できません。その設備、ありません。
トンネル業務で膨潤性を判定する際には、スメクタイト含有量を XRD 結果から推定し、利用しています。吸水膨張圧まで測定したことは個人的にありません。その先の計算を見据えて興味を持ち続けていますが、残念ながらナシです。
あらためて地盤工学会基準を見てみますと、以下のように書かれていました。
- 吸水膨張試験は地山の膨張性を判定する指標の一つとして取り扱われているに過ぎない
- 結果を設計施工に積極的に利用している例はわずか
- その理由として、膨張応力や膨張性を利用した設計手法・解析手法に関する研究・検討事例が極めて少ないことなどが挙げられる。
- しかし近年、変状事例が各地で顕在化してきており、設計条件を決める場合に試験結果を利用している例がある。(近年といっても、古いと思います。)
- 14例のうち、13例がトンネル、1例が切土アンカー
興味を惹かれ、切土アンカーの文献を読みました。が、ピースの試験長と膨張圧の関係に着目されておらず、イマイチでした。要素シミュでパラメーターを求め、数値解析に持っていく、という流れが BEST でしょうか?web 上にはこのような文献もありました。
A Study of Swelling Behaviour in a Tunnel Using Finite Element Methods
他には、線膨張係数を使って見かけの E を変更している文献もありました。おそらく、分子シミュでも扱われているのではないでしょうか?
土木の場合、純粋な鉱物学的「膨潤」のみを指して膨張性地山とは呼でしょう。塑性化後の押出しを区別しにくいのか、「○○cmの押し出しが発生した」というように結果のみが示されます。観測だけでは区別していない(できない)ため、試験の定量的利用が難しいのでしょう。
まずは正攻法でも、そうでなくても良いので、数値解析を利用し現象を理解する材料を作る必要があるでしょう。解析例を蓄積しすれば一部の会社の特殊技術ではなくなり、設計・施工法も標準化されるでしょう。地質屋さんのモデル化もより正確性を求められます。
皆で進めると、近い将来、難しい問題ではなくなるように思われます。
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