NHK の MEGAQUAKEII を見ていて違和感があります。
東北地方太平洋沖地震のメカニズムの説明とともに、地震学者が「想定外」を二度と起こさないよう、必死で得られたデータを解釈しようとしている姿も描かれています。
この番組構成に少し違和感があります。
地震学者の責任感は伝わりますが、データを集めて自然現象を把握し、克服しようとする考え方・姿勢は以前と変わっていません。 いえ、これは重要な事です。しかし、残念ながら、その流儀だけでは「想定外」がなくなる事はないでしょうし、今回の「想定外」が正当化されているように受け止められます。地震発生時にも書きましたが、「これまでに経験したことのない・・・」「未曾有の大地震だから・・・」は技術論では理由になりません。http://phreeqc.blogspot.jp/2011/03/3_12.html
現段階で人間は自然を完全に理解できません。近づくことはできるかもしれませんが、それがどれほど近づいたのかは分からないのです。自然は46億年、人間の知恵はたかだか200~300年程度です。まして、近年得られたデータのみで過去や未来に挑むのは無謀です。データが自然のタイムスケール上での現況再現期間に対し、少なすぎます。せめて過去5千年程度のデータがあれば別ですが。
地質屋も根本は同じでしょう。が、どれだけ調べても自然は分からない事を知っています。ですから、 過去数千年のデータを採取し、痕跡を調べて妥当なデータを使おうという単純な流儀を取るのでしょう。当然、信頼性・定量性の向上といった課題はありますが、今回の規模を想定していた研究者は悔やまれているでしょうね。あるいは憤りでしょうか?私はというと、津波堆積物というものがどのようなものか詳細を知りませんので、話にもなりませんが。
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20110330-OYT1T00133.htm
http://unit.aist.go.jp/actfault-eq/
「契りきな かたみに袖をしぼりつつ 末の松山 波越さじとは」
有名なこの歌の波も「貞観津波」と関連していたようです。過去の痕跡を知る方法は地質以外にもあるようです。伝承もその一つでしょう。しかし、これらは定量的でなく、流儀が合わなかったため無視されたのでしょうか。あるいは利用する側の都合でしょうか。
過去を知り、現在を知る。斉一説に似ています。両軸なくては未来の想定も片落ちです。
最終的にはその結果を利用(購入)する方々の意向次第になると思いますが。
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