2014年4月20日日曜日

解析領域と地表面沈下

解析領域と地表面沈下の話がトンネル・ライブラリー24号に出ています。

モデルの中でトンネルを掘ると、ある程度のリバウンドが出ます。下方領域が大きいほどリバウンドが大きく出ます。そのため、地表面沈下を対象とした解析では、下方領域を小さ目にしないといけないという内容でした。トンネル・ライブラリー16号にも出ています。
http://phreeqc.blogspot.jp/2010/12/12.html

これ、沈下の計算でも同じことが言えますね。
通常の解析領域同様に下方領域を設定すると、盛土により岩盤が弾性変形し大きな沈下が生じてしまう、といった考えにくい現象です。土質定数の設定や事前調査にも問題があるわけですが、解析領域にも気を付けないといけないという点は上記のトンネルの場合と共通でしょう。

境界条件にも触れられています。
トンネルの場合は側方:水平ローラー、下方:固定境界として計算しているものが多いようです。JH等のマニュアルでそのように扱われていたからでしょうね。
先日、他社の解析屋さんに「なぜ下方は固定?」と問うと、やはり「一般的」「マニュアル通り」という答えが返ってきました。トンネル・ライブラリー24号p147に掲載されているような偏圧地形であるがなかろうが、「固定境界」としているようです。これ、地表面沈下を対象とする場合(下方領域を小さくとる場合)は注意が必要と明記されていますね。ま、答えを見たらダメかどうかはすぐにわかると思いますが。

ただし、次のようにも書かれています。
(下方を1D程度に抑えるのは)掘削による浮き上がりを抑制したいという解析者や設計者の意図が読み取れる。言い換えると、・・・自らその予測値を自分で与えたことに注意を喚起したい。
確かにそうです。下方領域=1Dを読んだときの違和感がこれでした。執筆者が熟練者のため、先のような記載になったのでしょう。正解に対する嗅覚(経験)が必要ということでしょうね。ベテラン技術者ほど数値解析を割り切って使っているというのはこういった点を指すのだと思います。

まだまだです。

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