2021年7月25日日曜日

InSAR time series analysis その2

時系列解析は、PSI 法 と SBAS 法に大別されます。
後者は聞いたことがあるけれど、中身を知らないなーと思って調べると、おおきな勘違いでした。GPSの誤差補正情報(SBAS:Satellite-based Augmentation Systems)ではなく、Small Baseline Subset algorithm です。

干渉SAR 時系列解析プロトタイプシステムの開発, 国土地理院時報
https://www.gsi.go.jp/common/000207740.pdf

GSITSAR
本システムでは,ある1 つの画像を共通のマスターとして干渉画像ペアを作成する解析方法(以下「シングルマスター」という.)と複数の画像をマスターとして干渉画像ペアを作成する方法(以下「マルチマスター」という.)を選択可能である(図-2).一般的に,前者はPSI 法で,後者はSBAS 法で用いられる.
国交省さんから GSITSAR が公開されるとありがたいです。

干渉SAR 時系列解析による地盤沈下の検出, 国土地理院時報
https://www.gsi.go.jp/common/000079938.pdf
干渉 SAR 時系列解析は,PSI(Persistent Scatterer Interferometry )と SBAS(Small Baseline Subset algorithm)という二つのカテゴリーに分類される.
PSI は全解析期間で後方散乱特性が変化しない点(PS 点)を抽出し,それらのピクセルのみで変動を推定する(Ferretti et al.,2000,2001).PS 点においては,空間及び時間干渉度低下は小さく,長期間かつ長基線長のペアでも干渉度低下によるノイズが小さい干渉結果を得ることができる.人工構造物等のように長期間変化しない物体がPS 点となり得る.
一方,SBAS は,短い垂直基線長及び短い撮像日間隔のSAR 干渉画像を多数作成し,各観測時の変動量を推定する(Berardino et al.,2002).これにより,空間及び時間干渉度低下の影響を最小限に抑えて,時系列的な変動を抽出できる.

LiCSBAS は、NSBAS となっています。SBASとの差異を理解できていません。

Nationwide urban ground deformation monitoring in Japan using Sentinel-1 LiCSAR products and LiCSBAS
https://progearthplanetsci.springeropen.com/articles/10.1186/s40645-020-00402-7

・Cバンドの Sentinel-1データがベースになっているため、植生の密な地域では十分なコヒーレンスを保つことができない。
・Lバンドであれば期待できるが、観測頻度が低く(10回/年以下)、詳細な変形の時系列を検出することは困難。
・ALOS-4、NISARなど、次世代のLバンドSAR衛星が登場すれば、森林地帯であっても詳細な変形モニタリングが可能になる。

LiCSBAS は Sentinel-1の利用です。
融雪のための組み上げ→冬季の沈下をいくつかの地方で検出できています。夏場の農業用の組み上げで、沈下を起こしている地域もあるようです。確かに、(粗くても)密に変化を追うことが可能であれば、水位変化を面的に把握することも可能でしょう。このようなシステムが公開されてきたので、水位のインバージョンなどを研究される方々が現れたのでしょう。

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最初の文献の謝辞
「解析に使用したSAR衛星「ALOS-2」のデータは,ALOS-2に関する国土地理院とJAXAの間の協定に基づき提供されました.ここで使用しただいち2号の原初データの所有権は,JAXAにあります.「ALOS」のデータは,国土地理院とJAXAの「陸域観測技術衛星を用いた地理空間情報の整備及び高度利用に関する協定書」に基づき,国土地理院がJAXA  から購入したものです.「だいち」データの著作権は宇宙航空研究開発機構(JAXA)及び経済産業省にあります.」

 国交省さんでも研究には購入が必要なのですね。



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