2010年12月15日水曜日

トンネル排水のpH

今日届いた応用地質の12月号に、アルカリ性トンネル排水のpH低減を目的とした論文が載っていました。

トンネル施工中は、吹付コンクリートが路盤に混ざったり、湧水がコンクリートに接触したりするため、濁水処理プラントではpHも調整します。施工後は通常の排水となりますが、それでも高アルカリのためpHを調整する必要がある場合には、この論文のようなメンテナンスフリーの設備ができれば便利だと思います。
ただし、クリアーすべき問題も多くあるでしょう。たとえば、①湧水処理量、②スケールの発生と改良効率③本体・下流側流路の材料(コンクリート不可)などです。

この論文に連名となっている先生は、北海道をベースに自然由来の汚染分野で御活躍されているようです。しかし、昨年度の応用地質学会発表会で「私はPHREEQのことは良く知らないが、計算で平衡を考えなくても、自然に二酸化炭素が溶ければpHは8強になる。」と言われていました。自然に解けるということが計算上の平衡を意味することを当時は御理解されていなかったようです。
今回の論文でも、酸素分圧を考慮していない、飽和度(過飽和speciesの沈殿)を考慮していないなど稚拙な感が否めません。しかし、こういった有名な先生方が地球化学ベースの対策工を発表され続ければ、「お墨付き」の対策工として認められる可能性もあります。今後の動向には気を止めておきましょう。

0 件のコメント:

コメントを投稿