2014年5月24日土曜日

トンネルと地すべり 安定計算

地すべりがトンネル掘削によって影響を受ける場合の、安定計算手法です。

LEM での手法は限られており、実務上は NEXCO さんの設計要領に載っている手法1択です。いえ、厳密には旧JH委託報告書と合わせて2択でしょうか。コレです↓
(財)高速道路技術センター「トンネル掘削を誘因とする地すべり対策に関する基本検討報告書(日本道路公団委託)」平成8年
確か、平成18年頃の設計要領に「詳細は旧JHの委託報告書による」といった趣旨の注意書きがあったのですが、現在はなくなっています。

今回、地すべり土塊内にて滑動方向と平行にトンネルを掘削する場合と、地すべり直下をトンネルが横断する場合の2者を実施しました。前者では、すべり面の横断形状が必要です。

なお、旧JH さんの委託報告書と NEXCO さんの設計要領で、異なる点があります。具体的には以下の通り。

・ゆるみ領域
NEXCO: 2.0D まで
旧JH委託: 1.0D まで

・土塊内を並走する場合:ゆるみ考慮の有無
NEXCO: 掘削による荷重変化のみ考慮。ゆるみは考慮しない。
旧JH委託: 荷重変化に加え、ゆるみを考慮することが可能。

・低減値の下限
NEXCO: cの下限値0.4
旧JH委託 cの下限値0.3、安全率0.95程度(すべりの型による)の逆算値を下回らない程度。


旧JHの委託報告書で 1.0D とされましたが、設計要領は改訂されず、現在に至ります。ま、実務上は安全側という殺し文句で現行通り 2.0D とすれば良いのですが、なぜ改訂されなかったのか疑問です。

一方、ゆるみに関しては現行の方が危険側。坑口部で地すべりに突っ込んでいく場合、ゆるみを全く見込まない計算方法では怖いですよね。コチラは旧JH委託報告書を優先したいところです。
ただ、肝心のゆるみを考慮した場合の計算式が、あいまいにしか書かれていません。文章を読めば展開できるのですが、実務上はやや(検査対応として)使いづらいものがあります。

当時のことは今となっては分かりません。相違点については設計要領を優先しつつも、着地点(対策)を見据えて検討する必要がありそうです。


0 件のコメント:

コメントを投稿