri.go.jp/team/niigata/leaflets/d01_2016.pdf

先日、古い集水井に入れず、Phantom 3 Pro を入れてみました。
当然、GPSは届かず、下は湛水 and 上は天蓋といった閉鎖環境になります。そこをうまく飛ばす腕は、残念ながら持ち合わせていません。それ相応の割り切りと、ノウハウが必要になります。
社外で経験したことがあると言っていた後輩にノウハウ等を確認しましたが、有益な情報は得られず。仕方なく今までの個人的な経験と想像で向かうことにしました。

実施してみると案外うまくいきました。
以下、その際の手順とノウハウを備忘録として記録しておきます。

1.防護カバーをUAVの上に取付けます。
(この作業は省略しても良いのですが、針金を機体に巻き付け中心上に伸ばす作業は必要です)

後述の通り、UAV を吊るして撮影しますが、カバーを付けておくと、誤動作で上昇しても紐がペラに絡みません。今回は針金、金網、ステーをホームセンターで購入し、即興的に宿で組み立てました。
針金は4方向から機体上の中心に向かって収斂させたのち、さらに上に伸ばします。ステーは下から斜め上に向かって4方向に伸ばします。カメラの視野に入らないように(ステーが映像に写らないように)立ち上げます。金網は立ち上げた4本のステーと中心から立ち上げた針金で固定します。
UAV は天蓋の扉からしか入れられません。大きさを事前に測っておけば安心でしょう(今回は測定を忘れており感覚で組み立てたのですが、ギリギリ入りました)。

2.天蓋の扉を開けて、リボンテープを垂らしておきます。
リボンテープにシノなどのおもりを付けて底まで垂らします。あとで撮影深度が分かりやすくなります。
また、東西南北に施工時の目印が入っていなければ、代わりに紐などを垂らしておくと場所の把握が楽になります。天蓋はシノでも動きますので、その隙間にリボンテープを2箇所追加するのもわかりやすいと思います。

3.紐を天蓋の上から井戸の中へ通す。
可能な限り井戸の中心に通します。後で展開写真を作成する際、均等に近い写真ができます。
中心が困難な場合、中心からリボンテープ側になるように通します。テープを目印にUAVを上下動させるため、撮りもれがなくなります。

4.地上でUAVを離陸させます。
中では起動(離陸)しないことがあります。

5.天蓋に通したひもを扉の下から手繰り寄せ、UAV に結びます。
長いひっかけ棒のようなものがあれば便利です。太めの針金でも代用できます。

6.UAV を扉から井戸の中に入れます。
紐で吊り下げて撮影します。
落下事故=水没を防ぎます。
GPS が届かなくても問題ありません。
コンパスキャリブレーションに失敗しても問題ありません。
UAV の回転とカメラ方向のみ操作し、上下移動はひもを使って人力とします。

7.UAV を水面近くまでおろし、撮影を開始します。
最初に水面近くまで機体を下ろします。
次にリボンテープの位置まで機体を回転させます(これはプロポで操作します)。
その後、カメラを下方に向け、撮影開始。1回転したらカメラを水平に戻し1回転させます(これもプロポ)。
回転速度はできるだけ遅く。動画からの切り出し画像が綺麗になります。
その後、リボンテープを目印に、ある程度深度が重複するよう機体を引上げます。
引上げ・回転を繰り返し天蓋付近まで来たら最初の動画撮影終了です。

8.要所の撮影を行います。
(必要であればバッテリー交換&データ回収後、)集水ボーリング、排水ボーリング、底張りコンクリート、タラップ、その他劣化・損傷箇所などの要所を撮影します。
集水ボーリングでは、動画だと流量の目測が可能となります。他は静止画撮影を行います。
Phantom 3 Pro は4K動画ですので、劣化や閉塞の様子が綺麗な映像で確認できました。

9.機体を回収します。
引っ掛け棒で紐を手繰り寄せ、天蓋の扉から UAV を回収します。針金でも、回収できます。
その後、データを確認して終了です。

※その他
撮影時、アプリが落ちたり、タブレットが再起動したりすることがあります。再接続すれば続行可能です。撮影もとぎれません。
炎天下では、タブレットは持てないくらい熱を持ちます。影を作った方が良いでしょう。


展開写真は Microsoft Image Composit Editor を利用。円周方向のみ合成しました。上下の合成はうまくいかず、あきらめました。ちなみに、SfMもダメでした。



履歴減衰と減衰定数

減衰係数c、減衰定数h、履歴減衰率h、似たような名前です。

減衰係数と臨界減衰係数の比(c/c0)が減衰比=減衰定数hとなっています。が、履歴減衰率hとの関係はなかなか示されていません。

唯一、見つけたのが以下の図書
吉田望「地盤の地震応答解析」p61、式6.2
しかし、式の意味が理解できません。4πはどこから来たのでしょうか?単位合わせで2π、πではダメなのでしょうか?

まだまだ知識が足りません。
はあ、プロが欲しい。

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20200704加筆修正
図書名、ページを修正しました。

2016年8月23日火曜日

PS検層からQ値

以前、P・S波速度とともにQ値の設定を地震屋さんからお願いされ、悩んだことがあります。

設定した経験がなく、お願い返しをしてしまったのですが、それ以降、頭の片隅に残っていました。


先週末、長時間の拘束を余儀なくされ、その間に関連資料を見ていました。

そもそも、Q値という言葉はよく聞きますが、物理的イメージを掴めてません。調べていますと、以下のように書かれたものがありました。

山中 浩明 編著「地震の揺れを科学する みえてきた強震動の姿」
 ・1周期の間に減じる地震波エネルギーに反比例する量。
・減衰定数を2倍した量の逆数

Q値とは http://jikosoftcom.blog25.fc2.com/blog-entry-1181.html
振動分野におけるQ値は振幅の増大率として認識しておくと便利です。例えば、Q値=10だった場合、ある構造に静荷重Fを加えたときの変位をUとすると、同じ荷重値Fを固有振動数に一致する周波数で加えた時の(つまり共振時の)変位が10×Uとなります。
ん、これって、これのことでしょう。

土木学会「実務に役立つ耐震設計入門」p24
Xo/Xstatic=1/2h  (式2.3.18)
この図書ではQ値として説明されていません。が、このことでしょうね。これなら、イメージが沸きます。図2.3.6で、共振時(ω/ω0=1)の静的変位応答との倍率として、Q = Xo/Xstatic = 1/2h として思い描けば良いのでしょう。


調べていますと、以下の様な資料もありました。

PS検層からQ値
https://www.nsr.go.jp/data/000034343.pdf 

これは知りませんでした。確かに、ダウンホールであれば深いほど波が届きにくくなる=減衰と理解すれば、減衰定数h や Q値を求められそうです。算出方法はこれでしょう。

信岡ほか「PS 検層の手法を用いた地盤減衰特性(Q 値)の評価」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/segj/65/1_2/65_79/_pdf

これと言って躓くところはないのですが、合点がいくか?というと、そうではないレベルです。実際に計算をしてみても、それで正解かどうかが分からない程度の理解です。何か例題があればよいのですけど。
しかし、相変わらず、大がかりな調査ですね。特にS波の source。ま、この程度で350mまで届くのであれば、小さいとも考えられますが。



地震屋さんが PS検層の結果から Q値を設定してほしいという発想に至ったのは、至極常識的なのかもしれません。
次から次に未解決の課題がやってきます。とりあえずプロと話ができるレベルまで、個々、潰していきましょう。

2016年8月11日木曜日

炎天下の作業と判断力

とりあえず、出張はひと段落しました。

途中、知らない土地での災害調査なども入って、移動の多い出張になりました。

空調服のおかげか、移動を多く挟んだせいか、暑さで意識が朦朧とすることは少なかったと思います。ただ、一緒に作業していた方々は、かなり疲弊されていました。簡単な足し算を間違えたり、撮りたいものが写真に写っていなかったり。皆、熱中症には気を付けていたのですが、暑さによる判断力低下は避けられないようです(やはり、クールヘルメットが必要でしょうか?)。

今日は「山の日」ですが午前中出社。災害関連の結果を設計者に報告して修了。
あとは壊れたガスコンロを交換したり、掃除したり。夜になってようやく落ち着きました。

さあ、一旦リセットです。世間はお盆ですが、災害対応はまだ終わっていません。
明日から落ち着いて対応しましょう。


無知は罪

部署で共有している nas の1台が手狭になってきたため、交換のために以下の機種を注文していました。

TS5400DN1604
http://www.buffalo-direct.com/directshop/products/detail.php?product_id=17978 


ところが、例の部長様の使われている nas も故障したとかで、 買い換えたいとのこと。出張から戻ると、同じ機種で稟議が通っていました。で、注文せよと。


普段は部長様だけ、月1回 executives がお使いになるだけです。

 
無知は罪です。


2016年8月9日火曜日

ReCap 360 で ero102

ReCap360 (Photo) で、写真の upload 中に以下のエラーが発生。

ero102

ネットワークエラーかもしれません。
http://forums.autodesk.com/t5/recap-360-general-discussion/failed-to-upload-a-photo-error/td-p/5856041

ReCap は不定期に更新されていますので、その都度問題が発生したり、時間を置けば解決されたりしています。今回もその狭間に陥ったのかもしれません。

翌日、「そういえば」と思いだし、ファイル名を連番に振り直してみると、UPできました。漢字がダメなのか、ピリオドがダメなのか、やはりネットワークエラーもあったのか?
ま、ダメっぽい名前を気にせずにUPしていたのは、単純にまずかったと思います。


できあがったモデルが中途半端にしか表示されなかったため、別のPCで表示してみました。が、今度は表示できません。クルクルわっかが回ったままです。残念ながら、これもよくあることです。

諦めて resubmit してみましたが、今度は ero105 。原因が分かりません。

初期化しようとA360内のrcsデータを削除し、作り直すと ero103 。
これは、写真を入れていたフォルダ名とproject名を一緒にしているためだろうと推定し、名前を変えてsubmit。
作成できました。

うーん、ま、良しとしましょう。

2016年8月8日月曜日

山地の増幅特性

以下の文献に興味が惹かれました。

栗田ほか (2005) 山地形における地震動の増幅特性、日本地震工学会論文集 第5巻、第3号
http://www.jaee.gr.jp/stack/submit-j/v05n03/050301_paper.pdf 

現地の微動測定結果を解釈する際、地形と地質の両面から考察する必要があります。が、切り分けるのは難しいと思います(サイト特性という言葉もありますので)。この文献では、5つの地震計をすべて岩盤に設置することにより、地形の影響に絞って考察できるように工夫されていました。論点が地形のみに単純化されて分かりやすいと思います。(そういえば、地盤工学会「ジオテクノート9 地震動」にも似たような話が出ていました。http://phreeqc.blogspot.jp/2014/02/blog-post_21.html

結論は以下の通りとされています。
  • 観測記録の分析から、山頂の増幅率が非常に大きくなり、特にある周波数以上では、常に増幅する 様子が見られた。
  • 地中の観測記録には、山地形内の反射波によって打ち消されたと考えられる周波数成分が存在する。
  • 数値シミュレーションでは、山頂付近に波が集中して増幅率が大きくなる特性が再現できた。 
  • シミュレーションの分析より、伝達関数が谷となる周波数では、地中地震計の位置が節となる挙動 をしていることが分かった。
  • 山地形における斜面の形状に応じて増幅の度合が異なり、肩のような形状があると大きく増幅する ことが分かった。
通常使用している表層地盤での「増幅特性」とは定義が違うのでしょう。これらの関係はここでは明確にされていませんでした。
個人的には、最後の「肩のような形状」で大きく増幅する特性に興味が惹かれました。この断面とほぼ同じ形状の現場での観測結果を有していますが、あくまで「地質」によるの増幅として捉えていました。「地形」の影響もあると考えないといけないのですね。
これを判別しようとすると、シミュレーション上の材質を部分的に岩盤から土砂へ変化させ、結果を追っていくという流れになると思います。が、その技量は私にはありません。いえ、大部分の実施は可能ですが、与える波の形状の選択や境界条件の考え方といったコア部分の知識・ノウハウが私には不足しています。この文献を読んでいても、そのあたりのことが分からず、 課題として浮き彫りになりました。

このあたりのことを十分理解していないと、調査結果の正しい解釈もできません。
早々につぶしておきましょう。

2016年8月7日日曜日

人工知能と技術者

IBM の Watson が「二次性白血病」といった病名を叩き出したのは衝撃的でした。

いえ、病名の可能性を10分程度で見出したことには驚いていません。医療分野でAIを用いたシステムが既にテストされていた点と、論文を認識させている点に驚きました。正解につながる可能性の拾い落としが少なくなることは良いことです。
土木分野でも AI の導入を試みる動きはあります。が、まだまだ着手したばかりで実用化には至っていません。

将来、AI の導入による業態変化として想像できるのは、土軟硬、岩級、支保などを判別する作業などが半自動になり、人員・コスト削減が可能になる点(深層学習が得意でしょうか?)。あと、ビッグデータの解析が容易になり、用いるデータの種類・量や考察の幅が増えると共にそれを支える情報システムの構築が求められる点。

ビッグデータの解析については東北の震災以降、学会でも発表されるようになっています。これはAIが最も得意とする分野になると思われます。医療分野ほどお金はないにしても、いずれは土木分野にも導入されるでしょう。

また、AIに関する専門業者との取引やシステムエンジニアの雇用・教育にかかる投資・コストが増えざるを得ないでしょう。

将来的に、AIの導き出した判定結果を技術者がチェックして、特異な結果でないか判断するといった業態に変化する部分も増えると思われます(現在の数値解析に似ています)。ココで問題なのは、正しい判断が技術者側でできるかどうか。それにはやはり経験と知識が必要で、AI が導入されるからと言って技術者側に求められる研鑽が軽減されるわけではないでしょう。


2016年8月6日土曜日

空調服+コンプレッションウェア

ここ数日、暑い日が続きました。

空調服を着て作業をしていたのですが、今のところ、汗による濡れは極端に減ったと感じています(汗をかくのが減ったのか、かいてもすぐに蒸発しているのかは分かりませんが)。特に無風状態の山中や、直射日光のあたる炎天下の平地などで効果的だったように感じています。

ただ、激しく動くとダメでした。1時間ほどナタ鎌を振り伐開作業を行った際には上着もベチャベチャになってました。 こうなると、心臓バクバク、頭痛も少々(来年はフードタイプかクールヘルメットを購入しましょうか?)。
あと、首からいろいろモノを下げているのですが、それがあると首元から風が出てきません(あたり前ですが、購入時には気が付きませんでした)。
一方、それがないと 腕に抜ける風が弱くなり、手首のあたりなどが汗で濡れてきます。
あと、ファンの付け替えも面倒。これはマキタの方がよかったように感じています。発売されて5、6年ですので、まだまだ改良されるのでしょう。

空調服の下に着るようになったコンプレッションウェア。これ、「当たり」でした。
以前、下請さんから 「元請さんが着たらダメでしょう」 と言われて購入を控えていたのですが、空調服の下にはこのようなピタッとしたインナーが効果的だそうで、今年購入しました。原理はよくわかりませんが、夏用で、弱い風に当たっただけでも涼しく感じますし、空調服がなくてもすぐに乾いてさらっとしています。べたつかないのが個人的に最大の「お気に入り」になっています。
これらの効果でしょうか、肌がすべすべで、今年はあせもができていません。(いや、すべすべは宿の温泉の効果でしょうか?)

色々な機能を持った服が考えられているのですね。
それぞれの特性を生かし、この夏を乗り切りましょう。

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20160810追記
空調服の上からでなく、インナーの上からモノを下げるようにすれば、首元に風が通ります(肘から下が部分的に汗で濡れますが)。あと、冷凍したペットボトルを内ポケットに入れておくと、半日以上持ちますし、涼しいような気がします。
激しい作業はダメですが、踏査ぐらいなら汗で濡れることはほぼないようです。水分は取っているので、すぐに蒸発しているのでしょう。


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20160827追記
1時間ほど打捨てられた竹藪の中を歩きました。
すり抜けたり、漕いだり、刈ったり。
踏査だったのですが、空調服でも汗と埃でドロドロになりました。

2016年8月4日木曜日

タッチパネルの気泡

撮影画像を確認しようと車内に戻り衝撃!

VAIO のタッチパネルに 2cm程度の気泡が出ています。

以前より5mmくらいの気泡があったのですが、今回は別。かなり大きいですね。
炎天下で社内に放置しており、たまたま荷物の一番上にPCを入れた鞄が出ていて、さわるのもためらうほど熱くなっていました。この熱が原因でしょう。

そういえば、以前、このような口コミも以前見ていました。忘れていましたね。
http://bbs.kakaku.com/bbs/K0000423505/SortID=19344340/


お気に入りですので、まだ使います。暑さに(私が)負けないよう、大事にしましょう。

2016年8月2日火曜日

不飽和地盤の透水性

設計者から、問い合わせ。
「不飽和地盤の透水試験ができるか?」

できません。
いえ、古い大きなマリオットタンクが他支店にあるそうなので、できないことはなと思います。が、個人的にそれを見たことも使ったこともありません。

不飽和地盤の透水係数を求める際、通常は力学試験の実施も念頭にサンプリングを行い、室内透水試験を実施します。浸透流解析も飽和透水係数を設定し、それに対する不飽和透水係数の比を飽和度の関数として設定します。

これに対し、原位置の不飽和透水試験のメリットは何でしょうか?
先日、この点に関し話を伺う機会がありました。メリットは大きく3つ。
①スケールの影響を抑えられる(ただし、孔内で実施する場合であり、現在基準化の最中です)
②サンプリングや試料作成時の擾乱を考えなくてよくなる
③地表の植生の影響を取り入れることができる
3つ目が大きいですね。これは計算結果に大きく効きそうです。

なお、原位置不飽和透水試験で求めた透水係数は、当然、飽和透水係数よりも小さくなります。 数か月前まで意見募集中であった不飽和透水試験の基準案でも、飽和透水係数とは区別されています。実務でどのように扱っていくか、ある程度の割り切りみたいなものは現状でもあるのですが、基準の解説で何か触れられるでしょうか?

不飽和地盤の透水性に関してはある程度の目途が立っています。力学については、まだまだですね。
不飽和地盤の挙動、「使ったことがない」など我関せずではなく、危機感をもって接しないといけません。

GMS が動かない

2日間で計10時間ほど移動に費やしました。

そのうち4時間、防災科研の GMS のテストをしていました。
J-SHIS のデータを切り出して読み込めるため、このソフトを選んで波動伝播シミレーションをかけてみようと思ったのです。観測結果の考察の妥当性確認が目的です。
が、うまく行きません。
計算をかけようとすると、境界面に関するエラーが表示されます。
例題のように境界面を決めて、その上の物性を一律指定すると解決するかもしれませんが、それだと J-SHIS モデルを読み込んだ意味がなくなります。読み込めるとあるので、恐らく、他の箇所で引っかかっているのだろうと思うのですが、それをみつけられません。

対処法はマニュアルに書かれていません。FAQ にもありません。
その後も 4時間ほどモデルを触っていましたが、解決しませんでした。

うーん。今の私には、まだ早いと言われている気がします。

2016年7月30日土曜日

リンク効果

FFTでデータが2nに足りない場合、後続に振幅0のデータを加えるという手法があります。

これ、結構なことでは?と思うのですが、データの頭などの振幅が大きいと、案外リンク効果が外れません(両側に0を足す、というアルゴではまずいのでしょうか?)。
静かなデータを選んで、と言うのは、単にノイズが少ないことだけでなく、データの両端の振幅が小さいことを確認して、ということなのでしょう。

今回、バンドパスを通していると、両端のリンク効果だけでなく、中間にもサインカーブの様な単純波形がでてきました。おかしいと思いソフトメーカーと話しているうちに、バグであることが判明。修正版を送っていただきましたが、これで大丈夫、という安心感を得られずモヤモヤしています。

波形と言うのは変換、計算の連続でチェックが難しいですね。
理論と経験、どちらも必要というのはどの分野も共通でしょうが、なかなか満たすのは難しいと思います。


2016年7月28日木曜日

ボーリング調査時の安全管理

安全に妥協はありません。

色々な会社と一緒にお仕事していますと、安全管理にお金をかけているかどうかで社風が見えてきます。感心させられる会社もあれば、その逆も。
調査目的のボーリングに関しては、建設業法の建設工事に該当しないので、他律的でなく自律的な安全管理が主体となり、余計に目立ちます。

ボーリング調査での確認ポイントは現場により異なります。が、主に以下の点が共通点として挙げられると思います。

・資格(移動式クレーン、玉掛け、足場、若い人はボーリングマシン運転)
・ワイヤーの交換(前回の交換日は?点検色が混じっていないか?)
・持ち込み機械(移動式クレーンの年次点検などの確認)
・ヘルメット、安全帯、ライフジャケットなどの装備(交換目安を過ぎていないか?作業に適した種類か?通達に沿っているか?)
・安全施設の準備(バリケード、防音シート、看板、サインボード、チューブライト、H鋼ガードレールなど)
・許可申請(道路使用、河川区域、港内作業、岸壁使用など)
・歩道確保(ex.75cm)。
・難しい場所での仮設、三又を人力で倒す際などの人員確保(3人?2人?安全確認は?)
・KY、安全教育、熱中症対策などの実施状況


きっちりされている会社とは、安心して一緒に仕事をできます。
チェックリストを使用されているところもありますね。

私が勤めている会社はと言うと、
相手の方が不安を抱えられるかもしれません。うーん。

2016年7月25日月曜日

地すべり防止施設の点検マニュアル

先日、第三系の地すべり地帯を歩く機会がありました。

長時間の運転で到着。緑が美しい+山の傾斜が一律緩い、というのが第一印象。
目に映る範囲の山々が全て緩く、高さもそれほどありません。あちこち、滑ってそうです。傾斜が緩いから安定、という訳ではありません。こういうところの切土は、悩みますね。
集水井を覗いてまた納得。一律浅い。傾斜が緩いので、地表からだと横ボーリングが届かないのでしょう。四国や由比の地すべりとは一味違います。

そういえば、今年の地すべり防止工事士の更新講習では、地すべり対策施設の維持管理が講義の中心でした。時代だなあと思いながら聞いていましたが、役に立ちました。
点検マニュアルは国交省さん、農林さん、県、土研さんなどで、別々に出されています。今後、斜面協会からも出版されるそうです。

「砂防関係施設点検要領(案)」平成26年9月24日 国土交通省砂防部保全課
http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/sabo/tenken.pdf

「地すべり防止施設の機能保全の手引き ~抑制工編~」平成25年6月 農村振興局農村環境課
http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/tyotei/t_zisuberi/pdf/tebiki_all.pdf

各現場によって地すべりの深さや傾斜に違いはあるでしょう。しかし、対策工の種類は限られています。維持管理で見る視点はそれほど変わりません。
人材共有を目指し、マニュアルを統一していただくと、ありがたいですね。

2016年7月24日日曜日

波動の基礎知識

今日は久しぶりの空き時間を、読書に費やしました。

まず、大崎順彦「新・地震動のスペクトル解析入門」。

以前より何度か読んでいましたが、基本、ソース部分とそれに関する記載箇所のみで、飛ばし読み状態でした。今日は最初からp110までの、微動の整理にも多用する箇所を中心に読み進めました。


途中、ナイキスト振動数が出てきました。
これ、先日、ソフトメーカーに問い合わせた中でも出てきました。H/Vを計算させるのに周波数領域を指定するのですが、その指定した領域と書き出された領域が高低両者とも一致しません。
これを問い合わせたところ、「指定は画面表示のみで、計算はすべての周波数で実施している。上限が50Hzとなっているのは、ナイキスト周波数で、サンプリングを100Hzとしているのでは?」との回答。
はい、正解です。

もう1冊。
斎藤正徳「地震波動論」
こちらは親切な補足があるにもかかわらず、途中でKOされました。数式もそうですが、内容すら理解できない個所があるのです。大学の講義用テキストらしいのですが、この方面、私の基礎力がまだまだ足りません。
はしがきを見ると、応用地質さんの物理探査グループも絡んでいるようですね。この内容を1企業内でゼミとして受講できるのはうらやましい限りです。

まだまだです。
また、時間あるときに読み返しましょう。


2016年7月23日土曜日

熱中症対策

梅雨が明けた?と思ったら、8月のお盆前まで出張決定。

夏が来た途端に、毎日外歩き!?と思いつつ、準備のため近くの店に買い出しに。
そこで見つけたのが空調服。昨年から現場で見かけていましたが、試着できる店は初めてだったので、着させて頂きました。

まずはマキタのファンジャケット。
良いですね。涼しい。腰から背中を中心に風を感じます。汗が引きます。腕はさすがに風の通りは弱いですね。バッテリーが少し重いですが、なかなか良いと思います。バッテリーチャージャーはあるので、ファンジャケット、バッテリーホルダー、バッテリー1個で\25,800也。

次はSUN-Sの空調服。
うん、これも涼しい。若干、こちらの方の風通りが良いように感じますが、大差なしです。バッテリーが小さく内ポケットに入る仕様ですが、稼働時間はコチラの方が短い。充電に必要な時間も5時間。お店の方によれば、バッテリーを2個買って帰る方もいらっしゃるようです。ブルゾン・ファンユニット・バッテリーセットで\21,500也。

最初なので、相対的に安くて軽い方(と言っても高くて重いのですが)「空調服」を購入。

最初の充電は4時間くらいでした。早速、ファンをブルゾンに取り付けてみました。マキタのファンはジッパーで着脱容易でしたが、空調服はイマイチ。時間がかかります。コードが長く、取り回しもイマイチ。これ、朝に付けるのは面倒ですね。やはり、洗い替えが必要でしょうか。
山に入るとファンに枝が刺さって壊れそうなので、不織布を切って輪ゴムでとめ、カバーにしました。うーん、取り付けにくい。マキタの方がよかったか。


現場では、WBGT値の掲示で作業員に熱中症の注意を促すケースがあります。が、これ、ほとんど役に立ちません。
現場に掲示することで元請側の安全管理責任を果たしている雰囲気が出ます。一方、下請(あるいは元請の社員)は以下の様なロジックで物を考えているのではないでしょうか?
・WBGT値高い>休憩をこまめにとる>出来高が稼げない、進捗が遅れる>怒られる、稼ぎ減る。>暑くてもがんばろう。

これが、以下のようになれば、解決に一歩近づくのでは?と思いますが、なかなかでしょう。
・WBGT値に応じ、作業時間50分で休憩時間10分など、元請が時間・工程について管理する。その指示に基づいた下請の進捗遅れ分の賃金を施主・元請が合意・保証する。要は夏単価の作成・採用です。

暑くても頑張っていつも通りの進捗を、という方向の考え方は危険です。が、施主側の単価が変わらない以上、現段階では自衛するしかないと思います。

空調服、どの程度活躍するか。使用結果は盆前に。

2016年7月22日金曜日

昔の数値解析

先日、先輩から教えていただいた「地盤工学における数値解析の実務」を眺めておりました。

土質工学会、29年前の古い図書です。
存在は知っていましたが、数値解析の初期の図書だと思い込んで読んでいませんでした。
 
中を見て驚いたのが、崩土の運動モデルから説明があったこと。運動エネルギーの変化と位置エネルギーの変化を等式で結ぶところから、書かれていました。ま、LSFLOW も古いコードですから、この時期に、このような話があっても不思議ではありません。むしろ、当然です。

浸透流は勿論のこと、降雨による強度低下を取り入れた計算もありますね。現在、ほとんど進展していないのはなぜでしょう?
地震応答解析、圧密、掘削、トンネル、地下空洞なども一通り掲載されています。定数の設定方法など、実務での工夫には驚きました。昔の方が、自由に設定できた印象を受けます。楽しそうですね。

基本的には、約30年前には数値解析の考え方と実務への適用法が出来上がっていたようです。その後、ハードが発達し、大きな器を使える恩恵を受けたというのが現在の大きな変化でしょう。数値解析のコアが大きく変化していないことに関してはやや複雑な思いですね。

昔の方々はよく考えられていますね。あらためて感心です。

2016年7月21日木曜日

1軸は4供試体?

一般的に、1軸圧縮試験では1試料3供試体が多いように思います。

ところが、港湾では1試料4供試体が標準となっています。旧運輸省港湾建設局時代からの決め事です。

トリプルも 116mm が基本です。つい先日も、86mm ではダメだと後輩が言われていました。(出典は1軸と同じです)
116mm だと、5インチのケースを多めに段取りしないといけません。モノも手間も大きくなります。

技術とは別の部分ですが、こういったお客様にとっての「しきたり」「常識」も覚えておかないと、つまらないところでロスが発生します。注意しましょう。


2016年7月20日水曜日

2次元弾性圧密解析

圧密解析を弾性解析で解くことがあることを、先輩から教えてもらいました。

ソースは以下の通り。 実務的だなあと感じましたね。
土質工学会「地盤工学における数値解析の実務」
29年前の古い図書です。

全応力のE50から有効応力のEへの変換は、どこかで見たことがあるなあと思ったら、コレでした。
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/04/blog-post_47.html

圧密試験のmvからEへの変換は以下の通り。
平面ひずみ状態の仮定ですから、3次元にそのまま使えるかどうかはまた別のお話。以前の講習会では気にしなくてよいとも伺ったことがありますが。





これ、知りませんでした(有名な式ならどこかで見てるかもしれませんが)。調べる必要がありますね。

  先輩がおっしゃるには、やはり合わせ込みが必要とのこと。何に合わせるかと言うと、2次元圧密計算。本末転倒の様な気がしますが、応力状態を求めたいので仕方ありません。

しかし、応力が必要であれば、塑性も考えなくてはダメでは?と思います。 弾塑性でしょうね。

2016年7月19日火曜日

H/V

春先に実施していた常時微動測定データを整理していました。

この整理の中で、H/V の算出方法について疑問点が出てきました。
これ、採用する時間(データ個数)や算出式に決まりはないようです。

実務でよく使われるのは港湾基準でしょう。平成24年3月の部分改訂で算出の手順が示されています。163.84 秒はFFTの制限から来ているのでしょう。
以前、水平2 成分の自乗平均の平方根を用いるよう指導があったようですが、基準では自乗和平方根となっており、ベクトルの長さとして理解しやすくなっています。
http://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_tk5_000017.html

修士論文でも面白い内容が公開されています。採用時間、算出式ともに上記内容とは異なります。式は理論H/Vに合わせているとのこと。
http://www.kochi-tech.ac.jp/library/ron/2009/g19/M/1125109.pdf
微動のH/Vスペクトルから推定した 高知平野のS波速度構造断面

「理論H/V」を知りませんでした。固有周期とH/Vは経験上のノウハウに近いのかと思っていましたが、そうでもないようです。早速、図書を注文しました。
表面波ともリンクしていますので、学ぶべき箇所だと思います。まだまだ基礎が足りません。


整理結果は、予想以上に面白くなっています。
もっと、基礎力をつけ、測定箇所を増やし、分析を進めましょう。


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20160724追記
参考図書「地震波動論」を見ましたが、理論H/V を見つけられませんでした。

2016年7月18日月曜日

H28 技術士

今年の技術士試験は、ダメでした。

午前中は体調すぐれず、隣のおじさまの臭いと机の揺らされ具合がプラスし、気分が悪くなりました。もうダメかも、と考えながらマークシート修了。(ニオイに関しては、女性技術者の方が不利ですね。)

午後はそこそこ準備していたつもりでいましたが、問題を見た瞬間OUT。せっかく頑張ったのに、と思いつつも手は動き、紙面は埋まってしまいます。内容のない薄っぺらい文章ですが、年の功です。相変わらず漢字も出てきません。
ただ、集中できていたのか、ひと段落した時には残り30分。まだ数年は大丈夫なようです。
 
帰ってからネットを見ると、問題に対しては同じような感想を持たれた方が複数いらっしゃるようでした。一方、できた方も中にはいらっしゃるようですので、力のある方を選別するには良問だった、と言えるとも思います。

さ、気を取り直して、明日から仕事に向かいましょう。


2016年6月12日日曜日

ボーリング調査と建設業

建設業許可は国土交通省の管轄です。

地質調査を行うボーリング屋さんは、建設業許可が必要か?というと、必要ではありません。調査目的のボーリングは建設業法の建設工事に該当しないためです。
https://www.pref.ibaraki.jp/doboku/urado/documents/kyokatosyurui.pdf

では、建設工事を請け負った施工業者さんの下請けで調査目的のボーリングを実施する場合はどうなるか?と言いますと、本来、建設業許可は必要ないのですが、実態としてはその許可とともに主任技術者の配置を求められ、建設業法関連書類を提出し、施工体制台帳に載ることが多いと思います。工程・作業ヤードの調整や安全管理面において、現場での他業者さんとの調整は必須になりますので、建設業法に準じ、書類・現場対応を要求されるのでしょう。
https://www.cgr.mlit.go.jp/chiki/kensei/kensetu/pdf/t_03.pdf
https://www.cgr.mlit.go.jp/chiki/kensei/kensetu/pdf/t_09.pdf

厚生労働省の労災保険率の区分とは切り離してして考えたほうがよさそうです。



2016年6月5日日曜日

ボーリング調査に関する労災の取り扱い

国土交通省の平成29年度社会保険未加入対策に揺れている?建設業界ですが、厚生労働省の労災に関しても理解しておく必要があります。

以下、ボーリング調査に関する労災の取り扱いです。誤りがあれば、わかった時点で是正します。


●政府労働者災害補償保険(一般に「労災保険」)

労働者が業務上の事由又は通勤によって負傷したり、病気に見舞われたり、死亡した場合に被災労働者や遺族を保護するため必要な保険給付を行うもの。労働者が1人でもいる会社は加入義務付け。

労災保険の適用単位は有期事業と継続事業に分かれる。

建設コンサルにおける地質調査のためのボーリング作業は、厚生労働省の労災保険率分類において、建設事業の有期事業に該当。
http://www.srup21.or.jp/wp/wp-content/uploads/2015/11/anzen166.pdf


有期事業の労災保険については以下の通り。
保険料の支払いは業務毎(ひとつの現場毎)ではなく、一括有期事業として1年分の業務をまとめて前払いしている。
「ボーリング」が業務内容に含まれると、総務がその業務を一括有機事業保険の対象として計上し、1年後に過不足分を調整する支払い形態となっている。

一括有期事業の労災保険では、被保険者は直営のみでなく、下請けボーリング屋さん、そのアルバイトさんも含まれる。(現場単位で元請けが保険をかけているイメージ)
ただし、個人事業主(自営業)・一人親方(社員なし)・経営者などは対象外(法律上は労働者にあたらないので労災適用外)。通院費はもちろん、休業補償なども元請けの労災保険では出せない。

一人親方は労災保険をかけられないため、政府により「労災保険特別加入」(任意)の制度が設けられている。※法的に強制ではない
屋号のもとに親族数人集まって働かれている方も、各自が特別加入されている場合もあります。

●法廷外保険(任意保険)

各種保険あり。例えば、以下の通り。

①労災上乗せ保険
通常業務が対象(通勤災害・天災等含む)
遺族への損害賠償対応や労災での不足分をまかなう目的。

②第三者賠償補償制度
事故を起こした場合のモノに対する損害賠償など

2016年5月20日金曜日

波形

4月から余裕ができましたので、微動探査や連続波形の分析(熊本地震ではありません)を行っています。

あらためて思ったことは、「手を動かして初めて理解できる」「手を動かすと新たなものが見えてくる」です。波は周波数帯の選び方によって見え方が変わってくるので、センスが必要だと思います。センスも知見もない私は、試行錯誤あるのみですが。

昨年の成果については、先輩が発表されます。私のアイデアがうまくはまったのですが、新たな意見が出てくれば儲けものです。土研さんの名前も入っていますので、否定的な意見は出づらいかもしれませんが、会場の反応があることに期待したいところです。

あまり過去に手が入っていない分野ですので、まだまだ新しい発見があると思います。とにかく、手を動かしましょう。

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先輩に聞いたところ、反応は薄かったようです。orz

2016年5月14日土曜日

土壌雨量指数

RBFN の検索をしていると、土砂災害警戒情報を通って、気象予報士の問題に到達しました。

第44回実技2の試験に、土壌雨量指数を推定する問題が出ています。
http://www.jmbsc.or.jp/hp/cwfe/p0120.php

試験会場でタンクモデルの計算はできないでしょうから、感覚で答えるのでしょうか?何か簡易計算の様なものがあるのでしょうか?

ま、感覚で答えても当たりましたが、納得いかないのでちゃんと計算してみることにしました。以前にも記載したように、気象庁のHPに式とパラメーターは掲載されています。この程度であればEXCELで十分でしょう。

式を1から入力していくのも面倒ですので、何か計算フォーマットが落ちていないかなあ?と探してみると、VBAで関数を組まれている方がいらっしゃいました。
内容を追ってみましたが間違いないようでしたので、それをコピペ。ブック内でその関数を使えるようにしました。

ですが、うまくいきません。
傾向は合うものの数字がぴったり合いません。やはり、感覚で答えるのが前提で、試験の数値は厳密なものではないのでしょうか?

実際のところは分からないままでしたが、気象予報士の試験にこのような問題が出ているとは、驚きでした。地質屋さんで気象予報士を持っていらっしゃる方がいますが、受験された理由の一つが分かったような気がします。

2016年5月5日木曜日

震源球

熊本地震の報道・報告を見ていて、震源機構の説明されているのにステレオネットの様な図を使われていました。

今までも目にしたことはありましたが、あまり興味を惹かれずスルーでした。
なぜか今回は興味を惹かれ、地震屋さんに聞いてみました。結果、「気象庁の HP を見よ」とのこと。

少し探して見つけられず、そのまま数日。今日、本屋さんでその解説を見かけました。「震源球」と言うそうです。

「震源球」で調べると、あっさりヒットしました。気象庁のHPです。
http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/mech/kaisetu/model_gyaku.html
Hi-net の方が理解しやすいでしょうか?
http://www.hinet.bosai.go.jp/about_earthquake/sec3.2.html

押し・引きの形で色を変えてプロットしているだけなのですね。このような単純な図化だけで方向を推定できることに感心しました。昔、PS検層のS波の出し方の単純さに驚きましたが、それを全国規模に展開しているようなものです。

波形を見て最初に気づかれた方は、素晴らしいと思います。


2016年4月27日水曜日

熊本地震 地震被害調査結果 速報会

土木学会 地震工学委員会より、下記の報告会がありました。

「平成28年(2016年)熊本地震 地震被害調査結果 速報会」
http://committees.jsce.or.jp/eec2/node/76

私は午前中のみ YouTube のLive 配信を見ていました。予想以上に興味深い内容が多くありました。以前より、後輩が「聴講に出かける」と言っていましたが、納得の内容です。

個人的には、「地震動 ・ 地盤震動」の報告が興味を引かれました。微動計の測定結果を用いてサイト増幅特性などの評価をされていましたが、結果の一つとして、「疑似速度応答スペクトル:周期0 6. ~1 8s . の範囲で鷹取波を上回る」「必要強度スペクトル:全周期帯域で鷹取波を包絡or超過」などを示されていました。今後の動向に注目です。
地震が発生し、次の日には測定を開始して、結果、16日の本震をとらえるといった研究心にも驚きでした。斜面災害調査の場合は、現地救助活動・住民感情優先、2次災害防止などの観点から、ある程度落ち着いたころを見計らって調査に入ることが多いのですが(発生直後に入ってくる団体もいらっしゃいますが)、地震研究者はすぐに向かわないとダメなのでしょうね。今回の報告を聞いてそのように感じました。

午後の配信は見ることができませんでしたので、資料を DL し確認しました。知りたかったトンネルの;被害報告もありました。変状写真が掲載されていましたが、どのような変形モードになっていたのかはよくわかりませんでした。こちらの見解も、今後押さえておかないといけないでしょう。

高々数十年の知見では、まだまだ情報や想像力が足りないというこを暗示されたように感じる報告会でした。


2016年4月20日水曜日

やり残し事項2016

随分遅くなりましたが、やり残し事項の更新です。
増えたのか、減ったのか分かりませんが、今年もできるところから処理していきましょう。

道具
帯磁率計(携帯型)
ガンマ線測定器(携帯型)
振動三軸
XRF

技術
動的解析(耐震、液状化)
圧密
斜面設計
微動探査
Deep Learning

資格等
・技術士(あと1つ)

コード
・DtransuのCUDA化・・・100万で購入可。
・粒子法コード作成・・・OpenMP、CUDAの実装は200万で購入可。
・剛体(DEM)+粒子法のカップリング(900万で販売されている)
・DtransuとPhreeqcのカップリング(500万で販売されている)Phastでも十分。

国土地理院の熊本地震情報

国土地理院さんの調査結果が公開されています。
http://www.gsi.go.jp/BOUSAI/H27-kumamoto-earthquake-index.html

空中写真や GPS のみでなく、UAV による動画も公開されています。昨年9月の関東・東北豪雨からでしょうか?
このUAV動画や斜め写真があれば、SfM で3D地形を起こすことが可能です。実際、公開直後の地理院データを利用し、3D モデルを作成・紹介されている方が複数おられました。動画や斜め写真に標定点がないため座標・スケール設定は「なし」のようですが。
ま、ここ1~2年で UAV や SfM が認知されてきた証のように感じます。

地理院さん自身は SfM を実施されていませんでしたが、発災前の DEM を利用した立体地図を公開されていました。阿蘇大橋の崩壊地周辺で作成されています。しかも、VRML や STL で DL できるようにされていますね。それだけ 3D プリンターも普及し要望が増えてきたということなのでしょう。

UAV → SfM → 3Dモデル、という作業はルーチンワークです。今回は UAV を地理院さん、その後の作業を各ユーザーが担った形となりました。今後、地理院さんがルーチン部分をすべて実施されるかもしれません。期待しましょう。


2016年4月16日土曜日

活断層 と GPS

熊本から始まった地震。大分まで進展してしまいました。

この付近の活断層に関しては、先日のNHKスペシャルで放送されていました。過去15年間の震源分布を表示されていましたが、Hi-netで見る今回の震源域とも矛盾ないようです。
巨大災害 MEGA DISASTER Ⅱ 日本に迫る脅威 地震列島 見えてきた新たなリスク

京大防災研のHPでも、今回の震源との対比が示されています。
平成28年(2016年)熊本地震:西南日本のブロック断層モデルについて

産総研の活断層データベースでは、阿蘇山の北東側で断層が認定されていません。噴出物によって覆われ、わからなくなっているのでしょう。
 ただ、過去の震源分布は明瞭に大分まで連続していました。GPS でもブロックを区分されています。表層の地形や地質だけでなく、過去の震源分布や GPS も組み合わせると、ひずみの蓄積されつつある面は抽出できるということでしょう。次に地震が起こるのはその中のどこか?いつ起こるのか?までは、わからないようですが。

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23:58追記

本日のNHKスペシャル「緊急報告 熊本地震 活断層の脅威」を録画して見ていたところ、上記のブロック断層モデルを作成された西村准教授の話が出ていました。残念ながら重ねられた震源分布は1日前のものです。Hi-netの自動震源処理マップで最新のデータをプロットした方が、熊本-大分間の連続性が分かると思います。

GPSの動きの話もありました。南阿蘇村の測定点が97cm南西へ動いたようです。地表のずれも放送されています。活断層による地震と理解して間違いないでしょう。

地表での応答スペクトルの話もありました。0.5秒付近と1.5~2秒付近で兵庫県南部地震よりも大きくなっていました。昨日、社内でも報告があったのですが、1秒以下のみが上回っている報告でした。本震として使用した波が違うのでしょうか? いずれにしても一部で兵庫県南部&東北地方太平洋沖を上回っていますので、今後の対応に注目です。

放送後半で死者41名の報道あり。ご冥福をお祈りします。

2016年4月13日水曜日

トンネル情報化施工の発展

トンネル調査について相談がありました。

300mの土被りで、事前調査が空白地帯の区間に対し、追加調査を実施したいとのこと。

難しいですね。


トンネルの事前調査には(一般的なコスト感覚では)限界があると思います。
物理探査や地表踏査では、300m下の地質分布を描くことはできますが、亀裂分布やそれに伴う変質・破砕程度を予測できません。支保+補助工法に供するレベルという点では後者が必要であり、事前調査が「当たらない」理由の一つになります。ましてや湧水の予測はさらに困難でしょう。
この分野では、事前調査で坑口部や低土被り部の問題を検討+全線の大まかな支保パターンを区分し、掘削時の情報化施工で実際の地山に対応するのが現状だと思われます。

情報化施工に関してはゼネコンさんが素晴らしい技術をお持ちです。
昨日、大成さんが2種の広報を発表されました。

トンネル先行変位計測システム『TN-Monitor』を開発
切羽前方の微細な地盤変形を正確に把握
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2016/1439209140224.html

トンネル湧水対策計画ツール「T-WELL_PLANNER」を開発
山岳トンネル工事での迅速かつ効果的な湧水対策が可能に
http://www.taisei.co.jp/about_us/release/2016/1439208703034.html

特に後者には驚きです。解析に5日←分かります。解析に半日←お手上げです。
事前に準備すれば、ココまで対応可能なのですね。素晴らしい。
https://www.decn.co.jp/?p=66047


ゼネコンさんの情報化施工技術の発展に比べ、事前調査分野が停滞しているのは間違いありません。何とかしたいですねえ(私にはお宝が眠っているように感じるのですが)。

2016年4月9日土曜日

UAVを用いた公共測量

4月になり、i-Construction 関連の基準が新規追加・改訂となりました。
http://www.mlit.go.jp/common/001125408.pdf


UAVを用いた公共測量マニュアル(案)
http://psgsv2.gsi.go.jp/koukyou/public/uav/index.html
UAV を公共測量に利用できるようになりました。
意外と短期間でしたが、厳しい内容に仕上がっています。
基本的には複数の標定点・検証点を設置する内容になっていますので、崩壊地や災害現場でなく、 比較的大きな土工現場での土量管理での活用が多くなりそうです。
国交省さんからの問い合わせが複数ありますし、需要もあるので、測量屋さんも対応せざるを得ないでしょうね。

電子納品基準
http://www.cals-ed.go.jp/cri_point/
ICON(i-Constructionデータフォルダ)が追加されています。その中身についての記載はなく、次の交換標準に従って作ったものを自由に入れる形になりそうです。とりあえずは i-Construction の知名度向上が狙いでしょうか。
その他、細かい点が改善されています。

LandXML1.2 に準じた3次元設計データ交換標準(案)
http://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bunya/cals/information/index.html
道路と河川の電子納品仕様について記載があります。
数年前からこの基準は公開されていましたが、個人的には利用されているのを見たことがありません。国交省さんが i-Construction を推されていますので、今年度からは電子納品に含まれることが、でてくるかもしれません。


当面は、測量から変化が始まりそうですね。期待しましょう。

2016年3月25日金曜日

MS Office 64bit

MS Word のファイルが 200MB を超えたころから、保存に失敗するようになりました。

1度失敗しだしたら、保存できなくなります。こまめに保存を繰り返していると、ファイルが壊れることもありました。

で、64bit版に変更することに。
Office 32bit 版をアンインストール、その後に64bit版をインストールです。今回は Win7 2台の Office 2010 Pro、2013 Home を変更してみました。
64bit版の詳細はコチラ↓
https://technet.microsoft.com/ja-jp/library/ee681792.aspx


結果、

表示が速い!

Word に張り付けている多くの写真・画像が サクサク スクロールします。
これだけでも、なぜ最初から 64bit 版を入れなかったのか後悔するくらいです。

1週間ほど使っていたところ、230MB くらいで1度保存のできなかったことがありましたが、それも少し経てば保存できました。それ以外は問題なし。壊れることもありませんでした。

今のところ、不都合はありません。もう少し様子を見てみましょう。


2016年3月17日木曜日

深井戸と浅井戸

最近、観測している孔内水位が被圧地下水(の水頭)なのか、不圧地下水(の水位)なのか、よく聞かれます。

理学寄りの方は、その地点の自由地下水面より高い水頭を持つ場合に被圧地下水と呼ぶことが多いと思います。
一方、土木寄りの方は、掘削面を持ち上げたり、押し出し変形を与え たりするなど、掘削している(不透水)地盤に問題を与えるほど高い水頭を有する場合に「被圧している」といったように、現象面で呼ばれる方が多いと思います。
視点に違いがあるため、分からなくなるのでしょうね。

深井戸と浅井戸、ボーリング井戸と掘り抜き井戸もよく混在して用いられています。
被圧・不圧は詳しく書かれたものがありませんでしたが、深井戸・浅井戸は良いものがありました。
以下、深井戸と浅井戸の定義です。

地下水学会HPより
http://www.jagh.jp/jp/g/activities/torikichi/faq/9.html
  • 浅井戸は、第一難透水層より浅い帯水層に存在する地下水(自由地下水とも呼ばれます)を取水する井戸。
  • 深井戸は、第一難透水層より深い帯水層に存在する地下水(被圧地下水とも呼ばれます)を取水するための井戸のことです。
 http://www.jagh.jp/jp/g/activities/torikichi/faq/19.html
  • 被圧地下水は上下が難透水層でサンドイッチされた状態で帯水している地下水であり、これを取水する井戸は深井戸と呼ばれます。これらの地層中の地下水は遠く離れた山地に降った雨が何年もかけてゆっくりと地下を流れてきたものです。上部は難透水層で覆われ地層に勾配があるため、この帯水層の地下水には水圧がかかっており、井戸を掘削する(難透水層に穴を開ける)と水位は帯水層の深度より上部になります。被圧が大きくなると、地下水位が地表面よりも高くなり湧水となります。
  • 不圧地下水は不透水層が上部にない地下水であり、これを取水する井戸は浅井戸と呼ばれています。不圧地下水は自由地下水面と呼ばれる地下水位が存在し、揚水していない状態では地下水位と井戸の水位はほぼ一致します。降雨などにより水位は上下し、夏になると井戸が涸れた、という現象がみられることもあります。不圧地下水の地下水位の位置は帯水層の中のある深度に存在することになりますが、帯水層全てが地下水で満たされている(飽和されている)とは限らず、ある期間における地下水位の変動幅が帯水層の幅にイコールであるとも限りません。帯水層が存在しても地下水位がない(地下水が無い)場合もあります。
  • ちなみに、不圧地下水は地上から直接汚染物質が浸透する可能性があり、有害物質による汚染を受けやすい地下水です。
つまり、20~30mのボーリング井戸でも浅井戸はあります。 井戸の掘削延長で「深い」「浅い」ではないということです。

2016年2月28日日曜日

発注者の実力

最近、洪積層の圧密沈下に対し、先輩から2件の問い合わせがありました。

といっても、関空のように大型構造物を載せるような問題ではなく、一般の軽量構造物に対し「なぜ洪積層の圧密は考えなくてよいのか?」といったような基礎的内容。それをお客様に納得いただけるよう、その方のレベルに合った資料・図書を探されていました。「洪積は圧密しない」と明文化した資料は探しても出てこないでしょう(逆はありますが)。

最近、ネット検索や辞書を引けばわかる用語の定義から、高校レベルの数学の解説まで、報告書への記載を求められることが増えたように感じます。また、上記の例に限らず、大学の授業で習うような基礎事項や基準書の記載内容を「私達素人にわかるように記載すべき」「説明責任の範疇」と認識されているお客様も少なからずいらっしゃいます(記載すべき内容もありますが)。たまに、「基準を持っていないので報告書に添付すること」と仰る兵も。
また、現場に来られないので苦労・価値を分かっていただけない、現場へ指示をしながら後で「費用は出せない」など、サラッと言われる方も。
その他、支払えないが検討結果の記載は残して欲しい、支払えないが基準が変わったので新しい基準を適用してほしい、etc.。ま、ヒトの世です。このヒトの世を強かに生き抜いている技術者、経営者の方々は、さらに兵といった所でしょうか。

数年前、日経コンストラクションにて発注者実力ランキングが掲載されていました。法令遵守は勿論、上記のように経済性管理?のみでなく、総合的なマネージメントに長けている行政や会社が上位に入っているのでしょう。何らかの競争原理が働いているのかもしれません。
良いものを作るためには、双方の力が必要だと思います。

2016年2月27日土曜日

琉球石灰岩と地下水

最近、「ブラタモリ」を見るようになりました。
http://www.nhk.or.jp/buratamori/index.html

タモリさんが全国を散歩しながら、その土地の文化や歴史などに触れる番組です。最近は、地形・地質・地下水の話が毎回入っており、歴史上の人物や町のつくり方などとの関係を紹介されています。

今日は沖縄・首里でした。
首里城へは行ったことがないのですが、あのような高い位置にあったのですね。地質は透水性の低い島尻泥岩の上に透水性の高い琉球石灰岩が載っている構造だそうです。その境界から地下水が湧水している状況を分かりやすく説明されていました。

島尻泥岩・琉球石灰岩と聞いて思い出したのが宮古島。地下水の受け皿(地下水盆の底)になっています。地下ダムの建設でも有名です。
http://www.maff.go.jp/j/nousin/noukan/tisitu/t_tikasui2/index.html
以前、水収支の関係で浸透流をかけたことがあるのですが、すっかり忘れていました。本島にも分布し、しかもあのような高い位置に分布しているのですね。


首里城から町に降りて井戸の中を覗いた映像にも驚きました。
井戸の中を地下水が流れています!
ま、石灰岩ですし、宮古島の崖からも流れ出てますので当たり前なのでしょうけど、絵的にプチ衝撃でした。浸透流かけたときには(スケールが異なったこともありますが)、ココまでイメージできていませんでしたね。ちょっと反省。
でも、昔の人はどうやって水脈を追って井戸を作っていったのでしょうか?現代のような探査機器はないですし、棒を叩き込んで耳をあてて音でも聞いたのでしょうか?やみくもに掘ったのでしょうか?死活問題ですから鍛えられたのでしょうねえ。水脈探しの効率的な技が残っているのなら、拝聴したいものです。

地形・地質・地下水、昔の方はうまく利用されています。残念ながらその知恵のいくつかは失われているのでしょう。
このような内容を紹介される番組はレアですし、仕事とは異なった目線で純粋に楽しめます。続いている間は見たいと思います。

2016年2月23日火曜日

LS-RAPID 2.1 の収束性

LS-RAPID Ver. 2.1 で、斜面横方向に向かう土砂の飛び出しが発生しました。

どうして急に勢いがついて飛び出すのか?は、以前から疑問でした。LS-RAPID で計算を行うと、頻繁に「粒子法?」と見紛う結果が出てきます。

今回のケースでは、メッシュ間隔(5m)を dt(0.01s)×v(500m/s) が超えたときに発生していました。これを起こさないように、v に応じて dt を自動設定してくれる機能があるのですが、こちらもうまく機能しないようです。いえ、機能しているのかもしれませんが、そもそも、500m/sなどと、自由落下を超えた異常な速度が発生してしまえば、dt をいくら細かく刻もうと速度はすぐに低下しないのでしょう。なぜ、このような異常値が出てしまうのでしょうか?

まず疑うのは反復計算の収束判定値が甘い点。
これについては以前、五大さんのサポートに問い合わせたことがあります。が、残念ながら、五大さんはソルバーの中身にはノータッチだそうです。京大の先生の制作になっていますから、著作権含め分担・契約がきっちりあるのでしょう。

再度、サポートさんに詳しい話を伺ったところ、LS-RAPID では「反復回数だけ決めて、収束判定をしていない」とのこと。驚愕です。ま、サポートさんも詳しいことは御存知ないのかもしれませんので、真偽のほどは分かりません。ですが、どのような異常値が出ても発散せずに(途中で計算が止まらずに)、計算が最後まで続くことや、体積がどんどん増えていくこと(支配方程式が解けていないこと)などを考えると、辻褄は合います。収束判定値が甘いといったレベルでなく、「反復回数だけ決めて、収束判定をしていない」といった理解の方が正しそうです。

そうなると、不自然でない計算結果が得られても、途中の計算で収束しているかどうか、現状では判断できません。サポートさん曰く「それなりの形になれば収束していると判断している」とのこと。つまり、異常な速度が出たり、土砂が飛び出すような結果になれば、途中で発散、収束していないと判断するそうです。うーん。
一つの手としては、計算中に体積変化をチェックし、増え出したら OUT と判定する方法があるでしょう。ただ、増えなかったことはありませんし、判定できても対策はありません。つまり、現状、お手上げです。

緩い地すべりでは体積も増えないそうです。LS-RAPIDは、このような緩い、ゆっくりした動きでないと、本来適用できないのかもしれません。急斜面での崩壊や土石流などの問題に適用するにつれ不具合が生じ、それを押さえ込むパラメーターを追加していった、という経緯のようです。支配方程式やアルゴの点では、崩壊に対しても比較的安定して答えの出せる LSFLOW の方が、現段階では優秀ということでしょう。
LS-RAPIDは、次の Ver. に期待することにして、当分寝かせておきましょう。


2016年2月18日木曜日

崩壊の順序

土砂移動シミュレーションにおいて、その予測は難しいと思います。

過去の再現と今後の予測では同一地形を用いないため、厳密には同一のパラメーターを用いることができません(問題にならない精度の現場が多いように感じていますが)。実務では目的に応じ安全側を配慮して同定値を評価・予測に利用するわけですが、本来なら地形勾配や曲率でパラメーターの相関を探るといった一手間を加える必要があるのでしょう。古い技術ですが、これらに関し十分に議論されてきたとは言えません。まだまだこれからの分野だと思います。

予測は難しいのですが、過去の崩壊の分析には非常に有効なツールだと感じています。
何度か再現解析を行っていくうちに、「ココが先に崩れないと、この堆積形状にならない」「ココの小さなすべりを無視すると、土砂の流下方向が全く異なってしまう」などといった事例に遭遇しています(以前に書き残しているかもしれません)。 つまり、現況再現をする過程で、崩壊の位置・順序などが決まる場合があるのです。
また、崩壊面の位置・形状などといった根本的な3次元地質モデルが、結果を大きく支配することを示しています。地質屋さんの力量が非常に重要になってくるのです。

シミュを行うことで、地質解釈上の2事項のあいまいさが解消します。提示した地質モデルの妥当性と推定したメカニズムの妥当性です。これらを自身で検証できるのです。これは土砂移動のみならず、浸透流や弾塑性シミュなどにも共通します。
言いっぱなしでは技術力の向上は見込めません。観察・推定・検証・修正、これの繰り返しで地質屋になれるのだと思います。

土砂移動シミュ、ありがたく利用しましょう。


2016年2月16日火曜日

LS-RAPID の通常値

LS-RAPID のマニュアルには解析パラメーターの通常値が掲載されています。

参考にされたと書かれている文献を確認してみましたが、大きく外れている値もありました。

Sassa et al.(2010)An integrated model simulating the initiation and motion of earthquake and rain induced rapid landslides and its application to the 2006 Leyte landslide, Landslides, Volume 7, Issue 3 , pp 219-236

すべり面の運動時の摩擦係数の設定値が書かれていませんが、試験結果は39°程度になっています。

他の文献も高めです。
広島の土石流が37.5度。

佐々ほか(2014)高速長距離土砂流動現象の発生メカニズムと地すべり発生運動統合シミュレーション(LS-RAPID)を用いた広島土砂災害の再現, 国際フォーラム「都市化と土砂災害」p85

雲仙眉山は40度です。

Sassa et al.(2014)A new high-stress undrained ring-shear apparatus and its application to the 1792 Unzen –Mayuyama megaslide in Japan, Landslides, Volume 11, Issue 5, pp 827-842

通常値が25~35度とされていますので、公開されている文献は全て高めの値となっています。
土石流の運動時の摩擦係数37.5度は、一見、違和感があります。飽和時の有効応力表示としての試験値かもしれませんが、流下する段階で物性は変化しているでしょう。ま、谷部で計算に使う値は飽和のτss に設定されているでしょうから、実際、φmほど刺激は強くないと思われます。

それにしても、公開されている文献、まだ少ないですね。


2016年2月14日日曜日

維持管理時代の落とし穴

維持管理、メンテナンス、点検、予防保全。聞こえの良いキーワードです。

高度経済成長期に多く作られたと言われる土木構造物ですが、これまで十分な維持管理がなされていたとは言えない状況でした。事故を契機に、これから本格的な点検・メンテナンスを受けることになるでしょう。

喜ばしいことだけではありません。
そこで露呈するのが、手抜き工事。

施工業者が分からない古い構造物はさておき、近年の施工業者が分かるもの、検査し合格を出した方が分かるものは、お困りになるでしょうね。いえ、困りませんか。ヒトの世です。
ま、補修+対策を行う、という結果は変わらないと思います。

これから始まる維持管理時代。上記以外にも、新たな問題は出てくるでしょう。


深層学習の適用

記憶や経験を何かに蓄積させておくというのは、必要だと感じています。

既に老化が始まった身ですので、これからは記憶がどんどん失われていくと思います。ある特定分野に対し deep learning が利用できるというのは、後身だけでなく、己にとっても役に立つかもしれません。

といっても、1から実装する能力・気力もなければ、うまく利用できる保証もありません。
といっても、手を動かさなければ何も始まりません。

ということで、今日はネットに転がっているコンパイル済みのバイナリと画像データセットを拾ってきて、テストしてみました。

まずはトレーニング。手元にGPU搭載機がないため、CPUのみで実施。数が少ないので3時間程度で終わりました。

で、学習させた区分の中にある「ゾウ」のデータを新たに拾って、判別させてみました。結果は以下の通り。

画像1・・・ゾウ90%
画像2・・・ゾウ40%
画像3・・・サイ40%

サイって。ま、画像を見ると何となくわかります。保育園入園前位の知能ですか。
ゾウの学習データは 数十枚程度であったため、様々なバリエーションに対応するにはもっと数が必要なのでしょう。

次は、iPhone。
ガラケーの画像は覚えさせましたが、どのように反応するか?

画像1・・・携帯電話 40%

それなりの答えですね。何をどう判別しているのでしょうか?

次は猫。これは学ばせていませんし、体全体が入っていません。どのように反応するでしょうか?

画像1・・・ザリガニ20%

なるほど。両耳がピンとなっているところを ザリガニのハサミと判定したわけですね。
案外、面白い。


当然ですが、正答率を上げるには、判定させたいカテゴリーの画像を事前に数百枚程度用意しておく必要があるようです。効率的に利用するとすれば、以下の通りでしょうか?

・判定の必要なカテゴリー数の少ない分野で利用
・同じようなスケール、画角で判定できる方が効率的


そう考えると、ぴったりの分野がありますね。
トンネルの支保判定です。
通常、判定に必要な項目の選定と重みづけを、実績支保でチューニングした結果を利用しています。 このチューニング作業、まさに deep learning が得意とするところでしょう。支保パターンも数種類ですし、画像は切羽正面、天端、側壁の3種程度でしょうから。

面倒ですが、そのうち試してみますか。

2016年2月11日木曜日

深層学習

先月末、Google の開発(買収)した AI が 囲碁のヨーロッパチャンピオンに5局全勝したニュースが流れました。

先輩がとても興味を持たれていたようで、「これ、○○に応用できないか?と考えている」などと話されていました。それ、できるかもしれませんが、豪華すぎです。

話題の深層学習(Deep Learning)ですが、個人的には興味のないところです。あえて言うなら、GPU を使用する、といったところに興味をそそられる程度です。

といいつつ、 今日は近くの本屋さんで「深層学習」を探してきました。
1冊は機械の棚に、 もう1冊は地質の棚にありました。何か地質に関係する内容が記載されているのかな?と中を見ましたが、特になし。後で考えると、「深層崩壊」と似たフレーズなので誤って並べられたのでしょう。
結局、興味をそそられず、購入しませんでした。

深層学習を身近なところで導入するとすれば、岩石鑑定でしょうか?
サーバーにアップされた画像を判別し答えを返す、といったようなシステムは現段階でも構築できるでしょう(正答率は別として)。そのような作業は情報地質学会にでも任せればよいでしょうし、個人的には面白みのない話に映ります。正しく判別できたとしても、そこに根拠はありません。やはり、鉱物の種類、形状、組み合わせを見て岩石名を決めるところに面白みがあると思います。

一方、工学屋さんにとっては正答率が高ければ問題ないわけですから、一定のニーズが生まれると思います。岩盤を掘って、ハンマーでたたいた音と写真をサーバーに送るだけで、岩石名や土軟硬区分とその確率を返してくれると、使いたくなる方もいらっしゃるのではないでしょうか。もともと経験工学ですから、学習が進むほど正答率を上げて標準化されることは想像に難くないところです。

機械の強みは単純作業を長時間、繰り返し実施できることです。世代間で技術の伝承が途切れるというようなことはありません。酒を飲んで憂さを晴らす必要もありません。常時、トップスピード付近で何十年もブラッシュアップを続けることが可能です。経験工学分野では勝ち目のないような気がします。

囲碁で AI が人に勝利するのはあと10年かかると言われていたそうです。それが実現しました。さあ、3月の韓国での対戦はどうなるでしょうか。

2016年2月10日水曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その6

既に満足気味なのですが、本体の KScan3D 1.2 もテスト。

Driver Switcher から PrimeSense を適用後に KScan3D 1.2 を立ち上げますと、右側に画像、左側にScan のボタンがあります。「Scan」を押してみると、写真のように画像が取り込まれます。batch scan の設定もあります。
複数枚撮影後に、「Align」 で合成してくれます。自動で重ならない画像はマウスで近くに移動させてから「Align」すると、認識してくれます。

SCENECT と異なり、近くの人物や物をスキャンする用途に向いてそうです。Recap Photoで人物を作るのと似た感覚です。
書き出しは 3ds、stl、plyに加え、fbx も対応しているようです。十分ですね。

これで、ドライバーを容易に変更可能で、SCENECT、Fusion、KScan3D を使用できる環境が整いました。とりあえず、初期設定はココまで。


このKinect、AR (計測データの合成表示など)としての使い道も開発されています。地盤といった大きなモノには使いづらいですが、部屋ぐらいの大きさなら、流体解析結果(熱、空気の流れなど)と併せて表示させる使い道もあると思われます。というか、モデリングが楽ですよね。好きなものを好きなところに配置して、スキャンして取り込むだけですから。カーテンとか、椅子や壁に掛けた服とかでも容易にモデル化できますから、解析の幅が広がりそうです。

Kinectセンサー、まだまだ可能性はありそうですね。


2016年2月9日火曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その5

MS のドライバーで Fusion 以上のスキャン性能を提供してくれるソフトがあれば、解決です。

次はコレ。KScan3D http://www.kscan3d.com/

インストール中に、runtime などのサポートファイルが必要か聞いてくるのですが、その中に「PrimeSense」がありました。残念ながら、こちらも OpenNI のようです。ま、メッシュジェネレーターでもある点で、SCENECT と使い分けができそうです。
サポートファイルは既にあるものばかりでしたので、チェックを外して本体のみインストール。

開いてみると、興味を引くソフトが一緒にインストールされています。

「KScan3D Driver Switcher」

ひょっとして、ドライバーの切り替えができるのか!と期待してマニュアルを読んでみますと、できそうです。
http://manual.kscan3d.com/1.0/index.php/KScan3D_Driver_Switcher

まず立ち上げて、新しいプロファイルを作成し、add device で 個々にPrimeSense のドライバーを適用、保存。次にまた新たなプロファイルを作成し、MS のドライバーを適用 、保存。これで切り替え用の2つのプロファイルができました。

PrimeSense のプロファイルを Load し、Apply すると、数秒で適用でたようです。

SCENECT を立ち上げてみますと認識、Fusion はダメ。

次に MS のプロファイルを適用してみますと、

SCENECT はダメ、Fusion は認識。

完璧です!切り替え可能でした。すばらしい!
さすがに正攻法でのドライバーの入れ替えは不便なので、どなたか考えますよね。ラッキーです。

まだ続きます。




2016年2月8日月曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その4

Kinect V1 対応の Kinect for Windows SDK 1.8 を MS のサイトより DL。

インストールすると、デバイスマネージャーの表示が変わりました。Xbox 360 Kinect センサーを付けても「for Windows」で表示されています。


とりあえず、先の動画のリンク先より kinect-kamehameha_1.0b_for_KinectSDK を DL。解凍して動かしてみると、OK、カメハメ波が撃てました。SDK 1.8経由でも Windows10 で動作するようです。

続いて、Windows Developer Toolkit v1.8 をインストール。
Developer Toolkit Browser から Fusion Explorer を起動。カメハメ波でなく、こちらの機能が見たかったわけです。

残念ですが、結果はイマイチ。SCENECT の方が良かったですね。
STL やPLYで書き出せるのは良い点です。

ただ、この状態だと V2 対応の 3D SCAN はダメですし、SCENECT も当然認識せず、といった状況です。ドライバーの切り替えができないのでしょうか?

さらに続く。

2016年2月7日日曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その3

準備ができましたので、SCENECT起動。

ライセンス登録は後回し。
プロジェクトの設定を行って、start live tracking!


おお、画像が撮れています!部屋の中がスキャンできています!
4年前には既に見ていた Kinect の能力ですが、自分で実際にやってみると、あらためて驚きです。

とりあえず部屋の中をスキャンをして、PC内で見まわしてみました。できたモデルは微妙に傾いていますが、短時間でここまでできるのは非常に手軽ですね。扉などの大きさをPC内で測定してみましたが、大体あっています。スキャンだけで大きさが合う点は、写真から作成するモデルと決定的に異なります。Depth センサーのなせる業でしょう。

Recap photo などのSfMでは、通常、撮影対象を中心にカメラを移動させてモデルを作成します。一方、Kinect を使用したスキャンでは、それに加え、カメラを中心に外周をモデル化可能です。この点も、ユニークな特徴と言えるでしょう。

SCENECT は、スキャンが終わってからモデルを組み立てる仕様のようで、完全にリアルタイムとはいきません。が、結果はすぐに確認出来ますし、XYZの点群データとして書き出せます(DXFはCADで読めませんでしたが)安価なセンサー とソフトの組み合わせにしては、高機能だと思います。
バッテリー、インバーター、ノートPC 、Kinect を台車に載せるか、肩にかついで移動すれば、比較的自由に様々な対象をスキャンできそうです。屋外はダメですが、屋内や坑内で使えそうです。PCの代わりに、Raspberry Pi を使用して小型化されている例もあるようです。先の動画のように、ラジコンに載せてリアルタイムスキャンも、いつか実施してみたいですね。


ケーブルは大丈夫でしたね。Windows 10 で Xbox 360 Kinect センサーを認識できました。
次は、OpenNI でなく Kinect for Windows SDK での動作をチェックしてみましょう。

さらに続きます。

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20160208追記
Civil3D では DXF を開くことが可能でした。ソフトの性能なのか、マシンパワーなのか。

2016年2月6日土曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10 その2

地上レーザーのメーカーから Kinect V1 に対応したキャプチャーソフトが配布されています。
FARO SCENECT
http://www.faro.com/faro-3d-app-center/stand-alone-apps/scenect

信頼できそうですし、マニュアルに以下のように書いてありますので、最初はこれを入れることに。
・OpenNI 1.5.4
・SensorKinect driver (version5.1.2.1)
If these drivers are not available on your system, they will automatically be installed when installing SCENECT (if enabled during installation).
インストール後、早速立ち上げてみましたが、まだ駄目。Kinect を認識しません。

デバイスマネージャーを見てみると、「Xbox NUI Motor」のドライバーが入っていません。さらにドライバーが必要なのか、それともケーブルがダメなのか。

ネットで探して追加のドライバーを入れてみることに。

そのままでは署名なしドライバーをインストールできませんでしたので、BIOS で secure boot を off、立ち上げてから管理者権限でコマンドプロンプト、「bcdedit /set TESTSIGNING ON」を打ち込み再起動。

これでテストモードに入りました。
デバイスマネージャーから先ほどのドライバーのありかを指定すると、


あっさり認識しました。


先ほどとは逆手順で元に戻します。

bcdedit /set TESTSIGNING OFF
secure boot をon。



と、ココまでやって気付きました。「C:\Program Files\OpenNI\Driver」にドライバーがあるのですが、これ、SCENECT インストール時にコピーされています。SCENECTインストール時はテストモードでなかったのでインストールに失敗した、ということでしょう。順序としては、テストモード、SCENECT インストール、ですね。


続きは後日。


2016年2月5日金曜日

Xbox 360 Kinect センサー + Win10

3D Builder に 「スキャン」のボタンがあります。

これをクックすると、3D Scan といったアプリ(こちらは Windows 10 のデフォルトで入っていません)と連動するようです。この3D Scan、センサーは Kinect なんですね。そりゃ、そうでしょう、両者ともMSです。HPを見てみると、V2 が必要のようですね。

そういえば、Xbox 360 Kinect センサーが眠っているな、と思いだしました。以前、PCにつなげようかと思い AC アダプターを購入しかけましたが、高かったのでやめていました。
この頃ですね。もう4年前ですか。
http://phreeqc.blogspot.jp/2012/02/kinect-hack.html

時が経ちましたので中古でも出ているかな?と思い調べてみると、OEM 製品が1000円で出ていました。動作するのか不安もありましたが、注文しました。


今日、届いたので、早速接続。
古い機種なのでドライバーがインストールされるかも、と淡い期待を抱きましたが、案の定、認識しません。ま、そうでしょうね。ドライバを入れないと。

続きは後日。


2016年2月1日月曜日

3D Builder

Windows10 にデフォルトで入っているアプリ「3D Builder」が、どのようなものか気になりつつ、寝かせていました。

先日、時間ができたので触ってみました。
簡易モデラーのようですね。入力フォーマットは STL だけでなく、FBX や DXF にも対応しているとのこと。良いですね。

これ、ビューアーとして使えないか?と思い、Civil3D やV-nas Clair のデータを読み込んでみました。

STL はダメですね。やはり色が落ちます。
DXF もダメ。 概ね再現できていますが、一部で修復が必要と表示され、余計な面ができます。修復すると地形が崩れます。文字やポリラインなども表示されないですね。
地層を見回そうとしましたが、180°以上回りません。残念ながら、お客様に dxf を渡しただけでは自由に見ていただけないようです。
 
やはり現状では、CAD データは Bentley View で 3D PDF に変換し、お渡しする方法が良いようです。オブジェクト表示の on • off が可能ですし、dwg の再現性も、そこそこあります。3D PDF Reader などのアプリを利用すれば iPhone ・ iPad の様な携帯端末でも閲覧できます。また、断面形状の確認なども可能です。現場での持ち歩きと説明が楽になりますね。
多くの方が手にしているツールで、見たい箇所をいつでも、どこでも、自由に閲覧できるようになったのはありがたいです。

4、5年前では、土木分野での3次元化のニーズは小さかったように感じます。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/09/3.html
最近は i-Construction や CIM 推進の影響を受け、地形・地質・構造物などの3次元モデルが利用されつつあるようです。が、その閲覧、データの共有については、依然、個別の対応が必要になっています。3D PDFの利用は現段階での1手段にすぎません。対応できないモデルもあります。

今後さらに進展し、モデル閲覧・共有の敷居がグッと下がこと期待しましょう。