2012年10月20日土曜日

帯磁率とγ線強度


10年前、先輩が「断層破砕帯では他個所よりγ線量が小さくなる!」と騒いでいたことがありました。

当時、社内では「γ線量は破砕帯で高くなる場合がある」と考えられていました(α線はかなり高くなると考えられていました)。それを先輩は真っ向否定。
残念な事に、先輩の説明が曖昧で、確たる根拠も出されなかったので、まともな議論にならなかったのを覚えています。

個人的には、温泉地帯など熱源のある箇所での調査では、fracture zone での噴気などの影響があり、自然放射能探査は有効だろうと考えています(その様な現場では移流拡散モデルを考えると、説明できると思います)。しかし、通常のフィールドでは表層の間隙率や粘土鉱物含有量(ソースの吸着)に影響されていると思われます。つまり、断層箇所で線量が高くなるとは限らないと考えています。

今日「物理探査」を読んでいると、それらに関わる論文が掲載されていました。
吉村ほか(2012)断層破砕帯における帯磁率異常に伴うγ線量の変化, 物理探査, Vol65, No.3
断層破砕帯で帯磁率とγ線を測ると、前者は高く、後者は低くなることが報告されています。室内実験の結果、FeO の含有量が多い場合、細粒分が多い場合にγ線の遮蔽効果が高くなるという結論でした。
ただ、断層でなぜ高帯磁率を示すかが書かれていませんでした。なぜでしょう?ガウジが常に湿気ていることで、磁鉄鉱が赤鉄鉱や褐鉄鉱などに変化(風化)しにくいのでしょうか?地質屋としては引っかかる箇所ですが、物探屋さんには興味のない箇所かもしれません。

ま、よく分かりませんが、10年がかりで一歩前進したような気がします。
少なくとも、帯磁率計は欲しいですね。約30万。買ってもらえないでしょうか?

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