先日、法面の老朽化調査で、久しぶりに熱赤外映像の撮影を行いました。
夜も明けぬ暗い内からセッティングし、お昼過ぎまで撮影です。
現場作業は簡単です。が、細かなノウハウが多くあります。設置方法、離隔距離と解像度、カット数、植生の有無、季節(温度変化)、天候(直射日光、雨、雪)、ターゲットの種類等々(といっても、私も色々教えていただいたのですけど)。
法面の老朽化調査で困るのは、クラックの原因推定。単に吹き付けが劣化しているだけで収まっているのか、地山からきているのか分かり難い点です。クラックが馬蹄形に入ったり、観測が行われていれば判断しやすいのですが、通常は背後がほとんど見えません。(そういう意味では、本来は地質屋の仕事ではないのかもしれません。)
そんな中、2年ほど前に熱赤外や打音調査を実施した法面について、お客様からお声がかかりました。「施工中で、ほとんど剥いだから見に来てほしい」とのこと。ありがたいことです。
早速、見に行ってきました。現場監督に湧水状況、空洞の状況を確認し、地山を見せていただきました。葉片状~塊状の蛇紋岩です。小断層から湧水があります。熱赤外の結果と比較すると、地山からの湧水箇所で温度差が出ていました。空隙ができていたのでしょう。また、新鮮岩でも「簡単に剥げた」と言われた箇所は温度差が出ています。当時は湧水も見られたので、地山からではなく吹きつけの間の空隙を流れていたのでしょう。水と接していた岩塊は、監督曰く、落ちてしまったようです。
地山を見て、熱赤外の結果をみると、「ああ、なるほど」といったように、案外解釈できます。
湧水のある小断層が3つありましたが、そのうち1つの方向は温度の差分画像に現れてるものの、残り2つは部分的、といったように、完全ではないものの、何かしらの要因を訴えていたようです。
こういったフィードバックを重ねていくことで、今後、より良い結果を示せるように思います。
地質屋の技術力が必要です。やはり地質屋の仕事なのでしょう。
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