2016年9月1日木曜日

微動探査による地盤調査

図書館で本を探していた際、以下の図書に目が留まりました。

日本建築学会「建築基礎構造設計のための地盤評価・Q&A」 2015年11月

建築の基準書関連で、このような本が出版されていたとは気づきませんでした。

中を見ると、なかなか面白い。
地盤調査や評価についてまとめられた図書なのですが、耐震に関する話題(定数設定や調査の解釈など)が当たり前のように含まれています。繰り返し三軸や PS 検層だけでなく、H/V での地盤評価やそれらに関する Q&A まで載っています。やはり建築は土木より進んでますね。以前、支持層コンターを微動探査結果から求められるのでは?などと記載しましたが、建築の世界では、そう珍しい話でなかったようです。
https://phreeqc.blogspot.nl/2015/12/blog-post.html

「2.4 物理探査による地盤評価」では、微動探査による地盤評価の話題のみであり、やや偏った感はありますが、他の図書には見られない意欲を感じます。ただ、大阪層群のH/Vピークが1秒で、その上の沖積層が厚い箇所では0.1秒付近にピークが出てくるというのは理解できません。なぜでしょうか?
http://phreeqc.blogspot.jp/2015/10/blog-post_46.html

Q&Aには以下の様な内容が含まれています。これらも他の図書にはない個性的かつ意欲的な内容だと思います。
Q1-1 土質分類における閾値の根拠は?
Q1-12 PS検層を100mしてもVs400m/sが出なかったら工学的基盤をどう設定するか?
Q1-13 微動アレーや表面波探査の精度は?
Q1-15  H/Vから工学的基盤の傾斜が分かるか?
Q3-4 地盤の非線形モデルでは H-D と R-O のどちらが良い?

「どこが答えなの?」と思うような日本人らしい曖昧な表現もあります。が、それだけ答えにくい内容にも踏み込んで記載しているということだと思います。
先行する建築分野、注視しておきましょう。


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