2012年8月31日金曜日

大規模盛土造成地

明日は防災の日。テレビで関連番組をやっていました。
金曜プレステージ『防災の日SP 首都大震災~わ・す・れ・な・い 3・11の警告~』

津波、火災、着陸先を失った旅客機、盛土のすべり、その他色々。
空港閉鎖による旅客機の「エアパニック」については、今まで想像していませんでした。当然ありますよね。想像力不足。ようやく、盛土のすべりについて想像していなかったと言われる住民の方の気持ちが理解できました。

ちょうど先日、「大規模盛土造成地の変動予測調査」について、先輩の話を聞く機会がありました。平成20年に国交省よりガイドラインが出ているのですが、全国的になかなか調査が行われなかったとのこと。原因として、2次スクリーニングの優先度決定法が確立されていなかった点、点数評価と2次スクリーニングでの結果が合わなかった点なとを指摘されていました。 今年 4月の改訂で上記問題がある程度改善されたのか、いくつかの自治体で調査が発注され始めたようです。
余談ですが、現段階で調査は4社のほぼ独占状態。当然、ガイドラインを作った会社も入っています。こういう仕掛けが商売には必要なんでしょうね。例の部長様は「改訂によって、今後もこのような仕事が出続けるのか?」と堂々と先輩に聞いていました。いえ、 それを事前に考えるのがあなたの仕事なんですよ。

ま、こういった番組で、「盛土の一部はちょっと危ないのかもしれない」といった考えが一般の方に浸透すると、自治体としてもガイドラインとの間で板ばさみにならないように思います。


2012年8月30日木曜日

コンパイルオプション

CTC さんの変換ソフトが使えず、ここの所ずーっと悩んでました。というか、今もまだすっきりしていません。
 
公開されているDtransuのコードを改編して使用していますが、今回問題のバイナリ書き出し部分は触っていません。第一、公開されている付属コードで問題なくバイナリを読めるのです。

かなり悩んで色々試しましたが、全くダメ。
改編前のソースをコンパイルし、それでできたバイナリを変換してみました。が、これでもダメでした。バイナリエディタで中身を見ましたが、改変コードで作成したものと全く同じ内容です。 しかし、変換できないのです。

この結果をメールで送りましたが、CTC さんは「公開されているソースで作ったバイナリは読める」と言われるだけでした。ま、理由が分からなければ、そう言われるでしょうね。


しかし、この回答で原因を絞ることができました。
消去法で、残るはコンパイルオプションしかありません。基本的にはCTCさんと同じオプションを選択しておけば読めるはずです。しかも、書き出し時の型と、CTC さんに教えてもらった変換ソフト側の読み込み時の型の比較より、並び出力や型に関連しているはず。

と、アタリを付けてオプションを調整しコンパイルすると、一発で通りました。長かった。プロが側に欲しい。

しかし、念のため確認、ということで簡単な自作コードで 検証してみると、再現できない。orz
いよいよ分かりませんが、ま、目的は達しているので良しとしておきましょう。スッキリしませんが。

 
以前もGa3dでコンパイラーのセッティングに悩んだ事があります。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/10/blog-post_02.html 
こういった情報、私には結構重要なんですよね。プロなら常識かもしれませんが。
うーん。FORTRAN77以降を熟知している プロが側に欲しい。




2012年8月28日火曜日

フィールドサイン

2日ほど、山を歩いていました。

少し日数の経ったフィールドサイン。熊でしょうね。
中に大きな樹洞がありましたので、蜂蜜でもに取りに行ったのでしょう。
先輩が近くの博物館の方に聞いたところによると、この谷は熊さんの通路だそうです。

ベアクロ―!



下の写真は鹿ですね。鹿の新しいフィールドサインはあちこちに、ありました。 でも、ここまで歯型があったのは、この木だけ。特においしかったのでしょうか?




この2日間、鹿には会いましたが、幸い熊はいませんでした。

で、帰って後輩の話を聞いて驚愕!
猪に会って、崖から落ちたとのこと。出会ってしまったら仕方ない。猪でまだ良かった。元気出せ!


2012年8月26日日曜日

氷河の移動

2夜連続で、NHKのフローズンプラネットを見ていました。

極地の自然を紹介する番組とのことでしたが、途中、「温暖化」を訴えているのかと思いました。


個人的に面白いなあと思ったのは、氷河の上の湖水が亀裂から一気に下へ回り込み、氷河を1m浮かせた件。そういえば、氷河なんて地面との摩擦がないに等しいでしょうから、カウンターがなくなったり、このように水圧が増えたりすると動き続けるのでしょうね。地すべりとメカニズムは一緒だなーと思いながら見ていました。さすがに、地すべりで1m浮いたなんて話は聞きませんけど。



しかし、生物の生存競争っていうのは、リアルですね。人生がハードだなんて、冷笑されそうです。

2012年8月25日土曜日

浸透流計算が収束しない

後輩からヘルプ。
38万節点のモデルで、初期定常が12時間以上かかるとの事。

モデルを見ると、初期水位が入っていません。カラカラの器に境界条件だけ張って水を入れようとしても時間がかかります。適切に初期水位を設定してまわすと、流れるようになりました。最終的には単コアで3分でした。

これ、飽和だけの計算でも速いですね。最初は飽和だけで計算し、その結果を初期値にして不飽和も含めた計算をすれば、効率が上がりそうです。

ちょっとショックなこともありました。
なぜか並列化ソルバーの方が遅い。
6コアで7分かかります。この4分は、「分けて、くっつけて」の時間だけではないように思います。ちょっと考えましたがそれ以外は思いつきませんでした。今後の課題です。


2012年8月24日金曜日

アプリケーションを正しく起動できませんでした(0xc000007b)。

以前、Dtransu の OpenMP 64bit版を他の PC で動かした時のエラーについて、書き残していました。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/11/libiomp5mddll-openmp.html
 
今日、その流れで作業していた後輩から一言、「動きません。エラーでます」。
 
 うーん、と思いつつ、エラー内容を聞いていると、やはりdll。libiomp5md.dll は問題ないので、それ以外の dll に関するエラーです。1つずつ調べようかと思いましたが、ちょっと込み入っていましたので、以前教えていただいた「Redistributable Libraries for 32-bit/64-bit (x64) msi files」を DL して渡しました。

これをインストールすると、問題は全て修正され動くようになったようです。
最初から、こうすれば良かったですね。

2012年8月23日木曜日

津波シミュレーション

津波シミュの結果はテレビや動画サイトで良く目にします。

波の高さを誇張した可視化結果を見て、「綺麗だなー」などと思っていたのですが、その計算手法の詳細については考えもしませんでした。「どうせ、使う方程式は数種類だろうし、差分などで離散化して解いて結果を可視化しているだけでしょ。」程度でした。(余談ですが、FUJITSUさんなど粒子法で解こうとされているのもありましたが)

今日、後輩の津波シミュの計算の中身を教えてもらう機会があったのですが、確かに、流れはその通りでした。ただ一つだけ、引っかかった点がありました。

「陸域はメッシュを切っていない」

日本列島全域を計算対象に、非常に広範囲のメッシュを切っていたのですが、陸域にメッシュがありません。つまり、陸に到達した波は全反射する条件でした。
これだと、2波目、3波目が過大になるのでは?と聞いたところ、どうも、広域のあたり計算用のモデルとのこと。

確かに、このような広域のモデルでは、メッシュの大きさによる津波高さの計算精度に一定の限界があるでしょう。切り方によっては±5~10mでも妥当なモデルもあり得るでしょう。よくよく考えると、あたりまえです。いままで気にならなかったのがおかしいくらい。

気になって、今まで見てきた動画をチェックすると、一部で陸に海水が浸入していない結果がありました。
NHKのMEGAQUAKE2(第2回)は微妙です。よく見えませんが、入っていないように見える動画もありました。原発位置が示されたモデルでは入っていますね。しかし、どちらも計算精度は不明です。どこまで精度があると考えて良いのか?

今年に入って内閣府が南海トラフで巨大地震が起こった場合の津波高を発表していましたが、 あれも数字だけが印象に残っています。精度については未確認。いけないと思っている数字の独り歩きを、自分の頭が行っていました。うーん。反省です。
 確認してみますと、50mメッシュですね。まあ、充分良い精度(inputによる精度は別、あくまで計算上の話)で計算した結果だと思います。が、4月以降、さらに細かい10mメッシュで実施しているようです。
http://www.bousai.go.jp/jishin/chubou/nankai_trough/nankai_trough_top.html
うーん。次からは気をつけましょう。




2012年8月20日月曜日

仙台市宅地保全審議会の安定計算

仙台市宅地保全審議会委員の方の講演を聴く機会がありました。
http://www.city.sendai.jp/fuzoku/1197681_2699.html


色々考えさせられる内容でした。


その中で、技術論として気になったのが再液状化、盛土のすべり面の設定について。
特に後者は市の手引きを作成されるようです。調べてみると、上記リンクにて(案)として公開されています。

特徴としては、S波(厳密にはレイリー波より推定したS波)で設計上のすべり面を決定する点。Vs=180~200m/s で決めるようです。N値にすると10前後でしょうか?S波速度構造を実測N値で補正する場合は、今井の式を初期モデルとして使っていますが、その辺の指摘はないですね。盛土でN=10はやや大きいような気がします。変状メカニズムの資料ではN=0~5が主体のようですから、こちらが本当なのでしょう。まあ、国交省のガイドラインでも200m/sが出ていますので、市で問題にはならないでしょう。ま、個人的に気を付けておきましょう。
「大規模盛土造成地の変動予測調査ガイドラインの解説 H24.4」p77
http://www.mlit.go.jp/common/000209181.pdf


あと、気になったのはSBLLT で粘着力を求めている点。 応用さんの self-boring LLT でしょう。LLT から強度を求めるのは基準にも載っていますが、公的な資料に示されるのは初めて見ました。LLT は平面ひずみ状態ですので、3軸状態よりやや高い値となります。手引きでは欲しいパラメーターが飽和のCU試験値のようで、不飽和ということで棄却されています。まあ、飽和・不飽和を持ち出すと、、雛段のすべりも不飽和では適用できないというロジックに陥りそうですが。ま、その辺は(レベルの異なる)モデル依存実在論、地すべりの設計パラメーターということでOKなのでしょう。

 
いけませんね。
他に気になった事を中心に考えていきましょう。

分子シミュレーション

今年の地盤工学会で分子シミュの発表があったと教えていただきました。
岩手大学大学院 学生会員 中西正樹「分子動力学法による粘土の粘着力 c に関する研究」

分子シミュは1~2年ほど前に知りました。圧密のメカニズムを分子シミュで解かれている先生がいらっしゃり、その話を聞いて一気にやる気になりました。しかし、資料を探しても土木分野への適用は皆無。唯一関係しそうな拡散係数の求め方も、移流分散ではそれほど影響ない所ですので、あえて分子シミュをかけても仕方ない。結局、他分野の解説を読んでもよく分からないですし、(個人の能力的に)応用できそうにないので、気になりつつも手を出していませんでした。

今回の発表ではスメクタイトの粘着力をシミュで求めようと言うものでした。結果はAFM(原子間力顕微鏡、こんなのあるんですね、知りませんでした)の実測値に比較し5~6割となるため、まだ何か足りない(モデル化、その他)というものでした。まあ、学生さんの発表ですので。

これを見て考えたのが、粘着力について。
軟弱地盤の場合、一軸や簡易CUで得られる粘着力が円弧すべりで発揮される平均的な値に近いという事が知られています。一方、地すべりの安定解析(2次元Felleniusなど)で使用されるc・φはあくまで再現するためのパラメーターであり、上記の透水性に関与した粘着力とは似て非なるものとして割り切るべきでしょう(時々、同じ土俵で話をされる方がいらっしゃいますが)。
では、AFM を再現した後の、層間と間隙を考慮した分子シミュによる粘着力と、土質試験で求めた粘着力はどちらが真実に近いのか?分からないでしょうね。
結局、実務で問題を解決できる粘着力が真実っぽく使われるのであって、真実なんてヒトには分からないのかもしれません。モデル依存実在論でしょうか。そんな事を言えば、地すべりのc・φもそれで良いような気がしますが。

まあ、もう少し研究が進まないと何とも言えませんね。

2012年8月15日水曜日

地質図とCAD

踏査結果を土木地質図にまとめていました。

当然、CADで作成していたのですが、個人的には苦手な部類。手書きが好きです。線の太さ、強弱や塗りつぶしの範囲など自由に表現できます。しかも、早い。地質屋さんの土木地質図は露頭スケッチの延長ですからね。

でも、今はほぼ100%CADです。計画が変わっても、直しがききますし、モデルを作るのに必要ですから。
ガリーや沢を入れたら、その周りに連続する崖を、しかも鳥瞰図風に入れてくれる機能ってないのでしょうか?明瞭なところは太く、だんだん細くするとか、1クリックで露頭の形状を表現できるとか。その様な機能を搭載した地質屋のCAD、欲しいですね。売れないでしょうけど。


一通り作業をしてデータを整理していると、私が入社した頃に土木地質図の書き方を教えて下さった方の地質図が出てきました。やはり表現が上手です。思わず見入ってしまいます。山のイメージができるのです。
それに比べ、今日描いた図面は幼稚園児のお絵描きの様です。手を抜いたわけではないのですが、CADでできない表現を省いてしまうのですよね。で、結果、表現が簡素になる。

ちょとツールにハマりすぎですね。何をしていたんだか。もう一度、表現を考えましょう。

2012年8月13日月曜日

線膨張係数

伝熱計算のため Femap を触っていると、「線膨張係数」が出てきました。

温度上昇に対応する1次元長さの変化割合です。昔、習ったはずですが、完全に忘れていました。

熱拡散に手を付けないといけないと思ったのは2年前。熱水循環による温度解析業務に参加できなかったことが発端です。それ以降、やろうと思いつつ手を出さなかったのですが、今年、地下水熱利用に触れることになり腰を上げる事にしました(地下水中の鉄分による目詰まりや、有機物による吸着除去といったことに興味の沸いたのが先でしたが)。

温度応力解析はプラグ施工時に設計者が実施しているのを見ましたが、これはもう地質とは無関係のため、興味はありませんでした。比較的綺麗な材料値を使って計算をしているんだろう、地質では必要ないだろうと、勉強もしませんでした。
しかし、今回触っている中で出てきました。

参考書を見ると、温度-応力の連携は非常にシンプルです。
 σ=E(α(T2-T1))
温度と線膨張係数からひずみを算出し、変形係数を介して応力にしているだけでした。基本はこれだけなんでしょうか。
ま、こちらは急ぐ必要がないので、時間のあるときにコツコツ見ていきましょう。




2012年8月12日日曜日

VNCにはまる

熱解析で Femap + Nastran を利用しようと考え、昨晩から触っていました。

熱拡散の基礎方程式は大体理解していますが、それを実際に手を動かして解いた事はなかったので、時間のある時に実施しておこうと考えていました。手元にある Femap でどこまで出来るか確認しておきたかったのです。Femap を自由自在に扱えるレベルではありません。が、基本コンセプトは慣れている SoilPlus と似ていますので、個人的に扱いやすいソフトと言えるでしょう。

参考書を見ながらコツコツモデルを組んで、はい解析!とボタンを押すと、早速エラー。調べてみると、スタンドアロン版はリモートデスクトップに対応していないとのことでした。

では、VNCでと思い、以前使用していた ThightVNC をインストール。
しかし、繋がったり繋がらなかったり。
なぜ?と考えていると、どうやらWin7のログイン画面に戻った場合、アクセスできないようでした。Lock しないと Local で誰でも自由に触れるようになってしまいますし、リモートデスクトップでアクセスできなくなります。しかし、それでは TightVNC で超えられない(設定がまずい?)。

5時間程度、他のVNCソフトも試してみましたが、一長一短。ビデオドライバーが貧弱だったり、登録が必要であったり。TeamViewer でもうまく繋がりません。
結局、モデルをいくつか組んでおき、あとでまとめて流す事にしました。

本質的でないところで時間をかけてしまいました。
ま、休日なので良かったことにしておきましょう。

2012年8月11日土曜日

結晶片岩の異方性

結晶片岩の異方性について。

堆積岩とともに適正な評価が必要な「異方性」なのですが、メジャーな割に利用されていないと思います。試験に供するサンプルの選択や、調査結果の解釈には必要な事項でしょう。研究結果は50年程前より出ていますね。
以下、備忘録です。


・弾性波

平沢清(1962)佐々連鉱山鉱石および結晶片岩の物性測定結果について, 物理探鉱, 15, 2
b軸(≒線構造方向)>a軸(≒片理面内、線構造に垂直方向)>c軸(≒片理面に垂直方向)

瀬谷清(1960)屈折法における異方性の影響について, 物理探鉱, 13, 2
ki=Vim/ViM (m: minimum, M: max)
d=ki・diso (等方よりも浅くなります。)


・強度

赤井ほか(1969)結晶片岩の構造異方性に関する実験的研究, 土木学会論文報告集, 13, 2
片理面と軸圧の方向が30度で最も強度低下 。(90度の10~25%。本当でしょうか?)



2012年8月9日木曜日

地すべりの理解

孔内傾斜計の観測と、地盤伸縮計、水位計等のメンテナンスに行ってきました。

調査時や施工時に地下水が認められないので、本当に地すべりなのか?単なる崩壊では?と考えていた現場です。

傾斜計のならしの間、「地すべりならこの辺りにすべり面が出てくるだろう」と、崩壊面を観察していました。すると、一部に含水のある箇所がありました。梅雨明けより殆ど雨は降っていませんので、見つけた?と思いながら近づいてみてみると、風化岩の上に礫混じり粘土がありました。成因はすべりか熱水破砕かは分かりませんでしたが、断層ではなさそうでした。

帰社後、データを整理すると、見事にそこへ抜ける変動が取れていました。 すべり面でOKのようです。ま、熱水破砕が先かもしれませんが。

こういった粘土を採取して理化学分析にかけると、特徴が出る場合も出ない場合もあります。熱水破砕が先であれば特徴が出るでしょうし、単なる物理的な破砕であれば、周辺の粘土分と変わらない結果になることが多いと思います。分析はあくまで地質に支配されるのでしょう。
素因として地質構造を組み立てておき、そこに土塊・水圧のバランスを持ち込んだ際にすべりが理解できるのだと思います。両方必要であり、片方だけ調べても解けない問題ではないでしょうか。3次元地質構造の把握と、SSRM の組み合わせが、地すべりの理解への近道だと思います。

残念ながら私は1度でそれらを理解できないので、現場と室内、何度も往復しなくてはなりません。その辺を省力化できるのが経験なんでしょうかね?

SoilPlusからDtransu!

後輩がSoilPlus 2012 に挑戦しています。

計算速度を高めたい、時間当たりの計算ケース数を増やしたいという理由により、浸透流問題を並列化済みの Dtransu を使って解く方針です。
通常は Dtransu の pre として G-TRAN を使用しているわけですが、これ、クセの強いソフトです。モデリングに非常に時間がかかります。
http://phreeqc.blogspot.jp/2010/08/gtran-for-dtransu.html

そこで、ある段階までは他のソフトを使用し、短時間で綺麗なメッシュを作成したいという意図でした。具体的には、SoilPlus で平面メッシュを作成し、それを G-TRAN で押し出し3次元にするという流れです。ま、楽に出来るといてもG-TRANに対応させるため苦労しているようですが。

理想は、最初から SoilPlus で地層のソリッド読み込み、それらを自動でテトラ要素に分割したいのですが、それを Dtransu の input ファイルに変換する方法がありませんでした。で、仕方なく選択していたこの方法。以前にも記載したようにボクセルメッシュになります。


後輩も使い出したので、そろそろ変換ソフトを作らないといけないかな?と思いつつ SoilPlus 2012 を触っていると、なんと Dtransu へのデータ変換機能が追加されていました。数年前に問い合わせたときには開発予定はないと聞いていましたので、驚きです。オンラインヘルプでも触れられていませんのでマイナーな機能なのでしょうね。

早速、試してみましたが、案の定、変換できません。はい、まずは想定内です。さて、何処がいけないのか?これも見た目だけで実装予定の機能かな?と思いつつ、 サポートに問い合わせました。すると、ちゃんと実装しているとのお返事が。色々試しましたが、結局、未解決。その代わり、他の裏技的な変換方法を教えていただきました。感謝。

で、試すと、主要な部分はinputファイルに変換できます。五面体要素もちゃんと変換できていますね。テトラも可能でしょう。すばらしい!
変換後、editor で解析条件等を複数修正する作業は必要ですが、これは私にとって、いつもの作業。問題ありません。修正したファイル、Dtransu で回りました。嬉しいですね。

結果の変換もできるようですが、これも今だ動かず。エラー内容からして、Dimension あたりが原因かと思いますが、もう少し回答を待ちましょう。

これで G-TRAN を手放せます。SoilPlus + editor のみで、浸透流も移流分散もモデリングできるようになりました。今度モデルを組むときは、GEORAMA+Civil3D > SoilPlus > Editor の流れで試してみましょう。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
2012/8/11追記
現段階でテトラ要素はダメ。構成節点が全て0になります。ペンタまでですね。
まあ、開発中ということで。

2012年8月8日水曜日

動いた地すべり、動かなかった地すべり


先日、大きな移動量を示す地すべりを見ました。
後輩が管理者に応急対策を提言していたものの対応がなく、仕方ないので簡易伸縮計をつけてあげたそうです。
2、3日たって、インバー線が切れたと電話があり現地へ行ったそうですが、なんと1mのストロークを振り切っていたそうです。張った時はそれほど動くとは思えなかったようで、驚いていました。改めて測ってみると、その移動量、時間1cm。通行止めの倍以上の動きです。

私も現場へ行ってみましたが、パッと見、もう、地すべりではなく、崩壊といった形状。滑落崖だけでも5m程(写真で見せてもらった時は1m程度でしたが)。ブロック積みはズタズタ、末端部の押し出しは顕著、土塊に開口亀裂が数多く入っています。でも、人の目では動きが見えません。土塊の上を歩いても心配ないですし、下で畑もされています。でも、簡易伸縮形を見ると、まだ止まらずに動いています。ゆっくり動き続け、いつの間にか大きく変わっています。「アハ」体験のようでした。


一方、動かなかった地すべり?にも出会いました。
トンネル坑口の地すべり対策として垂直縫地を計画している他社さんの報告書を見ました。以前も書きましたが、これ、疑問です。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/06/blog-post_2484.html

安定計算は3次元で珍しいなあと思っていましたが、安全率は「土工指針よりFsp=1.2」。で、垂直縫地の計算は2次元と同じ。しかも、垂直縫地の根入部分をトンネルがばっさり貫いていくという計画。で、施工済み。
本当に地すべりだったのでしょうか?まあ、問題なく施工できたようですので結果オーライなのでしょう。

地すべりも、その対応も、様々です。

2012年8月6日月曜日

弾性波探査と kriging

地球統計学を用いたトンネル事前調査の報告を読みました。いくつか出ているようですね。

主に用いられているのは、弾性波の不確実性を地球統計学で定量化し、それによって生まれる施工費の幅を考慮しようというものです。では、最初から幅の中で最も安全側の施工費用を想定しておけば良いか?というと、どの資料も結論は示されていませんでした。

中には、屈折法弾性波探査結果を指標に、速度検層結果などを Kriging with an External Drift (KED) で補間するといった趣旨の報告がありました。補正するという趣旨ではありません。補間するのです。
地下水の場合は実測の透水係数を統計学的手法で補間し、その場を使用してを現況再現できるか確認します。上記の報告では補間までで、その場を利用した波形の再現はされていないようです。かなり割り切って使われているようです。まあ、正解に近づけば良いという考えでしょう。

ただ、地質屋としては、地球統計学を持ち出すよりも先にすべきことがあると思います。例えば、以下のようなインバージョン結果の見直しはかなり重要だと思います。トータルの走時残差を押さえたうえで、走時曲線の細かい形状を再現するといったものです。seisimager での説明ですがこのソフトで可能なのでしょうか?やったことないですね。
http://www.oyorm.co.jp/adguide/SEISIMAG/S-5.htm

通常、トンネルでは土被りの浅い箇所でしかボーリング調査は実施されません。地質屋は露頭位置やコア状況を、弾性波探査結果を指標とし、図上で補間していると言って良いでしょう。結果の良し悪し、当たり外れは別として、KED と同じようなこと実施しています。機械的に断層等の位置を決めているわけではありませんし、浅い位置と深い位置を等価な場として扱ってもいません。そういう意味では kriging を利用するには制約条件が付くと考えた方が良いでしょうね。
また、断層位置・幅を推定することを目的とすると、「なまる」手法よりもコントラストの出る手法を、実測波形に近づく手法を選択して行く方が良いでしょう。

まだまだ地質屋としてやるべきことはありそうです。

2012年8月5日日曜日

調査方法を知らない調査会社

地すべりを全く知らない会社が、地すべり業務を請け負うとどうなるか?

考えられない事ですが、昨今、どこの会社も仕事を得るのに必死なようです。仕事を選ばず、奪って行く会社も現れています。そうならないような仕組みを通過されて仕事を得られているのですから、仕方ありません。

先日、地すべり調査を進めていたある会社の話を後輩から聞いたのですが、地すべり調査を全く知らないようでした。踏査でブロックを決めず、ボーリング位置は発注箇所そのまま。お客様を含めた現地打ち合わせにも、来られたのは地すべりをよく知っている外注さんで、その会社の社員の方は来られなかったそうです。技術論を持ちかけられても困るので、急に雇われたのでしょう。
まあ、扱う内容をよく知った外注さんが安く仕事をされて、それをそのままお客様に納品されるなら多少でも儲けはあるのでしょう。「丸投げ」というやつですが。

調査方法を知らない調査会社が仕事を請けても、形にはなるようです。良し悪しは別として。
「人の世」ですね。

2012年8月4日土曜日

Civil3Dでトンネル内をドライブ その2

サンプルデータの線形を可視化してみました。


緑のターゲットは先行するトラックのつもりです。ボタンひとつで出てきましたので、それらしい大きさに調整しました。
私はこのドライブシミュでようやくトンネルのイメージが頭に入ったのですが、設計者の方は図面のみでこのようなイメージを頭に思い浮かべられているのでしょうか?
今度扱う線形は、私が図面を見ただけで厳しいと思いましたので、これ、やってみましょう。地元説明時に使うのも効果的と思います。

ところで、せっかく作ったトンネルのサブアセンブリ、登録できないのでしょうか?ちょと探してみましょう。


おまけ。
サーフェスなら何でも走行できるようです。地表を走らせてみました。


2012年8月3日金曜日

Civil3Dでトンネル内をドライブ

トンネルのコリドーモデルを作成しました。

コリドーを作成したのは2回目。前回が切盛で、しかも5年ほど前でしたので、やり方を完全に忘れていました。

まず、アセンブリを作ろうと思い、トンネルのサブアセンブリを探しました。が、ありません。トンネルはないんですね。
何か簡単な作成方法はないかと探していると、同時にインストールしていた「SUBASSEMBLY COMPOSER」が使えそうと気付きました。しかし、立ち上げてみたものの、使い方が直観的に理解できなかったため中止。このソフトを触るのは、また今度。

ということで、標準断面図から作成することにしました。
1.ポリラインをサブアセンブリに変換。
2.サブアセンブリの原点移動。
3.サブアセンブリにコードを与える(ココのノウハウが分かりません。1つずつ登録しないダメ?)、
4.アセンブリに追加!
これでコリドーを作り、そのサーフェスを作成して完成です。コードの追加箇所以外は簡単でした。測点毎の横断にもちゃんと反映されますね。OKです。


思わぬ収穫もありました。
SUBASSEMBLY COMPOSER の使い方を探していたときに引っかかった動画がコレ↓



DOS?トロン?のような懐かしい、簡素なドライブシミュです。Civil3Dでできるんですね。
早速、どうやるのか探してみると、以外に簡単!
「解析」タブの「ドライブ」ボタンを押して、線形等を指定するだけ。車線や目線を変えるのも、ボタンで調整できますし、数値入力も可能。時速も任意で調整可能。当然、地質のサーフェス表示もレイヤーのon・offで切り替え可能。なんで今まで気づかなかったのか?(そりゃ、コリドー作っていないからですが。)
上のように緑の車?を配置するのは分かりませんでしたが、作成したトンネルの中をドライブできました。実は、次に扱う線形が非常に厳しく、気になっていたんですよね。これ、使ってみましょう。

2012年8月2日木曜日

ハンムラピ法典と津波

ハンムラピ法典のレプリカを見ました。

最初は大きな碑だなあ程度の感覚で近寄って行ったのですが、文字がびっしり書き込んであり、興味をそそられました。説明文を読むと、「ハンムラピ法典」とあります。おお、これが「目には目を」のハンムラピ法典ですか!とちょっと興奮。中学校で習ったと思いますが、この年まで書物になっているものだと思っていました。恥ずかしいですね。
本物は玄武岩だそうですが、まったく節理が入っていないのですね。本当に玄武岩なんでしょうか?

調べてみると、2000年の地質ニュースで紹介されていました。
http://www.gsj.jp/data/chishitsunews/00_12_01.pdf
「津波」もこのころから知られていたのでしょうか?

実際に、現地の地形や地質を見たくなってきました。

高密度?高精度?弾性波、表面波、電気探査

高密度?高精度?に結論がでました。
あくまで個人的にですが、まあ、大外れはしていないでしょう。
http://phreeqc.blogspot.jp/2011/01/blog-post_4128.html


まずは弾性波探査。
「高精度」は、トモグラフィ的インバージョンを利用する解析法を指すようです。これは応用さんが売り出したもののようです。手法としても応用さんが開発したもののようですね。HPに書かれています。http://www.oyo.jp/product/01-seismic/seisimager_2d.html

一方、起振点を密に設け、地表面付近の探査精度を上げるのが「高密度」。25m程度にするようです。解析はトモグラフィ的インバージョンのようです(アルゴが同じかどうかは分かりませんが)。ということで、通常の発破法とは起振点間隔(薬量、データ数)、解析手法が異なります。だから単価が違うのですね。全地連の赤本では、きちんと書かれていました。聞いた話では、基礎地盤さんの売り出したものだそうです。ちなみに、先日の経験豊富(自称)の方も元基礎地盤の方です。これで繋がりました。
会社では応用さんの SeisImager/2D を使用していますので、高精度という名前が頭に焼きついていたのでしょう。波形データも、はぎ取りと同じものを利用しますので、私が扱っているのは高密度でなく、高精度で良いようです。


次は電気探査。
これ、調べてみると、「高精度」はありません。応用さんは「比抵抗映像法」と呼ばれています。知らなかったのですが、これも応用さんが開発した手法のようです。HPに書かれていますし、有名な本「比抵抗映像法(建設・防災・環境のための新しい電気探査法)」の著者も応用地質の方でした。驚き。http://www.oyo.jp/product/02-electric/elecimager_2d.html

一方、「高密度」は基礎地盤さんが売り出しています。しかし、手法は通常の比抵抗映像法のようです。

電気探査については昔の手法を知りません。が、前にも書いたように、今のやり方を手計算でできるとは思えません。そういう意味で、「高密度」な「比抵抗映像法」なのでしょう。私は応用さんの製品を使用していますが、「高密度」電気探査と呼んでいました。まあ、大きく見れば正解のようです。



最後は表面波探査。
これは基礎地盤さんは「2次元」表面波探査、応用さんは「高精度」表面波探査と謳われています。内容を見る限り、どちらも同じ手法です。起振点間隔は各受振点間と非常に密なので、「高密度」でも良いと思います。実際、応用さんの機械を使って「高密度」表面波探査と書かれている会社もあります。まあ、応用さんは使えませんよね。ソフトも自社の「高精度」手法を搭載した SeisImager/2D ですし。



とまあ、2社サンのプライド?戦略?といいますか、どうでもよい部分で迷っていたようです。すっきりとはしましたが、なんとなく、つまらないですね。
本質を押さえ、弾性波の起振点間隔のみ気をつけておけば、あとはお客様の使いやすい言葉に合わせておけば良いでしょう。