今日は榎名誉教授(鳥取大)による模型実験の講演を聞いてきました。
簡易三軸試験や地震斜面による崩壊、砂杭形成、液状化など、いくつかの模型実験を見せていただきました。啓蒙といった要素もありましたが、どれもシンプルで分かりやすいものでした。
その中で、降雨による斜面崩壊実験がありました。ちょうど最近悩んでいた不飽和の浸透と崩壊に関する研究かと思いきや、その反対でした。
「降雨による斜面崩壊の機構として、①見かけの粘着力喪失、②単体の増加、③基盤岩上の間隙水圧の増加が考えられる。これらは非定常浸透流解析と安定解析を併用するのが一般的であった。」
そうなんです。一般的だったそうなんです。知りませんでした。しかも過去形。
「①②が主要因なら、斜面上部・下部で破壊確率は同じはず。しかし、模型実験や現地実験ではそうはならない。」ということで、③をベースにしたモデルを提案されています。要はサクション低下や空気圧をそぎ取った、従来法に近いシンプルなモデルなのです。
当然、基盤岩上の土砂の薄いほうがすべり易くなります。「切土で、少し風化したくらいが危ない」とおっしゃっていましたが、妙に納得できました。
しかし、厚い場合はどうなんでしょう。「厚いほうが雨には有利」とまでおっしゃっていました。確かに、このモデルではそうなるでしょう。しかし、盛土や堤防の破壊は、従来通りの浸透・飽和領域への着目で解決できるのでしょうか?不飽和の変形を研究されている方と、着目点(適用性)の違いは何なのでしょうか?
質問したところ、厚い場合の実験は無理だが理屈は同じ飽和領域の分布であるという趣旨のご説明をされました。厚い場合でも不飽和の強度低下や間隙空気圧は考えておられません。
まだまだ私の知識は点の状態です。それが線として繋がるまで、努力が必要だということが分かりました。参考書も教えていただいたので、勉強です。まだまだ学ぶことがありプレッシャーですが、できることを一歩ずつですね。
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