地球統計学を用いたトンネル事前調査の報告を読みました。いくつか出ているようですね。
主に用いられているのは、弾性波の不確実性を地球統計学で定量化し、それによって生まれる施工費の幅を考慮しようというものです。では、最初から幅の中で最も安全側の施工費用を想定しておけば良いか?というと、どの資料も結論は示されていませんでした。
中には、屈折法弾性波探査結果を指標に、速度検層結果などを Kriging with an External Drift (KED) で補間するといった趣旨の報告がありました。補正するという趣旨ではありません。補間するのです。
地下水の場合は実測の透水係数を統計学的手法で補間し、その場を使用してを現況再現できるか確認します。上記の報告では補間までで、その場を利用した波形の再現はされていないようです。かなり割り切って使われているようです。まあ、正解に近づけば良いという考えでしょう。
ただ、地質屋としては、地球統計学を持ち出すよりも先にすべきことがあると思います。例えば、以下のようなインバージョン結果の見直しはかなり重要だと思います。トータルの走時残差を押さえたうえで、走時曲線の細かい形状を再現するといったものです。seisimager での説明ですがこのソフトで可能なのでしょうか?やったことないですね。
http://www.oyorm.co.jp/adguide/SEISIMAG/S-5.htm
通常、トンネルでは土被りの浅い箇所でしかボーリング調査は実施されません。地質屋は露頭位置やコア状況を、弾性波探査結果を指標とし、図上で補間していると言って良いでしょう。結果の良し悪し、当たり外れは別として、KED と同じようなこと実施しています。機械的に断層等の位置を決めているわけではありませんし、浅い位置と深い位置を等価な場として扱ってもいません。そういう意味では kriging を利用するには制約条件が付くと考えた方が良いでしょうね。
また、断層位置・幅を推定することを目的とすると、「なまる」手法よりもコントラストの出る手法を、実測波形に近づく手法を選択して行く方が良いでしょう。
まだまだ地質屋としてやるべきことはありそうです。
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