C-S-H gel のsolubility model について整理していました。
文献は多く集めていたのですが、系統立てて把握しておりませんでしたので、誰が、いつ頃、どのモデルを、どのコードで計算したかを整理しました。
モデルが世に出始めたのは1990年代 後半です。
日本では地層処分分野で、2000年頃より研究結果が出ています。核燃料サイクル開発機構、電力中央研究所、太平洋セメント、日本原燃等より発表されていますが、基本的には熱力学データベースの整備と、どのようにすれば計算にモデルを取り込めるか、実験結果を再現できるか?といった所に注力されていたようです。使用コードは PHREEQC がメインです。
一段落ついたのは、2005年の電気事業連合会・核燃料サイクル開発機構「TRU廃棄物処分技術検討書-第2次TRU廃棄物処分研究開発取りまとめ-」のように見えます。Atkinsonモデル、Berner モデル、杉山モデル を PHREEQC、RAIDEN3 で計算し差違が顕著でない事を確認しています。
http://www.jaea.go.jp/04/be/docu/tru/TOP.htm
その後、2007年ごろまでは、その流れで杉山モデルでの発表が出ていますが、2009年に The Belgian Nuclear Research Centre SCK • CEN の D. Jacques. (HP1の作者)が Benchmarking of the cement model and detrimental chemical reactions including temperature dependent parameters という資料を公表してからは、EMPA の CEMDATA の利用が目立ちます。PHREEQC に取り込める事が分かったからでしょうか? 2010年の日本原子力研究開発機「平成21年度 地層処分技術調査等委託費 高レベル放射性廃棄物処分関連 地下坑道施工技術高度化開発報告書」でも CEMDATA の中のデータを利用(JNC-TDB.TRUを拡充)しています。
また、使用されているコードはPHREEQCはもちろん、移流分散との連成が目立つようになりました。
さらに、Webでは過去の20モデルのほとんどを PHREEQC でモデル化できるといった趣旨の資料も見られます。数年前は計算上のコンクリートの取り扱いに悩んでいましたが、もうその必要はなさそうです。
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