2012年3月28日水曜日

地震応答解析と土質断面図

設計者から相談がありました。

ある現場でボーリングを1本だけ深く掘ったところ、今まで耐震上の基盤面と考えていた土層中に、300m/sを切る洪積粘性土が約1mの層厚ではさまれていることが分かったとのこと。これは地震応答解析でモデル化すべきか(基盤面を下げるべきか)、しないべきか、という問題です。
現状では、ある会社はモデル化し、別の会社はモデル化していないといったように、統一がとれていないようでした。

地質屋の目からPS検層結果を純粋に見直すと、その基盤の速度層は3つに区分可能であり、粘土層や他の狭在層を含む中央部が、やや遅くなっています。が、300m/sを切っているというようなことはありません。ちょうど粘土の箇所のS波初動がノイズで読みにくくなっており、そこだけ低くなっているという結果も恣意的でした。整理された方は、「粘土層が解析に影響するかどうかわからないので、念のため無理に読み取っておいた。後はどうするか解析側で考えてください」といったスタンスだろうと思われます。

結論から言えば、検層結果からは粘土層が遅いというのは(想像できるが)読み取れない、1次元であればモデル化も容易、粘土層も水平方向の連続性が分からない、ということで、両方やって安全側の結果をとれば良いじゃないかと伝えました。

しかし、そう言いながらも、私はこの解析を実施したことがなく、「地震応答解析において、どこまでの層厚をモデル化すべきか?」といった問題は以前より気になっていました。吉田望「地盤の地震応答解析」でもこの点に触れられていましたが、実際こういった問題に直面した場合、どのようにモデル化し設計側に提供すればよいかは、上記の整理された方と同じレベルで迷います。

ということで、手を動かすことにしました。
続きは後日。

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