2018年6月27日水曜日

洪積層の液状化?

道路橋示方書において、洪積層は液状化検討対象外です。

どこかに書いたかもしれませんが、以前は緩い砂質土であれば洪積層でも同手法で検討すればよいと考えていました。
が、平成24年の改定で、対象は「沖積層」に明言されました。プロによれば、安全側という名の過大設計が、事例を交えある程度明らかになったためとのことです。この方針は平成29年の改定でも維持されています。

洪積層の緩い砂質土が液状化しないのか、実際に試験をして検討している文献があります。
古谷ほか(2014)洪積砂質土層での液状化判定方法の一考察, 地盤工学ジャーナルVol.9,No.4,633-643
このように実際に試験をすれば明解でしょうが、実務では示方書があるのにそこまでされないでしょうね。

そうなると、沖積・洪積の境界判定が重要になるでしょう。
現状、判定は経験によるものが多いと思われます。年代測定を行うことはほぼありませんので、残渣を見たり文献と照らし合わせて判定をすることが多くなります。山間の谷底堆積物だと迷うことが多いですね。絶対年代ではなく、相対的に古そうなもの、N値の高いものを洪積の判断根拠にする場合もあります。
その程度の判定で、「洪積層だから液状化対象外」としてしまう危険性は地質屋さんにしかわかりません(判断の曖昧さをわかっているからこそ、検討対象としたわけです)。

沖積・洪積判定の曖昧さによる液状化層の見逃し回避と、検討手法による見逃し回避を区別できない状態で、今の基準が示されています。要は、まだ過大である可能性があるということです。
年代測定が使われるようになると、少なくとも前者の曖昧さは小さくなるでしょう。それに応じ示方書の検討手法は改訂されるかもしれません。
まずは、そのような根本的見直しが必要だと感じます。

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