2010年12月25日土曜日

トンネル7 : トンネルと地すべり

最近、トンネル坑口の地すべり対策についてよく耳にします。調査・設計の分業制が理由なのか、地質屋の腕が落ちたのか、そのような不安定な箇所しか残っていないのか・・・。以前書きましたが、土研から数値解析による地すべりとトンネル影響評価手法が出ています。http://phreeqc.blogspot.com/2010/08/blog-post.html
地すべりブロックの規模とトンネルの位置・大きさ関係が多様なため、3次元で計算しないと緩み領域の影響はつかめません。しかし、出てきた緩み領域を活用し地すべりに対し3次元でLEMをかけても、現段階では目標安全率の設定が困難といった矛盾があり、マニュアル化はできないでしょう。今までの2次元計算を3次元でやり直して、対策工がもった、もたなかったという整理をすれば、3次元の目標安全率も目安が出ると思いますが、膨大な作業ですね。以前にも書きましたが、現段階では技術者の腕次第ではないでしょうか。http://phreeqc.blogspot.com/2010/08/blog-post_14.html


地すべり地内にトンネルが計画された場合にはトンネル外に押さえ盛土や抑止工等を先行施工した上での設計とする必要がある。緩みを生じさせない施工、観測、応急的な対策工も考慮しておく。
NEXCO「設計要領第三集トンネル偏」2009.7,p141

トンネル構造物を抵抗力として見込まないのが一般的。
日本道路協会「道路トンネル技術基準(構造編)・同解説」2004,p141

すべり面から天端まで20m以内接近した場合が検討の目安。
横断する場合は排土量と切除長を差し引いて通常の2次元安定計算
地盤工学会「NATMにおける予測と実際 (地盤工学・実務シリーズ (9)」p258-263

緩み領域内でc'=0.3c0、φ'=3φ0/4に低減し2次元安定計算。
横断する場合、縦断する場合、下位を通過する場合の計算方法。
財団法人高速道路技術センター「トンネル掘削を誘因とする地すべり対策に関する基本検討報告書(日本道路公団委託)」1996、p42、48、100、109

地下水の低下を見込む。(見込まない基準もあったはず。思い出せない。)
財団法人高速道路技術センター「トンネル掘削を誘因とする地すべり対策に関する基本検討報告書(日本道路公団委託)」1996、p114、145

地すべり地での施工事例、補助工法
土木学会「山岳トンネルの補助工法〈2009年版〉 (トンネル・ライブラリー) 」p294、295

施工中の計測と配置
地盤工学会「NATMにおける予測と実際 (地盤工学・実務シリーズ (9)」p131、294
土木学会「トンネル標準示方書「山岳工法」・同解説」2006.8 p183

数値解析による地すべりとトンネル影響評価手法
土研地すべりチームhttp://www.db.pwri.go.jp/pdf/D6425.pdf

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