2011年7月30日土曜日

崩壊と地すべり その3

今年の地すべり防止工事士の更新講習に中村名誉教授の講演がありました。
先にUPした「技術者の疑問に答える地すべり・崩壊」の著者です。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/07/blog-post_13.html

話の中心は「崩壊」でした。しかも降雨による斜面災害。
地すべり防止工事士の更新講習で地すべりを扱わず、「崩壊~土石流(流動)」とは、世の流れでしょうか?ただ、話の内容はなかなか興味深かったですね。
ちなみに、地すべりと崩壊の違いは著書でも紹介されているように移動距離とお考えです。

帰り際に話をする時間がありましたが、地すべりは全応力の安定解析、崩壊~土石流(もしくは地すべりで破壊後)はLSFLOW(市販されていません)で到達距離の把握といったように、問題を別個に考えられていました。地すべり土塊に有圧水が働いて動いた後、その地すべり土塊がどこまで移動するかは、割り切って別の計算といった方針のようです。研究の割には実務的ですね。
動いた時に、土塊にどの程度の水が含まれているかは(PC上では)関係なく、パラメーターとして動摩擦係数や斜面勾配が重要とお考えのようでした。そして動摩擦係数は逆算でデータを集めている途中のようで、準解析に使うにはまだ少し時間がかかるといった印象でした。

崩壊については表層からの浸透の話があり、やはり不飽和浸透と強度低下(サクション解放)、重量バランス、空気圧の考慮で解く方法で良いようです。解析方法が定まれば、調査提案ができますね。

また、いつ、どこが、どこまで破壊するかを考えることも重視されていました。
いつについては、降雨量に依存するので、なかなか事前予測は困難でしょう。話はそれますが、ゲリラ豪雨が来た場合の避難について住民に浸透させる方が有意義なのでしょうね。


話を聞きながら考えていたのですが、粒子法で解くと(岩盤はムリとしても)土砂の地すべり~崩壊~移動距離は統合して計算できるのでないでしょうか?すべりながら表層崩壊とか、崩壊した土砂の一部移動、末端部の押し出し崩壊から移動など、実際の現象とよく似たイメージが浮かびますね。まずは2次元で現象が統合できることを確認し、3次元で再現でしょうか?


早く理論を理解しないと、まったくの空想で終わってしまいます。
来年の目標にしようかな?2年くらいはかかるかな?

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