久しぶりにセクションを見ました。3、4年ぶりだと思います。
例の sericitization した岩石です。
http://phreeqc.blogspot.com/2012/01/blog-post_23.html
http://phreeqc.blogspot.com/2012/01/jarosite.html
さすがに、セクションを見たら原岩が決めやすいですね。流紋岩質凝灰岩でした。長石類はほぼ全てSeに置き換わっているようです。
セクションを作ること自体、最近なかったのですが、これ、XRD よりもはるかに安上がりで、効果的ですよ。分からない岩石が出てきたら作るべきですね。
XRD のバルクでは、Qz 、Se が検出されました。細脈は Qz,、Se、Py、Chl、±Ca でした。
風化部では表面にK-Jaが吹いています。
実体顕微鏡では、Py も粒界や脈状部で存在しています。キュービックもあります。
セクションでは石基にもCaができていました。
さて、これらの岩石に雨水が反応するとpHはどうなるでしょうか?
流紋岩の場合、水質を支配しているのは主に亀裂にある鉱物です。そこには pH に大きく関与するCa、Py があります。今回の場合、溶解速度は一般的に前者が大きことなどから、初期は弱アルカリになるでしょう(実際、新鮮岩の pH 試験は弱アルカリになりました)。しかし、時間がたてば Ca が先に枯渇するため、強酸性となるものと予測されます。もちろん、比表面積によっては最初から下がり始めるということもあるかもしれません。
いずれにせよ、pH の最終値は、脈部の含有量比を測定しておけば PHREEQC で計算可能です。さらに、亀裂を含めた岩石の透水性を測っておくこと(困難ですが)、カラム試験などでpHの変化を時系列で測定しておくことが重要でしょう。時系列のデータがあれば、計算上のパラメーター(比表面積)をフィッティングで同定させることができます。そして、観察結果より導いた上記のモデルを検証することができるようになります。
これらのベースになるのは、地質です。
トンネルや切土による水位変化予測は、地質屋の作成する3次元水理地質モデル次第ですが、水質予測もこういった偏光顕微鏡観察、XRD 分析、実体顕微鏡観察といった地質の基本的要素の積み重ねが重要になります(当然、計算に乗せるための物理、化学、数学などの基礎も必要です)。
3、4年ぶりといったところが、基本をおろそかにしていた証拠です。気をつけましょう。
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