2011年2月28日月曜日

土壌物理学

「土壌物理学」ウィリアム ジュリー + ロバート ホートン 著、取出伸夫 監訳
http://www.amazon.co.jp/土壌物理学

「SOIL PHYSICS」改訂第6版の訳本です。HYDRUSの関係で購入した本なんですが、いくつか驚かされた点がありました。

農業分野に特化した地下水関連の話かと思いきや、完全に地盤工学であつかっている領域とオーバーラップしていました。というより、コチラのほうが広範かつ詳細に扱われています。やはり、地表面付近の数10cmが問題となるため、扱っているスケールが小さく、より詳細なコンセプトモデルを作らないと、実現象を再現できないことが大きな理由でしょう。

特に7章、移流分散方程式の導出過程は面白いとおもいます。全体の濃度のやり取り(吸着や反応も含む)の中で、一部を取り出した形として説明されており、他の現象に注目するとどういった形になるかも説明されています。地盤工学のテキストに載っている導出よりも、全体像を理解しやすいと思います。名著といわれるはずです。

この中では、まだHP1については触れられていません。
反応項は、ある物質を対象として選定した場合の簡易な取り込み方であり、従来の記載に止まっています。多くの反応物質の中で、対象が互いに影響を与えながら増減する、しかもそれらは流速にも影響されるといった自然現象をモデル化するには地球化学コードとの連成が必要です。そのため、農業分野ではHP1が開発されたのだと思います。次回改訂に入るといいですね。

分野という先入観を捨てると、学ぶべきことがまだまだあることに気づかされた1冊でした。

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