三辻利一「新しい土器の考古学」に、土器と花崗岩類の化学的特徴の話題が載っていました。
新しいと言っても、80年代の話。K, Ca, Rb, Sr に着目し、土器とその出土地域に分布する花崗岩類の傾向を比較した内容です。岩石学としても、その頃の話題でしょうか?
分析は蛍光X線です。同時多元素測定が可能なこと、前処理が簡単なので大量に測定可能なことが大きな理由でしょう。
地域の花崗岩と花崗閃緑岩を4元素で特徴づけています。岩石学ではないので詳細は書かれていませんが、K:Ksp、Ca:斜長石(An)でしょう。液相濃集元素であるRb, Srに着目しているのも、当時の岩石学の影響を受けているのでしょうね。Srは斜長石、Rb は Ksp か Bt でしょうか?
斜長石の Ca が抜けて粘土鉱物が生成されるため、土器では極端にCaが減少した組成を示すと考えると、まあ、示されたような結果になるのかなあといったところです。
16年前の和歌山毒物カレー事件に XRF の利用がありました。亜ヒ酸の異同識別に用いられたようです(驚いたことに、いまだ分析結果について討論が続いているようです)。こういった起源の考察や利用法もあるのでしょう。
設計者からは濁りの起源の分析の相談を受けています。目で見える情報に加え、目で見えない情報を機器分析で示すことは起源を示すにあたって効果的だと思います。
調査計画を立案する際、どのような情報を、何で、どの程度得られるのか?程度は最低限知らないと、適切な機器を選択するのは難しいでしょう。
「知らない」と投げ出すことなく、機器の発展について行かないといけません。
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