2012年10月12日金曜日

岩盤すべりの3次元モデル

岩盤すべりの3次元モデルを作っています。

といっても、複数のボーリングで認められた弱面と地形の連続性チェックに使用しているだけで、安定計算は二次元(の予定)です。
岩盤すべりの場合は、ブロックをはめ込むベースに地質構造を考えた方がシンプルで説明しやすいと思います(岩盤を相手にする場合は地すべりに限りませんが)。3次元であれば、与えた情報の矛盾点もすぐに分かります。コレ、便利なんです。

今回のモデルでは観察された弱面を3面入れており、それらが複合してすべり面を形成していると考えていました。面で抜けやすい方向と、観測による移動方向・深度も大体あっていること、ブロックの平面上の中心がやや薄くなると予想し、実際その通りであったこと、高角断層付近で悪いコアが連続するだろうと予測し、実際その通りであったこと、低角すべり面の背後の延長上で低角の破砕岩+粘土が確認されたことなどから、モデルは正解に近いだろうと考えていました。

しかし、よく見ると、サーフェスがブロックを大幅に超えて地表と交わっている箇所があり、その箇所の修正が必要でした。PCに私のモデル化の矛盾を指摘されたのです。
その箇所は思想がPC上のモデルになっていなかっただけで、そこに地形なりにもう一面作ってやっれば、引っ張り亀裂の発生している方向、コアの途中の破砕部など、より矛盾なく説明できるようになりました。ありがたい。
 
このように、3次元で可視化しないと気付かない事もあります。2次元だと誤っているままという事も多々あるでしょう。それらが全て計画安全率1.2の中に押し込まれていると言われると、そうなのかもしれません。「地すべりって、そんなものだ」と土研帰りの方も言われていましたが、確かに、ヒトの2次元解析の精度はそんなものなのでしょう。

ただ、3次元モデルにも現段階での弱点というか、実務上の困る点があります。モデルを見れば、3次元安定計算の必要性が直感的に理解できるようになります。しかし、そのまま3次元で進めると、設計段階で対応してもらえなくなるのです。いえ、技術的には可能なのですが、まだまだ実務的に効率よく(基準書通りに物事を決めて)利益を生む段階にはなっていないようで、設計者は嫌がります。今まで2次元でできていたものを3次元に変えるのは、お客様も慎重です。両者とも、「普通」と異なるをするのは問題と感じるのかもしれません。本来は設計技術者の腕の見せ所だと思いますが。
若い設計者を捕まえることが短期的、基準(安全率)を作ることが長期的な解決法だと思います。今年度より、土研の研究で3次元を扱っているようですが、設計・施工側の問題の解決も同時に行わないと、実務では流行らないでしょうね。ま、地すべり学会でも動きはないようですし、今のレベルの土研資料でもある程度の前進ですから、とりあえずは4年後の結果に期待しましょう。
http://www.pwri.go.jp/team/landslide/theme.htm

もう一つ。測量。
平面測量の結果を3次元で欲しいとというと、嫌がります。ま、分からないでもないです。作業量が増えますので。今日も、3次元浸透流で使用すると言いましたが、断られました。3次元の計算に使うのに、2次元の情報を提供されても困るのですけど。ま、近いうちに対応せざるを得ないようにはなるでしょうね。


このように課題?はありますが、自分のツールの一つとして装備しておくことは必要でしょうね。


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