三軸試験の拘束圧はc・φを決めるのに重要な要素です。が、多くの方は気を使われていないようです。現場担当・試験担当などの分業化、試験の基準化の弊害でしょう。現場が「三軸試験をお願い」と言えば、基準に従った結果は上がってきます。が、側圧の詳細な設定方法は基準に載っていませんので、試験者によってはゲージの読みやすい値や習慣で、とんでもない拘束圧を設定することもあるでしょう。拘束圧の設定方法に疑問を持った(設計者)は「いいね!」です。
余談ですが、他社の熟年設計者が、お客様に対し、拘束圧をどの程度に設定するか聞いているのを見たことがあります。お金をもらってコンサルティングする立場のはずですが。これは逆に論外です。
拘束圧に関して、基準に載っているのは下記ぐらいでしょうか。
国土技術研究センター「河川堤防構造検討の手引き」H24改訂版
従来、三軸圧縮試験および一面せん断試験における拘束応力の設定に配慮不足な面があった。すべり面計算に用いる三軸圧縮試験等のせん断強度試験は、発生すると予想されるすべり面の深さにおいて、発揮する強度が評価されるように、低い拘束応力範囲を含むように設定することが望ましい。高拘束圧下の試験結果から得られた粘着力を見込むと、低拘束圧下で過大な強度となり、過大な安全率が得られることもあるため、粘着力の評価に必要な注意事項である。
ただ、具体的な設定方法については書かれていません。明確に書かれた基準は現段階でないと思います。
本来、盛るのか、掘削するのかによっても変化しますし、安定計算時のすべり線が決まっているかどうかによっても変わります。扱うモデルが2次元か3次元か、欲しい値が過圧密の範囲内なのか正規圧密状態なのかでも異なります。現状ではそれらを書き出すのが面倒なため、常識?の範疇となっているのでしょう。
先日、他部署の先輩と話していた時に、ある資料の存在を知りました。またも河川、下記土研の解説書です。この分野、河川は強いですね。
比較的初心者向けの解説書と思われますが、その中に拘束圧について書かれている箇所がありました。公的な書き物で具体的な記載があるのは初めてではないでしょうか?
土木研究所 地質・地盤研 土質・振動チーム「河川堤防の浸透に対する照査・設計のポイント」
http://www.pwri.go.jp/team/smd/topics-seepagepoints.htm
ただし、これにも問題があります。
最大で50kN/m2だと、他は10, 30kN/m2程度でしょうか。拘束圧は設定できると思いますが、10kN/m2はかけたことがありません。最低でも20kN/m2程度です。機械にもよると思いますが、軸方向の精度が保てるかどうか心配です。
あと、モール円が詰んでしまい破壊線を引き難く(c・φを決定し難く)なりますね。ま、これは(有効)応力経路のグラフにて、破壊点に対し最小二乗近似を取ればクリアーできますが。
続きは後日。
0 件のコメント:
コメントを投稿