2017年2月25日土曜日

トンネルの事前調査・施工時調査

トンネルの事前調査のコアを分析していた方と話をしていました。

「今まで見たことがないくらいスメクタイトが出ている」とのこと。

ま、見た目からして大丈夫そうな岩なので、バルクでかけると「微量」という判断になると思われます。バルクでも目立てば岩石の吸水膨張試験や浸水崩壊度試験を実施すれば良いでしょう。
そういえば、昨年8月にトンネル標準示方書が改訂されています。膨張性の指標の一部が変更されたそうですが、未確認でした。確認してきましょう。

先日、災害科学研究所「トンネル技術者のための地盤調査と地山評価」 講習会に参加してきました。同財団3冊目のトンネル関連の図書です。前2冊が先進的でしたので期待していたのですが、残念ながらあまり多くの知見は得られませんでした。
今回の図書では、事前調査と施工時の調査に大きく分かれているように思えます。前者については総括的な内容でしたが、後者については執筆に力を入れられたようでした。トンネルの事前調査には限界があり、今後は施工時の調査を併用してリスクを低減させる、といった大きな流れが読み取れます。

勿論、事前調査でも得られるものはありました。
弾性波探査や比抵抗探査を実施しても、検層で検証・補正されていない例が多いとのこと。確かに、速度検層は実施しますが、電気検層は実施していないですね。指摘を受けて改めて気付きました。反省。

トンネルの事前調査の件数自体、昔より減ってきていると感じます(維持管理のための点検・調査業務は増えています)。事前調査の経験や知見を授受できる機会が減ってきていますし、それに係わる技術者数も減少傾向にあると感じます。私を含め、その質も落ちているように思います。経験等を AI にストックさせるという体制も現段階では整っていませんし、今後、施工時の調査へ場がシフトしていくのであれば、事前調査の経験等の伝達はより困難になるでしょう。ま、時代の流れ、と言ってしまえばそれまでかもしれません。

施工時の調査が施工に有益かつ効率的なのは私も実感していますし、維持管理段階で有用なことも理解しています(自身、施工時の調査を実施していた時は、事前調査をほとんどあてにしていませんでした)。
今後は事前調査の経験等を失わないようにする一方、維持管理を見据えた施工時調査の拡大に努めなければならない、という見解にようやくたどり着いたということでしょう。


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