AI要約
本研究は、陸上起源の落石・転倒(トップリング)など異なる質量移動タイプ(MMT)が引き起こすサブエリアル地すべり津波(SLT)の差異を、SPH法(DualSPHysics v5.0.4)とProject Chronoの連成により数値的に比較・評価したものである。従来は滑動(sliding)に偏った研究が多く、落下(falling)・転倒(overturning)の波特性は未解明部分が多かった。本研究は計26ケース(長方体・円柱ブロック、岩石想定密度ρs=2700 kg/m3)で、最大波高・振幅、減衰、方向分布などを整理し、無次元パラメータ(Froude数F、相対厚S=s/h、相対長L=l/h、相対幅B=b/h、相対質量M)の関数として新たな経験式を構築した。
土砂(水陸質量)と水の連成方法(数値手法・境界・結合)
連成の基本枠組み:
オープンソースのDualSPHysics v5.0.4(WCSPH)を用いて流体(自由表面水)をSPH粒子で離散化し、反転型の剛体運動はマルチフィジクスエンジンProject Chronoで剛体力学を解く弱結合(loose coupling)。SPH側で算出した流体力をChronoに受け渡し、Chronoが剛体の平動・回転加速度を更新し、これをSPHにフィードバックする時刻歴連成。ChronoはDVI(微分変分不等式)に基づく非平滑マルチボディタイムステッピングで接触・ヒンジ拘束を解く。両ソルバは独立タイムステップで、1 SPHステップ中にChronoが複数サブステップを持ちうる。データ連携はDSPHChronoLibインターフェース。落下型はChrono拘束を用いず重力自由落下。流体方程式・数値安定化:
ナビエ–ストークスのSPH離散。弱圧縮性(WCSPH)で状態方程式を用い、音速比で圧縮性を制御(c0=71.2 m/s、密度変動<1%を確保)。数値粘性は人工粘性(α=0.01)を採用。境界条件:
固体・壁はmDBC(modified Dynamic Boundary Condition)を採用。固定境界を静止流体粒子として扱い、ゴースト粒子の線形外挿で密度場を平滑化、壁近傍の圧力安定性と隙間抑制を図る。圧力場安定のため密度拡散項も併用。計算設定例:
粒子間隔dp=12 mm、CFL=0.2、音速係数17、GPU(RTX A5000)で4秒計算に約40時間(約8300万粒子)。検証では氷密度相当、主試験では岩石を想定して剛体密度ρs=2700 kg/m3を使用。検証・収束:
大規模実験(氷ブロックの落下・反転)に対し一次波峰a1は±10%、一次波高H1は±15%以内で整合。空中スプラッシュの影響が小さい測点ほど良好。空間収束は反転型で難しさが残るがdp≤12 mmで一次波は概ね良好。時間収束もCFL 0.05–0.20でaMの差は最大約1.3%。結論
転倒は落下よりも大きいaM, HMを生じ、ただし沿軸減衰は速い。
新しい経験式(発生・伝播)はF, S, B, L, r/h, 方向γの関数で±50%程度の精度帯で整合。
実事例(カピトリオ)での適用は、適用範囲逸脱や地形・運動複合性により誤差が増えるが、初期評価に有効。
滑動との関係式により、MMT間の波規模変換の目安を提示。今後は粒状体、緩斜面、複合運動、適用範囲拡大が課題。
2025年。DualSPHysics で Chrono との連成は以前よりサポートされていますが、このようなことができるのですね。
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