2014年9月27日土曜日

ストレーナーの影響 その4

前回は開口率1.7%のストレーナーでした。

今回は、よく使用している3%です。ガス管に 2mm の穴を千鳥で開けて使用しています。孔は大きく、数の多いほうが良いのですが、そこは強度との相談になります。

結果は以下の通り。
まずは透水係数の影響です。↓
開口率3%あればほとんど影響ないですね。厳密には浸透流で設定した96%の透水係数(=流量)を算出しています。


水頭による影響もほぼなし。



このストレーナーを現場透水試験に使用する場合、補正なしでもOKでしょう。
実際は目詰まりが発生している場合、その影響も考慮すべきなのでしょうね。ま、試験後のチェックでほぼ目詰まりしてこなかったので、これまでの条件では無視しても良い結果ではありましたが。

やはり使うツールについてはその特性を把握しておくべきですね。



2014年9月24日水曜日

ストレーナーの影響 その3

実際の試験結果で透水係数を同定し、その後、平衡水位と定常水位の差(変動量s0)を変化させてみました。



ストレーナー使用時は半分よりやや高めでしょうか。前回、透水係数を変化させた場合とほぼ同値です。

やはり、現場透水試験でこのストレーナーを使用する場合、「倍半分」の答えを出すと考えておいた方が良いのでしょう。


2014年9月23日火曜日

ストレーナーの影響 その2

数値実験の続きです。

桁落ちが発生したモデルを、m 単位から cm 単位に設定し直し、より低透水側での影響を見てみました。

結果はコチラ。


今回の条件で、このストレーナーを使って現場透水試験を実施した場合、地盤の透水係数に対して約半分の透水係数(=流量)を算出するようです。
裸孔の場合は、浸透流と現場透水試験の計算式で、ほぼ同じ答え。本当に、昔の人は偉いですね。感心です。

あと、水位差の影響くらいはチェックしておきたいですね。


2014年9月22日月曜日

ストレーナーの影響

今回の現場透水試験では、ボーリング屋さんにストレーナーを準備していただいきました。

が、持ち込み時に確認しますと、開口率が2%程度と小さめ(こちらも準備すべきでした)。特に低透水で影響が出るだろうと感じ、この休みの間に数値実験(浸透流解析)で影響を見てみることにしました。

条件は以下の通り。
・ストレーナー開口率1.7%(φ5mmの千鳥配置)
・ストレーナー区間長(試験区間長)は0.42m
・自然水位(平衡水位)は試験区間上端より0.25m上
・定常水位は試験区間上端より2.07m上(注水式定常法)
・流量は15L/min

ストレーナー周りのメッシュです。ストレーナー部分の要素を外して不透水としています。穴のあいた部分だけ地盤(緑)にくっつけて、通水するようにしました。内部(青)は仮に k=10m/s としています。境界条件としては、100m 外側に定水位(自然水位)を張ったのと、ストレーナー内部上面に定常水位を設定しました。試験孔を中心とした90度(1/4)の3次元モデルです。



現場透水試験結果として再現してみると、透水係数は k=1.4E-4m/s でした。一方、これを浸透流解析で流量の再現できた透水係数は k=2.5E-4m/s でした。倍半分ですが、思ったほど影響は大きくありません。

次に、ストレーナーがない場合(外した要素を土・水として戻しました)の計算をしてみました。
結果、同じ区間長の裸孔では 4.84E-4 m3/sの注入量が発生するようです。
その値を現場透水試験結果として計算してみると、透水係数は k=2.66E-4m/s となりました。浸透流の設定が k=2.5E-4m/s ですので、ほぼ正解です。昔の人は偉いですね。

透水係数を変えていくつか試してみましたが、やはり同様の結果でした。以下の通りです。裸孔では、浸透流で設定した透水係数と、現場透水試験の算定式による透水係数がほぼ一致するのに対し、ストレーナー使用時は後者が半減しています。ま、当然といえば当然の結果ですが。
透水係数のもっと低い側まで計算してみたのですが、桁落ちしてしまいました。グラフの k=5E-5m/s でも、桁落ちの影響が出ているかもしれません。



上記より、今回の条件では「開口率2% のストレーナーでは試験結果に影響が出る」ということになります。ただし、透水係数で倍半分といったところですので、オーダーで議論する精度を考えると、案外、影響は小さかったという印象です。倍半分は考察時にカバーすれば良いですね。
もう少し、透水係数が低い側でどうなるか、水頭差が低ければどうなるか、調べてみたいところです。

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20140923追記
やはり、低透水側で桁落ちの影響が出ていました。
http://phreeqc.blogspot.jp/2014/09/2_23.html


現場透水試験 その3

その他です。

当然、透水試験区間の掘削で、泥水の使用はダメ。孔内水平載荷試験(プレッシャーメーター試験)を実施する場合は泥水必須ですので、できれば本孔・別孔で2種の試験を分けるのがBESTです。本孔で透水試験・孔内水平載荷試験の両方を実施する場合、同深度は不可、透水試験を先に(浅い深度で)実施します。

揚水式定常法では、最近は小さなエンジンポンプを使うのが主流です。水位が深い場合のみ、小口径の水中ポンプを使用します。
注水式定常法の場合、ノッチがなくても塩ビの分岐をケースやガス管の頭につけることで実施可能です。ホースに分岐を付けて、流量を絞る方法もあります。

あと、現場で一番気にするのが止水ですね。
試験深度を決めた場合、その前段のケーシング追い込み時に止水をかけます。具体的には、無水で焼き付かせたり、打ち込んだりしてケース周りに水みちを作らないようにします。ストレーナーを入れる場合には、洗浄時にケースとの間で水位が変化しないか測定し、止水性をチェックします。ストレーナーの試験区間上端にシール材(吸水膨張材)を巻いて止水する場合もあります。ストレーナーやロッドを使用する場合には、接続ネジ部にシールテープやPEテープを巻いて漏水しないようにします。

内業では、適用式に注意が必要ですね。
試験区間と地下水位、あるいは難透水層との離れが孔径の4倍以上ない場合、鏡像理論を適用した式を使用します。また、孔崩れなどにより試験区間長が孔径の4倍を下回った場合には、4倍以上の仮定を取り払った式で計算します。このあたりは基準書の解説にありますので、結果的には条件に応じた式を選定するだけのことです。導出を追えば、納得できると思われます。ただ、市販ソフトでは、このあたりに対応していないものがあるようですので、気を付ける必要があります。ま、EXCELで処理されている方も多いと思いますが。

また、測定水位の記載にも注意が必要です。
試験手法のモデル図が基準書 p519 に載っています。h0の取り方が定常法と非定常で異なっていますが、これ、改訂で修正されていません。どちらでもよいのですが、水位差 s=|ho-h| となっていますので、GL表記か管頭からの表記かに統一しておく必要があります。
データシートにおいても、基準と矛盾する表記箇所があります。改訂の際は、ほとんど気にされていなかったのでしょう。データシートでは定常も非定常もGL表記となっています。しかもs=(h0-h)となっています。この辺は意識して記載する必要があります。


このように書き出していくと、それぞれ細かいですが、すべて当たり前の事項です。よく指導されたオペさんは、若い方でも常識としてルーチンワークに取り入れられています。
一方、私が当たり前のことを当たり前のようにできるようになったのは、ここ最近でしょうか?状況に応じてすぐに判断しないと現場が止まりますので、新しい情報が得られるたびに判断しなおし、指示するようになります。つい、あせって何かを忘れてしまいます。今まで良いオペさん達に助けられてきました。
最近は、お客様やオペさんよりも年上になることが多々あります。これからは彼らを助ける側にならないといけません。


2014年9月20日土曜日

現場透水試験 その2

現場透水試験の孔の仕様です。

試験区間の仕様としては、「ピエゾメーター法」が最も多いと思います。ケーシングの下に、裸孔区間を 0.5 m 程度設け、そこで試験を実施する手法です。
地盤工学会基準の解説によれば、ピエゾメーター法は他の手法に比べて透水係数が高めに出るとのこと。鉛直方向に比べ水平方向の流れの影響が大きくなるためでしょうね。そのため、基準では「ピエゾメーター法」で統一を図っているようです。ただ、他の手法を妨げるものではないとも書かれています。試験深度が浅くても、そこまで孔のもたない場合が多いので、通常はケーシングを追っていきます。そのため、全深度裸孔の「オーガー法」で実施することはまずありません。あるとすれば「チューブ法(孔底法)」ぐらいでしょうか。

試験区間まで追い込むケーシングの段数、深度により、現場の手間が変わってきます。そのため、積算上は上記ピエゾメータ法でも「ケーシング法」、「2重管法」などと区分され、しかも深度別の価格になっていることが多いようです。

試験区間は清水掘り限定のため、コアチューブを抜いた瞬間 or 試験中に、孔壁の一部の崩れることがほとんどです。緩い砂礫や細粒分の少ない砂で顕著ですね。
2年前に改訂された基準では、試験後の試験区間長(孔崩れ)を測定し、それをデータシートの決められた欄に記載するようになっています。今まで、試験中に撮影する現場記録写真の深度と、データシートの試験深度(=試験後の試験区間長)が異なってしまうので困っていたのですが、これからは矛盾なく記載できるようになりました。

また、裸孔が持たない場合は、ストレーナー管を用いたピエゾメーター法とするか、「チューブ法(孔底法)」になります。ストレーナー管はφ86ケースに入るφ60のガス管を加工したものをよく見かけます(私もガス管を使用しています)。先端のみストレーナー加工とし、ネジ部にシールを巻きながらつないで挿入します。
ただし、開口率の問題について、具体的な解説はありません。引用文献を追っても出ていません。ま、透水性矢板で開口率1%以上あれば問題ないとされていますので、大きな水位差を与えない条件であれば、通常のストレーナーで案外問題ないのかもしれませんね。以前より気になっていますので、時間があるときに確かめておきましょう。


現場透水試験 その1

土砂部で現場透水試験を実施しています。

地盤工学会基準では、「単孔を利用した透水試験方法」ですね。
これ、案外、細かい取り決めがあります。

スタンダードな手法としては、「注水」or「 揚水」、「定常(低水位)」or「非定常(変水位)」の組み合わせですので、計4種になります(注水式の定常法など)。

注水か揚水かは、施工目的によって選択するのが理想です。
例えば、掘削による湧水量把握や、ディープウェルなどの地下水位低下工法を考えるのであれば、揚水式、薬液注入などでは注水式を選びたいところです。ただ、揚水式は孔崩れや孔内でのボイリングを発生させやすいので、適用し難い地盤も多くあります。孔が持たないようであれば、水位変化量を小さくするか、ストレーナー設置とするか、あるいは注水式を選択するか、となります。
また、現場条件も考慮が必要です。都市部で排水処理が困難な場合は注水式を、周囲に水源がなく利用できる水が少ない場合は揚水式を選択せざるを得ない場合があります。
あと、地下水位の直下で実施する場合も注水式になりますね。

非定常は、一気に孔内水を低下させるか、上昇させることが、適用条件となっています。一気に低下させる場合、当然孔崩れが発生し易いので、ここでも、注水式非定常法を選択する場合が多いと思われます。個人的には、一気に水理場を変化させることが難しく、またすぐに測定を始めるのもあわただしいため、定常法のほうが好みですね。
透水係数の高い場合はなかなか水位が上昇(下降)しませんし、戻りも一瞬ですので、定常法を選択することになります。基準では、k=1E-5m/s程度以上で定常法が適、1E-4m/s以上で非定常が不適となっています。が、透水係数は試験をして結果を出すまで分かりませんので、現場では水の下がり方、上がり方をもって判断します。具体的には、水位がほぼ落ち着くまで、1~2分程度(データ取得で10点以上)あるかどうかを判断基準にすれば良いと思います。

解説によれば、得られる透水係数は、揚水より注入でやや低め、定常より非定常でやや低めとなっています。経験上、そのような傾向はあると思います。定常・非定常で大きな差は感じませんが、注水と揚水では大きく変わる場合があります。洗い方が足りないのかもしれません。


手法選定のポイントをまとめると、以下の通りになります

・現場条件(排水処理、水供給)
・施工条件(揚水量?浸透量?)
・水位変化による孔崩れの有無
・水位変化の速さ

詳細はすべて基準に書いてありますし、地質屋さんに聞けば答えてくれると思います。


2014年9月14日日曜日

ロッドの引き抜き

久しぶりに、簡易貫入試験を実施。

年を取ったので、2~3人で実施です。若いころは一人で実施していましたが、もうそのような元気がありません。

初日は何ともなかったのですが、翌日、ハンマーを持ち上げるのにもダルさを感じていました。日頃、体力を落とさないように気を付けていても、やはり落ちてくるものです。

地質屋さんは、自然と地下の様子を推定しながら作業するのでしょう。各ポイントで、「石にあたった」「木に当たった」「崖錐を抜けた」「風化土に入った」「岩の目で流れる」「こっちの山は風化帯が薄い」「何かおかしい」など、話をしながら実施していました。やはり、複数人で調査をするのは面白いですね。

打ち込み時は地下を想像し、話をしながら作業しますので気がまぎれるのですが、引き抜き時は単調作業になります。引き抜き機もあるのですが、重いし嵩張りますので、山に持ってあがれません。逆打ち一本です。
作業終了後、軽量な引き抜き機がないものか?と検索してみると、小型の油圧ジャッキを採用されている方がいらっしゃいました。2004年ですね。これ、良いと思ったのですが、流行っていないところを見ると、使い勝手が悪かったのでしょうか?
ホームセンターか、カー用品店で見てみましょう。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/sabo1973/57/1/57_1_39/_pdf


まだまだ、体力を落とさないように、日ごろから鍛えておかないといけませんね。



2014年9月12日金曜日

地質断面図の精度

踏査を行い、地質推定断面図を10枚書いて、お客様に調査計画の説明をしに行きました。

お客様、驚かれていました。「調査をしていないのに、なぜ地中が分かるのか?」と。
単純な地質的ロジックを積み上げているだけなのですが、設計側の方にとっては不思議な力なのでしょう。同時に、この断面の精度を理解されていないということでもあります。

断面の精度は、調査を重ねることで向上します。大まかには以下の順ではないでしょうか?
(主観が多く入っています。)

①資料調査
地形図・地質図・既往資料などから断面を想像します。精度は低いのですが、段丘や地すべりなどの抽出では重要な項目です。踏査範囲もこれで決めるのではないでしょうか(実際は地権者の制約あり)。

②踏査
踏査を行うと地表部の情報が得られます。崖があれば一部で深度方向の情報も得られます。
断面上では、地表部の地質分布がほぼ確定しますので、それを使用して深度方向を推定します。土軟硬程度は引いてしまう段階です(地質屋さんが、線1本毎に大まかな意味を持たせる段階です)。これで踏査でつかんだ大まかな山の雰囲気が表現されます。当然、深度方向の情報が限られるため、その精度は低くなります。
適用できるロジックを絞っていくと、2、3種類の矛盾のない断面ができる場合もあります。

③調査
前段で工学的に問題となりそうな場所、地質分布のわかりにくい場所などを絞り込み、ボーリングや物理探査などの配置を計画します。その結果を使って、断面の深度方向の情報を補正します。
前段で積み上げたロジックに反する証拠が出てきてしまうと、現地を再確認し、もう一度ロジックを積み上げ直します(②③のループです)。結果、全く別の断面(絵)が出来上がることもあります。地表面(横方向)と深度(縦)の情報を用い、あるロジックに従って絵を描いていきますので、イラストロジックなどのパズルを解く感覚に似ています(正解は施工時の掘削でわかります)。ただし、横方向は水平の2方向あるので、立方体の中を3次元で解いていることになります。ですから、GEORAMA や SGeMS の様なソフトに助けを求めることが多くなります。FEMのように、全体で残差(矛盾点)を最小にするモデルを探すのにも似ていますね。
また、この段階で新たな問題が顕在化すれば、2次調査(追加調査)となります。これを繰り返して、欲しい部分の精度を高めていく過程が断面図作成になります。

断面図作成において、地質屋の技術力というのは、「現地に応じたロジックを、早く、適確に見出し、必要な箇所で、必要なスケールで答えを描く力」といっても良いかもしれません。

ま、それほど簡単に、自然は正解を許してくれませんが。

2014年9月11日木曜日

UAV Regulations

先日開催されていた、Autodesk University Japan 2014 の資料を見ていました。

最も興味があったのは、「UAV を利用したリアリティキャプチャ」です。技術的な内容ではありませんでしたが、UAVを取り巻く話題が整理されており、個人的には役に立ちました。

その中で、UAV の 規制に関する話がありました。
商用利用禁止や資格を必要とする国があるそうですが、日本では一般的に制限がありません(農林さんを除く)。先日の NHK NEWS WEB でも、その件について触れられてましたね。事故を起こさないためには、現段階で 自主規制しかないということです。

フェールセーフ機能が付加されている機種を選定することも重要ですね。
バッテリー切れになる前の自動降下、信号が弱い場合や、エラーがある場合の離陸防止など、Phantom にも欲しいところです。

UAV の価格が低下し、コンシューマー機としての販売が増えつつあります(それを業務利用していますが)。事故を起こさないように、多くのことを考えていく必要がありますね。


保孔管の共上がり

施工屋さんから、先輩に相談がありました。

地すべりの横ボーリングなのですが、ケーシングを抜くと一緒にパイプが出てきて、後で押し込もうとしても孔が崩れて入らないとのこと。共上がりです。大抵は押し込めるのですが、今回は全くダメだそうです。

そういえば、土研のノウハウ本にも触れられていましたね。本では先端に返しのついたパイプの紹介がありました。

鹿島出版会「地すべり防止のための水抜きボーリングの実際」

本屋で何度か見ましたが、初歩的なことが多かったので買っていませんでした(今回のことで結局買いましたが)。

実際のところ、設計時に返しのついた先端パイプの絵を入れることはないでしょう。また、共上がりしても、後で押し込んで対処しているので、返しのついたパイプを事前に準備することはレアではないでしょうか?そのあたりの「実際」は、前段のこちらの方が詳しいですね。

土研 共同研究報告書 第447号 
「地すべり地における横ボーリング工及び集水ボーリング工の実態に関するアンケート調査」
http://www.db.pwri.go.jp/pdf/D7983.pdf

いずれにしても、現場対応で対処しているのが「実際」なのでしょう。

先端に返しを付けると保孔管の継手でソケットは不可、ねじ切りが必須になります。ま、通常でもソケットは抜けやすいので嫌がる方がいらっしゃるようです。そのあたりの問題・要望も上記アンケート調査には書かれていますね。

お客様にも一読していただきたい「実際」は、後者でしょうね。

2014年9月9日火曜日

せん断ひずみ

トンネルの変形を扱った数値解析を実施していたのですが、そのレポートを書いていた時の話。

私が出した結果を使って、他支店の方が作成した資料を、また私が再構成して仕上げていました。
おかしなもので、自分で書いたロジックの誤りはなかなか見つけられないのですが、他の方の誤りはすぐ目につきます。応力解法率の設定根拠が異なっていたり(私の説明が悪かったのでしょう)、使用している数字が異なっていたり。

中でも興味をひかれたのが、以下の点。
その方、1軸圧縮強度から限界ひずみを設定、それをゆるみ領域の閾値に設定されていました。その後、数値解析によるせん断ひずみ分布に、その閾値を適用されていました。疑問に思い調べてみると、お客様から頂いた前例に倣ったようです。
基本的には「限界せん断ひずみ」を用いるべきなのでしょうね。ま、実務的には安全側となるので結果的に良いのですが。提示したい結果に合うように、わざとそのように設定されたのかもしれません。

逆に、私にない良い点もすぐ目につきます。通常、私が使わないソフトで綺麗に再ポスト処理されていたり、説明が上手だったり。

一人で作業するよりは、複数の人間で試みる方が、気付くことも多いようです。



2014年9月7日日曜日

InfraWorks 2015 その4

基盤地図情報に道路中心線のデータがない件の続きです。

検索してみると、いくつかのサイトで同じ質問がありました。
回答者の多くは、Open Street Map などフリーの地図情報を取り込まれているようです。ちなみに、Map 3D ユーザーの中には WMS サーバーに接続し、表示している方もいらっしゃいました(Civil では、なぜか表示できませんでした)。

InfraWorks 2015では、WMS 接続での表示は対応していませんので、shpファイルとして準備する必要があるようです。で、使ったのはココ↓
http://extract.bbbike.org/?lang=de

いや、便利なサイトがあるものです。
ここで作成してもらったshpファイル、優秀です。属性も多く持っています。どなたかが打ち込まれたのでしょうね。感謝。

InfraWorks では、1号線、10号線、などというようにソースにフィルターをかけて読み込み、片側○車線などのスタイルを一気に適用できます。
逆に、適用したいスタイルが3種あれば3回読み込まないといけません。たぶん、1回読み込んで、属性ごとにスタイルを振り分ける方法もあると思いますが、わかりませんでした。今後、調べてみましょう。

結果、おもちゃっぽい、適度に手が抜けているモデルができました。地元説明に仕える場合もあるでしょうか?あまりこれといった使い道が思い浮かびませんね。
ただ、道路・造成等をCivilのコリドー等で作成しておけば、現況データ含めすべて取り込むだけですので手軽です。Civil3D の可視化ソフトという位置づけですかね?


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追記
先日、エヴァQをTVでやっていましたね。おもちゃついでに、初号機の 3ds モデルを取り込んでみました。
結果、初号機の作り込みに Infraworks のモデルが完全に負けてしまい、背景化してしまいました。

2014年9月6日土曜日

InfraWorks 2015 その3

せっかくなので、Civil 用に DL していた他の基盤地図情報も取り込んでみました。

まず、水域はそのまま取り込んで問題ないようですね。レイヤで空中写真の上に持って来れば、キラキラ表示されています。

次は建築物。
建築物の shp は種別の属性を持っています。堅ろう建物、普通建物、壁なし?(駐輪場など)の3つに区分されていましたので、それぞれ別の高さやスタイルを与えて表示してみました。これ、お手軽 & おもちゃっぽくて良いですね。愛着が出てきます。
案外、このような「おもちゃ感」も売りになるかもしれませんね。写真家が撮った作品を Max での CG に例えると、InfraWorks はトイカメラ的な使い方で良いのでは、などと思ってしまいます。車や電車を配置すれば走りだしたり、人を配置すれば歩き出したりすると面白そうですね。SimCity よりは貧相ですが、現実と同じ配置を非常に簡単に再現できます。
近距離は Max、中距離は Infraworks、長距離(規模が大きい場合)は SfM などといった選択でも良いかもしれません。

次は道路。
これはダメでした。基盤地図情報では、道路に対し道路縁の2本のベクトルを DL できます。が、そのまま取り込むと、2車線の道路が2本できてしまいます。どこかに中心線のデータは公開されていないものでしょうか?

続きは後日。

InfraWorks 2015 その2

次は空中写真のドレープ。

jpg を取り込んでみようと思いましたが、エラーで取り込めません。座標の関連付けは、取り込んだ後でできないようです。ワールドファイルが先に必要なのだろうと思い、作成するソフトを検索したところ、手元にありました。

Raster Design です。
これはモバイルにインストールしていなかったので、追加で入れることにしました。2015からは Civil だけでなく、AutoCAD も一緒にインストールしないと入らないようです。
が、一緒にインストールしてもダメ。既にアップデートされているプログラムがインストールの邪魔をします。
仕方ないので、デスクトップの 2014 で、既に作成していた dwg に jpg をアタッチ、「ラスター」タブよりワールドファイルを書き出しました。

再度、InfraWorks で jpgを指定すると、今度は正確にドレープできました。やはりワールドファイルが要るようですね。

ただ、ディテールは前バージョンのまま。簡素ですね。同じ写真を張り付けても、MVS のほうが綺麗です。レンダリングして同等でしょうか?何が違うのでしょうね。
ま、基盤地図情報をDL・変換・取り込むだけですから、贅沢は言えませんね。

続く。


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2014年9月7日追記
Autodesk の HP に掲載されているセルフトレーニングテキストによれば、地理院地図で配信されている2007年以降のオルソ画像を容易に取り込むことができるとあります。
試してみたところ、データセットの中のxmlファイルをラスターとして読み込み、「モデル範囲にクリップ」のチェックを入れるだけでドレープしてくれました。優秀です。
近年の写真を張り付けるのであれば、事前に用意する必要がなくなりました。手軽ですね。


InfraWorks 2015 その1

踏査に持って行った都市計画図のコンターの精度が悪いので、基盤地図情報の 5DEM-LP データに入れ替えました。

地物はそのままで、コンター(サーフェス)のみの入れ替え。現場で見つけた崩壊地形や谷がうっすら出てきました。
ふと、作成したサーフェスを InfraWorks 2015 で取り込んでみようと、試してみました。

過去、InfraWorks 2014 を数回使用していました。データの取り込みは手軽なのですが、仕上がりが 3ds Max に比べて非常に貧相でしたので、用途が見当たらず今まで使っていませんでした。サーフェスを取り込もうと考えたのは、2015 になって表現のディテールが上がったのか確認したかったのです。先日の3次元モデルの書き出しも気になっていましたし。

ところが、それらを確認する手前で躓きました。
読み込んだ LandXML に穴が開いています。Civil3D で 5DEMからサーフェスを作成した段階で、エッジを共有しない面ができているのか、書き出し時におかしくなっているのかわかりません。Civil上での表示は問題ないのですが。


5DEM を地理院の表示ソフト「基盤地図情報ビューアで」SHP に変換し、InfraWorks に取り込むことで解決。後工程の河川・道路等の書き出し範囲が表示ソフト上で分かるので、こちらの方が良いかもしれません。



続きは後日。

2014年9月4日木曜日

マムシを食べる?

踏査中、マムシに出会うことがあります


幸い、今まである程度距離があったり、近くても冬眠中(板を上げると巣でした)であったりしていました。が、先日はのり面を登っていて手をつたそばにとぐろを巻いていました。ニアミス。

そして今日、大先輩と歩いていたのですが、先輩がナタ鎌で草を払ったところにいました。が、その先輩、離れるわけでもなく、逃げるマムシを鎌の背で一撃。
あっけにとられていると、平地に取り出して頭を切り離し、皮をむいて内臓を取り出しました。手早く慣れたものです。

どうするのか?と聞いてみると・・・干して食べるとのこと。

味は・・・ないそうです。


どうも、必要な写真を撮るのには殺さないと危ない、無駄な殺生はいけないなので食べないといけない、とのロジック。プロと言うべきなのでしょうか?


さばき方は非常に簡単で覚えてしまいました。

が、山で遭難し飢えない限り、手は出さないでしょうね。



2014年9月1日月曜日

3D モデルの閲覧

ReCap 360 の 3D モデルを、簡単に閲覧できる方法はないか?と考えていました。

e-mail で招待すれば閲覧できるようになります。が、Autodesk の ID を作っていただかないといけませんし、ネット接続が必須になります。できればデータを渡して、単体で閲覧していただければ、と考えています。

まず試したのは、rcs ファイル(150MB)を Civil3D 2015 で読み込み、KMZ 書き出しする方法。Google Earth で確認できますので、閲覧する側はお手軽です。
が、点群の書き出しはサポート外でした。bounding box 以外は表示されません。
仕方ないので、点群からサーフェスを作成し、それを KMZ 書き出ししました。が、重すぎるのかGoogle Earth が異常終了します。重いといっても 40MB なのでそれほど大きくないのですが。ま、モバイル(Core i5-3337U、HD Graphics 4000、メモリ4G)が非力ということもありますが、この程度でだめなら話になりません。

次に試したのが、3ds Max。
rcs を読み込んで VRMLに書き出しましたが、こちらも点群は対応していないようです。
fbx(70MB) を読み込んでみましたが、3時間かかってまだ読み込み中。話になりません。

やはり 3D PDF でしょうか?
http://phreeqc.blogspot.jp/2014/05/3d-pdf-2.html
またCivil3Dに戻って、3D PDF を書き出してみました。
残念ながら、こちらも点群は対象外。サーフェスは書き出せましたが、当然1色。面白くありません。


地形や地層などの複雑な形状を扱う場合、現段階ではソフト専用の Viewer かプラグイン、またはクラウド経由で閲覧して頂くほかないですね。まだまだ汎用フォーマット・ソフトの出現とまではいかないようです。