2012年1月8日日曜日

海外の安全率

マレーシア・香港・UKの安全率について知る機会がありました。

まず、マレーシア。
Slope Engineering Branch, Jabatan Kerja Raya MALAYSIA. 「GUIDELINES FOR SLOPE DESIGN」2010

All untreated slopes shall be designed with minimum of 2m berm width and
maximum 6m berm height with a Factor of Safety greater than 1.3. Stabilisation
measures can be considered when the design is inadequate. Stabilisation
measures may include the following:-
• soil nailing with slope surface protection
• permanent ground anchors
• retaining walls, etc.
The minimum global Factor of Safety for treated slopes shall be 1.5.

切土の場合です。盛土も似たようなもんです。なぜこのように決めたのか、背景が知りたいですね。非常に興味があります。
計算式については、指定がありません。


次はUK
Transport Research Laboratory 「OVERSEAS ROAD NOTE 14 HYDROLOGICAL DESIGN MANUAL FOR SLOPE STABILITY IN THE TROPICS」

これはどこまで効力があるのか分かりませんが、安全率よりも検討析手法の紹介になっています。浸透流と安定計算(Bishop)の組み合わせで多くのケースを検討しています。最終的には透水係数、降雨強度、勾配などから、チャートを使って簡単に安全率が出せるようになっています。このマニュに沿ったソフトも出ているようです。http://www.chasm.info/
目標安全率の記載はほとんどありませんが、ある表には推奨値として香港の1.2~1.4が掲載されています。


で、香港。
上述した1.2~1.4の出典です。

GEOTECHNICAL ENGINEERING OFFICE, Civil Engineering and Development Department, The Government of the Hong Kong 「GEOTECHNICAL MANUAL FOR SLOPES」

Risk to Life と Economic Risk のマトリックスで目標安全率を決めています。リスクに応じて1.0以上、1.2、1.4の3段階になっています。良いですね。リスクブームの日本でも、将来的にはこのような整理がされるのでしょう。
計算式も多く紹介されていますが、Janbu, Bishop あたりなのでしょうね。


日本では当たり前のように使われている簡便法は、どの国にも出てきませんでした。安全率が日本より高めなのは、それも一因なのかもしれません。背景はよくわかりませんが。

最近では上記の資料を始め、他国のガイドライン等もネットで容易に手に入ります。井の中の蛙であることに気付きやすくなっています。
技術者としてはありがたいことです。

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