2011年5月9日月曜日

地すべりに対するトンネル技術者と地質技術者の想い

地すべり地帯を道路トンネルが通過する場合、トンネル技術者、地質技術者の両方が検討に当たります。

トンネル技術者は線形を振らずにコストのかからない補助工法、掘削工法で地すべり地帯を切り抜けようとします。そのため、トンネルからの排水を地すべりに対する安全率向上と位置付けたい想いが伝わってきます。定量的評価のための浸透流解析を実施し、地下水低下を積極的に評価したいという想いです。ただ、排水トンネルを設計する場合には排水は無視、2Dの離隔距離をとる設計を行うはずです。

地質技術者は道路トンネルを抜く前に所定の安全率を確保する必要があること、inputデータに幅があり浸透流の結果通りに水圧が落ちない(所定の安全率に達しない)恐れがあること、経年劣化(目詰まり等)の恐れがあることから、地下水低下効果を無視したい想いがあります。ただ、渇水影響評価をする場合には積極的に地下水低下を見込むでしょう。

技術論として、変形解析で緩み領域を評価し、浸透流解析で地下水変化を予測できるわけです。それらを組み合わせて安全率を算出すれば、実務上の対策設計が行えます。

基準に甘えた技術者が、判断する努力を怠っているだけなのかもしれません。

0 件のコメント:

コメントを投稿