2011年7月31日日曜日

よくわかる連続体力学ノート

京谷孝史著「よくわかる連続力学ノート」を読み終わりました。

正確には、「7.2超弾性構成則」のみ構成則を勉強するときに一緒に理解しようと思い、飛ばし読みをしましたが、それ以外は全式読み終わりました。1か月かかりましたね。

この本、かなり丁寧に書かれており、数式を容易に追いかけることができるよう、構成・配慮されています。おかげで最後まで戸惑うことなく理解することができました。数式嫌いの方でも全式を読めるのではないでしょうか?また、数式の幾何学的意味も要所々々で押さえられており、イメージしやすく覚えやすかったですね。実際の数字を入れて解いている例題もあり、抽象的になりがちな数式も、ぐっと現実的に理解できました。

読み終わってみれば、ツールとしての数学はそれほど高度でなく、気力があれば解けます(書かれ方が良かったので高度でないと思わせられたのかもしれません)。考え方のポイントとしては基準配置と現在配置、実務上の数値解析に関わる部分では微小変形理論に持って行くときの仮定と制約でしょうか?

さあ、次は肝心の構成式です。飛ばし読みをした7.2節と一緒に、次のステップへ行きましょう。

2011年7月30日土曜日

崩壊と地すべり その3

今年の地すべり防止工事士の更新講習に中村名誉教授の講演がありました。
先にUPした「技術者の疑問に答える地すべり・崩壊」の著者です。
http://phreeqc.blogspot.com/2011/07/blog-post_13.html

話の中心は「崩壊」でした。しかも降雨による斜面災害。
地すべり防止工事士の更新講習で地すべりを扱わず、「崩壊~土石流(流動)」とは、世の流れでしょうか?ただ、話の内容はなかなか興味深かったですね。
ちなみに、地すべりと崩壊の違いは著書でも紹介されているように移動距離とお考えです。

帰り際に話をする時間がありましたが、地すべりは全応力の安定解析、崩壊~土石流(もしくは地すべりで破壊後)はLSFLOW(市販されていません)で到達距離の把握といったように、問題を別個に考えられていました。地すべり土塊に有圧水が働いて動いた後、その地すべり土塊がどこまで移動するかは、割り切って別の計算といった方針のようです。研究の割には実務的ですね。
動いた時に、土塊にどの程度の水が含まれているかは(PC上では)関係なく、パラメーターとして動摩擦係数や斜面勾配が重要とお考えのようでした。そして動摩擦係数は逆算でデータを集めている途中のようで、準解析に使うにはまだ少し時間がかかるといった印象でした。

崩壊については表層からの浸透の話があり、やはり不飽和浸透と強度低下(サクション解放)、重量バランス、空気圧の考慮で解く方法で良いようです。解析方法が定まれば、調査提案ができますね。

また、いつ、どこが、どこまで破壊するかを考えることも重視されていました。
いつについては、降雨量に依存するので、なかなか事前予測は困難でしょう。話はそれますが、ゲリラ豪雨が来た場合の避難について住民に浸透させる方が有意義なのでしょうね。


話を聞きながら考えていたのですが、粒子法で解くと(岩盤はムリとしても)土砂の地すべり~崩壊~移動距離は統合して計算できるのでないでしょうか?すべりながら表層崩壊とか、崩壊した土砂の一部移動、末端部の押し出し崩壊から移動など、実際の現象とよく似たイメージが浮かびますね。まずは2次元で現象が統合できることを確認し、3次元で再現でしょうか?


早く理論を理解しないと、まったくの空想で終わってしまいます。
来年の目標にしようかな?2年くらいはかかるかな?

2011年7月29日金曜日

二重管式標準貫入試験器

二重管式標準貫入試験器がないか?と他支店より問い合わせがありました。

以前、所属していた支店では所有していましたが、10年以上前の話です。その頃、既に市販されていましたが、近所の鉄工所で作成してもらいました。26回の土質工学会でも発表されているようなので、20年前ぐらいに発案された製品でしょうか?現在では扶桑工業さんからカタログが出ています。
http://www.kk-fuso.co.jp/kano/topkano.htm
http://www.kk-fuso.co.jp/kano/toolscatalog5-7.pdf
現在所属している支店でも見かけたような気がしたので探してみると、ありました。シュー以外はすべてそろっています。

これを使用すると、N値だけでなく、砂の乾燥密度やφdが推定できます。当時、愛媛大の八木先生やウエスコさんがいくつかの学会で発表されていました。比較的簡単なのですが、流行っていませんね。乾燥密度が分かると、再構成試料で室内透水試験などが可能となります。
問題点は、土質の適用範囲が狭いこと。口頭発表では粘土も可となっていますが、論文では細粒分5%未満の砂で、Dmax3~5mmとなっています。あと、現場での細かい作業が増えることと、砂礫地盤だとが壊れやすいことなどでしょうか。内管が入って通常と同じ内径35mmなので、スプリットバーレルの肉厚が薄くなります。玉石などに当たると割れやすいんですよね。

いずれにしても、なんとかして調べようとする努力は、技術者でいるなら忘れてならないことです。
忘れてた私、反省です。浅学非才の身には、努力しかありません。

崩壊と地すべり その2

有圧水が原因の斜面破壊現象を地すべり、自由地下水が原因のものを崩壊と書きました。

では同時に起こるとどうなるのでしょう?

地すべりの場合、土塊中の崩壊は検討対象外(地すべり土塊の移動の結果、起こった現象と解釈)で、すべり面にかかる有圧水のみ考えていました。
自然はそんな都合の良い割り切り方をしてくれているわけではなく、地すべり土塊には自由地下水も流れています。それが原因で土塊が変形・崩壊を起こしている場合もあるでしょう。つまり、同時に発生しているケースも(頻度は別として)あるわけです。それらを同時に考慮できるモデルの方が自然でしょう。
そうなると、基盤岩、地すべり層、地すべり粘土、地すべり土塊の透水係数をモデル化し、非定常で水の流れを解くのが両者を扱う最初の方法となるでしょう。

ただ、その後の変形・破壊を同時に解く方法が分かりません。過程を設け、どちらかを個別に解く方法なら雑誌に載っているのですが。すべり面は水圧上昇で塑性化しやすいような工夫、土塊自体は浸透力の考慮や飽和度に応じた強度特性の変化で対応するにしても人為的ですよね。もっと自然な方法があると思います。

さらに、このタイミングで後輩から指摘。
クリープの考慮は?
やめましょう。お手上げです。

連続体力学も完全に理解していない初心者に、崩壊と地すべりを理解できるはずがありません。早く粒子法まで理解して、考えることができるステージへ上がりたいものです。

とにかく、目の前の入門書を片づけましょう。

2011年7月27日水曜日

崩壊と地すべり

初めて地すべりを学ぶときに読んだ本は、申潤植「地すべり工学」2冊です。

当時読んだ記憶は、10年以上たった今でも基本として染みついています。雀百までですね。特に、岩盤すべりの間隙水圧の与え方、陥没帯すべり(土圧としての作用:PowerSSAにあったと思いますが、実務で使ったことはありません)、地下水検層の解釈の3点が印象に残っています。ちょうど陥没帯を有する岩盤すべりや、高さ10m以上の岩盤露頭が動いているような岩盤すべりを扱う時期と重なっていたので、この2冊はよく読み返していました。地下水検層については、ほぼこの本を使用して結果を示していました。
この中で、地すべりと崩壊の違いも書かれています。「最新のトピックス」p3からの抜粋です。
「自由地下水によって発生する斜面破壊を崩壊といい、有圧水によって発生するものを地すべりという」
いろいろな定義があると思います。
しかし、私が地すべりを扱う場合、この定義を常に考えて調査・解釈しています。身についていますね。
Bishop と Janbu については、自由地下水対応の式と、有圧水対応の式(地すべり用)が別に掲載されています。自由地下水対応の式は浸透力(P=γwiV)が使われています。
(このスタンスで「貯水池周辺の地すべり調査と対策」の話を聞いていましたので、混在しているなあと感じた訳です。http://phreeqc.blogspot.com/2011/07/blog-post_23.html

最近は地すべり(特に岩盤すべり)から遠ざかっているため、頭が錆びてきています(錆びで鈍るほど切れてもいませんでしたが)。
また読み返す時間を作りましょう。

2011年7月26日火曜日

テンションクラック

テンションクラックを考慮した安定計算について、他部署の方と話をしていました。

テンションクラックを考慮する場合はCOSTANAで計算しています。
http://jp.fujitsu.com/group/fip/services/civil/plan/costana/
Zc=(2c/γ)tan(45+φ/2) ・・・ Terzaghjの式


ところが、先輩から忠告が。
「昔のVer.だと、ちゃんと計算されていないよ。」

うっ!
市販されているソフトなので、そこまでチェックしていませんでした。いまさら確かめる術はありませんが・・・甘いと言われれば、甘い!反省です。

さらに、
「今のVer.も表示がおかしい。」

・・・そうですか。最近は使ってないですからね。
次に計算するときは注意しましょう。

残るはUC-1ですね。
こちらは大丈夫なのでしょうか?
http://www.forum8.co.jp/topic/up90-p44.htm

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ここからは余談ですが、UC-1の斜面安定解析がVer.9になっていました。普段はPowerSSAを使用していますので、気にしていませんでした。こちらもVer.8で盛土工指針に対応していたようです。
Ver.9では「降雨強度式による降雨波形の生成機能対応」といった機能が紹介されています。これは指針に掲載されていたのでしょうか?覚えていません。
指針がお好きなお客様には、よい材料かもしれません。調べてみましょう。

2011年7月25日月曜日

落石調査

落石調査を行っています。

個人的に、落石源を地図にプロットするのは、測量屋さんの仕事だと思っています。それを危険度でスクリーニングするのが地質屋さんの仕事だと。
でも実際は、1:1000程度の地図に地質屋が山を歩きながら、落石源を探して位置を落としていくことが多いですね。責任重大です。

しかも、なぜか夏場や冬場に多い仕事ですね。なぜでしょう。夏はブッシュで見えませんし、冬は雪で見えません。今日も久しぶりに「藪漕ぎ」をしてきました。落石なんて見えるもんじゃありません。で、気がつくとハンマーを皮ケースごと持っていかれていました。前から少し傷付いていたのですが、まさか買って2年でちぎれるとは思ってもいませんでした。夏場の草木の生命力は半端なもんじゃありません。

こういう時にLPの改良版のような地形測定技術があれば良いのでしょうけど。解像度を10cm(10cm四方に1点)まで上げることができて、上空から植生の影響のない凹凸を把握できる技術です。既にあるのでしょうか?マシンパワーがかなり必要になるとは思いますが、近い将来、実現すれば良いですね。

2011年7月23日土曜日

最新:地すべり技術講習会

先日、全地連主催の「最新:地すべり技術講習会」を受講しました。

テキストは国土技術研究センター (編) 「貯水池周辺の地すべり調査と対策」です。貯水池周辺の地すべり調査と対策に関する技術指針(案)・同解説のH21年版を反映した講習会です。
http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/dam2/
http://www.mlit.go.jp/river/shishin_guideline/dam2/pdf/tyosuitigijukaisetu.pdf

「最新」のはずですが、新しい内容としては指針の改定箇所に関する説明が若干含まれていた程度です。一般的な内容としても「LPの利用が普及しており地形判読には必須」といった程度でした(最新でないかもしれませんが)。前にも書いたように、10年前と大差ない技術レベルの解説がほとんどでした。100人、200人規模の講習会ですし、半分は義務で参加していましたので、それほど期待はしていませんでした。が、やはり残念ですね。

この指針に従った計算で最も時間がかかるのが、貯水池の水位上昇、下降を小刻みに変化させ、繰り返し円弧すべり計算にてその水位分布における最小安全率を求める部分です。下降時の残留間隙水圧の残留率は面積比で30%に変更されています。
後輩や先輩がPowerSSAを使用して計算していましたが、全水位の計算が終わるまで数時間かかっていました。そりゃ、そうでしょう。力技ですから。
結果は大抵、水位最降下時に最も小さい安全率を示すようになります。先輩が「これだけ時間をかけても、崩れるのは上昇時で合わない」と言われていました。そりゃそうでしょう。上昇時に崩れるのはサクションの開放で表層崩壊が発生しているわけでしょう。本来は崩壊と地すべりの両方を検討すべきなのでしょうねえ。簡易であれば鵜飼先生のSSRFEMのソフトに、飽和度による強度変化を扱える項目があるので、それで判定しても良いと思います。指針では混在している感がありますね。最終的にはツールとして地すべりの安定計算を使用していますが。

なお、PowerSSAでは盛土工浸透流解析オプションが発売されていますが、まだ購入していません。これ、なかなか良さそうです。非定常の計算結果を用いて、各時間毎の安全率を出せるそうです。
http://www.godai.co.jp/soft/product/products/powerSSA/PowerSSA_sauOP.htm

講習会でも浸透流の利用例が紹介されていました。しかし、ある降雨条件での浸透流結果を流用するよりも、今までの経験的な水位設定法で良いのではないかと考える人が出てくると思います。inputである降雨条件が予測にすぎないからです。また、講習会でも「なぜフェレニウスか?」といった質問に「小さめの安全率を出すから」と答えられていました。どうやったのかは不明ですが、「流線網を使用しても結果に差が出なかったので、簡便法を採用している」とも言われていました。その方が抱いている地すべり解析に対するスタンスも幾分見えたように感じました。

地すべり解析はこんなものだという割り切り感は、古い技術者のほうが強いのかもしれません。それは経験からきているもので本質なのかもしれませんが、それを実証なり反証なりする「最新」の材料を講習会では教えてもらいたいところですね。

2011年7月21日木曜日

変形の記述 その3

とりあえず、4章までの復習完了です。

ログに張り付けようかと思いましたが、Blogger はいくつかのTEXコマンドに対応していないようで、+ や ~ が表示できません。面倒なので、ファイルに保存しました。

もともと、疑問に思ったときに、いつでも、どこでも見ることができるよう、自分の備忘録として Blogger を使っているのですが、ファイルにするとその利点が失われます。そのうち、サイトの方へ登録しましょうか?それとも TEX コマンドが完璧に反映できるブログを探しましょうか?

ま、どっちにしても変形の記述の仕方については理解しました。これでやっと半分です。まだまだ先は長そうです。
早く構成式まで行きたいのですが、まだまだですね。

2011年7月19日火曜日

Smart Recorder

今日は往復5時間の高速道路の運転でした。

車中では音楽を聴いたり、講習会の録音を聞いたりしています。後者については、参考書を読んだ後にもう一度聞くと、「ああ、こういうことを言われていたのか」などと思うことがあります。理解が深まりますし、短期記憶から長期記憶になるので、お勧めです。

録音は iPhone の Smart Recorder を使っています。こだわりは無いのですが、一発目に2時間連続で録音できましたので、そのまま使い続けています。音は小さいのですが、車内のオーディオで音量を上げると十分です。
Smart Recorder から PC への取り込みは i-FunBox がいいですね。USB 経由で1時間の録音(300MB)の転送が1分30秒程です。(アプリ標準のWi-Fi経由だと数十分かかりますので。)

まだ6時間分くらい iPhone に入ったままなので、明日のために取り出しましょう。

2011年7月18日月曜日

変形の記述 その2

「4章 変形の記述」の続きです。
今日はひずみの記載について整理です。
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有限ひずみ E、e
dx・dx-dX・d= (FdX)・(FdX)-dX・dX    = dX・(FTF-I)dX    = dX・2EdX
dx・dx-dX・d= dx・dx-(F-1dx)・(F-1dx) dx・(I-(FFT-1)d= dx・2edx
ラグランジュ - グリーンのひずみ : E=1/2(FTF-I)
オイラー - アルマンジのひずみ  : e=1/2(I-(FFT-1)

微小ひずみ(テンソル)ε
微小変形理論を適用・・・講習会では⊿tが微小という定義と言われていました。その結果、①変位uが微小で、現在配置Btは基準配置B0と形がほとんど変わらないので、B0を定義域として扱うことができる。②変位uの勾配(偏導関数)も十分小さいので、2次項は無視できる。
F  =∂x/∂= ∂(X+u)/∂I+∂u/∂X
F-1=∂X/∂= ∂(x-u)/∂I-∂u/∂x
Ee≒1/2((∂u/∂x)+(∂u/∂x)T)=ε
du=(∂u/∂x)dx
変形勾配テンソル:∂u/∂x

工学ひずみ {ε}
コーシー応力テンソルσ、微小ひずみテンソルεの独立成分(各6つ)のみを用い、さらに非対角成分については2倍(γij=2εij 、i≠j)にして数ベクトルとして表現したひずみを工学ひずみという。
{ε}={ε11 ε22 ε33 γ23 γ13 γ12

有限ひずみと微小ひずみの比較
伸び変形が1%程度では、E,eεの差は最大2.5%程度。等体積せん断変形では、dX2がdx2に伸びてもε22=0で鉛直方向の偏の伸びは評価されない。これは微小変形の仮定ではdx2がdX2と同じ鉛直方向にあるとみており、傾きは区別されないため。剛体回転では同じ理由でε11、ε22共に圧縮ひずみがあるように評価してしまう。

クライミングと踏査

知らないうちに、近くにボルダリングのジムができており、行ってきました。

壁に張り付くのは2年ぶりくらいですね。
もともと、落ちるほどの腕も持っていませんので、登れないルートのほうが多く、2時間くらい登ると限界がきました。

ところで、そのジムには木のホールドがありました。初めて触りましたが、手に優しくて私は好きですね。オーナーは「市販のホールドもあるが、ニスが塗ってあって滑るので、オーダーして作ってもらった。」と言われていました。今後、手になじんでいくように育てばいいですね。

案外、足の置き方、腕の使い方、置く順序というのは、普通の踏査で役に立ちます。クライミング調査では、あまり必要ありません。
現場で岩場を登ることはありませんが、不安定な足場や木を使って少し上に上がる場合や、2m程度の急な崖を下に降りる場合では、知っているのと知らないのとでは大違いです。安全に調べることのできる範囲も増えます。

これからも、のんびりやっていきましょう。

2011年7月17日日曜日

変形の記述

今日は「4章 変形の記述」の途中まで。
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ラグランジュ表示(物質表示)
水でいえば粒子追跡、移流計算。
その粒子が次の時間tでどこに行くか?
変形では、ある点Xが次の時間tでどこに動くか(変形する)?
ある物質Xの値の変化

オイラー表示(空間表示)
分散計算。
その空間(メッシュの各ノード)での値の変化。
ある点xが時間tで有する値。

ツーポイントテンソル
基準配置と現在配置にまたがるテンソル
変形勾配テンソルFはツーポイントテンソル。基準配置B0を参照するベクトルdXを、現在配置Btのベクトルdxに変換する作用素。dx=FdX

ヤコビアン(ヤコビ行列)
dv=JdV
J=detF
J>0よりFは正則。

正則            : AA-1=となる逆行列を持つ正方行列Aは正則
2次形式       : 二階テンソルAを用いたベクトルxに関する2次式 xAx
正定置         : xSx>0 を満たす2階テンソルS
準正定置      : xSx0 〃
直交テンソル : 転置テンソルが逆テンソルになるようなテンソルR
         RRT=RTR=I  detRRT=detI=1
当長変換      : 直交テンソルRはベクトルに回転を与えるだけで長さは変えない
極分解         : 正則な二階テンソルAは正定置対称テンソルUV、直交テンソルRにより
                      A=RU=VR のように積の形に分解できる。これが極分解。
右極分解      : A=RU
左極分解      : A=VR

正則な二階テンソルFは極分解できる。
dx=FdX=RUX=VRdX
右極分解では、dXUで引き延ばし、Rで回転させてdxにする。
左極分解では、dXRで回転させて、Vで引き延ばしdxにする。

2011年7月16日土曜日

コーシー応力テンソル

 非線形CAE協会「よくわかる連続体力学ノート」を読んでいます。

非常に丁寧な内容で、詰まることなく読んでいました。しかし、半分ぐらいまで読み終えた段階で分からなくなってきました。新しく覚えることがたくさんあり、短期記憶がパンクし始めたのです。既に読み終えた箇所の内容も忘れかけています。年ですね。

ということで、今日は「3章 コーシー応力」を読み直しました。以下、備忘録です。
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t=σn tiijnj (コーシーの式、σ:コーシー応力(テンソル))
σは、点Pを通る面の単位法線ベクトルnを、表面力ベクトルtに対応させる線形変換作用素

3×3の対称行列には以下のような性質がある
・実数の固有値が3つある
・異なる固有値の固有方向は互いに直交する
そのため、固有方向に設定した座標軸に垂直な3面で切れば、面に垂直な表面力ベクトルが現れる。>>>この場合、コーシー応力テンソルσは対角行列で現れる。

基本不変量
σは座標系を変えると変化する。しかし、次の3つの演算結果は座標系によって変化しない。
  Iσ= trσ   =σ1 +σ23
 IIσ=tr(σ2) =σ122232
IIIσ=detσ     =σ1σ2σ3

コーシー応力テンソルσの固有方程式
det(σI) = -λ3+I1λ2-I2λ+I= 0
第1不変量 I1=Iσ
第2不変量 I2=0.5(Iσ2-IIσ) =σ1σ2 +σ2σ33σ1
第3不変量 I3=IIIσ

σ=σs
σm:平均応力テンソル
 s :偏差応力テンソル
この幾何学的説明が図3.10。分かりやすい。
||s||=√(s s)がある一定の値に達すると破壊>>>図3.11のフォン・ミーゼス降伏局面(円筒形)。

2011年7月14日木曜日

MS-DOS 3.3b と MO

XD-D1 につけている PC-9821 の続きです。

ディップスイッチなどでスピードを調整しているのですが、時々データ落ちがあります。ボード・ケーブルを何度も取り替えましたが、ついに症状は直りませんでした。チャートを見ながらEXCELで修正できるので、今ではあきらめています。

今まで唯一触っていなかったのがDOSのVer.です。通常は5.0を使用しているのですが、3.3にしたらスピードが微妙に変化して改善するかもと思い(そういった情報を、メーカーの島津さんからいただいていました)、保管してあるFDを取り出してきました。それこそ、20年前のFDです。Ver.は3.3b。かろうじて2HDの3.5インチです。これを使ってMOの起動ディスクを作れば、データ落ちが改善するかどうか試せます。

FD内のいくつかのsysファイルがよめなくなっていましたが、何度か試すうちに起動してくれました。で、MOを認識させようと思いましたが、そのままでは当然無理。いくつかの読めないファイルを削除して、MO関連のsysやexeをHDからコピーし、config.sysを書き換えて再起動。DOSコマンドからmoutl.exeを立ち上げると、認識してくれました。

早速formatしようと思い、システム転送を選んでenterを押すと、このシステムではMOから起動できませんとのメッセージが。

残念。

調べてみると、3.3cからMO起動が可能になっていたようです。おしい!
明日はVer.6.2で試してみましょう。

2011年7月13日水曜日

一軸圧縮試験のS供試体

地盤工学会誌7月号に、正垣先生の報告が載っています。

「一軸圧縮試験の供試体サイズを小さくしても、結果に差は無い」という趣旨の報告です。以前に報告されていた内容の続編といった感じですね。

通常のサイズはd=35mm、h=80mmですが、ミニサイズはd=15mm、h=35mmです(文章中、「5.おわりに」では逆になっていますが)。
サイズを小さくして得られる利点は、以下のような点でしょうか?
  1. シンウォールから横向きに供試体を切り出せる。
  2. 1本のサンプルから供試体をたくさん得ることが可能なため、統計的評価が容易になる。
  3. 逆に、少ない試料(採取しにくいサンプル)でも試験が可能となる。
このうち、1.については、鉛直ボーリングのサンプルのみで強度異方性の検討が可能になります。これが大きなメリットでしょう。

ところで、つい2週間ほど前、このミニサイズのマイタ―ボックスを探しましたが、行方不明。肝心な時に出てこないんですよね。

技術者の疑問に答える地すべり・崩壊

先月発売の中村浩之著「技術者の疑問に答える地すべり・崩壊」が手元に届きました。

本屋には無く、ネットで目次だけ確認し、購入しました。
特に、「19. 地すべり斜面安定解析における3次元解析の問題点」に惹かれたのです。

手にとってまず思ったのは、「あれ、内容が古い?」でした。
よく考えたら、地すべりの検討法は10年前から進化していないので当然なのでしょう。

納得し、気になっていた3次元解析の問題点を1番に読みましたが、残念なことに、目新しい内容はありませんでした。「3次元でやるなら、3次元の解析例を増やし、強度設定法や安全率設定法を決めないといけませんよ」といった趣旨の、一般的な内容です。そこから先が、知りたい情報なんですけどね。

その他の章も気になるところから読んでいますが、今のところ、テゴタエはありません。
もう少し読み進んでみましょう。

2011年7月12日火曜日

XRDの試料ホルダー

RockJock11のマニュアルで、試料調整の中に以下のような文章があります。
The powder then is passed through the sieve again, and side loaded into an XRD holder against frosted glass by gently tapping the holder on a hard surface, being careful not to compress the sample's surface.
配向についてはそれほど重視していなかったのですが、バルクをかけるとどうしても Chlorite の量が多く出てしまいます。初心に帰って取り扱わざるを得なくなりました。いえ、手を抜きたかっただけで、基礎をおろそかにしてはいけないということを改めて教えられただけです。情けないのですが。
ただ、この文章の意味が分かりません。すりガラスを斜めに向けて、サイドから試料を流し、タップして余分なものを落とすのかと推察しました。が、 それでは表面がボコボコになりますし、配向が矯正されるとも思えません。なんのことかと悩んでいました。

調べてみると、下記の資料に出ていました。

Methods of Soil Analysis Part5
Chap.4 X-ray Diffraction Techniques for Soil Mineral Identification

なるほど、そういうことなんですね。
このようなホルダーは見たことがなかったので、分からないはずですよね。
名古屋市工業研究所のマニュアルにも、似たようなホルダーが出ています。


でも、これって試料水平設置型じゃないと、簡単に崩れますよね。どうしましょう。
一つクリアーすれば、また一つ問題が出てきました。縦型だと定量は無理なんでしょうか?

ちなみに、USGS から Tips 的なマニュアルが出ています。さすがですね。
A Laboratory Manual for X-Ray Powder Diffraction
http://pubs.usgs.gov/of/2001/of01-041/htmldocs/methods.htm

2011年7月10日日曜日

PC-9821

どこかで書いたかもしれませんが、XRD分析装置(XD-D1)にはPC-9821AP(i486DX)を付けています。

いろいろ試行錯誤し、測定したバイナリデータをMOでWinまで持っていき、EXCELで読み込んで処理するところまで整備しました。
https://sites.google.com/site/geochemist001/resources/xrd-xd-d1
予備にPC-9801FA(i486SX)も保管しています。

今日、ついに外付けのHDが1台起動しなくなりました。18年前の機種についていたものですから、HDもそれくらいたっているのでしょう。素晴らしい寿命です。外付けHDはもう一台あるのですが、こちらも起動したり起動しなかったりの状況です。今日は起動してくれませんでした。こちらもそろそろなのでしょう。

システムファイルをコピーしたMOでバックアップを取っていましたので、それを使って起動、無事にXRDAのデータをとることができました。これからはこのディスクがメインシステムになるかもしれません。もう一枚くらいバックアップMOを作っておく必要がありそうです。

2011年7月9日土曜日

ミル

XRDに供する試料の前処理にミルを使いたいと思い、見積りを取りました。

バルクをかける場合に、安定的にデータを得たいのが目的です。
どうやら、ミルを使用すること、エタノールを使用することが、均一に混合したり、粒径をそろえたりすることの一番の近道のようです。基本をおろそかにしてはいけないということですね。

ところが、一律100万前後。簡単に買える値段ではありません。
調べてみると、福島県と鳥取県でミルを公開し、自由に使用できる施設がありました。蛍光X線やICPなども公開されています。こんな施設があったんですね。なにかと利用できそうです。
早速問い合わせてみました。(島根県にもありましたがまだ聞いていません)
http://www.fukushima-iri.jp/publicity/uploads/H2304iwaki.pdf
http://www.tiit.or.jp/index.php?view=3340
http://www.shimane-iit.jp/kiki/110301.htm

しかし、残念なことに両者ともカップが鉄でした。鉄を含む試料の場合、混染を防ぎたいのでタングステンカーバイトなどを使用したいのですが、両施設とも無いようです。

あきらめて手ですりつぶすしかないのでしょうか?
もう少し調べてみましょう。

2011年7月7日木曜日

ジオモデラー

ジーエムラボさんに営業に来ていただきました。

もちろん、Dtransu の使用を前提としたジオモデラーのデモです。
製品版ではなくプロトタイプでしたので、以下の機能のすべては確認できませんでした。
が、おおまかなの搭載機能はつかめました。
http://www.gmlabo.co.jp/geomodeler/kinou.pdf

長所は2つ。
  1. ラスターのみからモデルが簡単に作成できること。
  2. 観測結果などから透水係数などのパラメーター同定が可能。(1度に2変数まで)
基本は CTC の GEORAMA と同じです。
プライオリティーを設定しながら断面図(ラスター)の地層線をなぞっていくと境界認識してくれます。それらを補間して面を作り、メッシュを切ります。メッシングは早いですね。1層押し上げるのに数十分もかかる地層研のG-TRANとは雲泥の差です。ボーリングでの境界入力にも対応していますので、補正も可能です。設計屋さんが解析をするには良いソフトだと思います。
パラメーター同定は Visual MODFLOW の PEST と同じ機能です。GWAPであたりをつけ、DTRANSUで詳細を決めるといった使い方もできそうです。
なお、ステップ解析可能なようですが、デモはされませんでした。

短所も2つ。
  1. 入出力機能が弱い。
  2. 改良したソルバーが使えない。
メッシュの読み込み、少なくとも NASTRAN ぐらいは読み込んでほしいですね。しかも材料付きで。
断面などのCADデータも認識してほしいですね。CADデータがあるのに、それをラスターにして境界をなぞるのはありえません。逆に、モデルの書き出しもできないようです。この辺のI/Oの弱さが、私にとっては致命的です。
また、ソルバーが内蔵ということですので、外部のソルバーを使用することができないようです。つまり、独自に改変した Dtransu を使えないことになります。これは、inputファイルの書き出しで対応できますので、比較的簡単に機能追加してくれるでしょう。

一長一短ありますが、地表流が実装されるか、I/Oが改善されたら購入を検討しましょう。


2011/7/9追記 ***********************************************************
その後、メールのやり取りで、地層面、地表面、水位のXYZ読み込みがVer.1.0で対応済みのことが分かりました。地層研さんのG-TRANもできますが、他の実装機能を考えると、ジオモデラーのほうが優位でしょう。早くデモ版を使用して確認したいですね。

トンネル掘削作業員

あしたをつかめ 平成若者仕事図鑑
トンネル掘削作業員 ~山を貫き町をつなげる~

固い岩盤を、大型重機で掘り進めるのが「トンネル掘削作業員」の仕事です。京都市の山岳地帯にあるトンネル掘削の現場で働く濱岡哲司(はまおか・てつし)さん(29)は、入社8年目。資材運びなどの下積み時代を経て、3年前からトンネルの先端を掘る大型重機「ドリルジャンボ」の操縦を任されています。
 全ての重機を使いこなせて一人前のこの世界。今、濱岡さんが習得しようとしているのが「吹きつけロボット」の操縦です。トンネルの崩落を防ぐため、岩盤がむき出しの掘削面にコンクリートを吹きつけ補強する重要な工程を行います。均一に吹きつけするためには、繊細なコントロールが要求されます。濱岡さんの奮闘を追いま す。 
http://www.nhk.or.jp/shigoto/zukan/285/top.html


テレビをふと見ると、やっていました。ジェンボやロボットが出ています。
このようなマイナーな仕事も紹介されるんですね。嬉しいです。お世話になった方たちを思い出しますね。元気にされているでしょうか?





モールの応力円とEXCEL

三笠の一般全応力法で扱う強度を図示しようと思い、EXCELを触っていました。

ベースにしたのは山海堂「EXCEL土質試験入門」。いろいろな試験結果をEXCELで処理できるように、ワークブックのDLができるようになっています。

複数の試験結果のモール円を合わせて表示するところまでは簡単だったのですが、接線を表示するところで止まってしまいました。
2つの円の外接線の求め方はシートに入っていたのですが、それが誤っているような気がし、他の方法で接点を求めようと考えました。ところが、2円の外接円の接点の求め方が分かりません。ネットで調べてみると、高校生の数学のようです。見ても思い出せないくらい完全に忘れていました。
検算結果はシート内の結果と同じ値になりました。バカですね。

接円外のある点を通過し、円に接する直線の計算の仕方も忘れていました。
あれやこれやでこの時間までかかりましたが、なんとかできました。
今まで通り、手書きでやったほうが早かったようです。
ま、これからはすぐできるということで、良しとしましょう。

2011年7月5日火曜日

地すべりと数値解析

地すべりに対し浸透流と変形を組み合わせた解析を行いたいという問い合わせが時々あります。

私はやったことがありませんが、周りでは2次元定常浸透流>2次元変形解析をやっています。地下水は浮力+浸透力として扱われていました。地すべりなのに浮力+浸透力で良いのか分かりません。ソフト上は3次元も対応可能ですが、どうなんでしょうね。

土―水連成解析にすると、あまり良い結果は出ないように思います。
横ボーリングなどで水位が下がるとすべり粘土が圧密沈下してしまような結果にならないでしょうか?すべり面のみ変形を大きくするというのもテクニックが必要に思います。

FLAC3Dなら以下のような解析が可能なようです。地層研さんのデモです。
3年前、デモに来られていましたが、ノードがずれるのに差分法だといわれて驚いたことを今でも覚えています。衝撃的でした。
動画は誇張もありますが、浸透流の結果を取り込めることや孔内傾斜計の変位も再現しやすそうで使えるのではないでしょうか?
動画のような大変形になると、五大さんのLS-RAPIDが良さそうですね。

最近では、PowerSSAに変形や浸透のオプションが出ています。浸透流で水圧を求めてLEMで安全率を出すということが可能です。浸透流の結果を変形に持っていけるかどうかは分かりませんが、持っていけるとなるとLEMから移行するユーザーが増えると思います。
最近の流行りなのでしょうねえ。

先日も書きましたが、粘性土の円弧すべりでは土質力学が重視され、研究・実績も積まれています。特に港湾基準では強度設定についてTOPを走っているのではないでしょうか?
しかし、同じすべりでも地すべりになると、一気に解くためのパラメーター化してしまします。同じようにせん断モードを考慮するというのも、地すべりをサイエンスで解く一つの手段なのかも知れません。
数値解析はその次の段階なのでしょう。

2011年7月3日日曜日

せん断モードと強度設定

均質な粘性土における円弧すべりで発揮される強度は、圧縮、単純せん断、伸張の3つになります。そのため、適度に乱れた試料の1軸圧縮強度であれば、「すべり面の平均強度」といったものに一致するという Lucky Harmony が生まれます。おかしな話ですが、乱れの少ない高品質なサンプルを採ってしまうと、その試験結果を使った設計ではすべってしまう可能性もあり、逆に「適度」以上に乱れてしまうと過大設計になります。

では、三軸圧縮試験ではどうでしょうか?
再圧縮がかかると本来の圧縮強度に近づきます。そのまま土層の強度として設定してしまうと、すべり面の平均強度より過大になります。それを補正するためには伸張試験などを実施すれば良いのですが、サンプルが倍以上必要になります。

ただし、このような円弧すべりにおけるせん断モードの考慮は古くから研究されており、地盤工学会基準書「地盤材料試験の方法と解説」にも詳細に記載されています。
例えば、表7.3.6では伸張強度が圧縮強度に対し、平面ひずみで0.19/0.34=0.56倍となっています。601ページにはその解説も掲載されています。これらを考慮して強度を設定すれば、試験は今まで通り1種類でOKです。

先日、そのあたりの内容を新しい基準書で変更がないか再確認していました。
が、その解説の最後に引っかかりました。
「安全側の設計値として基準の試験結果の64%をとることになる。」
主語がありません。何がどの基準の64%になるのかが分からないのです。ちなみに、古い基準書にも書いてありました。

部長様に相談したところ、「いろいろな意見があったのでわざと隠したんだろう」とのこと。そうなんでしょうか?それなら載せないはずです。

今日、それについて考えていたのですが、以下のようなことではないでしょうか?
まず、三軸CUの非排水強度をsuとします。
K0圧密した場合は1/1.15倍になりますので、0.87su。これが三軸K0CUC強度。
三軸K0CUE強度は0.87su/0.33×0.16=0.42su。
この平均が設計強度になるので、(0.87su+0.42su)/2=0.645su
安全側で切り捨て64%

つまり、K0状態の補正も考慮すべきということでしょう。ただ、64%の根拠は何も書かれていないので確認できません。
いずれにしても0.64suは1軸+簡易CUでの評価よりも安全側ですね。

2011年7月1日金曜日

Dtransuと回転マトリックス

Dtransuで透水係数の異方性に角度を持たせられるか?
ということでテストしてみました。

マニュアルにはほとんど載っていませんが、materials ラベルの中に、透水係数の方向余弦を入力する欄があります。並びから回転マトリックスと考えて変更してみました。

まず、境界条件です。
水頭10m固定


浸出面境界


地層研の G-TRAN の座標系は上図のとおり。
Dtransu は縦方向の透水係数がk3にあたります。
G-TRAN がなぜこのような座標系を設定しているのか分かりません。ちょっとややこしいのですが、地層研のソフトどおりの xyz 表記と Dtransu のマトリックス表記を併記して進めます。 

まずは通常の異方性

Kx=ky=kz=0.5m/s


Kx=kz=0.5m/s ky=0.005m/s

Kx=0.005m/s ky=kz =0.5m/s


ここから、Kx=kz=0.5m/s ky=0.005m/s固定で、マトリックスを確認して行きます。

x 100
z 010
y 001
あっていますね。回転させていませんので真横に流れています。

次はxとyをマトリックスで入れ替え。
x 001
z 010
y 100
OKです。
次は回転です。

x 0.7 0 0.7
z 0  1 0
y 0.7 0 0.7


Z軸を中心に反時計回りに45度回転。
流速ベクトルはちゃんと45度下向きっぽくなっています。マトリックスの入力があっているかわからりませんが、結果はあっていますね。


今度は反時計回りに30度
x  0.866       0.0       0.5
z     0.0       1.0       0.0
y  -0.5       0.0     0.866

おお、ちゃんと30度っぽくなっています。

今度は時計回りに45度回転!
x   0.7       0.0      -0.7
z   0.0       1.0       0.0
y  -0.7       0.0       0.7


ちゃんと上向き45度のベクトルになっている!

こんな機能が標準であるんですね。
SoilPlusでも可能だそうです。


2011.7.13追記 *******************************************************

日本地下水学会「地下水シミュレーション」p40に、方向余弦テンソルとして説明されていますね。

土層強度検査棒

土研の地質チームが開発した土層強度検査棒(土検棒)を使用してみました。

ロッドが細いので、貫入力が弱いですね。礫に当たると全く入りません。崖錐の調査例が出ていますが、どこまで到達しているのでしょうか?
また、トルク測定時には微妙な力加減が必要です。ベーンコーンでせん断する場合は必ず2人いりますね。

ただ、土検棒だけでc・φを求めるのは難しいでしょう。
経験式を使ってc・φを求めるであれば、今までの手法と大きく変わりません。
力学試験に対して土検棒の結果をキャリブレーションして使用するのであれば、同じ土層であることを確認するだけです。違う土層では別途力学試験が必要になります。
また、軟弱土層を対象にするのであれば、非排水強度か、排水強度かで区分できるような整理の仕方も必要でしょう。

港湾や道路橋のN値とφの相関式のように、今後多くの力学試験結果と土検棒の結果が検証され、経験式の精度が向上すれば非常に使えるツールになると思います。
軽量で現場作業も簡単なので、今後の発展に期待しましょう。