2025年8月16日土曜日

地すべり調査(ボーリング、微動、モニタリング)

Investigation of intermittent motion mechanisms in large landslides based on in-situ monitoring and microtremor survey - ScienceDirect

AI要約

背景

  • 中国南東部の丘陵地帯では、台風や豪雨による地すべりが頻発しており、甚大な被害をもたらしている。
  • 地すべりのリスクを軽減するためには、地すべり体の地質構造や地下水流動特性を把握することが重要である。
  • 従来のボーリング調査は、空間的な代表性に限界があり、地すべり内部の構造特性の空間的な変動に関する情報が不足している。
  • Yaoshan地すべりでは、2016年の台風により家屋の倒壊や道路の亀裂などの被害が発生し、人命や財産が危機に晒されている。

手法

  • 地すべりの変形と水文特性の関係を調査するために、水平変位、沈下、深層変位の定期的なモニタリングを実施した。
  • 2019年8月には、雨量計、間隙水圧センサー、アレイ式傾斜計、水位計を含むモニタリングシステムを設置し、リアルタイムでの長期モニタリングを行った。
  • 地すべり体の主要な断面における地下構造特性を特定するために、3つの二次元微動探査測線(D1-D3)を主要な滑動帯(Zone II)に設定した。
  • 二次元微動アレイ技術を用いて、二次元せん断波速度プロファイルを作成し、地すべり体の内部構造を詳細に再構築した。
  • 既存のボーリングデータと統合して、滑り面の深度と空間分布を包括的に分析し、岩相層序の区分を行った。

結果

  • 長期的な現場モニタリングにより、Yaoshan地すべりの全体的な三次元変形が可視化され、地すべりを牽引帯、主要滑動帯、抵抗帯の3つのゾーンに区分することができた。
  • せん断波速度プロファイルから、地すべり体の内部構造が明らかになり、低せん断波速度異常帯が潜在的な優先水文経路として特定された。
  • 岩盤層内のボウル状の部分(すべり面下の低速度帯)が、Yaoshan地すべりの動きを促進する上で重要な役割を果たしている可能性が示唆された。
  • 間隙水圧の変動と地すべり移動の相関関係が明らかになり、降雨時に間隙水圧が上昇すると地すべり移動が加速することが示された。

考察

  • Yaoshan地すべりの間欠的な動きは、滑り面の形態、複雑な地下水流動システム、および地質構造的特徴の相互作用によって制御されている。
  • 低透水性の岩盤層内に形成されたボウル状の地形は、浸透した雨水をトラップし、急速に蓄積させることで間隙水圧を上昇させ、地すべりの動きを誘発する可能性がある。
  • 低せん断波速度異常帯は、潜在的な優先水文経路として機能し、地下水の流れを集中させることで地すべりの安定性に影響を与える可能性がある。
  • 季節的な地下水涵養の変化が、滑り面沿いの間隙水圧の周期的な変動を引き起こし、加速と減速を特徴とする間欠的な動きにつながる。

新規性

  • 二次元微動探査法を適用することで、大規模地すべり体の内部構造を詳細に可視化し、従来のボーリング調査では捉えきれない潜在的な優先水文経路やボウル状の地形を特定した点。
  • 現場モニタリングデータと微動探査の結果を組み合わせることで、地すべりの間欠的な動きを制御する要因(滑り面の形態、地下水流動、地質構造)の相互作用を明らかにした点。
  • Yaoshan地すべりの概念的な水文地質モデルを構築し、地すべりのリスク評価や災害予測に貢献する情報を提供した点。

図10を見ると、すべり面下にもダメージゾーン(潜在的なすべり面)が拡大するというようなことでしょうか。そこの水圧上昇が地すべり挙動に関係しているといった、新たな視点での内容です。
アレイ式傾斜計とは何か?と思いましたが、どうやら多段式の孔内傾斜計のようです。昔から国内で使用されているものと変位算出方法が一緒なのかどうかはわかりませんが、検索すると以下のような”array”商品が紹介されていました。


優先順位が低く、長い間読まずに貯めていた文献ですが、もう少しで整理できそうです。AI様様です。大半の文献は読んでも記憶から消えていきますので、何かしらの手法でデジタル化し記録しておくべきなのでしょう。

一方で、入社から数年の若い子らは論文や報告書を書くのに慣れていません。速く書くためには慣れが必要ですし、他人の論文や報告書の多読が有効です。AIの使用に慣れてしまっている世代ですが、あえて論文を読む習慣を身に着けることも必要だと思います。何事もバランスですね。

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